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更新日:2022.12.03 / 掲載日:2022.12.03

新型トヨタプリウス 大胆なエクステリア刷新に隠された省燃費の工夫

「プリウスの使命は終わった」なんて声もあったが、
そんな言葉はまったくの杞憂。
ワールドプレミアで披露された新型プリウスを紐解いていくと、
燃費プラスαの魅力が詰まっていることがすぐに分かる。
ハイブリッドの伝道師はまだまだ必要であることを実感できるのだ。

●文:川島 茂夫 ●写真:奥隅 圭之

新型プリウス エクステリア

ボディサイズ(プロトモデルの数値)
全長:4600㎜
全幅:1780㎜
全高:1430㎜
ホイールベース:2750㎜

デザインだけにあらず
隠れた部分に工夫あり
 ボンネットラインから一体となって飾り気なく引き締まったフロントマスクに連続した造形は、これまでのプリウスとは思えぬカッコ良さ。リヤ周りのウインドウの傾斜が強くなったことでファストバッククーペらしくも思える。グラマラスな曲面構成のリヤフェンダーとリヤピラーの存在感も好ましい。4ドア型なのにロングノーズの2+2クーペのようにも見えてくるのはデザインの妙だろう。
 ちなみにウインドウ傾斜が深くなりウインドウ下端位置が低くなったことと、リヤビューカメラの標準化が進んだことで2代目以降に採用していたリヤのサブウインドウは廃止されている。
 ボディ寸法は従来型に対して全長は25㎜増、全幅は20㎜増のほぼ同等。ホイールベースは50㎜長くなっているが、フロントオーバーハングが25㎜増で、リヤオーバーハングが50㎜減。全高は40㎜も低下しているが、平面形は大きく変わっていない。
 サイドビューで特に印象的に思えるのがルーフラインの頂点。従来型はドライバー頭上辺りにあるが、新型はセンターピラーの後ろに動いている。ルーフラインの頂点はCd値(空気抵抗係数)への影響が大きく、頂点を前方に置き後方の長さを稼いだ方が整流効果も高くなる。歴代プリウスでも試行錯誤しているようで、2代目と4代目は前方頂点、3代目は後席ヘッドルーム改善のために後方頂点のルーフラインを採用している。
 5代目は主に全高低下による前面投影面積の減少によることも大きいのだがCd値減には多少不利なデザインであり、空気抵抗値そのものは4代目から減少している。ただCd値で不利なスタイルを成立させながら空気抵抗を減らすために、見えないところに工夫が凝らされている。
 そのひとつが車体下面に配置されるフロアカバーの工夫。小さな段差を施すことで細かな渦流を発生させて空力的安定性を向上。ほかにもエアロスパッツを配置するなどで空力性の最適化が施されている。また運転席の一部に除電機能を追加し、走行中に発生する静電気による乱流を予防。車体安定の向上図るなど、外観造形に影響しない空力面のこだわりぶりも歴代プリウスで最も考慮されている。
 見た目のイメージは脱プリウスの印象を強く受けるが、それにもかかわらず燃費や快適性を犠牲にはしないということが新型の優れたところ。このあたりの創意工夫はプリウスの伝統に対する開発陣の強い思い入れを感じる。単純にスポーティ&スペシャリティ路線に宗旨替えした訳ではないのだ。

スプリット式(シリーズパラレル)ハイブリッド車には新たに2ℓモデルも設定。エンジン+モーター合算のシステム最高出力は193PSを発揮。0-100㎞/h加速は7.5秒と動力性能向上も著しい。
ヘッドライトデザインは、上部にLEDウインカーを配置する一体型。1灯の光源で切り替え可能なBi-Beam LEDランプの採用が有力だ。
従来型に比べると、新型のリヤビューは落ち着きのあるデザイン。左右幅いっぱいに発光するLEDリヤランプが配置されている。
上級グレード相当の撮影車には19インチの異形ツインスポークホイールが装着されていた。整流効果を狙ったガイドのようなギミックも確認できた。
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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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