カーライフ
更新日:2024.01.29 / 掲載日:2023.12.27
電気自動車を買って試す本音レポート リアルEVライフ[「自宅充電器設置はどうする?」の巻]
文と写真⚫︎ユニット・コンパス
取材協力⚫︎パナソニック
日本はもちろん、世界的にシェアを拡大している電気自動車(EV)。グーネットマガジンでも「新車試乗レポート」や「グーEVテスト」で、注目モデルのレポートを都度発信しているが、となると次に気になるのが「実際に買って暮らしてみる」というテーマだ。そこで、編集部Oが実際に買って、いろんな状況で試してみることになった!
第2回では、編集部Oが選んだホンダeを深堀り。その魅力をさまざまな角度からお届けした。
今回は、非常に奥が深い自宅充電器設置の話。奥が深いと話したのは、充電器設置にあたっては「駐車スペースのどこに設置するのか?」、「充電器のタイプはどうするのか?」、「既存の電気配線や回路が対応するのか?」など決めなくてはならないことが多いうえ、予算もまちまちだからだ。
前回の記事はこちら▼
パナソニックにSOS!?
一般的な流れとしては、EVを購入した販売店に相談しながら施工工務店や機器を決めていくパターンと、独自に調べて直接施工工務店に相談する方法がある。
編集部O「事前にウェブなどでかなり調べたんだけど、調べるほどに疑問が湧いてくる。安くつけようと思えば7、8万円でできそうなのに、高くなれば50万円近くになってしまうこともあり、頭のなかであれこれシミュレートしているうちに、収拾がつかなくなってしまった」
というわけで、今回はOが業務で付き合いのあるパナソニックに相談することとなった。登場いただいたのは、戦略企画室の山本悠斗さんと、EVソリューション企画課 課長の田中政行さん。
山本さん「充電器には『普通充電器』と『急速充電器』がありまして、後者は施設や高速のSAに設置されるタイプなので、ここでは『普通充電器』の話ということで、進めていければと思います」
編集部O「普通充電器には3kW~6kWのものがありますが、まずはここから教えてください」
山本さん「充電タイミングは『基礎充電』(出発地)、『経路充電』(移動中)、『目的地充電』(目的地)の3つにわけられます。3kW~6kWは『基礎充電』(10時間前後かそれ以上)と『目的地充電』(数時間~10時間前後)が該当し、3kWか6kWかは、保有しているEV車の電池容量(100%EVか、PHEVかなども含め)や使用頻度などから決めるパターンが多いですね。弊社のホームページでも、一例として日産リーフを使用した充電シミュレートをしたものがあるのですが、簡単に言うと6kWの充電器だと3kW仕様の2倍のスピードで充電することができるわけです」
編集部O「しかし、6kW仕様の充電器となると、費用もかさむというわけですね」
山本さん「3kWか6kWかという話は、まず最初にぶつかる問題といえます。費用がかさみますが、お客様のEVライフに合わせて選択が必要です。また、車載ケーブルで充電する『コンセントタイプ』と、充電器搭載ケーブルで充電する『Mode3タイプ』があることも、知っておいてもらいたいです。一般的に、3kW仕様は『コンセントタイプ』と『Mode3タイプ』が選べるのですが、6kW仕様は『Mode3タイプ』のみとなっています。最近の新築の家ではEV充電設備の設置も多くなってきておりますが、だいたい3kWの普通充電タイプのものが装着されています。この場合は『コンセントタイプ』が多く、ケーブルはクルマに付属したものを使用します。今回のO邸のように、新たに装着する場合は、この『コンセントタイプ』は安く上がるのですが、使い勝手は『Mode3タイプ』の方が良いです。」
編集部O「昨今、銅が人気ということもあり、簡単に外せるケーブルが盗まれてしまうことがあるという話は聞きました。完全にガレージ内で充電できる環境なら問題ないんでしょうけど、私のように屋外に駐車する場合はちょっと心配ですよね」
田中さん「あと、あまり語られることがないのですが、車載ケーブルをコンセントに挿している間は充電をしていなくても、回路には通電しています。充電制御回路の保護や、無駄な電気を使わないことにも気をつけたいですね。我々としては使いやすさという点でも、『Mode3タイプ』をオススメすることが増えています。また、容量の話でいいますと、3kWの設備を入れて当初は満足していたとしても、より大きなEVに乗り替えた際など、後から6kW仕様に変更する場合は費用がかかるので、今後の乗り換え計画などイメージをもって選択いただくと無駄がありません」
3kW仕様か6kW仕様か
編集部O「いやあ相談してよかったです。これはある程度知識がないとダメだし、最低限の知識があってもベストバイを見つけるのにはプロのアドバイスがないと無理ですよ」
田中さん「ちなみにOさんのホンダeの場合、普通充電では200V・3kW仕様で満充電まで約12時間。200V・6kW仕様で満充電まで約6時間となりますね」
編集部O「いろいろ聞いていくと、今後のことも含めて6kW仕様がベストかなと思いつつ、設置費用と電力会社の契約見直しが必要な点で今回は3kW仕様で検討しようと思います。そもそも2台あるため、そこまで急いで充電する必要もないんです」
田中さん「我々の商品ラインアップは、すべて普通充電設備となっていまして、『壁面取付タイプ』か『スタンドタイプ』か。そして『コンセントタイプ(200V用 / 100V用)』か『Mode3タイプ(充電器ケーブル搭載)』という2つの軸から絞り込んでいくかたちとなります」
編集部O「このシリーズ表で充電ケーブル付きの壁面取付タイプに絞ると、『ELSEEV hekia S(Mode3)』か『ELSEEV cabi (Mode3)』となるわけですね。概要はわかりました。ありがとうございます!」
田中さん「今回はメーカーである我々が直接ご説明させていただいているのですが、実際には施工工務店や販売店に相談いただくことになっていまして、現地調査をしながら最終的な仕様を決定し、工事を行う流れとなります」
というわけで、3kW仕様の充電ケーブル付き壁面取付タイプに絞られた自宅充電器設置計画。次回は施工工務店への取材と取付の模様をお届けできればと思います。
パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社
エネルギー・IoTソリューションセンター
戦略企画室
山本悠斗さん
パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社
商品営業企画部 エネルギーシステム商品部
EVソリューション企画課 課長
田中政行さん
自宅充電器は使い勝手で決めるべき
・自宅充電器は設置場所がまず第一
・『コンセントタイプ』か『Mode3タイプ』を熟慮
・将来的なEVライフをイメージしながら最終決定
次回予告
いよいよ施工工務店で自宅充電器設置の模様をお届けします。
編集部O プロフィール
自他共に認めるクルマ好き、キャンプ好き、ウインタースポーツ好きにして、気になることは徹底的に調べるのがモットー。今回は企画を成立させるために、ローンを駆使して自らEVを購入。これからEVにまつわる諸問題に体当たりしていきます!