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更新日:2018.12.02 / 掲載日:2018.05.17
【2018年5月】ボーナス商戦直前 トヨタ アルファード/ヴェルファイア購入直前購入ガイド

乗員最優先の設計は新型でさらに磨かれた

アルファードHYBRID Executive Lounge S (7人乗り・E-Four) (スパークリングブラックパールクリスタルシャイン)
ミニバンの最大の武器はユーティリティである。特に1BOX型はその傾向が 強い。しかし、最上級クラスのプレミアムミニバンともなると事情は少し異なってくる。
今回の主役、アルファード/ヴェルファイア(以下アルヴェル )を筆頭に、このジャンルのミニバンは 最大級のキャビン容量を誇るモデルが揃う。だがそのゆとりは利便性や多用途性ではなく、上質や快適性といった「贅」のために使われる。だからこそ多人数乗車を必要としないユーザーでも、「あえて選ぶ 」ケースが出てくるわけだ。なかでもアルヴェルは 、そんなユーザーから積極的に選ばれているモデルとして知られている。
2017年12月のマイナーチェンジでは 、そんな「贅」を、さらに高める内容が与えられた。定番の内外装の 意匠変更に加えて、第2世代型トヨタセーフティセンスの採用やV6車のパワーユニットを 一新するなど 、中身の部分も強化。マイナー前の従来型モデルで抱えていた弱点をきっちりと解消してきた。
豪華なキャビンや走行性能など、従来型も車格に見合う内容を持っていたが 、新型は乗員最優先をそのままに、「その上」を意欲的に狙う。プレミアムミニバンの魅力が、さらに高まっている。

ヴェルファイアHYBRID Z (7人乗り・E-Four) (ダークレッドマイカメタリック) 〈オプション装着車〉
変貌したフロントフェイス従来型より精悍さが高まる

舳先が掻き分けた波が船体に沿って流れるような、フロントフェンダーから連続する曲面や大開口を演出したラジエターグリルなど、基本要素は大きく変わっていないが、フロントビューは従来型より強面な印象である。 ヘッドライトはアルファードがグリルから連続したメッキモールが加わり、ヴェルファイアはバンパーラインからフェンダーに連続する車体同色面で上下に2分され る。共に目付きが鋭くなっている。ヴェルファイアは従来型から同様 のヘッドランプデザインだったので、どちらかと言えばアルファードのほうが新旧の差が大きい。
また、ラジエターグリルもアルファードがバンパー部を黒色とする上下一体デザイン、ヴェルファイアがバンパー部で二分するデザイン。これも従来型から踏襲され ているが、両車ともメッキ加飾の使い方が異なるデザインとなった。 これもアルファードのほうが変化は大きく、従来型ではタイルを貼り込むようにメッキで被っていたが、新型では光沢黒基調としてメッキの太い桟を格子に配している。メッキ部の面積は新型になって減ったわけだが、黒/メッキのコントラストが強まり、押し出し感あるいは高性能感が高まった。
こういった演出の変化はエアロボディ車ではさらに鮮明になる。アロ仕様と言っても空力パーツをテンコ盛りするのではなく、専用のバンパーやサイドマッドガー ドを装備しスペシャリティな趣を高めた、別仕様バージョンである。フロントバンパーとマッドガードには、縁取るようにメッキモール が走り、これが遠目にもかなり目 立つ。インパクトは相当だ。
標準ボディ車に対してエアロボディ車は価格面では上級設定となるが、装備設定では標準系と同等レベルで、パワートレーンも全て選べる。ルックス優先でも選びやすいことは好感が持てる。

アルファード
アルファード

ヴェルファイア

ヴェルファイア
ヴェルファイア
どのシートも豪華仕様だが見比べるとその差は歴然


あり余る存在感のエクステリアデザインも魅力だが、アルヴェルの一番の魅力であり、他モデルを大きく引き離すアドバンテージであるのがキャビンである。3.2mを超える室内長に1.4mの室内高。悠々たるキャビン容量を寛ぎに向ける設えは、どのような高級セダンにもないゆとりの空間をもたらしてくれる。
そういった基本は従来型から大きく変わっていない。シートの基本デザインやレイアウト、機能も同様である。サードシートはミニバン系でも最もゆとりあるサイズと厚手のクッションを備え、長時間走行も苦としない。もちろん、セカンドシートと比較すれば座り心地でも開放感でも1ランク劣るのだが、ミドルミニバンクラスのセカンドシートに近い居心地を備えている。
贅を求めればセカンドシートは当然キャプテンシートだが、アルヴェルにとってキャプテンシートは標準設定と考えてもいい。ベンチシートに限定されるのはベーシックグレードのみ。エアロ仕様のベーシックグレードではベンチ/キャプテンの2仕様が設定され、それ以上のグレードはキャプテンシートに限定される。
セカンドキャプテンシートは超ロングスライドや横スライド機能を備えたリラックスシート、パワーリクライニングやパワーオットマン、大型アームレストを採用するエグゼクティブパワーシート、そしてシートヒーターやアームレスト格納式コントロールスイッチなどまで備わるエグゼクティブラウンジシートの3タイプを用意。
最上級仕様のエグゼクティブラウンジシートは、従来まではエアロボディ車には設定がなかったが、今回のマイナー時より標準系のエグゼクティブラウンジに相当する新グレードが設定され、エアロ仕様でも最上級内装の選択が可能となった。
ボディ周りの強化も新型の大きな強み


中間グレード以上には前席パワーシートやパワーリヤゲートを標準装着し、高機能型のナビや後席用AVシステムを設定する充実装備は従来型からの見所だが 、新型で注目されるのは第2世代に進化したトヨタセーフティセンスである。
ミニバンでは AEBS(プリクラッシュセーフティ )や ACCをいち早く導入していたが 、対応範囲の 狭いセーフティセンス P以前のタイプ 。しかも 上級グレードに 限定されていた。新型では AEBSの 対応速度上限を 対車両では 180km/h、対歩行者(自転車)では80km/hとし、対車両で約50km/h、対歩行者で 約40km/hでは 緊急自動制動で衝突回避が可能となった。
またACCは停止までサポートする全車速型(上限は180km/h)を採用。発進はリジュームスイッチ等のドライバーの操作が必要だが、高速道路の渋滞走行などで運転負担を大きく軽減する。
高速走行での運転負担軽減のもうひとつの大きな武器がLKAである。ACC作動時の半自動操舵による車線維持支援を備えるだけでなく、前走車や縁石などの認識精度を向上し、多様な状況下での車線逸脱抑制機能を向上している。また 、進入禁止や追い越し禁止一時停止、制限速度の交通標識認識機能や先行車発進告知機能もトヨタセーフティセンスの新機能として追加された。
グレード別の設定では走行中の後側方の車両を検出するBSMや後退時に 接近車両を検知するRCTA、クリアランスソナーをエグゼクティブラウンジ 系に標準、その他のグレードにOP設定し、安全&運転支援機能では全グレードで同等装備が可能となっている。
走行メカ関連では全車に関連するのは車体の改良。骨格や足回りの基本構造に変更はないが、構造用接着剤の使用範囲の拡大や高剛性ウインドウ接着剤の 使用により車体剛性を高め、乗り心地と操安性の向上を図った。走りの改善のハイライトは3.5LV6車である。基本構造はマイナーチェンジ前と同じ2GR型ながらヘッド周りなど主要部分に設計変更を加えた新世代型の2GR-FKSに変更。パワースペックに加えて、燃費性能も向上させた最新仕様である。また、組み合わせられるミッションも従来の6速ATから8速ATに変更。多段化を進めただけでなく、内部抵抗の軽減や大幅なロックアップ領域の拡大により、燃費の 向上やスポーツATに匹敵するリズミカルな変速を可能とした。FFとFRという違いはあるが、クラウンシリーズのクラウン・アスリート3.5L車と同等以上の先進設計である。
2.5Lハイブリッド
3.5LV6エンジン
レーントレーシングアシスト (車線維持支援機能)
プリクラッシュセーフティ (夜間歩行者認識)
プリクラッシュセーフティ (自転車運転者認識)
アルファード/ヴェルファイアのラインナップをチェック 一部の仕様を除けば両車のグレード体系は、ほぼ同じ。目玉のトヨタセーフティセンスは全グレードに標準装備
アルファード
ヴェルファイア

外装意匠の違いに加えて、ボディの全長が若干アルファードの方が長いくらいが差別箇所。両モデルともハイブリッド車にエアロボディ車が設定されるなど、新型もほぼ同内容のグレードがラインナップしている。トヨタセーフティセンスも全グレード標準装備と、どのグレードも実用系装備は充実している。両モデルともボディカラーは7色を設定。ただし1色だけモデル専用カラーが設けられ、差別化が図られる。どのボディカラーも擦り傷に耐性を持つセルフリストアリングコートが採用されている。
マイナーチェンジ後モデルは、旧型アルファード/ヴェルファイアオーナーや先代オーナーが買い替える価値はある!?
一口にマイナーチェンジと言っても、販売力が落ちてしまったモデルの商品性を上げるためのカンフル剤であったり、開発チームがやり残した事や市場要求をフィードバックなど、車種によって考え方は様々である。
今回のアルファード/ヴェルファイアのマイナーチェンジの考え方は後者だ 。今回の進化は従来型ユーザーにとっては 「こうだったらいいのに ……」と言う部分にシッカリと手が入っているのだ。ここでは 従来型モデルのユーザーが 「新型に乗り替える意味があるのか?」と言う点について考察していくことにしよう 。
乗り替える意味の一つが、第2世代の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス 」の採用だ。昨今、プリクラッシュブレーキをはじめとする「ぶつからない技術」は多くのモデルに採用されているが、システムによって性能差がある。従来型モデルは現行モデルより2世代前のシステムで性能は現在の周りのレベルと比べると、語弊を恐れずに言えば 「無いよりあったほうがマシ 」と言うレベル 。対して新型は現在トヨタで最も進んだスペックが与えられている。
乗り替える理由その2は 、パワートレーンだ。 フラッグシップの3.5LV6 が2GR-FE(280PS/344Nm)+6速AT から、2GR-FKS(301PS/361Nm)+8速AT に変更 されている。従来型 モデルも力強さと滑らかさはあったものの、燃費の悪さに躊躇したくなる部分もあったのも事実だ。新型はパフォーマンスを上げつつも燃費性能を9.5km/L から10.8km/L にアップ。 また、8速ATの採用によりスムーズな加速や静粛性アップなども実現。高級車にふさわしいスペックに仕上がっており、乗り比 べると「新型はいいなぁ」と思ってしまう進化があるはずだ。ちなみに2.5L と2.5L+モーターのハイブリッドは、従来モデルからの変更はない。
見た目の部分は内外装共に高級感を高める変更が行なわれているが、そもそも従来型モデルでも十分以上だったので、ここに関しては一般的なマイナーチェンジとそれほど大きくは変わらない。
このように今回のアルヴェルのマイナーチェンジはどちらかと言えば見えない部分の進化が大きいので、「従来モデルでも走りは十分満足」 と言 う人 には、 ピンとはこないかもしれない。
そして乗り替ええる理由3つ目は、歴代アルヴェルに共通するリセールの高 さである。恐らく国産車の中でトップレベルの下取り/買い取りの高さなので、追い金が少なく新型に乗り替えることが可能だろう。現行マイナー前モデルとなる従来型はもちろんのこと、2008年に登場した先代アルヴェルのオーナーも、 その恩恵を受けることができる。特に先代アルヴェルの後期型は、まだ相場が高値を維持しているため、アルヴェルを乗り替えには最高のタイミングかもしれない。
これらの事情をしっかりと考えてみると、完成度がより高まった新型アルファード/ヴェルファイアへの乗り替えは、俄然魅力的に見えてくるはずだ。
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ライバルは日産のエルグランド。しかし、これをぶつけても効果はあまり期待できない。トヨタのセールスマンの反応は「日産さん、あまり売れていないようですね。だからかなりむちゃな値引きを出してきますよね。値段ではとても太刀打ちできません」といった感じだ。(ちなみに日産側はアル/ヴェルと競合していることがわかると強く反応して値引き条件を大きく上乗せしてくる)。同じトヨタのエスティマ(トヨタ店/カローラ店)をぶつけていく手もあるが、こちらも「エスティマは発売から12年も経過しています。末期モデルと比べられても」などといってのってこない。また、グレードによってはオデッセイやデリカシリーズのデリカD:5とも競合するが、残念ながらこちらも効果は薄い。
実際、高級ミニバンの分野ではアルファード/ヴェルファイアが独壇場と表現してもいいほどの勢力をもっており、他を寄せつけない圧倒的な強さをみせている。となると、効果的な攻め手がないような気もしてくるが、実際はそうではない。
セールスマンによれば「トヨタの敵はトヨタだ。姉妹車同士が競合すると【値引きで勝負】するしかない」とのこと。すなわち、トヨペット店(アルファード)とネッツ店(ヴェルファイア)の争いにもち込むわけだ。どちらのセールスマンもライバル意識を強くもっており、競合していることがわかると値引き条件を上乗せして対抗してくる。もしも、商談で「アルファードのほうが高級感があるので(ヴェルファイアのほうが若々しいので)中古車市場では人気が高い。リセール価値が強いので下取りに出した場合、割高な値段がつくので得をする」などといわれたら「こんな高いクルマを買ったら乗りつぶすので下取りの値段には興味がない。それより問題は購入するときの出費だ」などと切り返すといいだろう。また、ネッツ店は地域によって経営資本の異なる販売店が存在するので、ヴェルファイア同士の争いをあおることもできる。
値引きはかなり緩い。20万円前後の値引きは「名刺代わり」と思ったほうがいい。合格ラインは付属品からの値引きを含めて30万円としたい。35万円以上が取れたら特上クラス。40万円超ならウルトラCクラス考えていい。なお、納期にかなり時間がかかるので要注意。ガソリン車もハイブリッド車も注文してから納車まで4か月以上かかる。さらにエグゼクティブラウンジはバッグオーダー(受注残)がたっぷりたまっているため、7~8か月待ちだ。
提供元:月刊自家用車