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更新日:2022.04.01 / 掲載日:2021.11.12
【大人の自動車遊び】ディフェンダーで体験するオフロード走行【九島辰也】

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス
クルマは大きく分けて2つのジャンルがあると思います。一つは実用的な面で売れているクルマ、そしてもう一つは実用性や利便性ではなく趣味嗜好として買われるクルマです。
多くの場合前者は燃費がよかったり積載がいいなどで選ばれます。トヨタのハイブリッドカーやミニバンなんかですかね。街でも高速道路でも多く見かけます。法人需要なんかも高いかと。
ですが後者はそれはとは別で、あまり多く見かけるものではありません。趣味性が高いということはある特定の人々しか興味を持たないからです。例えるなら2シータースポーツカーやヘビーデューティなオフローダー、ピックアップトラックなんかもそうです。日本じゃハイラックスのようなピックアップトラックはアメリカでの使われ方と違い利便性はそれほど高くありませんから。荷台の荷物は外的要因で痛みますし、セキュリティの面でも気を使います。その意味で自分のスタイルとして選ばれる機会が多くなります。
さて、今回スポットを当てるランドローバーシリーズのディフェンダーですが、このクルマもまたかなり趣味性の高い一台といえます。そりゃそうですよね。オフロード走破性のスペックはウルトラ級で、日常では使い余す内容となります。それにスタイリングは流行りのSUVクーペとは縁遠いですし……。
さらに言えば、今どき背面タイヤというのもいかがなもんでしょう。近年はパンク修理剤を積むかテンポラリータイヤがデフォルトで、標準サイズをそのまま持ち運ぶのはレアな手法となります。それにリアゲートだって重くなりますから、開け閉めも大変。その意味ではこちらも“スタイル”重視ですね。僕は好きです。
オフロードコースを走るという非日常体験

先日、そんなディフェンダーをメインにしたユーザー向けイベントに足を運びました。向かったのは長野県白馬町。長野オリンピックではジャンプ競技で熱くなった町です。当時取材で白馬町を訪れましたが、その盛り上がりはすごかったのを記憶しています。その面からも無観客となった今年の東京オリンピック&パラリンピックは残念でした。まぁ、感染防止の観点からするとしょうがないんですけどね。




イベントは、スキー場のゲレンデを何台かで連なって走るゲレンデドライブとインストラクターの助手席で過激な走りを体験するオフロードタクシー、それとディフェンダーの潜在的な能力を体感するコースがあります。これは専用の器具を用いて仮装のオフロードコースをつくるものです。モーグルや横方向の傾斜、それとヒルクライムとダウンヒルなど。ダウンヒルは傾斜角30度くらいありましたから車内にいると視線は相当な角度が付きます。極端な話、真っ逆さまでした。
で、ディフェンダーはこれらを難なくクリアします。エアサスペンションで車高をあげれば前後の障害物に対するアングルは深く取れますし、4WDローレンジであれば低速から高いギア比でタイヤをグイグイ回転させます。もちろん、そうした制御はテレインレスポンスでオートマチックにコントロールされます。サンドセクション、マッドセクション、ロックセクションといった路面状況をダイヤルにあるピクトクグラフで合わせればOK。なんてイージードライブなんでしょうね。かつては副変速機のレバーを手で動かしたり、ハブをフリーにして5mくらいバックしたりと、大変でした。
自分だけのアウトドアスタイルを作り出す面白さ

イベントには、新型ディフェンダーのほかに、レンジローバー、イヴォーグ、ディスカバリー、フリーランダーなんかも来ていました。ファミリーが揃うのは壮観で、見ているだけでワクワクします。中でも目立っていたのは先代ディフェンダーでしょう。オールドスクールな装いは別世界でした。しかもユーザーの皆さんはアウトドアに慣れていて、ターフを張ったりツインバーナーをセットしたりと想い想いのアウトドアスタイルを楽しんでいました。新型を買ってそんなシーンに憧れている人も多いことでしょう。アウトドアブーム真っ只中ですから、そんなディフェンダー乗りが増えていくことを期待します。
ということで、白馬で楽しい時間を過ごしましたが、思えばこれってスポーツカーをサーキットに持ち込んだのと同じではないでしょうか。公道では楽しめないハイパフォーマンスな走りを体験するのですから。確かに、ポルシェやフェラーリはユーザー向けにサーキットイベントをたくさん行っていますね。ディフェンダーでのイベントはそれのオフロード版なのだと鑑みると腑に落ちます。今後もメーカーやインポーター主導でこんなイベントが増えることを願います。オフロード走行はほんと楽しいですよ。ぜひ機会があればご体感ください。