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更新日:2024.04.09 / 掲載日:2024.04.09

4代目ミニ・クーパー “電動”の魅力

新型MINI COOPERついに登場!

約10年ぶりのミニ×ミニ大作戦! 注目の4代目は“電気”が魅力

おそらく日本で最も認知度の高い輸入車ブランドのひとつ、ミニがフルモデルチェンジを遂げた。ニューミニの誕生から数えると4代目となる新型は、ひと目でわかるミニらしさを守りながら、最新プレミアムモデルらしい進化を遂げている。ガソリン車に加えて、シリーズ初のEVがラインナップされたのもニュースだ。

●文:横田 晃 ●写真:月刊自家用車編集部

新型MINI COOPER

新型MINI COOPER エクステリア&プロフィール

誰が見てもミニとわかる
ブランドアイコンは健在

 スエズ運河の利権争いが原因の第二次中東戦争による石油危機を受けて、英国の天才エンジニア、アレック・イシゴニスが開発した革新的なFF小型車がミニだ。
 今から60年以上前の1959年に誕生した、オリジナルミニのそんなストーリーを、もはや知らない人のほうが多いかもしれない。
 それどころか、1990年代まで作られ続け、最晩年には日本でもっとも売れていたミニというブランドを、英国のメーカーからドイツのBMWが買い、現代的でファッショナブルなプレミアムコンパクトとして再生・成功した話も、喜ぶのはマーケティング論専攻の学生さんぐらいだろう。
 BMWの手になるニューミニは、日本では2002年3月2日の”ミニの日“に登場。古くて小さいオリジナルミニには手が出せなかった、女性をふくむ多くの人々に支持されて、たちまちプレミアムブランドとして確固たる地位を築いた。今や誰も国籍を気にしないほど、日本中の道に根付いた定番英国車(生産は主に英国工場で行われている)だ。
 今回はカレンダーの都合で前日の3月1日に発表された新型ミニは、ニューミニの誕生から数えて4代目。車名も、オリジナルミニの時代に誕生して日本でも高い知名度を誇ったスポーツモデル、クーパーのサブネームを全車に冠して販売されることになった。
 日本の一般市民が知っていそうな名前をフルに入れ込んだ感もあるが、肝心なのは、クルマに詳しくない人が見ても、ひと目で「あ、ミニだ」と認識できるところ。「かわいいよね」「お洒落だね」と賞賛してもらえることだ。新型のエクステリアデザインも、その点に関しては完璧に達成されていることがわかるだろう。
 まず導入されたのは、ベーシックな3ドア。と言いたいところだが、じつは新型ミニは、2023年11月にSUVモデルのカントリーマンがすでに上陸している。3ドアはそれに続く待望の真打ちだ。
 おそらくは続いて、3代目までに存在していた5ドアやワゴンボディのクラブマン、コンバーチブルなどのバリエーションも上陸してくることだろう。
 搭載されるエンジンは、カントリーマンにも設定されている1.5ℓ3気筒ターボと、2ℓ4気筒ターボが選べる。ただし、カントリーマンにあるディーゼルターボの設定は、当面はない。
 そしてもうひとつの注目点が、135kWと160kWの2種類のモーターを積む、シリーズ初となるバッテリー式電気自動車が設定されることだ。

MINI Cooper SE 3Door

■主要諸元 MINI Cooper SE 3Door 全長3860mm、全幅1755mm、全高1460mm、ホイールベース2525mm、最高出力160kW、最大トルク330Nm、リチウム・イオン・バッテリー容量136.0Ah/54.2kWh、一充電走行距離402km

●価格:531万円
フロントマスクと比べると、後ろ姿の変化は大きい。伝統だった縦長のテールランプも、三角形に変身。ヘッドランプ周囲のLEDシグニチャーランプは、3種類にカスタマイズ可能。
2トーンに塗り分けられた薄く長いルーフや、丸いライトとグリルが織りなす表情は、まぎれもないミニ。EVモデルでは、フラッシュタイプのドアハンドルやフィンタイプのアンテナとなり、ホイールアーチの樹脂加飾もない。
外観はガソリン車もEVもほぼ同じだが、じつはEVは専用のプラットフォーム。エンジン車は先代をベースとしている。とはいえボンネットを開けても、違いはほとんど見分けられないだろう。

MINI Cooper S

MINI Cooper SE

左がガソリン車で右がEV。エンジン車は従来通りのドアハンドルやミニらしさの決め手でもあった樹脂製のホイールアーチ加飾などがつき、アンテナもロッドタイプとなる。もちろん、どちらもクルマを知らない人でも他車と識別できるミニらしさを備えている。

新型MINI COOPER インテリア&装備

環境負荷にも配慮した
意識高い系オシャレ車
 インテリアもまた、初めて乗る人には「これがミニなんだね」と気分をアガらせ、歴代のミニを知る人にも「これがミニだよね」と納得させるデザインでまとめられている。ただし、そこに散りばめられた装備群は、見るからに先進的なフルデジタル仕様だ。
 インパネの中央にどーんと据えられた直径240㎜の円形の液晶パネルは、オリジナルミニの象徴であったセンターメーターへのオマージュ。歴代ニューミニに受け継がれてきた、いわば伝統だ。
 しかし、形は伝統的でも中身は最新の有機ELディスプレイ。アナログとデジタルを併記する速度計のほか、ナビやエンタメ、空調や各種の設定まで、あらゆる操作を集約し、スマホ感覚で操れる。
 運転中に視線を大きく移動する必要がないように、必要な情報はヘッドアップディスプレイに表示させることが可能だ。
 インパネにリサイクルポリエステル製のクロス風表皮を使い、クロームパーツやレザーにもリサイクルアルミなどの新素材を採用するなど、サステナブルな作りも今日のプレミアムブランドらしさ。
 クルマオタクではなく、意識高い系オシャレ層を振り向かせそうな一台に仕上がっている。

従来はあった通常のステアリング奥のメーターはなくなり、すべての機能をセンターメーターのみに集約。広々としたダッシュボード上には、最大7パターンのデザインされた光を投影でき、音楽に合わせて変化させることも可能。
ラゲッジルームや開口部の広さは、もとよりあまり重視されていないモデル。その代わりにドイツ車らしい走りの良さが、歴代ミニの伝統だった。後席シートバックは分割可倒式。
ADASは高性能カメラ&レーダー併用タイプが全モデルに標準装着される。高性能プロセッサーによる高い解析能力が加わったことで、安全運転支援機能も大きくアップデートしている。

新型MINI COUNTRYMAN

クロスオーバー改めカントリーマンにも電気自動車を追加

新型ミニクーパーの発売に先駆けて、昨秋から導入されていたカントリーマンにもEVモデルが設定された。先代ではクロスオーバーと名乗っていたSUVモデルだが、じつはサーキット走行もこなせる高いスポーツ性も自慢。EVでもエンジン車以上の高性能版が設定されている。

高性能電動4WD車の
走りはエンジン車以上

 4代目ニューミニとなるミニ クーパー3ドアの導入に合わせて、先に新型が導入されていたSUVモデルのカントリーマンにも、バッテリーEVが追加されている。
 EVのラインナップを紹介する前に、既存のエンジン車をおさらいしておくと、今回発売された3ドアのベーシックグレードに設定されたのと同じ、115kW(156PS)の1.5ℓ3気筒ターボを2WD車に、150kW(204PS)の2ℓ4気筒ターボをALL4と呼ぶ4WD車に搭載。2WD車には、110kW(150PS)の2ℓ4気筒ディーゼルターボも設定されていた。
 さらに4WDモデルには、ノーマルのSに加えて、最高出力を233kW(317PS)まで高めたスポーツモデルのジョン・クーパー・ワークス(JCW)も設定され、サーキット走行も可能な駿足SUVであることが謳われていた。
 カントリーマンに新たに加わったEVモデルは、150kW(204PS)のモーターで前輪を駆動するカントリーマンEと、前後に140kW(190PS)のモーターを備えた4WDのカントリーマンSE ALL4の2タイプとなる。
 面白いのは搭載されるモーターの出力が全車バラバラなこと。3ドアのミニクーパーでは従来のワンに相当するベーシックなEが135kW(184PS)、従来のクーパーSに相当するスポーツモデルのSEが160kW(218PS)で、いずれも前輪駆動だ。
 Eでも0-100㎞/h加速7.3秒というかなりの高性能だが、SEに至っては、0-100㎞/hわずか6.7秒。じつはそれより凄いのが190PS×2のカントリーマンSE ALL4で、0-100㎞/h5.6秒は、ほとんどスーパースポーツカーのダッシュ力だ。
 精密なトルク制御が可能なモーターで前後輪を独立して駆動する4WDのEVは、ガソリン車を蹴散らす運動性能を可能にするというわけ。
 新型ミニシリーズのEVは、エンジン車より趣味性の高いモデルと位置づけられていることがうかがえる、味付けの差別化と言えそうだ。

車高が高いSUVだが、フロア下に重いバッテリーを搭載するEVでは、見かけよりも重心が低く、路面に効率よくパワーを伝えられるため2WDのエンジン車よりダッシュ力もある。
3ドアより大容量の、66.45kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。満充電航続距離もEで462㎞、SE ALL4で433㎞と3ドアより長い。蓄えた電力を外部に給電する機能も備える。
3ドアには搭載されていない、ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能を日本国内では初搭載。事故回避ステアリング付き衝突回避・被害軽減ブレーキやパーキングアシストも備わる。
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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

内外出版/月刊自家用車

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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