カーライフ
更新日:2021.05.10 / 掲載日:2021.05.10
【グー連載コラム】永福ランプのマニアック車パトロール隊(2021年5月)
【今回のマニアック車】 ホンダ アクティトラック

荷台の下、後輪の前あたりをのぞき込むと、エンジンが見える。これぞNSXと同じミッドシップ! 寒冷地では4WDモデルも多く、その場合はドライブシャフトが前にも伸びている。
農道のNSXだから!!
都会から少し田舎に出ると、そこらじゅう軽トラだらけになる。地方では軽トラは生活のゲタというか大きな買い物カゴのようなもので、ほとんど空気のような存在だが、都会在住者には軽い異次元の存在。ゆえに憧れを抱く。
軽トラのメジャーブランドは、スズキ・キャリイとダイハツ・ハイゼットだが、カーマニアとしては、RR(リアエンジン・リアドライブ)方式を採用して“農道のポルシェ”と呼ばれたスバル・サンバーと、MR(ミッドエンジン・リアドライブ)レイアウトを持ち、“農道のNSX”との異名を持つホンダ・アクティを発見すると、しばし目が釘付けになる。
サンバーは12年、マニアから惜しまれつつも自社開発から撤退し、ハイゼットのOEM車になった。一方のアクティは、ミッドシップのまま現在まで生き永らえたが、ついに今年6月をもって生産が終了することが発表された。それは、S660の生産終了発表→即完売同様、カーマニア的には実に惜しいニュース。自然、アクティを見る目はさらに特別なものになった。
とは言うものの、軽トラはどれも似たような形をしている。一瞬で見分けるのは、それほど簡単ではない。
そんな折、ちょっと田舎で軽トラが道端に止まっているのを発見した。あの何の変哲もない事務的な表情のフロントデザインと、前輪がちょっとだけ後ろに引っ込んだショートホイールベースは……。
まさしくアクティだった。
軽トラ界におけるアクティのシェアは数パーセント。圧倒的にレアな存在だ。つまり、見つけるのはそれなりに難しく、見つけたときのヨロコビも大きい。
ただアクティは、歴代すべてミッドシップを採用していたので、“農道のNSX”の流通台数は多く、グーネットで検索すれば、全モデル合わせて約1000台がリストアップされる。価格も1万円から210万円と幅広く、選び放題だ。
経歴
2009年 4代目モデルとして登場
10年ぶりにフルモデルチェンジされた4代目モデルは、広いキャビンを特徴としていた。発売当時、最小回転半径3.6mは軽トラックナンバーワンだった。
2010年 一部改良で安全性向上
新色「アラバスターシルバー・メタリック」を採用し、バッテリーカバー開閉を容易に。危機回避能力を高めるEBD付きABSが設定され、安全性を高めている。
2015年 一部改良で燃費向上
燃費を向上し、新色「ナイトホークブラック・パール」を追加、一部グレードにIRカット/UVカット機能付きフロントガラス、2スピーカーなどを標準搭載した。
2018年 特別仕様車発売
ホンダの原点となるT360の誕生55周年を記念した、「ブルー×ホワイト」、「レッド×ブラック」という2トーンカラーの「スピリットカラースタイル」を発売。
2021年 6月で生産終了
企画変更や規制強化への対応を強いられたことで、2021年6月で生産終了となることがアナウンスされた。4月時点ですでに購入できないグレードもある。
マニアック指数 70点

グーネット掲載車価格帯 30万から120万円
歴代モデルを合わせると流通台数は猛烈に豊富だが、マニア的な注目度はかなり高い。特に都会在住者にとっては、フェラーリよりもレアな存在なので、見つけるとつい凝視してしまう。この何の変哲もない四角い顔を見たら「農道のNSX!」と叫びましょう。
ピピーッ! 取り締まります
ピピーッ! 取り締まります
自動車評論家 永福ランプ
かつて(今も)清水草一、以前はMJブロンディ、そして現在は永福ランプと名乗る。カーマニアを自称し、街中を走るマニアック車を見つけ出すことに老後の楽しみを見つけた。
(掲載されている内容はグー本誌2021年6月号の内容です)※中古車価格はグーネット 2021年4月調べ。記事中の価格は参考であり、中古車価格を保証するものではありません。