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更新日:2024.06.21 / 掲載日:2024.06.21
意外性が“刺さる”厳選8モデル
○○なのに△△! 思わぬ魅力にギャップ萌え!!
クルマ選びは結局コスパが決定打になりがち。だがしかし! あたりまえで平均点の高いクルマではなく、突出した部分のあるクルマに惹かれてしまうのもまたクルマ好きあるあるだ。そこで今回はあたりまえの性能や機能にとどまらず、ちょっとはみ出したプラスアルファの魅力を放つクルマを厳選掲載。ギャップ萌えを楽しんでいただければ幸いだ

。〜LEXUS LBX/ MITSUBISHI トライトン/ TOYOTA ランドクルーザー70/MITSUBISHI デリカD:5/ NISSAN サクラ/ HONDA N-ONE/DAIHATSU/TOYOTA コペン/ SUZUKI ジムニー〜
●解説:横田 晃
LEXUS LBX『小さいのにプレミアム』

LEXUS LBX
●価格:460万〜576万円
●発表年月(最新改良):’23年11月(未実施)
■主要諸元(リラックス・FF) ●全長×全幅×全高(㎜):4190×1825×1545 ●ホイールベース(㎜):2580 ●最低地上高(㎜):170 ●車両重量(㎏):1310 ●パワートレーン:1490㏄直列4気筒(91PS/12.2㎏・m)+フロントモーター(94PS/18.9㎏・m) ●WLTCモード燃費(㎞/ℓ):27.7 ●タイヤ:225/55R18
性能だけではない
レクサスの世界観を体現
小さな高級車を謳うモデルはこれまでにもあったが、成功例には乏しい。その多くは、上級車の造りや装備を小型サイズに詰め込んだもの。滑らかな走りや静粛性などの見どころもあったが、富裕層にとっては「それなら大型車でもいい」と感じられたのだろう。
レクサスLBXがそうした過去作品と一線を画すのは、装備の数や静粛性といった数値で表せる優劣ではなく、レクサスが考える高級という”世界観”をきちんと表現できていることだ。そのもっともわかりやすい説明が、発表時に開発陣が述べた「日本を代表するセレブリティである、豊田章男会長が平日に履くスニーカー」というコンセプトだ。
世の中には、数万、数十万円の値札をつけた高級ブランドのTシャツやスニーカーはあまたあるが、それらは必ずしも軽さや暖かさといった性能を売りにしているわけではない。そのブランドが考える、セレブリティにふさわしい世界観をデザインや素材、履き心地などで表現しているからこそ支持される。
レクサスLBXもまた、サイズはコンパクトでも素材やデザイン、乗り味、ハンドリングなどに統一されたレクサスの世界観をしっかり表現できているからプレミアムなのだ。


《ココが刺さる》見て触れて走らせるすべての時間の心地よさ
数値では表せない、五感に訴えかける感性性能を究めて「気持ちいいって、こういうことだよね」という世界観を表現したセンスが凄い。「世界一静かな高級車」から始まったレクサスが30余年をかけてたどり着いた、日本車ならではの高級車の解釈がそこにある。



三菱トライトン『トラックなのに街にも映える』

MITSUBISHI トライトン
●価格:498万800〜540万1000円
●発表年月(最新改良):’23年12月(未実施)
■主要諸元(GSR) ●全長×全幅×全高(㎜):5360×1930×1815 ●ホイールベース(㎜):3130 ●最低地上高(㎜):220 ●車両重量(㎏):2140 ●パワートレーン:2439㏄直列4気筒直噴ディーゼルターボ(204PS/47.9㎏・m) ●WLTCモード燃費(㎞/ℓ):11.3 ●タイヤ:265/60R18
海へ、山へ、街へ―
涼しい顔でボーダーを超える
ピックアップトラックのベッド(荷台)にFRP製のキャビンを載せたSUVが、アメリカ西海岸風ライフスタイルの象徴として人気を呼んだのは30年以上前のこと。すっかり日本にも定着したSUVは、今ではほとんど“車高の高い乗用車”と同義の感がある。
しかし、本来のSUVは、スポーツユーティリティ、すなわち遊びのためにとことん使えるクルマのことだ。泥で汚れたマウンテンバイクにサーフボードやパラグライダー、海水まみれのクーラーボックスだって、無造作にベッドに放り込むのが正しい使い方なのだ。
となれば、ベッドが潔く野ざらしのスポーツトラックのトライトンこそ、あるべき理想のSUVの姿というものだ。
もちろん、この日本でそんなワイルドなライフスタイルを実践するのはたやすくない。たとえ夢見ても実現はできない人がほとんどだろう。それでも、トライトンはかくありたいという自身の姿を代弁してくれるはずだ。
乗用車感覚の快適なキャビンに家族を乗せて、都会のビル街に「今、山から下りてきましたが、なにか」と涼しい顔で乗りつける。そんな自分の姿をかっこいいと思えるのなら、ぜひトライしてみてほしい乗り物なのだ。


《ココが刺さる》タフ&ワイルドをカタチにしたかっこよさ
クルマに限らず、モノ選びは無難に走るほどかっこ悪い。冠婚葬祭を考えて、赤いクルマを買えないのが最たる例だ。世俗のしがらみや慣習に振り回されず、自身が望む生き方を貫く。トライトンに乗るということは、そんな一途なライフスタイルの表明なのだ。



ランドクルーザー70『再販なのに中身は最新』

TOYOTA ランドクルーザー70
●価格:480万円
●発表年月(最新改良):’23年11月(未実施)
■主要諸元(ランドクルーザー70) ●全長×全幅×全高(㎜):4890×1870×1920 ●ホイールベース(㎜):2730 ●最低地上高(㎜):200 ●車両重量(㎏):2300 ●パワートレーン:2754㏄直列4気筒直噴ディーゼルターボ(204PS/51㎏・m) ●WLTCモード燃費(㎞/ℓ):10.1 ●タイヤ:265/70R16
過酷な条件でこそ輝く、
真のヘビーデューティ
ランドクルーザー70は、昨年11月29日に国内市場で再発売されたモデル。車検証に記された型式上は、じつに40年前の1984年に登場して以来、一度もモデルチェンジしていない旧型車ということになっているのだ。
それというのも、海外ではシングル/ダブルキャブのトラックも設定されるこのクルマは、ジャングルの中の道なき道を何時間も走らなければ医者にもかかれないような過酷な土地で、人々の暮らしを支える道具だから。
一台の70が廃車になると、その部品は他の70を生きながらえさせるために使われて、誰かの命を救う。そのために、安易なフルモデルチェンジはできないと開発者は語るのだ。
日本国内では、排ガス規制や安全基準の改正で2004年に一度は市場から消え、’14年に限定再発売された。今回再発売されたモデルは、最新のクリーンディーゼルエンジンや待望のAT、LEDヘッドライトなどでアップグレードされ、従来の商用車登録に代わって、乗用車規格となって帰ってきた。
すでに人気は沸騰して、今契約しても納車は数年先という状況だが、時代を経ても変わらない本物の価値を備えた一台だからこそ、待ってでも手に入れて、ぜひ長く乗ろう。


《ココが刺さる》世界の人の命と暮らしを支える本物のツール
ランドクルーザー70の足回りなどには、1960年に登場した40系から変わっていない部品もあるという、“走るシーラカンス”。基本的にはシンプルな構成による、世界で支持される高い信頼性と走破性が、究極の本物のツール感へと昇華して、男ゴコロをくすぐる。



デリカD:5『ミニバンなのにSUV』

MITSUBISHI デリカD:5
●価格:415万6900~465万6300円
●発表年月(最新改良):’07年1月(’23年11月)
■主要諸元(P) ●全長×全幅×全高(㎜):4800×1795×1875 ●ホイールベース(㎜):2850 ●最低地上高(㎜):185 ●車両重量(㎏):1970〜1980 ●パワートレーン:2267㏄直列4気筒直噴ディーゼルターボ(145PS/38.7㎏・m) ●WLTCモード燃費(㎞/ℓ):13.6 ●タイヤ:225/55R18
異ジャンルの“クロスオーバー”で
唯一無二の境地に
今や世界中のブランドが販売しているクロスオーバーSUVは、日本発祥といえる商品企画。三菱デリカD:5はその元祖格だ。
元をたどれば、三菱がライセンス生産していたジープに代わるオフロード4WD車として’82年に登場し、当時のRVブームのけん引役となったパジェロにたどり着く。高い走破性と快適性、経済性を両立させたそのフレームの上に、1BOXワゴンのデリカのボディを載せて、初代スターワゴン4WDが生まれた。
’70年代までの1BOXワゴンは、もっぱら現場に労働者を運ぶような業務用車。商用バンと同列で、マイカー候補ではなかった。
しかし、当時人気になりはじめていたスキーやキャンプなどのレジャーに好適な広さや走破性を備え、商用バンとは異なる華やかなイメージもうまく表現されたデリカスターワゴン4WDは、ひと味違うアクティブなファミリーワゴンとして人気を呼んだのだ。
現行デリカD:5はモノコックボディに横置きエンジンの、FFベースの4WDシステムだが、伝統の走破性は本格オフローダーなみ。それでいて作りこみも上級ミニバンにふさわしい。世界に類を見ない、独創的なミニバン+SUVのクロスオーバー車なのだ。


《ココが刺さる》エンジン車とは違う走りの楽しさと味わい
アウトドアレジャーは荷物が増えがち。しかも、経験を積めば積むほど、他人の行かない奥地や、足場の悪い場所へと挑んでみたくなる。たっぷり積めて快適に高速巡行ができ、高度な4WDシステムを備えた上に経済的なディーゼル。デリカD:5一択も納得だ。



日産サクラ『軽なのにパワフル』

NISSAN サクラ
●価格:254万8700~304万400円
●発表年月(最新改良):’22年5月(’22年12月)
■主要諸元(G) ●全長×全幅×全高(㎜):3395×1475×1655 ●ホイールベース(㎜):2495 ●最低地上高(㎜):145 ●車両重量(㎏):1080 ●パワートレーン:フロントモーター(64PS/19.9㎏・m) ●WLTCモード電費(Wh/㎞):124 ●WLTCモード一充電走行距離(㎞):180 ●タイヤ:155/65R14
排気量制限を無力化する、
モーターの鬼トルク
EV(電気自動車)の走りに、今でも偏見を持つ人は少なくない。しかしそういう人をEVに乗せると、「こんなに走るとは思わなかった」とびっくりすることが多い。日産の軽EV、サクラもそういわせる一台だ。
走る理由は秘密でもなんでもない。カタログに記されたモーターの最高出力は47kW(64PS)と、軽自動車の自主規制上限値。しかもトルクは195N・m(19.9㎏・m)もある。
サクラの兄弟に当たるエンジン車、ルークスのターボ車でも、最高出力64PSは同じだが、トルクは100N・m(10.2㎏・m)と、サクラのほぼ半分。しかも、モーターは最大トルクが起動の瞬間に出るのだから、スタートダッシュの力強さが想像を超えるのも当然なのだ。
さらに、サクラは多くのEVと同様に、重いバッテリーをフロア下に搭載するパッケージを採用している。おかげでハイトワゴンなのに重心位置は極めて低く、ブレーキングやコーナリングの姿勢も安定しているのだ。
サクラは近距離中心に使われる軽自動車と割り切り、航続距離は180㎞と控えめだが、平日は買い物などの生活の足にし、休日には日帰りドライブでワインディングも楽しめる相棒としては、十分という人も多いはずだ。


《ココが刺さる》エンジン車とは違う走りの楽しさと味わい
エンジンの唸りや排気音、振動は、クルマ好きにとっては大きな魅力だが、EVにはそれとは全然違う、新しい価値観や魅力がある。食わず嫌いだった食材を食べてみたらハマった、というのと同じで、先入観のある人ほど、試乗してみると目からウロコが落ちるだろう。



N-ONE『タウンカールックなのに走り屋気分』

HONDA N-ONE
●価格:166万2100~208万5600円
●発表年月(最新改良):’20年11月(’23年6月)
■主要諸元(RS・6MT) ●全長×全幅×全高(㎜):3395×1475×1545 ●ホイールベース(㎜):2520 ●最低地上高(㎜):140 ●車両重量(㎏):840 ●パワートレーン:658㏄直列3気筒ターボ(64PS/10.6㎏・m) ●WLTCモード燃費(㎞/ℓ):21.6 ●タイヤ:165/55R15
実用的な軽カーでも
運転すれば思わずニンマリ
大排気量のスポーツカーを豪快に走らせる楽しさは格別だが、手の内感のある小さいクルマを自由自在に振り回す面白さも捨てがたい。ましてそれがMTとなれば、ゲームとしての奥深さも最高なのだが、残念なことにMTが選べる国産車は今や絶滅危惧種だ。
とくに軽乗用車では、スポーツカーのコペンを除けばホンダN-ONEのRSと、スズキワゴンRのFXに、同ジムニーだけ。しかしS660が生産を終了しても、N-ONEにターボ+6MTを残したホンダの心意気には拍手を贈ろう。コイツは走り屋も納得の、気持ちいいスポーツコンパクトなのだ。
6MTのメカニズムはS660譲り。2速にダブルコーンシンクロ、3速にカーボンシンクロを採用して、素早い操作でも滑らかに決まる、ショートストロークと上質なタッチを実現させている。クラッチもS660と同様のピークトルクリミッター付き。ラフな操作でもクラッチとトランスミッションを保護し、乗り心地も確保する贅沢なメカニズムだ。
売れ筋のハイト系ではないが、4人がちゃんと乗れて使いやすく、スポーティな走りも楽しめるN-ONE RSは、クルマ好きの家族には、きっと刺さる一台だろう。


《ココが刺さる》世界最小の上質なスポーツコンパクト
小型車としての使い勝手と走りの良さを兼ね備えたスポーツコンパクトは世界で人気だが、軽自動車でそれを実現しているのは、スズキアルトワークス亡き今ではN-ONE RSだけ。小さくても上質なシフトフィールや乗り味がきちんと作りこまれているのも魅力だ。



コペン『オープンなのに実用的』

DAIHATSU/TOYOTA コペン
●価格:188万8700~243万7200円/238万2200~243万7200円
●発表年月(最新改良):’14年6月(’21年4月)/’19年10月(’21年4月)
■主要諸元(GRスポーツ・5MT) ●全長×全幅×全高(㎜):3395×1475×1280 ●ホイールベース(㎜):2230 ●最低地上高(㎜):110 ●車両重量(㎏):850 ●パワートレーン:658㏄直列3気筒ターボ(64PS/9.4㎏・m) ●WLTCモード燃費(㎞/ℓ):18.6 ●タイヤ:165/55R16
オープンカーのある暮らしを
無理せず楽しめる
世界最小クラスの規格の中で、大人がゆったりくつろげるハイトワゴンからトラックやバン、スポーツカーまで選べる軽自動車は、まさに日本の宝といっていい存在だ。
実用車としての使い勝手を求めるのなら、広い室内を持つスペース系ハイトワゴンが天才級だが、軽自動車唯一の2シータースポーツカーとなったトヨタ&ダイハツのコペンの走りと機能の両立ぶりも、世界に誇っていい。
ドアを開ければ路面に手が届く低い車高に、スイッチひとつで開閉できる精緻なルーフ。ラゲッジスペースはクローズド状態ならゴルフバッグも呑み込み、オープンにしても手荷物程度なら積めるスペースを確保したパッケージは、日本人ならではの工夫の賜物だ。
走りはれっきとしたスポーツカー。初代の4気筒から3気筒へとダウングレードされてしまったものの、元気よく回るターボエンジンと低重心のボディ剛性とのバランスがよく取れていて、FF軽自動車と侮れない本気のスポーツドライビングも楽しめる。
目を吊り上げてワインディングを飛ばさなくても、天気のいい日にルーフを開けてのお散歩ドライブも最高。夫婦ふたりの暮らしなら、ほとんどこれ一台で用が足りるだろう。


《ココが刺さる》じつは意外と使える小さなスポーツカー
クルマで引っ越しをしたい人なら、最初からスポーツカーは買わないだろう。しかし、コペンの積載力や充実した小物入れなどの使い勝手は、より本格スポーツ志向だったホンダS660と比べると立派に乗用車。ルーフの耐候性も高く、屋根なしガレージでも大丈夫。



ジムニー『お手頃なのに本格派』

SUZUKI ジムニー
●価格:165万4400~200万2000円
●発表年月(最新改良):’18年7月(’24年2月)
■主要諸元(XC・4AT) ●全長×全幅×全高(㎜):3395×1475×1725 ●ホイールベース(㎜):2250 ●最低地上高(㎜):205 ●車両重量(㎏):1050 ●パワートレーン:658㏄直列4気筒(64PS/9.8㎏・m) ●WLTCモード燃費(㎞/ℓ):14.3 ●タイヤ:175/80R16
軽自動車の枠内で実現した
ガチガチのガチ
軍用車にルーツを持つオフロード4WD車は、路面を選ばない走破性が価値。とはいえ、ランドクルーザーに代表される大型オフロード車は、今では実用車というよりも、使いきれないほどの高性能を所有する歓びを価値とする、ステイタスシンボルになった感がある。
じつは軽オフロード4WD車のジムニーも、普通の人にはまず使いきれないほどの高い悪路走破性を備えている。頑丈なラダーフレームに、深いストロークが取れるリジッド式の前後サスペンション。路面状況に合わせて自分で駆動方式を選択するパートタイム4WDも、初代以来の本格装備だ。その走破性には世界で定評があり、ドイツの森林レンジャーでも小型車版のシエラが使われているという。
そうした本物のストーリーが手ごろな価格で手に入ることこそが、ジムニーの魅力だ。3ドアの車型はファミリーカーとしては使いにくいし、オフロード性能に振り切ってフォーカスした構造や足回りは乗り心地や高速安定性、燃費にもネガティブ。はっきりいって河原でのキャンプやスキードライブ程度なら、ハスラーでも十分にこなせるし使いやすい。
それでもなお、本物の高性能を我が手にできるという歓びが、他に代えがたいのだ。


《ココが刺さる》誰にでも手の届く本当のホンモノ
使いきれないほどの高性能を所有する喜びというのは、スーパーカーを持つ喜びと同じ。200万円以下で買えるジムニーは、誰にでも手の届くスーパーカーなのだ。実力は折り紙付きだから、腕を磨いてオフロード競技に出るような、アクティブな夢もかなえてくれる。


