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更新日:2023.01.06 / 掲載日:2023.01.06

新型トヨタ プリウス Q&A【車両編】スポーティ&スペシャリティなポイントを解説

いよいよ正式発表まであとわずか。ディーラー取材や実車(プロトタイプ)取材で得た情報をもとに、今気になること、素朴なギモンに可能な限りお答えする。

●文:川島茂夫

新型プリウスのギモン『知りたいポイントQ&A』

TOYOTA 新型プリウス HEVが一般化し、EVも増加。そんな今、存在意義から見つめ直してフルモデルチェンジ。燃費以外の価値を高め、新次元に踏み出す。

【Q】実車を見た印象は?

【A】新趣向の5ドアスペシャリティだ

 世界初の量販HEVとして誕生したプリウスの最大の特徴は卓越した燃費性能。2代目以降は空気抵抗低減と実用性の両立を求めて涙滴型スタイルを採用。一見すると新型もその流れを汲んでいるように見えるが、プリウスの雰囲気をまとった新趣向の5ドアスペシャリティカーの感が強い。クルマ趣味に沿った魅力を先進感でパッケージしたデザインは、個性的かつプリウスの立ち位置の変化を直感させる。

【Q】室内の満足度は?

【A】4人のドライブにも対応、ミドルセダンとして及第点

 空気抵抗低減の狙いもクーペルックも後席居住性にはマイナス要因だが、新型は後席辺りを最大高とするルーフラインや高いリヤエンドによりスペースを確保。自慢できるような居住性ではないが、従来型とそれほど変わらぬ居住性だ。ミニバンやSUVに実用の主軸が移った現代のミドルセダンとして不満はない。2人乗車を基準に、4人での長距離ドライブにも対応したキャビンである。

インパネをはじめ、内装は加飾控えめでシンプルかつ機能的。メーターはステアリングの上方から視認するタイプだ。
外観はかなりスリークになった印象だが、室内空間はこれまでと同等の印象だ。
リチウムイオン電池の搭載位置が後席背後から後席座面下となるなど、パッケージングを一新。サイズアップと最適配置で居住性を確保している。

【Q】PHEVはマストになるか?

【A】EV走行距離の長さがメリットだが……

 先代のPHEVはリヤゲート周りの設計や構造まで違えた専用の外観を備え、先進性の視点からは真正4代目プリウスといった印象を覚えるほどだった。時代の先端にプリウスありきという訳だ。新型の外観をチェックすると先代ほどの違いは見当たらない。市販仕様の詳細は不明だが、ハイブリッドシステムのバリエーションとしてPHEVを展開した印象が濃い。
 ただし、満充電EV航続距離は従来型に対して50%以上向上と発表されているので、WLTCモードで80㎞前後と推測される。突出して長くはないが、暖機稼働等で燃費が低下しやすい寒冷期に短距離用途の機会も多いユーザーにとって、EV航続距離の延伸はかなりメリットが大きい。日常的短距離、つまりコミューター用途への適性ではBEVに一歩近づいたが、従来車と同様に急速充電には未対応である。

【Q】従来型からの買い替えオススメ度は?

【A】実用性は同等、好みによる選択となる

 PHEVモデルを追加するなどの進化と変化はあったが、2代目以降は外観も含めてキープコンセプト。しかし、プリウス自身の開発姿勢に大きな変化はなかったが、市場背景は大きく変化。環境性能面では電力インフラ等の問題点はあるもののBEVが急増。カテゴリー的にはSUVの台頭もあって、実用系の主力はSUVとミニバンの、いわゆるハイトパッケージング型へと移行した。プリウスが求めた省燃費と実用性の両立も、セダンを基準にして実用性向上を図っても、SUVやミニバンにもハイブリッドが普及した現在では、実用重視の選択には厳しい。
 セダンがそうであるようにプリウスもまた2名乗車を基準に走りのよさやプレミアム感と実用性のバランスを取ったモデルへとシフト。初めて新型を見た時には「えっ?」と思うほどの衝撃を受けたが、現在のプリウスを取り巻く環境を考えるほどに納得できる。
 もっとも、そういった位置付けの変化は新型が登場する以前から起こっていたわけで、プリウスユーザーにすれば今さらの話だろう。ただ、スポーティ&スペシャリティの強化がどう影響するかは図りかねる。実用性は変わらなくても嗜好的な側面の大きな変化はユーザーには見逃せない。そういった点では既存ユーザーよりも新しいタイプのユーザー獲得に乗り出した開発コンセプトとも言える。いずれにしても従来のプリウスの価値感をそのままに当てはめるのは難しいと思われる。

TOYOTA プリウス(従来型) ●価格:259万7000〜364万円 ●発表年月(最新改良):’15年12月(’21年6月) 4代目となるプリウスはTNGAの第一弾として高い完成度を誇ったが、HEVが普通の存在となる中、それ以前のような大ヒットには至らず。
TOYOTA プリウスPHV(従来型) ●価格:338万3000〜401万円 ●発表年月(最新改良):’17年2月(’21年6月) PHEVはこれまで別車種扱いで、エクステリアの印象も異なっていた。

初めてプリウスに興味が!! そんな人へのアピールポイント

 新型を見てC-HRと同じ志向を感じた。デザインの系統が云々ではなくスペシャリティ色の濃さである。2ドアクーペでは実用面で不便。実用性も兼ね備えたスペシャリティカー。しかも先進感もある。近未来的かつ実用的なスペシャリティカーを求めるなら有力候補だ。

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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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