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更新日:2023.11.16 / 掲載日:2023.11.15
「正統派セダン」新型トヨタ・クラウンが追求した3つの新たな価値観とは

第3のクラウンシリーズとして遂に発売されたトヨタ・クラウン(セダン)。これまでに発売されたクロスオーバーやスポーツが、歴代モデルのイメージを塗り替えるようなタイプだっただけに、クラウンの原点ともいえるセダンタイプの登場はまさに真打登場といった雰囲気があります。
一方で気になるのは、7,300,000円(消費税込)からという本体価格。先代型の最上位モデルを上回る価格設定(3.5 RSアドバンス、7,107,000円)に驚かされた人も少なくないことでしょう。
しかし、この価格には「新時代の正統派セダン」を目指して開発された新たな価値観が込められているのです。
今回は、新型クラウンセダンがアップデートした3つの価値観をご紹介します。
1. 「ニューフォーマル」を追求した内外装デザイン

まず触れておきたいのは、車両のイメージを形作る内外装デザイン。「ニューフォーマル」というキーワードを軸に据え、オーソドックスなスタイルにとらわれない「今」の時代のセダンの表現に挑みました。
シリーズ中唯一の採用となるFRプラットフォームを生かした水平基調の伸びやかなプロポーションが、これまでのセダンとは一線を画す流麗なたたずまいを表現。また、トヨタ車の新たな“顔”として定着しつつある“ハンマーヘッド”のヘッドライト、縦基調のパターンを施した大型台形グリル(アンダープライオリティ)を組み合わせて、フラッグシップモデルとしての存在感を表現しました。
なお、ヘッドライトは従来の3眼LEDから4眼LEDに変更。クラウンクロスオーバーよりさらに約16mmも薄い形状で、精悍さを際立たせています。

内装は、大型の杢目調パネルを採用して落ち着きのある車内空間を演出。ディスプレイや操作系をひとくくりに配置する「アイランドアーキテクチャー」というデザインを取り入れて、広がりのある上質な室内空間に仕立てているのもポイントです。

2. 「おもてなし空間」を実現し、ショーファーニーズに応える後席

今回の新型車発表の際、ネットなど一部で話題となったのが全体的なサイズアップでした。以下の表は先代型と新型のボディサイズをまとめたものです。
先代型(2.5L HEV車 2WD) | 新型(2.5L HEV車 2WD) | |
全長(mm) | 4,910 | 5,030 |
全幅(mm) | 1,800 | 1,890 |
全高(mm) | 1,465 | 1,475 |
ホイールベース(mm) | 2,920 | 3,000 |
最低地上高(mm) | 135 | 130 |
室内 長/幅/高(mm) | 1,955/1,500/1,185 | 1,970/1,595/1,135 |
表の通り、全長+120mm、全幅+90mmのサイズアップ。全長は5mオーバーと、インパクトのある大きさになりました。一方で、ホイールベースも+80mmで3mに。この拡張によって、ショーファーニーズに応えられる後席のゆとりを作り出しているのも新型クラウンセダンのポイントです。
加えて、リヤシートはシートヒーター/シートベンチレーション、リクライニング、背もたれや座面内のエアブラダー(空気袋)を膨らませて背中などをマッサージするリフレッシュシート機能を備える多機能ぶり。
さらに収納式のアームレストにはリヤマルチオペレーションパネルを内蔵し、オーディオやエアコン、シート機能などを手元で操作することができます。
至れり尽くせりの快適装備が、フラッグシップモデルにさらなる付加価値を与えているといえるでしょう。

3. 「CO2排出量ゼロ」のFCEVを新たに設定

今回のクラウンシリーズにおいて、セダンタイプのみに設定されているのが水素を燃料とするFCEV。MIRAIと同じ高性能FCシステムを採用しており、3本の高圧水素タンクと燃料電池などを搭載しています。
多様なエネルギーから製造可能で地球環境やエネルギーセキュリティに貢献できる水素を燃料としていること、そしてCO2を一切排出しないという環境に配慮した特性はサステナビリティを求められるこれからの時代に必要な性能と言えるでしょう。
また、走行性能においても1回あたり約3分の水素充填で約820kmの航続距離を実現し、十分な実用性を備えています。

おわりに

「クラウンとは何か」を徹底的に見つめ直すことからスタートしたという新型クラウンシリーズの開発。クロスオーバーやスポーツといった“新しいクラウン像”を強調したモデルを経て発表されたセダンは、正統派セダンを再定義するという熱意のもと、「ニューフォーマル」「おもてなし空間」「CO2排出量ゼロ」などの要素で価値観をアップデートしました。
上質感にこだわった高級車としてだけでなく、時代に求められるフラッグシップのあり方を常に追求してきた姿勢を示していると言えるのではないでしょうか。
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