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更新日:2023.09.29 / 掲載日:2023.06.24

イマドキ国産スポーツ総まとめ! トヨタ/ダイハツ「GRスポーツ」の魅力

クルマの呼称にしばしば冠される「スポーツ」の4文字。その意味合いは時代とともに変遷し、ブランドによって解釈も様々だが、現代の「スポーツ」はスパルタン/ストイックといった文言とは無縁のものがほとんど。では、速さ一辺倒ではない現代の「スポーツ」とは何か。その魅力に迫ってみよう。

●文:川島茂夫

TOYOTA

「GRスポーツ」を大プッシュ!!

 クラウン クロスオーバーのように標準ラインナップの中に設定されたスポーティグレードもあるが、これは一般的な設定であり他メーカーととくに変わったところはない。

 トヨタのスポーツモデルで最も特徴的なのは「GR」の存在である。トヨタのモータースポーツ活動の中核を担うセクションであると同時にモータースポーツ向け車両の開発やモータースポーツ活動で得た知見を活かして専用のチューニングやカスタマイズを施したモデルを開発している。ベンツ車の「AMG」を想像すれば分かりやすいだろう。

 現在「GR」が展開するモデルは大きく3タイプに分類される。性能面の頂点に位置するのが「GRMN」。現行モデルではGRMNヤリスのみだが、すでに完売している。次いで「GR」。簡単にまとめれば市販スポーツカーだが、カスタマイズ志向のフルコンプリートモデルも含まれている。パワートレーンも含めてスポーツ性を強化したモデルだ。そして最も標準系スポーツに近いのが「GRスポーツ」。専用の内外装やサスを採用し、見た目にもハンドリングにも「GR」を意識させるが、実用性などベースモデルの適応用途を崩さないウェルバランスを特徴にして、「GR」系としては手頃な価格も魅力だ。

おさらい『GR╱GRスポーツとは?』

モータースポーツを志向する「GR=ガズーレーシング」に対し、その思想を公道前提のモデルに落とし込んだのが「GR-S=GRスポーツ」。SUVを含む豊富なラインナップからもわかる通り、その狙いは速さを追求することではなく、運転を楽しく快適にすることだ。

ヤリスクロス GRスポーツ

【SUV】 ■ハイブリッド ■ガソリン
●価格:236万7000〜275万円
ベース比 約14万円高〜 ※Zとの差額

ポイント解説
見た目のアピールは控えめだが
ボディや足回りをしっかり強化

 GRスポーツ系としては外観のカスタマイズが控え目であり、フロントマスクのグリル開口やバンパー回りの形状は標準系と大差ない。赤いブレーキキャリパーが目をひくが、塗装によるものでブレーキ本体は標準系と共通である。内装は標準系と表皮やデザインが異なるGRスポーツ専用シートを採用するがシート機能は標準系と大きく変わっていない。

 走行ハードではサスチューンを専用とするだけでなく、フロアトンネルとリヤエンドに補強材を加えてフレーム剛性を強化。また、HEVモデルは強化型ドライブシャフトと電動系制御が変更されている。装着タイヤは標準系と同サイズながらファルケンFK510SUVの銘柄指定となっている。駆動方式はFFのみの設定だ。

 なお、価格は「Z」の約14万円高であり、手頃な価格設定は大きな訴求点である。

ブラック内装を採用し、8インチDA(ディスプレイオーディオ)を標準装着。本革巻きステアリング&シフトノブやシート表皮はGRスポーツのみの専用品だ。
レッドキャリパーを装着。18インチアルミホイールは専用デザインで、タイヤサイズはZグレードと同じく215/50R18だ。

アクア GRスポーツ

【コンパクトカー】 ■ハイブリッド
●価格:259万5000円
ベース比 約20万円高 ※Zとの差額

ポイント解説
顔付きがグッとスポーティに!
ツーリング適性もアップ

 フロントビューはひと目でGRスポーツと識別できるほど標準系と異なる。ヘッドランプこそ標準系と共通しているが、バンパーグリル周りは別デザインとなり、ロッカーモールディング等の専用艤装もあり、いかにも特別仕立てのアクアといった外観だ。

 内装は専用のシートやアルミペダルなどスポーツ仕様としては定番の変更だが、標準系と同様に運転席イージーリターン機能や前席シートヒーターのOP装着も可能である。

 走行ハードは専用サスチューンとトンネル及びリヤエンド補強材の追加が中心になるが、バンプストッパーやブッシュまで含めた設計変更が加えられている。駆動方式はFFのみ。

 標準系最上級グレードとの価格差は約20万円だが、アクアの持ち味を失わずにスポーツ&ツーリング性能を向上させているのは長距離用途が多いユーザーには大きな魅力。

インテリアはブラック基調で、DAはXグレードと同様の7インチが標準、10.5インチはオプション。ステアリングは専用ディンプル付きの本革巻き、加飾はガンメタだ。
アクアは1.5ℓハイブリッドのみなので、GRスポーツもその例に漏れない。標準車と異なり4WD(E-Four)の設定はない。
アクアで唯一の17インチアルミを履く。タイヤ銘柄はブリヂストン・ポテンザだ。

ランドクルーザー GRスポーツ

【SUV】 ■ガソリンターボ ■ディーゼルターボ
●価格:770万〜800万円
ベース比 40万円高 ※ZXとの差額

ポイント解説
価格差と装備差を考慮すれば
実はコスパに優れる選択だ

 フロントマスクの印象が標準車と大きく異なるが、グリル開口は変わらず、桟やメッシュの違いが主となる。興味深いのはフロントバンパー下端のデザイン。GRスポーツはスキッドプレート状のデザインを採用し、標準系よりも悪路志向の趣きが強い。GRスポーツというとオンロード性能に振った印象を受けるが、最低地上高は標準系と同じ225㎜に設定。オン&オフロードの両面でGRスポーツなのだ。

 足回りや4WDシステムも専用の仕立てとなる。サスは専用チューンに加えて電子制御スタビのE-KDSSを装備。4WDシステムはトルセンLSDをセンターデフに用いたフルタイム4WDを採用する。いずれも標準系には設定がなく、GRスポーツ専用という点も魅力的だ。

 標準系最上級グレードとの価格差は40万円だが、オン&オフの両面での走りのグレードアップを考慮すればコスパも優等生だ。

国内SUVとしては最大級の車格となるが、加飾は控えめだ。素材の質感などは高いが、使い勝手や機能性という本分は堅持している。
電子制御でスタビライザーのフリー/ロックを切り替えるE-KDSSはGRスポーツ専用装備だ。

ハイラックス GRスポーツ

【トラック】 ■ディーゼルターボ
●価格:431万2000円
ベース比 43万円高 ※Zとの差額

ポイント解説
タフさはそのままに
仕事からレジャーへイメチェン

 働くクルマのハイラックスを趣味で楽しむスポーツギアに仕立て直したモデルといえる。ボディ同色のオーバーフェンダーなど専用外装はスポーティな趣と同時に乗用車感も向上。専用のステアリングやシート、メーターの採用によりインテリアもスポーツモデルらしく、トラック然とした標準系とは見違えるほどだ。

 走行ハード関連の基本機能は標準系「Z」に準じ、アクティブトラクションコントロールやオートLSDを装着。GRスポーツ系としては変更点が少なく、標準系からの変更点は専用サスくらい。ただし、ダンパーに単筒式を採用するなど、バネ定数や減衰力特性だけでなく、よりハードなオフロード走行を前提とした設計となっている。

 価格は内外装の大幅な変更が影響してか「Z」の約45万円高だが、スポーツギアとしての魅力を得るには十分な投資価値がある。

専用本革巻きステアリングホイールとパドルシフトはスモークシルバー加飾となる。
GRロゴの刺繍付きスポーツシートは、専用の表皮(合成皮革+スエード調)を採用。
バンパーなど標準車でメッキ仕上げの部分をブラックアウト。精悍な印象を高めている。

【終了間近!!】C-HR GRスポーツ

【SUV】 ■ハイブリッド ■ガソリンターボ
●価格:279万2000〜315万5000円
ベース比 40万円高 ※S/S-T等との差額

ポイント解説
デザインも走りも
よりスペシャリティ化

 専用内外装を採用する。フロントマスクの変化がシリーズ中で最も大きく、同車の持ち味であるスペシャリティ感覚が強化されている。走行ハード関連では専用サスチューンのほかにフロアトンネルに補強が加えられている。なおトンネル部の補強は標準系にも装着が可能である。

【ガチ勢】伝統的「スポーツ」ラインナップ

純粋な速さにもこだわって動力性能/運動性能を追求したモデルたち。スポーティグレードではなくスポーツカーと呼ぶべき一群だ。

GRカローラ

●価格:525万円

まさに「R」バージョン!
最も高級なカローラだ

 先に登場しているGRヤリス・ターボのパワートレーンと4WDシステムをカローラスポーツに移植したモデル。内外装からシャシーも専用開発され、モータースポーツ向けの本格派高性能HBとなった。カローラ「R」なのだ。さすがに価格は高く、525万円にもなる。GRヤリス対比でも100万円近く高価であり、プレミアムをまとったGRともいえる。

GR86

●価格:279万9000〜351万2000円

車種そのものが「GR」
FRスポーツの伝承者

 特別なカスタマイズやチューニングを施したモデルではなく、スポーツカーというジャンルから「GR」に分類されたモデル。スバルとの協業により開発されたクーペスポーツ。搭載エンジンには2.4ℓの水平対向4気筒を採用。FRライトウェイトスポーツを誇張したような操縦特性など、操る醍醐味を際立たせているのが特徴である。

スープラ

●価格:499万5000〜731万3000円

BMWとの協業で生まれた
上級ハイパワースポーツ

 BMWとの協業により開発された上級FRスポーツカー。パワートレーンもBMW製を採用する。パワースペックの異なる2タイプの4気筒2ℓターボと直6の3ℓターボが用意され、3ℓ車の最高出力は387PSに達する。なお、MTは6速型が3ℓ車にのみ設定され、8速ATは全グレードに設定。ツーリングにもバランスの取れた上級スポーツである。

GRヤリス

●価格:265万〜456万円

気分はもうWRC!
手の届きやすいFF仕様もある

 海外仕様の3ドア車をベースに開発。カローラ系から移植したリヤサスなどプラットフォームは専用設計となる。モータースポーツ向けのベース車両でもあり、主力モデルは専用開発の1.6ℓターボ/6速MT・4WDを用いるが、NA1.5ℓ/CVTを搭載するFFモデルもラインナップし、実用性とGRの走りの楽しさの両立を求めるユーザーにも対応している。

DAIHATSU/TOYOTA

コペン一択!!

ダイハツが誇るオープンスポーツにもGRスポーツが存在。販売はトヨタ/ダイハツの両販売店となる。ダイハツ車という意味でも軽カーという意味でも、GR系で唯一の存在だ。

コペン GRスポーツ

【オープンカー】 ■ガソリンターボ
●価格:238万2200〜243万7200円
ベース比 29万円高〜 ※ローブSとの差額

ポイント解説
フレーム補強と専用サスチューンに
有名ブランドのホイールも!
 GRオリジナルモデル以外でトヨタ車ベースでない唯一のモデルが同車だ。ベースとなったダイハツ・コペンには外観の異なる3系統が設定されているが、GRコペンはローブのボディをベースに専用のフロントマスクを採用。装着ホイールはBBSが標準だ。内装では専用デザインのモモ製ステアリングやレカロ製シートを装備。なお、標準系も上級グレードはモモ製ステアリングが標準装備されるのでGR仕様がとくに高級仕様という訳ではない。

 走行ハード面ではシャシーの強化が標準系との大きな違い。フロア下面及び前後サス周りに補強を加え剛性を向上。このフレームをベースに専用サスチューンが施されている。

 標準系ローブSとの価格差は約29万円だが、ローブSではOP設定のBBSホイールを標準装備。嗜好的な部分を別とすればコペン第四の系統とするに十分な魅力がある。

ミッションは5速ATとCVTが用意されている。MOMO製ステアリングはBBS製ホイールと並んでグッとくるアイテムだ。
見えない部分ではあるが走りに違いを生むのが各部の補強だ。コペンGRスポーツはアンダーボディの補強を実施している。
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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

内外出版/月刊自家用車

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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