ドライブ
更新日:2023.08.07 / 掲載日:2023.08.07
新型カングーで雲海&外サウナ! 大自然でととのう、夏のCHILLトリップ

文と写真●ユニット・コンパス
ルノージャパンから夏休みらしい宿題がやってきた。新型カングーで旅に出て、その模様を記事にしてほしいというのだ。それだけでなく、旅の様子をルノージャパンのInstagramアカウントで公開、「#カングー映え活選手権」と題してコンテストを行うという。
2023年に14年ぶりにフルモデルチェンジした新型カングー。「遊びの空間」をコンセプトをするカングーをどう表現するのか、面白い旅になりそうな予感がする。
新型カングーで夏を満喫する旅へ! 行き先は…?

企画を担当したのは編集部E氏。アウトドア系ファッション誌出身という経験をいかして、新型カングーの魅力を引き出すような旅をコーディネートしてもらった。会議を重ねた結果、旅の目的は、一か八かの雲海ハンティングに決定!
とはいえ、雲海は見られる保証もないし、せっかくなら道中も楽しみたい!ということで、フィンランド式サウナとして知られるアウトドアサウナにもチャレンジし、自然に癒される旅へ出ることに。
雲の大海原を眼下に望む絶景、ロウリュで熱くなった身体を川で冷やしてととのうアウトドアサウナ…想像するだけで気持ちよさそうだ!
パワーアップした新型カングーでいざ出陣!
今回借り出した新型カングーは、ディーゼルモデル。見慣れた黄色いボディカラー(ジョン アグリュム、フランス語で柑橘類を表す)が可愛らしい。
雲海ハンティング中の張り込み用アイテムに加えて、アウトドアサウナを楽しむのに必要な大物アイテムたちを荷室に搭載した。新型カングーは、先代モデルに比べて荷室スペースもかなり広がっている。とくに床面の長さが拡大したことで、容量にして先代比115Lから132L(シートアレンジによる)アップという数値以上に、荷物が載せやすくなった印象がある。
後席シートは倒したものの、サウナテント一式、ポータブル電源、折りたたみ椅子、クーラーボックス、撮影用小物一式、撮影用機材や2名分の荷物を余裕で飲み込んだ。きちんと整理すれば、もう1名は同乗できただろう。それでは出発! 頼むよ黄色いカングーくん!

都内を早朝に出発し、中央自動車道を走り相模湖へ。1時間あまりの軽めのドライブだ。
走り出してすぐに感じたのが、車内が静かなこと。お借りしたのはディーゼルエンジン搭載モデルだったのだが、走り出してしまえばディーゼルの音は気にならない。エンジンルームから入る音だけでなく、前席のガラスを通る音も小さくなっている。会話もしやすいし、長時間のドライブでの疲れ具合にも影響するはず。
気分爽快!自然のなかで“ととのう”アウトドアサウナ

カンカン照りの中まず訪れたのは、相模原湖にほど近い「青野原野呂ロッジキャンプ場」。雲海ハント前のお清めと言わんばかりに、早速サウナでととのおうという魂胆だ。
当日はアウトドアサウナにぴったりの快晴。さっそく荷物を下ろし、テントサウナを設営する。カングーのアイコンとなっている観音開きのダブルバックドアは、もちろんこうしたシーンで輝いてくる。
最大180度まで開閉するダブルバックドアのメリットは、重い荷物の積み下ろしで実感した。積む時は小さく開けて、周囲のじゃまにならないようスムーズに。荷物を下ろす時は、扉をじゃまにならないように大きく開ける。さすが働くクルマがベースになっているカングーだ。こういうプロ仕様ならではの使いやすさにグッとくる。

さて、汗をかきかきテントサウナを設置し、薪に火をつけて我々もサウナモードにチェンジ。サウナベンチに腰掛け、ひしゃくでサウナストーンに水をかける。熱源が近いこともあって、想像していたよりかなりホットだ。

がまんにがまんを重ねたら、おたのしみの水風呂タイム。「川水風呂」のよさは、とにかく水量が豊富なこと。これはまさに天然の大浴場……。
サウナと川を数往復して、バタフライチェアでととのいタイム。川のせせらぎを感じながら、最高のリラックスタイムを過ごすことができた。




とにかく高速道路での移動は格段に楽で安全になった
十分にととのったら、荷物を片付けて次の目的地である白樺湖を目指し、中央道を長野方面へ。今度は100kmを超える移動のため、新型カングーの大きな進化ポイントである運転支援システムを試す。

先行車との車間距離を保ちながら、車線を維持してくれる「ハイウェイ&トラフィック ジャムアシスト」は、こうしたロングドライブでは絶大な効果を発揮する。白線を認識しているときに車線中央をキープする「レーンセンタリング機能」をオンにすれば、ハンドルに手を添えているだけで、高速道路のほとんどを走れてしまった。これは楽だ。
これまでのカングーは、乗用車でありながらも商用車的なプリミティブなキャラクターが魅力のひとつだった。それは間違いないのだが、純粋に道具として考えたときに、新型は間違いなく便利で快適だ。
高速道路を下りて八ヶ岳エコーラインから国道152号を使って白樺湖へ。2023年3月に湯川バイパスが開通したことで、アクセス性が向上したばかり。ウインタースポーツで白樺高原周辺を訪れたことのある方なら、この便利さは伝わるはず。
寄り道① 雲海ハントのお供を求めて

明日の予定に備えて、ちょっと寄り道。白樺湖の湖畔にあるカフェ「珈琲&BEANS カリオモン」へ。
ここを訪れた理由は、明日の朝、雲海を眺めながら、あるいは張り込み中に、焙煎したてのコーヒーを楽しむため。スペシャリティコーヒーを新鮮な状態で味わえるとあって、じつは自家焙煎が一部で静かなブームになっているのだとか。それにしても、ヨーロッパの街並みにありそうなカリオモンの建物とカングーとのマッチングがいい。新型カングーもいろいろと写真を撮りたくなるクルマだ。


寄り道② ワインディングロードで爽快ドライブ
焙煎したてのコーヒー豆を無事にゲットしたので、お次は日本屈指のワインディングロードであるビーナスラインへドライブに。
茅野市と美ヶ原高原を結ぶビーナスラインは、7月から8月上旬まで最高のシーズン。一面に広がる緑のなかを駆け抜けるのは爽快極まりない。一面曇り空かと思えば晴れたり、また通り雨にうたれてり、高原ならではの天気模様に翻弄されながらここでもワンショット。想像していたとおり、カングーのこのボディカラーは自然のなかで抜群に可愛らしい。

雄大な景色を楽しんで、この日の予定は終了。明日は早朝から高峰高原で雲海をねらう。地元の方によると、この時期は日の出が早く、朝4時には周囲が明るくなってくるという。雲海が発生する好条件は、夜に空気が冷え込んでいることと、雨上がりなどで空気中の水分量が多いこと。山と山の谷間は冷気が溜まりやすいので、うまくいけば、軽井沢町から小諸市、東御市、上田市を望むパノラマに雲海が広がるはずだ。
果たして雲海は見られるのか…? 2000m級の高原へ!
日が変わって午前4時半、宿泊先を出発。ディーゼルの低いエンジン音をBGMにカングーを高峰高原に向け走らせる。流石にこの時間帯だと、頂上へと向かうチェリーパークラインも貸し切り状態。想像していた以上に山道でも運転が楽しい。
その理由は、ステアリング操作への反応が素直で正確性が高いから。ラゲッジに50kg近くの荷物を満載しているのに、クルマが振りまわされるような気配もない。流石商用車ベース、負荷がかかることを前提にした足まわりのセッティングだ。スポーティな運転が楽しめるということは、つまり普通に走れば、ずっと余裕があって安心感があるということでもある。それを実現しているのが、強靭なフットワークと、それを支えるしっかりとしたボディ構造だ。
感心しつつ、クルマを上へ上へと走らせ、目的地である高嶺高原ホテルに到着!眼下に広がる景色は…?!

時刻は朝5時。カングーを駐車し、撮影準備に入る。周囲は薄暗いが、高峰高原ホテルは標高2000mに位置する雲上の宿だけあって、頭上には澄んだ青空が広がっている。
建物の展望テラスに上がってみると、雲が街並みを半分くらい覆っている。雲海というには物足りない量だが、風があるのか雲の動きは早く、しばらく待っていると、一面を雲が覆い尽くした。まさに雲海だ!
雲海が発生したことに胸を撫で下ろしていると、編集部員E氏が椅子やテーブルを出し、コーヒーをセッティングし始めた。昨日焙煎してもらった豆を挽き、湯を沸かす。聞こえてくるのは、バーナーの音以外は、風が木々を揺らす音と鳥のさえずり、そしてごくたまに通り過ぎるクルマの通過音だけ。
やがて山頂から太陽が顔を出すと、景色が一気に色づき、輝き始めた。いまこそシャッターチャンス! カングーと雲海を無事、写真に収めることができた。撮影を終えた身体を高原の爽やかな風が冷ましてくれる。そしてコーヒーの美味しいこと!
寄り道③ カングーの生まれ故郷を長野のワイナリーで想う

高峰高原を後にし、この日ふたつ目の目的地である「シャトー・メルシャン 椀子(まりこ)ワイナリー」を目指す。
シャトー・メルシャンは、日本から世界に向けて日本ワインを発信し続けていて、「適地・適品種」をコンセプトに、日本の各地にワイナリーを構えている。2003年に開場した椀子ワイナリーは、ワインツーリズムに取り組むワイナリーを選出する「ワールド・ベスト・ヴィンヤード2022」にて、日本で唯一選出。醸造施設や樽庫の見学、テイスティングに加え、ワインショップではここでしか手に入らないワインを購入できる。
フランスのワイン農家では、カングーのご先祖さまにあたるキャトル フルゴネットがよく使われていたという。農業大国の顔も持つフランスが産んだ働くクルマであるカングー。荷物がたくさん積めて、乗り心地がよく、経済的。それでいてルックスにも手を抜かないのがフランス流だ。こういう景色のなかでカングーを眺めると、改めてクルマが生まれた背景やキャラクターがよく理解できる。



寄り道④ 地元の食材をお土産に
ワイナリーから東京に向かう高速道路に乗る前に、道の駅に寄り道した。
旅において寄り道、回り道は旅を面白くする最適なスパイスだと思っている。ディーゼルエンジンならではの低燃費と低コストも、そうした気分を後押しする。WLTCモード燃費のカタログ値は17.3km/Lだが、高速道路を使うロングドライブだと、多くのシチュエーションで燃費計は20km/L近くを示していた。
東京→相模湖→白樺湖→ビーナスライン→高峰高原と巡ってきた今回の旅程では、途中で給油することなく、余裕で帰宅できそうだ。


カングーと旅をしてみて

ルノージャパンからの声がけで参加した「#ルノー映え活選手権」。どうにもルノージャパンの掌の上で踊らされた気がしてならないが、旅が終わる頃にはそんなことはどうでもいいくらい、新型カングーのことが気に入ってしまった。
とりわけ良かったのが、疲れにくく、それでいて走り飽きないところだ。快適なクルマはほかにもたくさんあるが、どうにも運転に飽きて移動が作業になりがちなのだ。新型カングーはその塩梅がちょうどよかった。運転支援システムが搭載されたことも、多くのユーザーにとってプラスに違いない。渋滞やたいくつなシーンはクルマにサポートをお願いし、楽しみたい時に力を貯めておくことができる。
シートはあいかわらず肉厚で快適だし、運転席からの見切りもよく、たくさんの荷物を積んでもクルマの動きが急変しない。これらは歴代モデルから受け継いでいる美点。要はクルマづくりが骨太なのだ。
800kmの旅を終えて、素直に楽しかったと心が弾んでいる。いい夏の思い出をありがとう。黄色いカングーくん。