カーライフ・ドライブを楽しむ
更新日:2024.08.16 / 掲載日:2024.08.08
運転欲求マックスのニュークラシック旅へ
写真:渡部祥勝
(掲載されている内容はグー本誌 2024年8月発売号掲載の内容です)
ニュークラシックカーで昭和レトロを求めて『令和の時代に平成のクルマで昭和を探す』
最近の中古車市場では、2000年(平成12年)前後の年式のクルマの人気が高くなっている。かれこれ20年以上前のモデルになるが、まだまだ状態のいい個体も多く、人気のスポーツカーでない限り、価格の面でも比較的割安で購入できる。本特集では、どこか懐かしい「ニュークラシックカー」の魅力を『令和の時代に平成のクルマで昭和を探す』という3つの時代をまたぐ、ちょっとワクワクするテーマを通じて紹介していく。
昭和の香りが感じられる場所を人気のニュークラッシックカーで巡る
ちょうどパリ五輪が開催されている時期でわかりやすいが、2000年(平成12年)といえば、シドニー五輪が開催され、マラソンの高橋尚子さんや田村(谷)亮子さんといった日本人選手が金メダルを獲得したことが思い出される。
最近では、その時代の年式のクルマ「ニュークラシックカー」が注目されているという。なぜだろうか? たしかに今のような安全性能や先進装備は当時のクルマにはないが、すでにクルマ自体の完成度は高く、一部では、バブル景気の残り香が感じられるような豪華さや、最近のクルマにはないアナログの尖った部分を持つモデルが存在していた。また、国産車ゆえに故障も少ない。そういった秀逸なクルマたちが20年以上の時を経て、手頃な価格で購入できるようになりつつあるのが人気の理由として考えられる。さらに、ちょっとした懐かしさと、今どきのクルマには逆にないデザインが魅力となり、「ニュークラシックカー」人気へとつながっているのかもしれない。
そこで今回の特集では、注目の2000年前後(平成)のクルマでのドライブを敢行。その行き先は若い世代を中心に人気が広がっている「昭和レトロ」なスポットとした。時代をまたいだドライブを通じて、令和時代におけるニュークラシックカーの魅力を検証する。
令和時代のニュークラシックカー Drive.1
「ソアラ」で巡る昭和レトロな風景
昭和レトロを求めるドライブのスタート地点に選んだのは、東京都の西に位置する街「青梅」。ノスタルジックな雰囲気が漂うこの場所から相模湖を経由して、神奈川県横浜市の野毛を目指した。
[トヨタ]ソアラ(4代目・2001〜2005年)
2001年4月に発売された4代目ソアラは、電動格納式ハードトップを持つコンバーチブルのボディが特徴。乗車定員は4名だが、後席は狭く実質2人乗り。30系セルシオと共通の力強い4.3ℓV8エンジンが搭載されている。
中古車中心相場 59万〜239.5万円
昭和レトロにはニュークラシックカーがよく似合う
昭和レトロ商品博物館
旧青梅街道沿いにある木造の建物「昭和レトロ商品博物館」では、昭和30年〜40年頃のお菓子や薬などの商品パッケージが展示されている(住所:東京都青梅市住江町65 入館料:大人350円、小中学生200円、金〜日曜日および祝日に開館)。街なかには所々に昔ながらの店舗があり、懐かしさを感じる。
相模湖周辺
自然が豊かでちょっぴりレトロな場所
自然豊かな湖の周辺では四季折々の景観が楽しめる。休日にはカヌーやボートなどのレジャー体験や釣りを楽しむ人も多い。昔ながらのゲームセンターやレトロな雰囲気の食堂など、施設も充実。県立相模湖公園の駐車場は平日は無料で開放しているので、気軽に訪れることができる(普通車:138台駐車可 ※有料日:土・日、祝祭日、正月、5月連休、夏休み、湖上祭当日)。
今とは違う快適さ? 気になる装備!
精肉店が営む肉料理が自慢の人気食堂
次の目的地へ向かう道中、「お食事処 愛津屋」に立ち寄り食事。人気の豚ステーキライスは、肉が柔らかで脂身も甘い。その美味しさを求めて昼時には行列もできる人気の食堂だ。
中古タイヤ市場 相模原店
昭和の頃によく見かけた自販機のオンパレード
相模原市にある、「中古タイヤ市場 相模原店」には、昔懐かしい自販機が並ぶ。昭和の時代に造られたうどん・そばの自販機やハンバーガーの自販機など、どれも懐かしいものばかり。瓶のサイダーを購入し、備え付けの栓抜きでフタをあけるなんて、今となってはめずらしい(住所:神奈川県相模原市南区下溝2661-1 自販機コーナーは24時間/無休)。
野毛都橋商店街
飲食店が軒を並べる昭和レトロ感マックスのスポット
野毛のはずれにある都橋商店街は昭和39年(1964年)の東京オリンピック開催に伴い、周辺の露天商を1つにまとめるために建設された共同店舗。現在も約60軒の個性的な飲食店が営業し、賑わっている。夕暮れ時になるとネオンが輝き出し、一層レトロな空間へと変貌する。
(住所:横浜市中区宮川町1丁目8番地先 横浜市中区野毛町1丁目22番地1)
GOAL!
最終目的地の「横浜・野毛」をあとに帰路へ。往年の名車「ソアラ」とともに昭和レトロを巡り、ノスタルジックなドライブを堪能した。今となっては貴重なラグジュアリーなクーペは、クルマ自体の性能もすぐれていて、不便さを感じることがない。大排気量がもたらすゆとりのある走りで、快適な移動を楽しめた。
「ライターが食べて選んだ」昭和の雰囲気を残すドライブイン&食堂
全国の街道沿いには古くからのドライブインや食堂が点在している。レトロな雰囲気を残しつつ、絶品グルメを提供する店舗をここでは紹介。ぜひ、一度足を運んで食べてみてください!
文:カーツさとう
ツルミ食堂(栃木県栃木市)
今年で創業60年。栃木が誇る名食堂!
店内は年季を感じるが、徹底した清掃によって、古臭さをまったく感じさせない。こういうところがまずステキ。
イチバンの名物は『カツ丼(単品・並)/968円』(他にも各種セットあり)。開店以来、継ぎ足しながら今に至るタレは、長い期間の熟成でしか作ることができない味だ。
そして初代店主が台湾でその味を伝授されたという鶏の唐揚げ『酢子鶏(並)/748円』に、圧倒的なパンチ力を誇る『味噌ホルモン焼(並)/748円』も、せっかく行ったなら食べなきゃ損! 間違いなしの品。
Data
住:栃木県栃木市都賀町家中2115−1 営:(月、水、木)11:00〜14:30、(金、土、日、祝日) 11:00〜14:30、17:30〜20:30 ※ラストオーダーは30分前 駐:あり 休:火曜日(祝日は営業、翌日休み)
ニューたから(茨城県牛久市)
茨城にある夢のような独立系ファミリーレストラン
寿司にステーキ、オムライスにラーメン、丼物にグラタンといった百花繚乱の全方向のメニュー構成は、昭和時代に庶民の贅沢だったデパートのお好み食堂を彷彿とさせる。
そんな多ジャンルの料理を異種合体させた『刺身&ハンバーグ』などという前衛的なハイブリッド定食も琴線にビンビン触れること間違いなし。
最大のオススメはハンバーグに加え、各種フライにピラフとスパゲティがひとつの皿に盛られている、無敵の大人のお子様ランチ的逸品の『デリシャス/1080円』。旨し!
Data
住:茨城県牛久市柏田町1880-1 営:10:30〜要確認 駐:あり 休:水曜日
ドライブイン大番(群馬県邑楽郡千代田町)
外観だけでなく店内の昭和レトロ感も最高!
北関東の食堂で人気の品といえば、これはもう豚の『もつ煮』。これまで100軒以上のもつ煮を食べてきたなかで、個人的に最高に美味い。 いや、美味すぎるもつ煮を出すのがココ。『柔らかくて臭みがない』もつ煮を最上とする人は多いが、柔らかさだけじゃないほのかな噛み応えと弾力。臭さはないが、もつ本来の馥郁たる香り。これがあって初めて超一級品。それを『もつ煮定食/800円』で堪能できる。もつが苦手な人はトンテキのような『豚ロースショーガ焼定食/1100円』をぜひ!
Data
住:群馬県邑楽郡千代田町瀬戸井294-1 営:11:00〜20:00頃まで 駐:あり 休:不定休
不二ドライブイン(埼玉県本庄市)
食事の前にまずはその外観を慈しんでもらいたい
現存する日本最古のドライブイン。その事実だけでも頭が下がるが、この店は建築物としてもカッコいい!
1964年の開業だが、当時のアメリカのロードサイドダイナーを彷彿とさせる『レトロ』というより『オールディーズ』なシビれるデザイン。
この店の名物は『本日の日替わりランチ/1100円』。メイン料理・麺料理・小鉢・ドリンクの4点のセットだが、日替わりランチを始めた35年以上前から現在に至るまで、なんとメニューが重複することがないのだ。一度食べてみて。
Data
住:埼玉県本庄市諏訪町1314 営:[ランチ]11:30〜13:30、[夜の部]要予約 駐:あり 休:年中無休(年末年始除く)
※営業時間や定休日、料金などに変更がある場合があります。訪問の際は事前に電話やホームページ等でご確認ください。
令和時代のニュークラシックカー Drive.2
昭和レトロを感じる上州路ドライブ
古くからある温泉地なら、レトロな雰囲気が漂っているのではないか?そんな期待を胸にレガシィランカスターで向かったのは群馬県。上州路を散策しながら、目的地の伊香保を目指した。
[SUBARU]レガシィランカスター(2代目・1998〜2003年)
1998年に登場した2代目ランカスターはレガシィツーリングワゴンをベースとしたクロスオーバーSUV。オフロードを意識して最低地上高は200㎜を確保しつつ、全高を立体駐車場への入庫可能な1,550㎜に抑えている。
中古車中心相場 57万〜158万円
昭和を感じさせるスポットが点在
藤岡市から富岡市を抜け、峠の釜めしで有名な「おぎのや本店」へ
ニュークラシックなクルマで“昭和レトロ”を探す旅というお題が決まったとき、最初に頭に浮かんだ場所が伊香保温泉だった。過去に日帰り温泉やドライブを楽しむために訪れたことがあり、なんとなく石段の周りのレトロっぽい雰囲気を覚えていたからだ。では、伊香保を目的地として、道中はどこへ行こうか? 群馬県なら、ひと昔前からある街道沿いのドライブインや食堂も多そうだ。そんな感じで伊香保に至る経路を検討してみた。往復で約300㎞の道のりと、勾配が厳しいエリアということを考慮して、手配したクルマは、走りのよさとSUVの走破性を兼ね備えたスバルのレガシィランカスター。絶好の1台に乗り、上州路の昭和レトロを探すドライブを堪能してきた。
ドライブイン七輿
大島鉱泉
峠の釜めし 荻野屋 横川本店
横川駅の目の前にある、峠の釜めし発祥の地「荻野屋 横川本店」へ。具だくさんの釜飯は時代が変わってもその美味しさは不変(住所:群馬県安中市松井田町横川399 火曜日定休)。
五料の茶屋本陣
※営業時間や定休日、料金などに変更がある場合があります。訪問の際は事前に電話やホームページ等でご確認ください。
今とは違う快適さ? 気になる装備!
ノスタルジックな空間に心おどる上州の旅
昭和レトロを感じさせる名湯「伊香保」
伊香保温泉
石段の湯
湯の花まんじゅう
GOAL!
総括
今、中古車市場で注目を集めている2000年(平成12年)前後の年式のクルマ「ニュークラシック」で昭和レトロを探しに出かけた今回の企画。試乗した2台のクルマはいずれも車両のコンディションがよく、令和時代となった今でも不自由のないドライブが楽しめた。もちろん、年式が新しいクルマのような先進装備は備わっていないが、昭和の風景が懐かしさを思い出させてくれたように、純粋に運転を楽しむということを思い出させてくれた。車両によっては、今後価格の上昇も考えられるなか、お気に入りの車両が見つかれば、それは愛着があり、価値もある素敵な1台になるだろう。