災害対策・防災グッズ
更新日:2021.10.08 / 掲載日:2021.10.08
最新セキュリティ事情
時代とともに変化する愛車の守り方
CAUTION! 盗まれないために何をするべきか? 盗まれたらどう対処するべきか?
クルマを買うなら盗難対策も万全に!
すでに愛車を所有している人も、これから購入を考えている人も、知っていてほしい事実がある。それはクルマが“盗まれる”ものであるということだ。ねらわれやすいクルマ、ねらわれやすい条件などもあるが、愛車を守りたいならセキュリティを万全にしておきたいもの。今回は、時代とともに変化する愛車の守り方について解説する。

レクサスが誇るフラッグシップサルーン。世界トップクラスの居住性を確保しながら、上質かつエモーショナルなシルエットを実現した。さまざまな快適装備に加え、安全装備、高度運転支援技術などを満載している。
今、そこにある自動車盗難
[TOPICS 01]盗難件数は減少傾向にある?
TVや新聞、ネットニュースなどでは、日々、高級車の盗難事件が報道されているが、実際には盗難件数は年々減少傾向にある。2017年と2020年の盗難件数(1カ月分)を比較すれば、278件から158件とおよそ4割減。これは車上ねらいも同様で、やはり3年間で件数は激減している(日本損害保険協会のデータより)。このデータの裏には、ねらわれやすいモデルが公表されたり、セキュリティアイテムの普及、さらにはクルマ側の進化もある。たとえば今年発表された新型ランドクルーザーでは指紋認証によるセキュリティシステムが採用されている。
[TOPICS 02]窃盗団のプロ化と手口の高度化
近年のクルマを守る側の進化に合わせて、盗む側も先鋭的になっている。まず、かつてのような単独犯で窓ガラスを割って……といったアナログな犯行はすっかり減り(完全になくなったわけではない)、徒党を組んだプロの窃盗団による犯行が主流になっている。犯人側には「このクルマならこうする」といった窃盗のためのマニュアルも存在し、新規の窃盗方法も次々に生み出されるのだ。たとえば、8月にレクサスをねらった窃盗団は、通信ネットワークを使った「CANインベーダー」という特殊な機器で犯行に及んだと報道されている。
[TOPICS 03]盗難被害者のための情報サイトも!
インターネットの普及とともに、世の中のさまざまな事象がデータ化され、タイムラグなしに情報を共有でき、我々の生活を便利で住みやすいものにしてくれている。グーネットの中古車情報もそのひとつだが、自動車盗難に関しても、盗難車の目撃情報を集めたサイトが登場している。「自動車盗難情報局」はその最たるもので、愛車盗難被害者たちがこちらに依頼をアップし、盗難車発見情報が日本中のクルマ好きたちから投稿されている。愛車を盗難されるのが心配という方は、参考までに一度覗いてみてはどうだろうか。
[TOPICS 04]SNS投稿で発見された奇跡のケース?
右記TOPICS03のとおり、ネット上での情報共有というのは、盗難被害車からしたらありがたいものだ。今年7月には、あるRX-7オーナーが愛車を目の前で盗難され、その状況を動画で撮っていたこともあり、自身のSNSに投稿。すると、この動画があっという間に拡散され、翌日には車両が発見され、オーナーのもとに戻ってきたことが話題となった。現代のネット社会ならではの事象だが、情報を拡散することの大切さが伝わるニュースであった。もちろん、この件に関しては迅速な行動が事件解決につながったのだが、稀なケースである。
クルマを購入する前に知っておきたい! いつ? どこで? 何が? データからわかる3つの盗難要件
そのクルマ、危険です!?
盗難を防ぐには、窃盗犯がいつ、どこで暗躍するかといった傾向を把握しておくことが重要となる。こうした傾向に対して適切な対策を練っておけば盗難される確率はグッと下げられる。


クルマを購入したら手に入れたい! 愛車を守る最先端事情 今、知っておくべき盗難対策
窃盗犯はどういった手口で犯行に及んでいるのか。クルマに搭載される電装系部品の進化にともなって犯行は高度化しているが、それらを理解することによって愛車にどんな自衛策を施すべきなのかが見えてくる。
窃盗団の典型的手口とは?
手口の高度化に加えて悪質な改造工場との連携も進んでいる
イモビライザーやスマートキーが普及したおかげで、ひと昔前のように鍵を壊して車内に侵入し、ステアリングロックを破壊するといった物理的な方法を用いた車両盗難は減少傾向にある。しかし、窃盗犯はイモビライザーやスマートキーの構造や電気回路、電気信号の仕組みなどを解析して、それらを悪用して犯行に及んでいるので、新しめのクルマでも決して安心はできない。盗まれたクルマはいったん人目のつかない場所に保管され、持ち主や警察の動きを巧妙にかいくぐってアジトへ運ばれる。そこで別のクルマの車台番号を盗難車に付けて偽装したり、バラバラに解体するなどの作業が行われた後、コンテナに積まれて海外へ密輸出されることになるわけだ。

リレーアタックを防ぐための3つの対策
1.最新モデルを購入する
最新モデルの有効な盗難防止機能としては、車両に搭載されたDCM(車載通信モジュール)を用いた盗難車両追跡システムが挙げられる。GPSから得た情報をもとにクルマの位置情報を追跡する機能や、車種によっては遠隔操作で速度などを制御する機能が搭載されたものもある。

2.スマートキーを節電モードにする
スマートキーからはロックを解錠するための電波がつねに出ているので、盗難防止という観点からは憂慮すべき機能でもある。節電モードにしたり、自宅では外から電波が受信できる場所にキーを置かない、外出先では自身のまわりに不審な人物が近づいていないかといった注意が必要だ。

3.リレーアタック防止アイテムを使用
コネクティッド機能や節電モードが備わっていない場合は、スマートキーからの微弱電波が外に漏れない電波遮断グッズを用いるのが有効だ。リレーアタック対策として開発されているので効果は絶大。傷付き防止の布や、携帯に配慮したキーリングが備わっているなど利便性にも満足できる。

アナログ系セキュリティグッズで“盗まれにくく”する!

センサーライト
深夜の犯行が多いことを考慮し、自宅の駐車場には人やクルマの動きに反応して周囲を明るく照らすセンサーライトを備えておけば窃盗犯のターゲットにされにくくなる。

タイヤロック
物理的なロックによってクルマを動かすことができなくなることに加え、タイヤを外すこともできないので、車両盗難はもちろん、タイヤ&ホイール盗難の抑止にも効果がある。

ステアリングロック
ハンドルと同時にブレーキペダルを固定するタイプも販売されている。物理的なロックは外から車内を見たときに視覚的なアピールになり、盗難を諦めさせるという点で有効だ。
愛車を守りたい人必読のINTERVIEW
カーセキュリティの最前線から───
カーアイテムメーカーユピテルさんに話を聞きました。
ユピテルってどんな会社?
国内トップクラスの性能を誇るカーセキュリティアイテムのほか、ドライブレコーダーやレーダー探知機、ポータブルナビなどを販売する老舗のエレクトロニクス企業。カー用品やバイク用品のほか、ゴルフ・スポーツ用品や、留守中のペットを見守るロボット、バーチャルペットなどバラエティに富んだ製品を製造販売している。小誌連載で活躍中の猪爪杏奈選手のスポンサーでもある。

同社ではセキュリティ以外のカー用品も担当している小野塚さん、「セキュリティはひとつのアラも見逃せない難しい製品」とのこと。8月に神奈川でレクサスが盗難された事件にも注目しているという。
日本の環境に合わせて開発した高度な防犯技術
グー 自動車盗難の現状をユピテルさんではどう見られていますか?
ユピテル 年々、件数は減っていますが、依然として特定の車種や地域では自動車盗難は発生しています。手法も高度化していますね。
グー 今どき窓ガラスを叩き割るような手口は多くないと?
ユピテル 車上荒らしなどと異なり、自動車盗難の場合は、物音などを立てずに短時間で犯行が行われます。スマートキーの機能を悪用した(電波を使って解錠する)リレーアタックという手法も確認されています。
グー ユピテルさんでも対策はされてるんですよね?
ユピテル 弊社のアイテムは専用リモコンで操作するので、純正キーの電波を使わないんです。純正キーを使って解錠することもできますが。もちろん最新モデルにはリレーア
タック対策が施されています。
グー 新しくなる盗難手口の情報はどうやって集めているんですか?
ユピテル 盗難事件が発生した際にどう盗られたかという部分は確認していて、製品を取り付けているプロショップの方たちから情報を集めたりもしています。
グー セキュリティアイテムの販売台数はどう推移していますか?
ユピテル 我々の製品は、それぞれのクルマに合わせて、窃盗団にわからないよう施工してもらうなど、取り付けに一定の技術がいるわけです。つまり限られた認定プロショップで販売しておりまして、ニーズはあっても一台一台の作業に時間がかかるため、販売数が大きく増えるようなことはないんです。年々少しずつは増えていますけどね。
グー 開発の苦労はありますか?
ユピテル なにより、どんな窃盗手法に対しても“絶対に盗られない”ということを念頭に置いています。「セキュリティホール」という言葉がありますが、システムのアラみたいなものがないよう、あらゆる手段に対抗できるように対策しています。
グー 自社開発されているんですか?
ユピテル 弊社は自社設計、自社製造ですね。海外の製品をベースに日本向けの調整をするのでは、日本の環境にそぐわないこともあります。たとえば、立体駐車場の振動で発報してしまって周囲に迷惑をかけるようなことを防ぐなど、日本の駐車環境下で、最も使いやすいというのをポイントとして開発しています。

お客様とショップとの対話からカスタマイズ
グー 1970年の設立ということですが、当初はカー用品を扱っていなかったと伺いました。
ユピテル ええ、最初はレコード会社で、そこからカラオケの機械を製造し始めたのが機械メーカーとしての成り立ちです。その後、無線の技術を活かして、レーダー探知機を開発しました。
グー では、カーセキュリティアイテムはいつ頃から?
ユピテル 最初は00年代初頭に、量販店向けながら高機能な「アギュラス」を発売しました。ドップラーセンサーなどでクルマの周囲を警戒し、人が近づいたり、ドアを開けたりすると警報するとか、セキュリティの初歩的な機能でしたね。
グー では、ユピテルの歴史上、エポックな製品といえばなんですか?
ユピテル 「パンテーラ」でしょうか。当初は販売店からの要望で作ったもので、販売はプロショップのみ。あらゆるセキュリティ機能を搭載して、一気に高度化させました。
グー 現在のラインアップは?
ユピテル 「パンテーラ」のほか、自社ブランドで展開しているのが「ゴルゴ」です。現在販売しているのはこの2アイテムですが、どちらも「絶対にクルマを走らせない」、「エンジンをかけさせない」というねらいが根底にあります。
グー カタログを拝見すると、かなりオプションパーツがあるんですね。
ユピテル たとえば最近だとエンジンスターターやドラレコとの連動など、セキュリティ機能とは違いますが、同時に取り付けられるお客様も多くなっていますね。
グー オーダーメイドですね。
ユピテル まず取り付け前に、お客様とショップとでじっくり話し合っていただきます。どういう環境下に駐車しているかなどを把握したうえで、必要なものをカスタマイズできるシステムになっているんです。
グー お客さんひとりひとりに合わせて最適なセキュリティ環境を作ってくれるというわけですね。では、この先の自動車盗難に対する見通しはどうでしょう?
ユピテル 純正セキュリティにおいてはいたちごっこの状態です。対策をしても、盗難組織が車両を解析し、盗む方法を見つけ出します。1台解析してしまえばマニュアルができてしまいます。その点、弊社のセキュリティはプロのインストーラーが独自に組み込みますから、盗難の手段を絞り込まれることはありません。タイヤを全部持っていかれたとしても車体は残ります。クルマごと持っていこうとすれば発報しますし、自走で逃げるのは不可能です。
グー それは、心強いですね!
ユピテルのセキュリティアイテム

Grgo[ゴルゴ]
ユピテルの自社販売モデル。ベースとなるシステムを最小限にし、オプションでのカスタマイズの幅を広げた。そのため価格的にもエントリーしやすいモデルになっている。
Panthera[パンテーラ]
ユピテルが製造する最上級ブランドで、安心なカーライフをもたらすための日本最高峰のセキュリティ性能を搭載。直感操作が可能なタッチパネル式液晶ディスプレイリモコンも選べる。
迫り来るネオクラシックスポーツカーの危機!
購入を検討中なら知っておくべき


[日産]スカイラインGT-R(R34型)
R32、R33に続き、R34型もあと3年で25年ルールが適用される。流通台数が少ないうえに需要が減らないことから、中古車価格が1000万円を超えるなど相場は軒並み高騰。
中古車中心相場 1290万〜2000万円

[マツダ]RX-7(FD3S型)
FD3S型は1991年に登場し、すでに25年ルールが適用されている。国内はもちろん、海外に流出する中古車が増加しており、コンディションのいい車両は相場が急上昇している。
中古車中心相場 250万〜950万円

[トヨタ]カローラレビン/スプリンタートレノ(AE86型)
現役当時はお手頃なスポーツカーだったが、『頭文字D』や現行型86の影響もあって中古車相場は新車時価格の4〜5倍に高騰。状態のいい車両を探すのはかなり困難な状況だ。
中古車中心相場 250万〜400万円

[トヨタ]スープラ(80型)
現行型スープラの登場で再注目され、なおかつ台数の少なさも影響して相場は上昇。280psを発生するツインターボエンジンを搭載したRZ、RZ-Sが特に人気を集めている。
中古車中心相場 310万〜800万円
ネオクラを所有するなら万全の防衛対策は必須!
盗難件数ワーストランキングでは、ターゲットが最新モデルに集中しているが、近年は80年代から90年代にかけて販売された国産スポーツカーの盗難も増えている。プリウスのように市場に出回っている台数が多くないので盗難認知件数は少ないが、米国の25年ルールの規制が解除されたR33型GT-Rや80系スープラ、RX-7(FD系)など、いわゆる「ネオクラシック」と呼ばれる年代のスポーツカーは、海外での価値が上がっていることに比例して、盗難の危機に瀕する確率が高まっている。
現代のクルマのように盗難を防止する機能が備わっていないので、窃盗団の最新技術でいとも簡単に盗まれるケースがほとんど。一度ねらわれたら確実に盗られると肝に銘じて、後付けのセキュリティを施工するなど、窃盗犯を諦めさせる対策を施すのが愛車を守る最善策といえる。
[ねらわれる理由①]セキュリティが甘いこと
そもそも盗難防止機能が備わらず、キー本体のセキュリティも甘いので、簡易に作った合鍵でも解錠やエンジンの始動ができてしまう。盗難防止策としては後付けのカーセキュリティに頼ることになるが、その際はショップに相談し、愛車を取り巻くさまざまな条件を加味したシステムを構築するべきだろう。
[ねらわれる理由②]海外へ高く転売できること
盗難件数ワーストランキングを見てもわかるとおり、窃盗犯は高値で売却できるクルマに的を絞って犯行に及んでいる。ネオクラは流通台数が少ないうえに海外での人気が高まったことで相場が高騰している。窃盗犯にとっては金銭面における効率が抜群にいいターゲットとしてねらわれやすくなっている。
25年ルールとは?
製造後25年を経過したクルマはクラシックカー扱いとなって、連邦自動車安全基準(FMVSS)の縛りを受けることなく輸入が可能になるルールのことだ。すでに適用されている車種や、近々適用となるクルマは相場が上昇傾向にある。
愛車を手に入れたらこちらも考えたい!カーパーツも危ないって本当ですか?
車両盗難と同じく危機感を持っておくべきなのが駐車しているクルマのなかの物品や装着されている
パーツをねらう車上荒らしだ。認知件数は減少傾向にあるというが被害を避けるために策は講じておきたい。

車載されているパーツの多くが転売目的で盗まれる
車上荒らしの犯行目的は、車内に置いたままの金銭や貴重品を盗むだけではない。近年はネットオークションなどの普及で、アフターマーケットで購入したパーツはもちろん、純正品も含め、車載されている部品の大半が転売目的でねらわれている。
犯行が短時間で行われ、しかも手段を選ばない。バールのようなものでドアをこじ開けたり、鍵穴を壊したり、ガラスを割ったりなど、手口がじつに荒っぽいので、物が盗まれたことに加え、クルマが壊されたことによる金銭面の被害が甚大なうえに、精神的なダメージも計り知れない。「自分は大丈夫」という過信をなくし、しっかりとした対策を施すこと。これが車上荒らしを未然に防ぐための一手になるはずだ。

タイヤ&ホイール
ホイールを固定するナットを鍵式にするロックナットや、タイヤロックなどといったアイテムを使うのが有効な防衛策となる。ただし、ロックナットのキーアダプターを車内に置きっぱなしにしないなど、管理方法にも気を配ること。

外観パーツ
車上荒らしの被害品データで最も多いのが外装部品だ。社外のエアロパーツだけでなく、純正のグリルやドアミラー、エンブレムといった外装パーツもねらわれやすい。取り外すときにボディに傷をつけられてしまうと修理費用もかさむ。

カーナビ/オーディオ
高機能なカーナビやハイエンドオーディオは、ネットオークションに出品したり、中古パーツ店に持ち込めば高値で売れることがある。駐車場に停めているときなど、車外から装着品の確認がしやすいので窃盗犯のターゲットになりやすいのだ。

シート
有名ブランドのバケットシートは、中古品が高値で取引されるなど商品としての価値があるため窃盗犯の餌食になりやすい。シートレールの取り付けに使うボルトをトルクスボルトにするといった工夫を施すことで盗難に対する不安は軽減できる。
まとめ
窃盗犯にねらわれないための自己防衛策を施すのが重要
せっかく手に入れた愛車と長く付き合っていきたいなら、純正で備わっている盗難防止機能だけに依存してはいけない。後付けのセキュリティシステムを備えたり、防犯に効果的なグッズを購入するなど、どういった対策が愛車を守るために効果的かを考え、選択して実行してほしい。車両本体やパーツを盗むという窃盗犯の目的が簡単に遂行できない状況にしておけば、被害に遭うリスク回避の確率は上がるはずだ。