カーライフ・ドライブを楽しむ
更新日:2026.08.11 / 掲載日:2026.08.11
愛車とともに真夏を快適に乗り切りたい人たちへ──クルマと学ぶ、夏の対策。

8月は暑さのピーク、9月に入っても残暑が続くことが多くなった昨今の日本。短時間放置しておくだけで、車内は地獄の熱空間へと変貌する。そもそもクルマは人が快適に暮らすための道具なのだから、そんな使い方は本末転倒。暑い日も快適に過ごすため、最新情報をアップデートしていきたい。
構成・文/フォッケウルフ 撮影/我妻慶一
(掲載されている内容はグー本誌 2026年8月発売号掲載の内容です)
命を守る!「車内熱中症の盲点」と「危険アイテム」
夏の炎天下において、放置された車内の温度は一気に高温に達する。もしそこに人がいれば熱中症や脱水症状となり、最悪、命を落とすこともある。事故を防ぐため、どんな工夫が必要だろうか。
2020年6月、北関東の某県で痛ましい事件が発生した。朝8時頃、保育所へ送り届けたと勘違いした父親が2歳の子どもを車内に放置してしまい、午後になって車内でぐったりしている子どもを発見、緊急搬送されたが病院で死亡が確認されたのだ。
同件の原因が人為的なものであったことは否めないが、同様の事件は近年、全国各地で発生しており、炎天下のなかクルマを運転するドライバーにとって他人事とは言えない出来事となった。ハンドルを握る前に、酷暑がクルマに与える影響、その対策について考えておいて然るべきだ。
「エアコンをつけていても危ない」盲点とは……?
エンジンを切った状態のクルマを酷暑下に置いておいた場合、車内温度は55℃に達することもあると言われる。気温55℃と言えば、低温サウナや岩盤浴に近い暑さであり、息をするだけでのどや鼻の粘膜が焼けるような感覚を覚えるほどで、命に関わってくる危険な状態だ。
そして、車内の温度上昇がさらに危険な事象を引き起こすこともある。直射日光が当たっていたシートベルトの金具は70℃以上になることもあり、触れれば火傷をする危険性もある。さらに、室内空間が広いクルマの場合、エアコンの冷風が後部座席まで回り切るまで時間がかかるため、後席の乗員が苦痛を味わうという問題だってある。炎天下の車内温度の上昇は、二次被害、三次被害まで起こし得る厄介なことなのだ。


Danger! 車内置き去り危険アイテム
スプレー缶
温度上昇で缶内部の圧力が高まり爆発する恐れがある。置き忘れた殺虫剤などはないだろうか。
ライター
内部のガスが急膨張して、破裂。下手すれば漏れたガスに引火して車両火災を起こす恐れもある。
ペットボトル飲料
内部圧力が急激に高まり、ペットボトルが膨張し、内容物が漏れたり、破裂して飛び散る可能性も。
モバイルバッテリー
熱に弱いバッテリーは、内部が膨らみ、電気がショートして、発火や爆発する危険性がある。
スマートフォン
リチウムイオン電池は熱に弱く、熱暴走を起こして故障やデータ破損の原因に。発火の恐れもある。
実験・検証で解き明かす〜
一番効果があるのはどれ? 車内温度の爆速下げ方選手権
車内の地獄のような暑さを一度でも経験すると、以降はそうならないよう、サンシェードを使ったり、窓を少しだけ開けておくなどして対策するようになる人も多い。しかし、どんな形で対応しようとも、誰かが最初に乗ってエンジンをかけるまで、車内の暑さが減ることはあってもなくなることはない。
今回は、そんな車内の温度を最速で下げるためにはどうしたらいいか、複数の方法で比較検証を敢行した。温度低下の様子を測定し、よりリアルな見せ方としてサーモグラフィ映像とともに、最も効率のよい手順を探っていく。

エントリーは下の5パターン
「○対抗」冷却スプレーを使用
衣服や身体を冷やすための冷却スプレーは多く販売されているが、ここでは「クルマ用」と表記のある冷却スプレーを使用。10秒ほど車内に噴射して空気を冷やす。布シートに直接吹きかければ、座ったときの実感もありそうだったが、時間が限られていたため、今回は空間の冷却に専念した。

1分後
車内温度:39.4℃

3分後
車内温度:38.2℃

5分後
車内温度:38.6℃

「▲穴」日陰に移動させる
放置していた日なたの駐車場から、車両全体が完全に日陰のなかへ収まる位置へ、10mほど移動した。移動する際はエアコンはつけないようにして、ウインドウも開けていない。ドライバーが乗り降りする際には、当然ながらドアの開閉も伴ったが、なるべく10秒以内に収まるようにした。

1分後
車内温度:35.4℃

3分後
車内温度:33.1℃

5分後
車内温度:31.8℃

「△連下」濡れタオルで拭く
ダッシュボード、ハンドル、センターコンソール、シートなど、車内でも特に熱くなっているエリアを、少し水分多めの濡れタオルで拭いた。樹脂やプラスチック素材の部分は拭いているそばから瞬時に乾いていくが、10秒以内に拭ける面積をなるべく多くしようと大汗をかきながら奮闘した。

1分後
車内温度:37.5℃

3分後
車内温度:36.4℃

5分後
車内温度:37.5℃

「○対抗」窓を開けてドア開閉
車内に乗り込むと、4つのウインドウを一斉に開放。さらに、車内にこもった熱気を放出させるため、うちわを煽るようにして運転席ドアを約10秒間大きく開閉させている。ちなみに、左の作業イメージ写真は軽自動車を用いているが、実際のテストは4ドアセダンで施工している(ほかの実験も同様)。

1分後
車内温度:33.5℃

3分後
車内温度:32.3℃

5分後
車内温度:31.2℃

「◎本命」エアコン全開
運転席に乗り込むと同時に、エアコンを最大風力、そして設定温度を最低の18℃に設定した。オートエアコンを使って急速で冷やそうとすると自動で内気循環になることが多いため、今回も内気循環のままとした。そのまま車内に残りたかったが、車内温度に影響がないよう、ドライバーは車外で待機した。
1分後
車内温度:34.2℃

3分後
車内温度:30.2℃

5分後
車内温度:27.5℃

やはり強力なのはエアコン全開だった
それでは……外気導入、内気循環、走行、窓開けを加えることで効果はさらに向上するのか?
5つのパターンで試した“車内温度の爆速下げ方選手権”は、「エアコン全開」に軍配が上がった。ここからは追加テストを試して、さらなる“爆速下げ”に挑む。

車内温度の爆速下げ方選手権を実施した結果、エアコンの付いていないレアなクルマに乗っている人はともかく、車内が暑かったら、まずは「エアコンを全開にする」のが最初に取るべき行動だということが判明した。
一方で、多くの人からよく聞かれるのが、「エアコンを使用する際、外気導入と内気循環ではどちらがより効果的か?」という疑問である。今回、追加で実際に計測してみたところ、最初の数分は外気導入のほうが早く温度を下げ、徐々に内気循環のほうが温度を低くした。その差は1~2℃とわずかだったが、エアコンをつけたら、最初は外気導入、数分後に内気循環に切り替えるのが、最も効率のいいエアコンの使い方ということになった。
さらに効率的に車内温度を下げるには、前ページのパターンを組み合わせるのもいいが、特に「窓を開ける」のは手軽で合理的だろう。そうこうしているうちに、少し車内の温度が下がって乗り込めるようになったら、「走り出す」のも、より効果的な手段となる。車内の熱くなった空気を排出できるからだ。


選手権を終えて……
選手権と銘打った一連のテストを終えて、まず第1弾では「エアコン全開」に勝るものはないということがわかった。そして追加テストでは、外気導入&内気循環、窓開け、実走行を組み合わせることで、その効率がさらに高められることも知ることができた。
あとは実践だが、これらの“車内温度爆下げ術”を駆使する前段階として、愛車のエアコンの使い方はマスターしているだろうか。操作部まわりを見回して、使ったことがないボタンや使い方のわからないボタンはないだろうか。また、最近のクルマにはたいてい外気温計が付いている。日頃からこういった表示を気にするよう心がけることで、暑さに対する備えも万全なものとなるに違いない。

夏本番だから気にしたい! エアコン&電気系の夏バテ対策

ここまでいくつかのクルマの夏対策を紹介してきたが、これが最後のコーナーとなる。炎天下の車内における心構えや車内を早く冷やす方法を知ったところで、もう少しレベルの高いメカニズムの部分にフォーカスする。
まずは、バッテリートラブルを防ぐ方法だ。夏はエアコンがフル稼働することで、バッテリーへの負荷も最大になる。結果、電気系統の故障やバッテリー上がりなどが起こりやすくなるため、事前に対策を打っておきたい。電気系パーツを取り扱う際は、ショートによる火花や感電もあり得る。作業前は必ずエンジンを止めて、アクセサリー電源をオフにすることを忘れないようにしたい。
そして、ここまでエアコンの効きが最大限になる方法を模索してきたが、そもそも冷気が出てこないならどうしようもない。エアコンの冷風を復活させるにはいくつか原因と方法が考えられる。フィルター交換、エバポレーター交換、エアコンガスのクリーニング(充填)などだが、こちらもDIYするなら、ガス漏れや漏電などに注意したいところ。
どちらの作業も難度は高い。普段ボンネットを開けることもないような人なら、迷わずカー用品店や整備工場へ点検に出して対策を願おう。
突然のバッテリー上がりを防ぐには?
いかに熱に強い製品とはいえ、炎天下のなかで稼働し続ければクルマだってへばってくるというもの。特に電装系パーツが弱ったというのはよく聞かれる話で、ある暑い日に突然バッテリーが上がってしまったという事例も多く見られる。対策としては、バッテリーが弱った状態のまま、まったく乗らないのは一番よくないが、エンジンを切った状態でライトやエアコンを使い続けるのも厳禁。定期的にエンジンをかけて運転し、電装品のつけっぱなしをなくし、長期間乗らない場合はバッテリー端子を外しておこう。また、一般的に2~3年と言われるバッテリーの寿命がくる前に交換することも心に留めておきたい。
1.ライト類の消し忘れ確認
エンジンをかけていない状態のまま、ヘッドライト、室内灯、エアコンなど電気系パーツを使い続けると、バッテリーを一気に消費してしまう。愛車から離れるときは、これらの消し忘れを必ず確認したい。
2.整備士による点検のすすめ
自分でできる点検項目として、バッテリー液が適正な量入っているか、本体に膨らみなど異常は見られないか、そして使用年月がある。異常がなくても、3年以上使っていれば、一度プロにみてもらったほうがいい。
3.長期間乗らないならカット状態に
半月以上乗らないことが確定しているようなら、バッテリーの端子を外しておくことをおすすめする。作業は慎重に行い、一度端子を外すと、コンピューターがリセットされることもあるので知っておこう。
Check Point


エアコンの効きを復活させる方法は?
エアコンから冷風が出ない場合、修理が必要となる。ただしこれらの作業はちょっとテクニカルで難しいため、何が起きているかを知ったうえで作業はプロに任せてしまったほうがいい。最初に考えられるのが、エアコンフィルターの詰まりだ。空気の通り道に設置されているフィルターが詰まると、風量が弱まり、冷房効果も薄れてしまう。エバポレーターの故障も考えられる。これはエアコンガスを気化させて冷やす重要な部品で、ここが故障すると冷却機能の低下や異臭が発生することもある。そして、比較的多発しがちなのが、エアコンのガス不足だ。長年使用することで少しずつガスが漏れることもある。
1.エアコンフィルターの交換
エアコンのフィルターはグローブボックスの奥に収められていることがほとんど。ボックスを手前に引き下げて、奥にあるフィルターのフタを外したら、古いフィルターを引き抜き、新しいフィルターを入れる。
2.エバポレーターの交換
こちらは整備の経験がないと難しい作業となる。まず必要なダッシュボードのパーツを取り外し、エアコンのガスを抜く。エアコンユニットを分解して、エバポレーターを交換したら、最後に新しいガスを入れる。
3.エアコンガスの充填
まずガス缶にチャージホースのバルブを取り付ける。次にホースをクルマの低圧側ポートに取り付け、ガス缶側のバルブを緩めてホース内の空気を抜く。最後にゲージが適正圧力になるようガスを注入する。
Check Point

