カーライフ
更新日:2020.04.23 / 掲載日:2018.08.06
日々のお財布を直撃する「燃費」はやっぱり気になる【燃費まるごと。】前半

最近また、ガソリン価格が上がっている。そうなると、より気になってくるのが燃費だ。今回は、燃費のいいクルマ、燃費に効果のある走り方、比較テストなど、気になるポイントを徹底的にチェックした。燃費の現在をお届けしたい。
(掲載されている内容はグー本誌2018年9月号の内容です)
JC08モード燃費で見るとリッター30km超えが多数!

※各車種最高燃費のグレードを掲載/OEM車は省く
少し前にエコカーブームが巻き起こったことは記憶に新しいだろう。その中心にいたのはハイブリッド車で、それ以外にもクリーンディーゼルや、第三のエコカーなどと名乗って徹底的に燃費を追求したガソリンエンジン車なども登場した。
しかし最近では、エコカー減税以外にエコカーという言葉を聞くこともほとんどなくなった。それは、さまざまなクルマにエコ技術が搭載され、エコカーが当たり前になったからだ。このページにあるランキング表は、JC08モード燃費の数字が高い順(燃費のいい順)に並べたもの。同一車種で多数のグレードがある場合は一番いいものを選択しているが、これだけ多くの車種がリッター30kmを軽く超えているのだ。
ただし注意してほしいのは、この数字はあくまで参考であるということ。実際に自分で運転して、これだけの燃費を出すのは至難の業だといえる。
ではどう考えればいいのか? ということだが、クルマの運転の仕方によっても数字は変わってくるという前提はあるが、概ねこの数字の60から70%程度が実際の燃費だと考えると良いだろう。さらに、パワーユニットの種類によっては、走る場所での得意・不得意もある。次項では、そんなパワーユニットについて解説したいと思う。
【エコカー最前線】パワーユニットが多様化するいま、それぞれのメリット・デメリットは?

燃費だけを見るのではなく自分に合ったものを選ぶ!
ここでは、右に紹介した5つのパワーユニットについて解説したい。
それぞれのメリットだが、まず圧倒的に燃費に優れたクルマを作りやすいのがハイブリッドだ。メーカーごとにシステムは異なるが、従来ブレーキで捨てていたエネルギーを電力としてため込み、それをモーター動力として使うことができるというパワーユニットだ。デメリットとしては、同じクルマでもガソリンモデルより価格は高く、またブレーキの感触にクセのあるモデルが多いのも事実だ。
ディーゼルのメリットは、燃料がガソリンではなく軽油のため、1Lあたりの単価が安い。また、同じ排気量ならガソリンよりもトルクがあるため、低中速域の加速がいい。
自然吸気ガソリンエンジンは、違和感の少ない素直な走りがメリットだが、基本的に排気量に応じて燃費が変化するため、軽自動車に代表される小型車でないと、あまり燃費のいいクルマにならない。
ダウンサイジングターボは、低負荷で走っているときは小排気量自然吸気エンジンのように働き、加速など、負荷がかかるとターボ過給し、余裕のあるパワーとトルクを発揮するというもの。
最後に最近増えてきているプラグインハイブリッドだが、普通に走る分には先に紹介したハイブリッドと同じだ。ただ、ハイブリッドよりもバッテリーに余裕があり、電気自動車のように充電できる点が特徴だ。充電すれば短距離ならEVとして使える。デメリットはハイブリッド車よりもさらに高い価格である。
注目すべきは燃費だけじゃない、家計には「燃料代」が重要
燃費の数字は大切だが、家計を考えると燃料代が重要。つまりハイオク、レギュラーというガソリン、さらに軽油のどれを使用するのかということだ。大旨の話だが、1Lあたり、ハイオクはレギュラーの価格より10円高く、軽油はレギュラーよりも20円安いのが一般的。仮に軽油とハイオクでは1回の給油で50L入れると1500円の差が出ることになるので、使用燃料にも注目してほしい。
【燃費で「モト」はとれるのか?】同じ車種なら安いガソリン車と 高いハイブリッド車でドッチがお得?

燃費の差は確かにあるが車両価格の違いも大きい
同じ車種でハイブリッド車とガソリン車の両方をラインアップしている例は多い。当然ハイブリッド車のほうが燃費がいいので、「お得」と考える人は多いだろう。しかし、前ページでも書いた通り、ハイブリッド車はそもそも車両価格が高い。
上記のホンダ・フリードを例に挙げよう。現行フリードの「G・ホンダ センシング(7人乗り)」の場合、ハイブリッド車が251・76万円、ガソリン車が212・16万円だ。これに対し、自動車取得税、重量税、自動車税のエコカー減税を加味すると、トータルで約8万円ハイブリッド車のほうが減税されるため、約30万円ほどハイブリッド車のほうが高いということになる。
そして燃費の違いを見ると、ハイブリッド車は27・2km/L、ガソリン車は19km/Lというカタログ値だ。実燃費をJC08モード燃費の70%と想定すると、それぞれ約19km/Lと13・3km/Lとなる。レギュラーガソリンを1Lあたり140円として計算すると、減税を加味した価格差30万円を埋めるのに、約9万870
0kmを走行しなければならない。
しかしながら、最近のクルマは非常に製品の精度が高く、10万km程度ならほとんどトラブルなく走れるクルマも多いため、距離を多く乗る人なら十分モトを取れる可能性もある。
もうひとつ、考えなければならないのは下取り価格だ。中古市場を見ればわかる通り、ハイブリッド車のほうが人気があり、乗り換える場合は高く買い取ってもらえる。それゆえ、乗りつぶしではなく、購入→下取りまで考えればハイブリッド車とガソリン車の価格差はより縮まるということになる。
さて、今回はフリードの例で見たが、このページで紹介している日産ノートの場合、ハイブリッド車であるe-POWERとガソリン車では新車価格で50万円近い開きがあり、燃費の違いでモトが取れるとは考えないほうがいい。
それよりも燃費が良いことの利点である、航続距離が長い、ガソリンスタンドに行く手間が少なくて済む、などに加え、車種によっては早朝や深夜などにモーター走行で静かに移動できるといったメリットに目を向けるのが正解だといえるだろう。

※燃料代はレギュラーガソリン140円として計算したもの
どんなクルマでも走り方で燃費は激変 エゴにならない誰でもできる『エコドライブの方法』

文/岡本幸一郎
クルマの知識をつけエコドライブを実践しよう
できるだけ燃費を良くしたいと思うのは誰でも同じ。そのためにはアクセルをあまり踏まないようにしたほうがいいのはどのクルマでも同じで、特に上り勾配の道でアクセルを踏み増しするのは燃費の面ではもっとも不利とされている。
また、アクセルをただ踏まなければ良いというわけではない。少しだけでも長い時間アクセルを踏むよりも、やや強めに踏んでも短時間ですませたほうが燃費が良い場合もある。
そんな感じで、道路の環境やクルマの性能などの条件によっても、むろん最も効率の良い運転の仕方というのは変わってくるので、ケースバイケースな面も少なからずあることは理解しておきたい。
最近ではクルマの多様化がさらに進み、いろいろなタイプのエコカーが存在するようになったのもご存じのことだろうが、それぞれのクルマが持つメカニズムや基本性能によって、走らせ方ひとつで燃費が大なり小なり変わってくることもある。
少しでも燃費を良くするためには、まずはクルマに対する正しい知識と理解が必要だ。そのあたりは、取扱説明書に書かれていることを確認したり、WEB等で情報を得るなどして、最適な運転方法をリサーチしておき、それを実践することをおすすめしたい。
せっかくクルマに付いている機構を活かして効率よく走ったほうが良いことは言うまでもない。クルマのことを詳しく知っておいて損はない。
ただし、とにかく大事なのは、エコドライブを意識するあまり、他人に迷惑をかけてはいけないということ。それは肝に銘じておくべきだ。
カカトを軸にしながら、つま先に微妙に力を加える感じでペダルを動かすとよい。上り勾配ではアクセルを踏むと燃費は極端に悪化するので注意しよう。
前走車を風よけにする、スリップストリームを使うと空気抵抗が減って燃費が伸びるが、あまり接近すると危険なのである程度の車間は確保すべき。