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更新日:2019.08.20 / 掲載日:2019.08.20

ハイヒールで運転すると違反になる?運転中に違反になる靴と罰則について

ハイヒールで運転すると違反になる?運転中に違反になる靴と罰則について

グーネット編集チーム

みなさんはどんな服装でクルマを運転していますか。オシャレを楽しむことは自由ですが、その前にクルマを運転する際に適した履き物(靴)について考えてみましょう。

ここでは、ヒールで運転すると違反になるのか、また運転中に違反になる靴と罰則について解説します。是非、オシャレを楽しむ女性ドライバーの方々は参考にしてください。

道路交通法にはハイヒールはだめと書いてはいない

道路交通法にはハイヒールはだめと書いてはいない

グーネット編集チーム

そもそもクルマを運転する際に、ハイヒールを履いて運転してはいけないのでしょうか。道路交通法では、「安全運転の義務」と「運転者の遵守事項」として定義されていますが、具体的にクルマを運転する際にハイヒールを履いてはだめとは書かれていません。抵触する可能性のある道路交通法第4章の第70条および第71条には、次の通り定義されています。

道路交通法(第4章の第70条「安全運転の義務」)

「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。」

道路交通法(第4章の第71条「運転者の遵守事項」)

「道路または交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めた場合は取り締まりの対象となる」

要約すると道路交通法においては、運転者は運転操作に支障をきたさぬよう、確実な操作に努めるとありますが、運転に適した具体的な履き物には言及していません。

ハイヒールに対しての禁止は明記されていませんが、各都道府県の警察官(公安委員会)により安全運転の遵守に支障があり、運転には不向きであると判断された場合は検挙される可能性があることに触れています。

都道府県ごとに細かいルールが定められている

前述の通り、道路交通法ではどんな靴(履き物)が運転に最適なのか不適なのかは定義されていませんが、各都道府県が個別に定める道路交通法施行細則では、運転に不向きな履き物について定義されている場合があります。
ここでは東京都と神奈川県の道路交通法施行細則を紹介します。

神奈川県における履き物の規定

神奈川県神奈川県道路交通法施行細則第11条(4)により、次の通り規定されています。
「げた、スリッパその他運転を誤るおそれのある履き物を履いて車両(軽車両を除く。)を運転しないこと。」

東京都における履き物の規定

道路交通規則の第8により、次の通り規定されています。
「木製サンダル、げた等運転操作に支障を及ぼすおそれのある履き物を履いて車両等(軽車両を除く。)を運転しないこと。」

このように履き物によっては公安委員会(各都道府県の警察)の判断により、検挙する可能性があります。居住している自治体はもとより、旅行先の自治体で定義されているかも知れません。事前にチェックすることをおすすめします。

車の運転に適さない靴はヒールだけではない

前述の通り、東京都と神奈川県では取り締まりの対象となるのは、げた、スリッパ、木製サンダル等となっており、ハイヒールそのものがNGとは明記されていませんが、構造やデザインによっては、かかとが固定されていない、脱げやすい、靴底が厚い、靴底が滑りやすい、ペダルを踏み間違えるなど、アクセルおよびブレーキ操作に支障が出るような履き物が該当する可能性があります。

例えばげたの場合、底面に段差があったり、底面が平らでなかったりすることから、段差にペダルが挟まったり、ペダルを踏み間違えたりなど、安定したペダル操作ができないとの理由から運転に適さないと判断されるようです。

つまり、取り締まりの可能性として考えられるのは、明記されている履き物やヒール以外にも、ミュールや靴底に厚みのあるブーツ、雨の日の滑りやすい革底の靴、つま先部分が幅の広いデザインの靴なども、取り締まりの対象となる可能性があります。
履いている靴などが、運転に不向きと判断された場合は、普通自動車では以下の通り罰則規定が設けられています。

・道路交通法第70条で安全運転義務に対して違反した場合
違反点数:2点
反則金:9,000円

・道路交通法第71条で公安委員会遵守事項に対して違反した場合
違反点数:加点なし
反則金:6,000円

明らかに安全運転を遵守できないと判断されたら、道路交通法第70条の定めに対して「安全運転義務違反」として検挙の対象となります。この場合、違反点数2点が加算されます。他に違反があり違反点数の3年間で累積点数が6点以上となると免許停止、15点以上で免許取消処分となります。それぞれが軽微な違反でも累積で加算となるので注意してください。

そもそもなぜハイヒールで運転してはならないのか

なぜハイヒールで運転してはならないのか、検挙の対象となる可能性があるかと言うと、げたと構造が類似して運転には不向きと判断される可能性があるからです。
ハイヒールが不向きとされる可能性のあるポイントとしては以下が挙げられます。

・底面に大きな段差がある。
・底面が平らでない。
・かかとが固定されない。
・脱げやすい。
・靴底が滑る。

これらの解釈からするとハイヒールはNGになるかも知れません。ただし、一様にヒールと言っても構造やヒールの高さ、靴底の形状がまちまちなので、絶対にNGだと言い切れない部分もあります。ヒールが低く、しっかり足首が固定されていて、靴底に段差がないようなデザインであれば、問題ない可能性があるでしょう。

しかしながら、これも警察官の判断となるので、運転に不向きで危険と見なされれば検挙の対処となります。運転する際はスニーカーなどへ履き替えるよう心がけましょう。
普段から車内に履き替え用に常備していると安心です。

【事例】ハイヒールで運転した際の事故

前述の通り、ヒールと言っても一概にNGとは言えません。高さのあるハイヒールやミュールなど足首が固定されないデザインの場合が、道路交通法第70条もしくは道路交通法第71条に抵触する可能性があります。
実際にハイヒールを履いていたことで痛ましい事故となった事例があるので紹介します。

ハイヒールを履いていたことが原因とされる事故の事例

2011年にハイヒールを履いて女性が、段差に乗り上げてクルマを駐車しようとした際に、その衝撃でつま先が滑り、アクセルを踏み込んだ状態になりました。
その結果、クルマが暴走して小学生を跳ねる死傷事故を起こしたと言うものです。

その後の判決では、女性がこの事故の約半年前にもハイヒールを履いて、ブレーキを踏み外していたことや、同様にスピード超過の違反があったことから、懲役2年6ヵ月の実刑判決を受けました。

日頃から安全運転への意識の低さや道路交通法を遵守が軽視されていたことが死傷事故を招いたと判断され、このような判決結果となりました。


クルマを運転する際には、運転に邪魔にならない服装や履き物を選ぶようにしましょう。
アクセルやブレーキペダルの踏み間違えは、重大な事故に発展する可能性があります。もちろん、オシャレを楽しむことは問題ありませんが、くれぐれも安全運転を遵守できることが前提となります。

足首の固定されないヒールの高い靴の場合、何かの拍子に脱げてしまったり、滑ってペダルを踏み間違えたりする可能性があるので、客観的な判断が求められます。
運転する際の服装や履き物もTPOを考え、安全運転に心がけ、楽しいカーライフを送ってください。

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グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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