ドライブ
更新日:2022.08.26 / 掲載日:2022.08.10
トラブル回避のために交通マナーを見直す|グッドマナーでグッドドライブ

文と写真●ユニット・コンパス
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成。
(掲載されている内容はグー 2022年8月発売号の内容です)
まとめて休日が取りやすい夏休みに、ロングドライブの予定を立てている人も多いだろう。ここでは、ロングドライブの前に、いま一度確認したいドライブマナーについて考える。
夏休みドライブの思い出が悲しいものにならないよう

夏休みを利用してロングドライブに出かける人が増えるこのタイミング。そこでいま一度振り返っていただきたいのが運転マナーだ。
「ヒヤリハットの法則」という言葉をご存じだろうか。1件の重大事故の背後には、29件の軽微な事故と300件の異常(もしくは危険な状態)があるというものだ。たとえルール(法律)違反でなくても、マナー違反の運転がヒヤリハットを誘発し、やがて大きな事故につながるかもしれない。特に道路が混雑し、普段運転を行わないドライバーも数多く混じる夏休みなら余計にそうだろう。
では、夏休みのドライブでどのようなトラブルや困りごとが起きるのか。高速道路を管理するNEXCO東日本によると、次の3つのトラブルが特に夏休みに多いのだという。
①「バッテリーやオーバーヒートなどのトラブル」
②「交通集中(混雑期)により目的地への到着に時間がかかる」
③「SA/PAの駐車場も混雑することが多い」
①は、目的地への到着が遅れるだけでなく、高速道路上で立ち往生した場合、自分や同乗者を危険にさらしてしまうので要注意。これを回避するためには、出発前の日常点検をマメに行うこと。忘れがちだが、ドライバーの義務でもある。
②については、イライラする心との戦いでもある。回避するためには、時間に余裕を持って出かけたり、早めの休憩を取ることが大切。絶対にしてはいけないのが、渋滞時に路肩を走ること。緊急車両の走行確保のためにも絶対に守ってほしい。
③は、大したことないように思えるかもしれないが、実際に直面すると焦るトラブルだ。駐車スペースを探すうちに、どんどん本線への出口に近づいてしまうこともあるだろう。だが、そんなときにも、普通車を大型車用スペースに止めるようなサイズ違い駐車はしてはならない。また、周回路がないSA/PA駐車場で無理に引き返すのも重大なマナー違反。その場合は、基本的にはあきらめて次のSA/PAを目指すしかない。
いずれも、計画性とゆとりを持ってドライブプランを作ることで回避できる問題だ。時間と心にゆとりを持つことで、マナーアップにも自然とつながってくるだろう。
夏休みの高速道路で起きやすいトラブル・困りごと

・バッテリー上がりやオーバーヒートなどが多くなる
・交通集中により目的地到着に時間がかかる
・サービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)駐車場の混雑
トラブルが起きるとせっかくのドライブが時間的にも気分的にも台無し。家族や友人たちと出かけるなら、余計にドライバーが負う責任も重くなってくる。特にクルマが止まってしまうようなトラブルは、その後に重大事故を引き起こすリスクも高いので気を付けたい。
「知らなかった」では済まされない「あおり運転」の罰則について
令和2年の道路交通法一部改正で「妨害運転罪」が創設
「あおり運転」というと、前を走るクルマとの車間距離を極端に狭くする運転というイメージがある。もちろん、車間距離の不保持は罰則の対象だが、それ以外にも「あおり運転」に該当する違反がたくさんあることをご存じだろうか。下にあげた代表例でわかるとおり、他車が危険を感じるような運転の多くが「あおり運転」の対象になる。
妨害運転に該当する運転の代表例
・車間距離不保持
・進路変更禁止違反
・急ブレーキ禁止違反
・追い越し違反
・安全運転義務違反
・最低速度違反(高速)
[もしもあおり運転にあったら?]安全な場所から110番通報、またはドライブレコーダーを積極活用

もしも「あおり運転」の被害にあった場合、できるだけ冷静に、まずは自分たちの安全を確保することが大切。高速道路で停止すると追突されるリスクが高いからだ。ドライブレコーダーを装着していれば、その映像をもとに警察に被害を届け出ることも可能だ。
あなたの運転マナー大丈夫ですか?[運転初心者よりもベテランドライバーが危険な理由]
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成。

自分のルールを他人に押し付けていませんか?

「サンデードライバー」という言葉がある。普段は運転せず、休日出かけるときにハンドルを握るドライバーのことを指し、運転に不慣れというニュアンスを含む。たとえば「休みの日はサンデードライバーが多いから、気を付けないとね」なんて言い方で使われる。
だが、本当に「サンデードライバー」は危険なのだろうか。もちろん、運転に慣れていないことによる他車とのスムーズでスマートな連携は難しいかもしれない。だが、運転が不慣れだと自覚しているドライバーは注意深くなるし、無理にスピードを出すこともない。
運転マナー的に危険なのはむしろ、運転に慣れているドライバーだ。経験が豊富なドライバーは自分の運転にポリシーや流儀があり、それを他車にも押し付ける傾向がある。他車が自分の考え方に沿わない動きをするとイライラし、場合によってはいじわるをしてしまう。こうなると立派なマナー違反ドライバーだ。本人は不慣れなドライバーに「教育的指導」をしたつもりでも、他車からすれば危険人物にしか映らない。
路上は社会の延長線上にある。多様性を受け入れて、お互いが安全に運転できるよう心がけたい。
ベテランドライバーがやりがちなNG運転マナー

ベテランドライバーは周囲をよく見ており、交通の流れを予測しながら運転している。だからこそ、そうでないドライバーにイライラしてしまうのだ。また、自分のなかでは安全マージンをとって運転しているつもりでも、速度が速すぎたり、車間距離を縮めて走るのはNG。まわりが安心できる運転こそが上手な運転だ。
・追越車線で最速での到着を目指す
・アイドリングストップはすぐにOFF
・横断歩道でむだに止まりたくない
・合流手前で本線に素早く合流
・交差点直前で最小限にウインカーを出す
・雨天でもスピードを落とさずに走る
軽く考えていませんか、あなたのまわりのモビリティ[スマホのカーナビアプリの普及で「抜け道」走行を行うドライバーが増加]
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「抜け道」走行が危険なこれだけの理由
すっかりお馴染みになったスマホのナビアプリ。端末のデータをリアルタイムで処理することで、より高度な渋滞予測や抜け道ルートを提案してくれるため人気がある。
だが、多くのクルマが抜け道を通ることでトラブルも発生している。抜け道となるような道路はたいてい道幅が狭く、またその多くが市街地を通る。慣れていない街で、スマホアプリの案内を頼りに抜け道を通るケースでは注意が必要だ。
警察庁によれば、市街地では交通事故が多く、そのときに速度が高いと重大事故につながるという。そこで、移動オービスを使って速度違反のクルマを取り締まる動きもある。取り締まりというとネガティブなイメージがあるが、その裏には重大事故で悲しい思いをしている家族がいることを忘れてはならない。
多くのクルマにドライブレコーダーが装着されるようなったいま、トラブルはSNSを通じて瞬時に世界中に拡散される可能性がある。ちょっとした油断や思い上がりで、人生が一変してしまうかもしれない。
被害者にも加害者にもならないよう、ベテランのクルマ好きこそ、いま一度自分の運転を振り返ろう。
こんなに多い街中でのリスク

※警察庁交通局作成の資料「速度規制の目的と現状」から
日本は狭い国土、複雑な地形で、居住地と非居住地が不明確→ほぼすべての道路が居住行動圏内を通っている

・加減速による騒音問題の発生
・自転車や特例電動キックボードとの接触事故

現在、特例措置を受けた電動キックボードを使った実証実験が行われている。最高速度15㎞/hの電動キックボードが車道を走るのだ。速度差も大きく、唐突な動きをする可能性もあるため気を付けたい。
運転マナーをアップデートしよう!
時代によって価値観は大きく変化する。パワハラが社会問題となり、価値観の多様化が叫ばれている。上から目線や自分ルールの押し付けが嫌われる世の中になったのだ。運転はその人の人間性が色濃く反映される。クルマが好きで、運転が上手なドライバーほど自己流が強くなる傾向にあるため要注意。自分の運転マナーを改めて見直し、必要ならアップデートしてもらいたい。