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更新日:2018.11.14 / 掲載日:2017.06.21

洗練と卓越! 第5世代ディスカバリーはオンロードでも快適至極

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス

 ディスカバリーがフルモデルチェンジ。1989年の初代から数えて5世代目となる新型車がついに日本のマーケットに姿を現した。初代のコンセプトは、レンジローバーの技術と走破性をアフォーダブルにすること。つまり、本格的なオフロード性能を備えながら、レンジローバーよりも価格を抑えたランドローバー社のボリュームモデルというのがコンセプトだった。その背景には、パジェロやランクル、ビッグホーンといった日本製SUV(当時はRVと呼ばれた)があったと囁かれる。世界中で安価なクロカンに人気が集まり始めていた頃だ。
 そしてディスカバリーはその道の第一人者としてこれまで歩んできた。過酷さで知られる“キャメルトロフィー”や究極のアドベンチャーを標榜する“G4チャレンジ”といった現場でその実力を発揮してきたのはいまさらいうまでもないだろう。レンジローバーを含むランドローバー社のオフロードイベントにおいて、スタックした車両をリカバーするレスキュー車は、つねにディスカバリーであった。
 ところが新型は見るからに趣が異なる。これまでの無骨なところは姿を隠し、都会的でスタイリッシュなプロポーションとなった。その理由は至極シンプルで、ハードウェアをレンジローバーやレンジローバースポーツと共有するから。エクステリアデザインはまさにそんな感じで、フロント周辺はレンジローバー的。細い目のヘッドライトは2009年にリリースされた従来のディスカバリー4とは別物だ。ただ、それでもリヤエンドはスクエアに仕上がっているのがディスカバリー的。リヤナンバープレートがオフセットされていたり、よく見ると屋根が二段になっていたりなど、随所にシリーズの面影を残す。

 インテリアもまたレンジローバーがそうであるように、シンプルでセンスのいいデザインで処理される。操作系をモニター内に移しスイッチ類を減らしているのがその証拠だ。がしかし、ディスカバリーの個性はここにもしっかり見ることができる。それは3列シート7名乗車というシートレイアウト。しかも、2、3列目のシートは、室内のスイッチで電動フォールドできるのは当然のこと、今回は専用のスマホアプリを使って車外からシートアレンジを操作することもできてしまう。
 それだけじゃない。このアプリを使えば、ドアロックやウインドウ開閉の確認、車内の温度調節なども行える。出先で「あれ、ロックしたっけ?」なんて心配になっちゃう方には最適であろう。
 エンジンは、340馬力を発揮する3LV6スーパーチャージャーのガソリンエンジンと、258馬力を発揮する同排気量のV6ディーゼルターボが用意される。ランドローバーはイヴォーク向けとして2L 直4ディーゼルエンジンも製造しているわけだが、ディスカバリーにはさらに排気量の大きいユニットが必要だと判断したのだろう。ディーゼルの需要が世界的に伸びているとはいえ贅沢な話である。
 しかもこのディーゼルエンジンがじつによくできている。低速から太いトルクを出してスタートを力強くするのは当然のこと、かなり静かで振動も少ない。とくに音に関してはクルマから降りてもそれほど気にならないから驚く。最大トルク61.2kgmにも耳を疑ったが、このエンジンはかなりお金がかかっているのがよくわかる。
 よって、ガソリンエンジン車とディーゼル車の販売価格は、後者が20万円ほど高い。開発費がそれだけかかっているということだ。それじゃガソリンエンジンは魅力がないのかといえばそうではない。すでにジャガーのサルーン系でも実証されるように信頼性は高い。そして、スポーティにこのクルマを走らせたいのであれば、スーパーチャージドされたガソリンエンジンを選ぶべきである。

  • 従来のマッシブなスタイリングからレンジローバー的な洗練を身につけたスタイリング。

  • インテリアの質感も高級SUVとして納得のできるクオリティとなった。

  • 3列ともに身長190cmの乗員が乗れるパッケージング。

  • 後席は電動で6対4の分割可倒式。専用アプリでのリモートコントロールにも対応。

  • 周囲を見下ろすようなアイポジションは歴代で受け継ぐキャラクター。

ディーゼルエンジンの静粛性と力強さに感動

 それではアルミをふんだんに使ったプラットフォームにクロスリンク式電子制御エアサスペンションを搭載する新型ディスカバリーの試乗について報告しよう。
 走り出してすぐに感じたのが、オンロードでの乗り心地の向上。もちろん、いままでも極端に乗り心地が悪かったわけではないが、直線やコーナリングでもこれまで以上にフラットライドを実現している。切り返しでボディが揺さぶられることはなく、スッとステアリングを切った方向に、スポーツサルーンのごとく向きを変える。
 この走りは現行レンジローバーに通じるもので、フロントの太いスタビライザーとエアサスペンションがうまい具合に働いている。従来型より軽くなったモノコックとはいえ、オフローダーとして強固なフレームを持つだけにその辺のセッティングは難しいはずだ。とはいえ、このメーカーがそこに長けているのは事実。難しい仕事を見事にこなしたといった感じである。
 そんな新型ディスカバリーではあるが、このカテゴリーにライバルが多いのは言わずもがな。サイズ、価格帯共に競合となるジャーマン3(メルセデス・BMWアウディ)が手ぐすね引いて待っている。だが、オフロード走行の要となる、テレインレスポンスやATPC、ヒルディセントコントロールなど、他を圧倒するランドローバーならではの装備は見逃せない。これら統合的な電子制御により、時速1キロ単位というきめ細やかな調整で、オフロードを半自動で走行するのだ。洗練されたスタイリングになっても老舗オフローダーとしての実力がチラチラ見え隠れするのがこのクルマの魅力。冒険心を煽るこうした技術は、このブランドの十八番であることに間違いない。

  • 30度を超える上り坂を難なくクリア。40度を超える斜面も電子制御で安全に走行できる。

  • サスペンションの基礎体力が問われるモーグルも苦にしない。各タイヤに自動的に駆動力を分配して切り抜ける。

【ランドローバー ディスカバリー HSE(ディーゼル)(8速AT)】
全長         4970mm
全幅         2073mm
全高         1888mm
ホイールベース    2923mm
重量         2380kg
エンジン       V型6気筒DOHCディーゼルターボ
総排気量       2992cc
最高出力       258ps/3750rpm
最大トルク      61.2kgm/1750-2250rpm
サスペンション前/後 ダブルウィッシュボーン/マルチリンク
ブレーキ前/後    Vディスク
タイヤ前後      255/55R20
販売価格       779万円~1016万円(全グレード)

  • ディスカバリー HSE ディーゼル(ボディカラー:ユーロンホワイト)

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グーネットマガジン編集部

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