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更新日:2019.01.26 / 掲載日:2019.01.26
マツダ 新型アクセラ(MAZDA3)の全貌
LAショーでワールドプレミアを果たした、新型Mazda3。日本では東京オートサロンの場で、初お披露目となった。ジックリと確認したその姿を、徹底詳報しよう。
●文:山本シンヤ ●写真:長谷川 徹
MAZDA 新型アクセラ(MAZDA3)

●発売日:2019年5月(本誌予想) (写真はMazda3 CUSTOM STYLE【北米仕様車】)
●Mazda3 CUSTOM STYLE(北米仕様車)
主要諸元
駆動方式:FF、全長:4459mm、全幅:1797mm、全高:1440mm
●標準装備からの交換・装着パーツ
エアロパッケージ/マフラー/車高調整式サスペンション(Fr:約30mm、Rr:約30mmダウン)/ホイール(BBS 鍛造 18-7.0J )/スポーツペダルセット/スカッフプレート/フロアマット(ハイプラス)
来場者からは「カッコいい!」 との意見が多かった
マツダ3は2003年に初代が登場して以来、世界130か国で発売、総生産台数は累計600万台を超える。まさにマツダのブランド認知をけん引してきたエースと言っても過言ではない。昨年、ロサンゼルスショー2018で4代目となる新型が世界初公開されたが、早くも1月11~13日に行なわれた東京オートサロン2019で日本初公開された。メインステージにはソウルレッドのハッチバックとマシーングレープレミアムメタリックのセダン、そしてステージの下には新色であるポリメタルグレーメタリックのハッチバックをベースに、カスタマイズが行われた「マツダ3カスタムスタイル」の3台を展示。
筆者はすでにロスショーで現車を見ているが、ポリメタルグレーはショーの前夜祭のみのお披露目でショー会場には展示されておらず、実はジックリ見たのは初。
この色はCX‐3で採用のセラミックホワイトの続編で、プラスチックと金属の融合を目指した新しい質感が特徴。一見マットな印象を受けるが、光が当たるとキラキラ見えるという二面性を持つ不思議なボディカラーである。
更にこのモデルは、フロント/サイド/リヤにはグロスブラック仕立てのエアロパーツ、スポーツマフラー、前後30mmダウンの車高調整式サスペンション、そして専用デザインのBBS製鍛造アルミホイールを特別装備。インテリアはハッチバックのみに設定されるバーガンディ内装に加えて、スポーツペダルセット、スカッフプレート、フロアマットを装着。
これらのアイテムは全て参考出品となっているが、正式発売された際には、純正オプションとして設定されるに違いない。
「発売前の新型マツダ3が見られる」ということで、マツダブースには多くの人が集まったが、来場者の雑談に聞き耳を立ててみると、「写真より実物のほうがカッコいい!!」、「現行モデルと変わらないと思っていたが、実際は全然違う!!」というようなポジティブな意見が多かった。
ちなみに、今回展示されていたモデルは全て北米向けの左ハンドル仕様だ。もちろん、そう遠くないタイミングで日本向けの正式発表も行なわれると思うが、気になるのは「車名」だ。実はこれまでは「海外向け=マツダ3」、「日本向け=マツダ・アクセラ」だったが、新型は世界統一ネームとなり「日本向けもマツダ3になるのではないか?」と言うウワサも聞くのだが、果たして。
マツダは2012年に登場のCX‐5以降、「第6世代」と呼ばれるスカイアクティブ商品群をラインナップさせてきたが、新型マツダ3から「第7世代」と呼ばれる新しいフェイズにコマを進める。そのため、ブランドも含めて一新したいという想いがあるようだが、ユーザーがどう判断するのか? 非常に気になるところである。

台上ではなく乗り込めるよう平置きされていたのがCUSTOM STYLE。カラーはハッチバック専用新色のポリメタルグレーメタリック。
歴代アクセラをCHECK!
世界戦略車として登場したアクセラ。初代からセダンとハッチバックの「スポーツ」の2本立てだった。2代目はマイナーチェンジ時にSKYACTIV技術を搭載。3代目が現在販売中。
●初代:2003-2009
●2代目:2009-2013
●3代目(現行型):2013~
ハッチバックの居住性や後方視認性は気になるところ
エクステリアはハッチバック/セダンともにキープコンセプトだ。魂動デザインの基本的な考え方は不変なので当然だが、現車を見ると「はぁ、そうきたか!!」と。
ハッチバックはノーズが長く、キャビンは小さく、Cピラーは太い上にリヤゲートはクーペのように角度が寝ており、情熱的で凝縮感があるスタイル。対するセダンはというと、ハイデッキでハッチバックの延長線のようなスタイルのモデルが多い中、「ザ・セダン」といった伝統的フォルム。3BOXらしいフォーマルで伸びやかなスタイルで、同じマツダ3にもかかわらず印象は全く異なる。
ちなみにハッチバックとセダン、エクステリアで共通しているのはボンネット/シグネチャーウイング/ヘッドライト/フロントガラスのみで、他はほぼ専用設計と言っていいそうだ。
チーフデザイナーの土田康剛さんは「ハッチバック/セダン市場は縮小傾向ですが、デザインでその魅力を取り戻したいと考えました。そこで今回は『ハッチバックはハッチバックらしく』、『セダンはセダンらしく』を愚直に表現してみました」と語る。
インテリアはコックピット全てがドライバー中心の左右対称レイアウトで無駄な要素は極力排除、より運転に集中できる空間になっている。横基調でスイッチ類やレジスターを最適配置させたシンプルなデザインだがマツダのヒエラルキーを変えてしまう質の高さだ。
現行モデルはパッと見の印象はいいのだが、細部を見るとガッカリ……な点もあった。新型はスイッチやコマンダー、RXヴィジョン/ヴィジョンクーペと共通モチーフのステアリングなど細部も抜かりなし。海外勢のプレミアムブランドと比べても負けていない。
ちなみにボディサイズはハッチバックが全長4459×全幅1797×全高1440mm、セダンは全長4662×全幅1797×全高1445mm、ホイールベースは2725mmとセダンの全長(+82mm)と両車共通のホイールベース(+25mm)以外は現行モデルと大きな差はない。
恐らくホイールベース拡大分はリヤの足元スペース、セダンの全長拡大分はトランクスペース拡大に寄与していると思うが、居住性に関しては大きな差はないはず。
逆にハッチバックは攻めたデザインが原因のリヤシートの閉塞感や後方視認性が気になる所だ。マツダによると「直接視界は要件を満たすようにmm単位での調整とBSM/360度モニターなどの支援デバイスのサポートでカバーしている」と言う。この辺りはリアルワールドで早くチェックして、確認してみたい。
ほぼ専用設計で生み出されたハッチとセダンのスタイリング
Mazda3 CUSTOM STYLE・エクステリア
ブラックの各部パーツなど、エアロパッケージを装着したCUSTOM STYLE。ノーマルよりもさらに引き締まったそのスタイリングを見ていると、「マツダスピードアクセラ」が復活したらよいのに、とも思った。
18インチのBBS製鍛造アルミホイールを装着。車高調整式サスペンションにより前後とも約30mmダウン。スポーティな印象を強めている。
Mazda3 セダン・エクステリア

スッと伸びやかなセダンのスタイル。ランプ類は灯体としての本質を追求、無駄を削ぎ落とすことでシンプルな美しさを表現している。同時にクルマの軸を感じさせるランプ内の「丸」の形と深さにもこだわった。
Mazda3 ハッチバック・エクステリア
新しい試みとして、あえてキャラクターラインを用いず、湾曲させたパネルのみでボディを構成したハッチバック。キャビンとボディがひとつの塊になったかのようなデザインを追求。ただ後方視認性は気になるポイント。
こちらはハッチバックのデザインスケッチ。塊感・凝縮感のあるデザインだが、それが市販仕様にも反映されていることがわかる。
新型アクセラはFFよりも4WDがお勧め!?
パワートレーンは豊富に用意されており、ガソリンの「スカイアクティブG」は1・5/2・0/2・5L、ディーゼルの「スカイアクティブD」は1・8Lターボ、そして注目の量産車初搭載となる圧縮着火エンジン「スカイアクティブX」だ。スカイアクティブXは具体的なスペックはまだ未公表だが、小型で効率的なハイブリッドシステム「M Hybrid」との組み合わせとなる。
筆者は昨年、スカイアクティブX搭載の試験車に試乗しているが、アクセルを踏んだ際の初期応答性の良さはディーゼル、低中速の自然なトルク感の盛り上がりはライトプレッシャーターボ、そして高回転まで綺麗に吹け上がる伸びの良さはガソリンNAと、ガソリンとディーゼルのいい所取りと呼ぶのがふさわしい性格を備えたユニットなのを確認済み。これが量産車に反映されているのか非常に気になる所である。
シャシーは全面刷新、次世代車両構造技術「スカイアクティブ・ビークルアーキテクチャ」を採用。「究極の人馬一体」を目指し、全ての領域で人間の感覚にあった滑らかな車両挙動の実現を目指したと言う。こちらも試験車で体験済みだが、その時の印象を従来モデルで例えるなら、ディーゼル車の良さの「重さを活かした落ちつきのある乗り味」とガソリン車の良さの「軽快でキビキビした乗り味」の融合、小径タイヤを履いた時のような「しなやかさ」と大径タイヤを履いた時のような「シッカリ感」の融合……といったような乗り味。量産車もこれが実現できていたら、Cセグメントの勢力図が変わるかもしれない。
駆動方式は現行モデル同様にFF/4WDが用意され、新型は4WDがお勧めだとか。アクティブ・オン・デマンド方式ながら前後駆動力配分を50:50まで使える上にGVCプラスとの協調で、オンロードでの乗り味の質向上にも大きく貢献しているという。
インテリア&パワートレーン
Mazda3 CUSTOM STYLE・インテリア

ハッチバック専用のバーガンディ内装。現行型よりもさらに質感が向上していることがわかる。CUSTOM STYLE特別装備としてスポーツペダルセット、フロアマット(ハイプラス)を装着している。
シンプルさを追求したインテリア。メーターは見やすい3眼メーター。8.8インチのセンターディスプレイには燃費情報の表示も可能。コントローラーは現行型と同じセンターに。

ボディ後方のボリュームは比較的しっかりと取られているため、ラゲッジルームは現行型と同等の使い勝手か。分割可倒機構は6:4のもよう。
Mazda3 ハッチバック・インテリア

「引き算の美学」により実現したシンプルなインパネ。頭抜けは悪くはなかったが、後席居住性はリアルワールドで確認したいところ。
Mazda3 セダン・インテリア

セダンはホワイト内装。ステアリングテレスコ量を前後に拡大、前席のチルト調整機構を標準として理想のドラポジを取りやすく改良。
Mazda3 パワートレーン
展示車のエンジンフードを開けさせてもらったのだが、残念ながら(?)SKYACTIV-XではなくGだった。設定パワートレーンは豊富だが日本導入機種は未発表。
注目はSKYACTIV-X
注目なのが「X」。乗り味はガソリンとディーゼルの「いい所取り」だと言うが、早く市販モデルにて確認したいところ。
多方向の環状構造を骨格に採用し剛性を向上。980MPa以上の超高張力鋼板を、現行型の約3%から約30%へと大幅に増やした。
新旧アクセラ諸元比較
旧型
新型

[まとめ]新型アクセラにはプラスαの魅力が必要!?

全てが進化している新型。恐らく乗ったら「いいね!」なのは間違いないと思うが、世の中のトレンドがクロスオーバーにシフトしている現在、「指名買い」される存在になるためにはプラスαの魅力が必要だと思っている。開発を担当した別府耕太主査は「SKYACTIV-Xは新しいマーケットを作り出す勢いで開発しました」と語っているが、それなら単なるエンジンラインナップの一つではなく、シリーズをけん引するような「新時代のスポーティバージョン」のようなモデルがあってもいいと思うのだが……。
提供元:月刊自家用車