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更新日:2018.10.02 / 掲載日:2018.06.12
ロールス・ロイス初のSUV「カリナン」がついに登場!

文●ユニット・コンパス 写真●川崎泰輝
世界有数の高級車ブランドであるロールス・ロイスは6月11日、同社の歴史において初めてとなるSUVモデル「カリナン」を公開し、同時に日本国内での受注を開始した。ベース価格は3800万円からで、納車は2019年の春を予定している。
近年、世界的に高級車の市場は好調だ。そして、ユーザーのライフスタイルも多様化し、クルマに求められる資質も変化している。その端的な例が「SUV」だろう。SUVやオフロードモデルに対しては、市場全体はもちろん、富裕層からの需要も拡大傾向にあり、世界中の高級車ブランドが、こぞってSUVモデルを投入してきている。そしていよいよ、「高級車」の代名詞ともいえる伝統あるブランド、ロールス・ロイスが新たにSUV市場に進出してきた。ここでは、ヴェールを脱いだカリナンの魅力を早速探ってみる。
ラグジュアリーは、もはや都市のコンセプトではなくなった

ロールス・ロイス・モーター・カーズ カリナン商品企画マネージャーのジョン・シアーズ氏(左)とアジア太平洋リージョナル・ディレクターのポール ハリス氏(右)。
現在、若くして成功する富裕層が世界的に増えており、彼らは妥協することなく、さまざまな地形の場所にでかけ、よりアクティブにレジャーを楽しむ傾向があるという。そんな彼らの要望を受け、ロールス・ロイスは、最高に贅沢なレジャーのあり方、基準を改めて定義した。世界中の王族や富豪から寵愛され続けるブランドが放った歴史上はじめてのSUVは、圧倒的な存在感に、洗練されたラグジュアリーや極上の快適性、そして高次元の走破性を備えた待望のモデルとなっている。
全長5340mm、横幅は2000mm、高さが1835mmという、まさに堂々とした3ボックススタイルのボディが持つインパクトは大きく、一躍高級SUVの「顔」として注目を集めそうなカリナン。デザイン・チームは当初から、この新たなSUVを「比類なきハイボディ車」とし、今までにないラグジュアリーとエレガンスのスタンダードを定義し、定着させることを目指したという。カリナンは「Effortless Everywhere(どこでも難なく)」をテーマに、アルミスペースフレームを用いた新設計のプラットフォーム(アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー)を用いている。
カリナンは、ロールス・ロイスにとって、4WDとしてもはじめてのモデルとなるが、開発で目指したのは、スポーツやレジャーを積極的に楽しむユーザーが、気を使ったり苦労することなく、どこへでも行けるロールス・ロイス。「オフロード」モードを選択するだけで、あらゆる設定が最適化されるのである。
ロールス・ロイスの証しともいえるパルテノン神殿を模したフロントグリル。その存在感はSUVにおいても唯一無二だ。ロールス・ロイス・モーター・カーズ アジア太平洋リージョナル・ディレクターのポール ハリス氏は、「新たなモデルの登場が相次ぐSUV市場だが、我々は価値の面で妥協したり、平凡なラグジュアリーを提供して、大量生産をするつもりは一切ない」と語り、ロールス・ロイスにしか実現できない方法で、新しい世代の顧客の要望に応えていく考えを示した。
伝統から生み出された新しいSUV

3295mmというホイールベースは、先行して登場したベントレーのベンティガなどよりも大きく、室内は大きなゆとりが感じられる。もちろんロールス・ロイスらしく内装の素材と仕上げのクオリティが極められている。ロールス・ロイスでは、 「ユーザーが既存のSUVで見つけられなかったものを提供する」とし、また、すべてに妥協を許さないロールスの顧客に、冒険や刺激にあふれた生活を体験してもらうために、「どこへでも行ける最高級のラグジュアリー・スタイル」として提案されるのが、カリナンなのだ。その随所に、ロールス・ロイス伝統である究極の気配りが散りばめられている。

最上級レザーと厳選されたウッド、さらに精巧なクローム仕上げのパーツで飾られた室内は、クルマの中にいることを忘れてしまいそうな贅を尽くした空間となっている。

素材の種類やカラーが極めて豊富に選べるのもロールス・ロイスらしさだ。

立体的な表面を際立たせるシートのバックレストパネルは、全体が 一枚のレザーから作られ、ロールス・ロイスの熟練したレザークラフト技術の高さを証明している。また、フロント・ドア・アームレストをはじめ、フロント・センター・コンソール・カバー、Cピラー、リヤ・サイド・アームレスト、リヤ・センター・アームレストなど、室内のいたるところに、ヒーターが内蔵されていて、冷間時の快適性を向上させている。

後席は、セパレートタイプの4人乗り仕様とベンチシートの5人乗り仕様がある。4人乗り仕様は、後席背後に室内とラゲッジルームを間仕切るためのパーティションがある。これはリヤゲートを開けるときに、室内の温度を変化させないためとされている。究極のショファードSUVである。ちなみに、5人乗り仕様の後席は40対20対40の分割可倒式となり、スポーツやレジャーに幅広く対応する。
リヤハッチを開けた状態で、ラゲッジルームのフロアから2座のピクニックシートとテーブルが出る「ビューイングスイート」がオプションで設定(4人乗り仕様の場合)される。山や湖畔、海辺などで「最高の眺め」を前に贅沢な時間を楽しめそうだ。
ラゲッジスペースは、通常560L(プライバシーカバーを外すと600L)で、最大1930Lを誇る。まさにゆとりのスペースだ。

キーのアンロックボタンに触れるか、ステンレススチール製のドアハンドルに手を伸ばすと、カリナンは車高を40mm下げ、快適な乗り降りをサポートしてくれる。スタートボタンを押すと車高は元に戻る。また、オールアルミ構造のアーキテクチャーと最新のエアサスペンションが採用され、ロールス・ロイスならではの「魔法のじゅうたんのような乗り心地」をオンロードでもオフロードでも可能としている。
どこへでも行ける、頼もしい走破性

6.75LのV12ターボエンジンの最高出力は571馬力。ZF製の8速ATを介して4輪を駆動する。必要な時には、スポーツカーのように素早く走らせるために搭載するのは、ブランド初となる4WD。電子制御されるフルタイム4WD機構には機械的なセンターデフロック機構やローレンジはなく、「オフロード」スイッチがあるのみ。これを押すと、車両のさまざまなメカニズム、システムが自動で最適化される。

また、ヒルディーセントコントロールとエアサスペンションの車高調節制御機能も装備される。
最先端技術にも抜かりはなく、昼間・夜間野生動物・歩行者警告機能が付いたナイト・ビジョン/ビジョン・アシストや、アラートネス・アシスタント、パノラマビュー、全方位視野システム、ヘリコプタービュー付き 4 カメラシステム、アクティブ・クルーズ・コントロール、衝突警告、交差交通警告/車線逸脱・車線変更警告などの機能を装備する。
グレードはモノグレードとなるものの、豊富な内外装カラーやオプションを用意。自分好みの1台を仕立て上げることが出来る。
1905年に南アフリカのカリナン鉱山で発見された世界最大のダイヤモンド原石(621.2g)が名前の由来というカリナン。そこからも、この初めてのSUVにかけるロールス・ロイスの並々ならぬ期待と自信がうかがえる。
ロールス・ロイス カリナン(8速AT)
全長×全幅×全高 5340×2000×1835mm
ホイールベース 3295mm
車両重量 2660kg
エンジン V12DOHCターボ
総排気量 6.75L
最高出力 571ps/5000rpm
最大トルク 86.7kgm/1600rpm
サスペンション前/後 ダブルウィッシュボーン/5リンク
ブレーキ前後 Vディスク
販売価格 3800万円