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更新日:2018.11.03 / 掲載日:2017.07.07
EV走行42.4km。電動化による新しいライフスタイルを提案するMINIクロスオーバー登場

文と写真●ユニット・コンパス
持続可能性のあるモビリティを実現する手段として、もっとも現実的かつ実用的だと言われているのが電動化。つまり、従来のガソリンエンジンからモーターへの転換だ。しかし、技術的にもインフラ的にも過渡期にある現在では、100%ピュアEVはまだ使用用途が限られてしまう。そこで注目が集まっているのが、従来のハイブリッド車をアップグレードして、EVに近づけた存在であるプラグイン・ハイブリッド車だ。プラグイン・ハイブリッド車は外部からの充電が可能で、モーターのみの走行距離を延ばしながら、エンジンによる走行を併用することで航続距離についてもガソリン車並みを確保する。ハイブリッド車とEVのいいところどりだ。というわけで、各メーカーからプラグイン・ハイブリッド車のニューモデルが続々と登場している。そして今回、MINIからブランド初となるプラグイン ハイブリッド車、MINIクーパーS E クロスオーバーオール4が登場。MINIクロスオーバーの日本導入時にすでにアナウンスは行われていたが、正式発売に合わせて、東京・丸の内にあるBMW Group Studioにて改めてお披露目会が実施された。
MINIクーパーS E クロスオーバーオール4は、プレミアムコンパクトSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)であるMINIクロスオーバーに、プラグイン・ハイブリッドシステムを搭載。その名のとおり4輪駆動車だが、ユニークなのが前輪と後輪をそれぞれ異なる動力で駆動するシステムを採用していること。前輪を動かすのは、最高出力136馬力、最大トルク22.4kgmを発揮する1.5L直3ターボエンジンと6速ATとの組み合わせ。一方の後輪は、最高出力88馬力、最大トルク16.8kgmというスペックのモーターが担当。4輪駆動によって、悪路走破性を高めると同時に、停止状態からの力強い加速や高速走行時の高い安定性を実現。加速時などに積極的にモーターを活用することで、従来のエンジン車に比べてスムーズかつ静かな走りが楽しめるという。

BMW MINIディビジョン本部長のフランソワ・ロカ氏。
走行モードはコックピットからの操作によって、自動でモーターとエンジンを組み合わせて走る「AUTO eDriveモード」、最長42.4km、最高125km/hまで純粋なEV走行できる「MAX eDriveモード」、エンジンのみで走行しつつバッテリーを積極的に充電する「Save Batteryモード」の切り替えが可能。バッテリーは、7.6kWhのリチウム・イオン・バッテリーを後部座席下に収納しており、家庭用200V電源から満充電にかかる時間は約3時間。自宅以外にも全国の充電ステーションで利用できる「ChargeNow」にも対応。なお、新車購入時には、利用料が12ヶ月無料となる特典も付帯する。
MINI初のプラグインハイブリッド車の導入にあたって、MINIの電気自動車戦略についてのプレゼンテーションが実施され、BMW MINIディビジョン本部長のフランソワ・ロカ氏は次のように語った。
「今日の展示はMINIクロスオーバーが提供する世界観であるアドベンチャーを表現したものです。我々が大切にしているのはMINIの世界観、そしてライフスタイルです。そして、MINIブランドを守るため、つねに“残価”を非常に意識しています。残価が高く維持されることで、ブランドの価値は高まり、お客様の満足度につながると考えています。BMWグループは、初の電気自動車を作る際にMINIをベースにし、2008年に600台販売しました。これはマーケットテストでしたが、その後現在となって電気自動車がさらに便利なものになり、普及するだろうと確信するようになりました。我々はMINIブランドにおける電気自動車の販売比率については明言しませんが、将来的には大きなものとなるでしょう。現在、プラグインハイブリッド市場には低燃費とパワーという二つの方向性がありますが、MINIが目指すのはそのどちらでもなく、ライフスタイルです。MINIはプラグインハイブリッドを、より明るい存在にしていきます」

販売台数は追い求めないと前置きしつつ、MINIクーパーS E クロスオーバーオール4の日本導入にあたっては戦略的な価格を設定したと説明したロカ氏。価格は479万円で、これはディーゼルエンジンを搭載するクーパー SD オール4の493万円よりも安い。さらに、エコカー減税の対象になるほか、クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金についても受けることができる。
エコカーに「ライフスタイル」という切り口で挑戦するMINI初のプラグイン・ハイブリッド車であるMINIクーパーS E クロスオーバーオール4。ハイブリッド先進国である日本のユーザーがどのように評価するのか、その反響が楽しみな1台だ。
【MINI クーパーS E クロスオーバーオール4(6速AT)】
全長 4315mm
全幅 1820mm
全高 1595mm
ホイールベース 2670mm
重量 1770kg
エンジン 直列3気筒DOHC+モーター
総排気量 1498cc
エンジン最高出力 136ps/4400rpm
エンジン最大トルク 22.4kgm/1400-4300rpm
モーター最高出力 88ps
モーター最大トルク 16.8kgm
サスペンション前/後 ストラット/マルチリンク
タイヤ前後 225/50R18
販売価格 479万円(MINI クーパーS E クロスオーバーオール4のみ)
プラグイン・ハイブリッドの証としてロゴが黄色くなる。
純正の家庭用充電設備も用意される。
フェンダーのパネル中に充電用プラグが収まる。