車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.10 / 掲載日:2017.07.27
【気になる中古車試乗判定】BMW 523i

2016年式 BMW 523i
一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを、厳しい目線でインプレッション!果たしてその結果やいかに!?
文●竹岡圭、九島辰也、GooWORLD 写真●GooWORLD
今月の中古車は BMW 523i
ビー・エム・ダブリュー 523i
走りのテイストに加えて 先進安全装備も充実
走りのテイストに加えて 先進安全装備も充実
ナビなどの操作スイッチが統合されたコントローラーによって、スイッチの数が少なく、シンプルで飽きのこないデザインを実現している。装備面でも充実していて、今回の最終モデルでは、レーンキープサポートやプリクラッシュセーフティシステムも装備。安全性についてもしっかりと確保。
ユーザーの好みに合わせられる 幅広いインテリアのバリエーション
ユーザーの好みに合わせられる 幅広いインテリアのバリエーション
試乗した車両はパッケージオプションであるMスポーツ仕様で、サイドサポートが充実し、表皮も滑りにくい起毛素材のスポーツタイプ。また、天井などの内張りまで黒のクロス仕上げとなり、スポーティなテイスト。ラグジュアリーな本革も多く流通しているので、好みで探したい。
大人4人でのゴルフにも対応するラゲッジ容量
大人4人でのゴルフにも対応するラゲッジ容量
トランク容量は520Lと余裕の大容量でキャディバックも小さいサイズのものであれば最大で4個積載可能。さらにリヤシートは6対4の分割可倒式なので、長尺物などにもしっかりと対応する。ツーリングを選ばずとも、一般的なユーザーであれば使い勝手に苦労することはまずないだろう。
効率を極限まで追求した新世代のパワートレーン
効率を極限まで追求した新世代のパワートレーン
かつて5シリーズといえばスムーズな吹け上がりが自慢の直6エンジンを搭載していたが、F10世代の後期モデルでは全車ターボ付きとなり、走行性能と環境性能を高次元でバランスさせている。Mスポーツ仕様はローダウンサスペンションと18インチホイールにより引き締まった足まわりとなる。
BMW 523i 試乗判定レビュー

エグゼクティブクラスが愛用するクルマゆえ、後席足元の広さは余裕たっぷり。そんな巨体を動かすのは排気量わずか2Lの直4ターボ。高効率かつ環境性能に優れたユニットだ。
堂々たる体躯に成長したラグジュアリーセダン
編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回は高級乗用車として輸入車界きっての人気モデルであり、長い歴史をもつBMW5シリーズが登場です。お借りした車両は2016年モデル、グレードは「523i」、走行距離は1.7万kmです。
竹岡●そうか、今年フルモデルチェンジしたからF10は先代になるのね。
九島●この顔とホイールはMスポーツパッケージ装着車だね。
編集部●今回紹介する先代5シリーズ(F10)は第6世代にあたり、日本では2010年3月に7年ぶりのフルモデルチェンジを受けて登場しました。バリエーションモデルとして、セダンのほかにワゴンボディのツーリング、そしてハッチバックのグランツーリスモも存在します。
竹岡●パーソナルカーとして乗るには5シリーズって最大級だよね。私としては、この世代って、ちょっとコンサバで印象が薄いイメージがあるのよ。この前のE60がけっこうデザイン的にも攻めてたから余計にそう感じるのかもしれないんだけど。
九島●コンサバに感じるのは、この世代からデザインや存在が7シリーズに近くなっているからだろうね。
編集部●ボディサイズは5代目からさらに拡大し、全長4.9m、全幅1・86mに達しています。
九島●ということは、このクルマのひと世代前の7シリーズとほとんど同サイズなわけだ。それはこのセグメントが、本国のドイツをはじめとする欧州でカンパニーカーとしての需要が多いということも関係しているんじゃないかな。
編集部●インセンティブや福利厚生として、会社が社員にクルマを買い与えるという制度ですね。

九島●この世代から5シリーズは7シリーズと主要部品を共有しているから、自然とキャラクターが似てくるのかもしれないね。
竹岡●キャラクターといえばね、BMWは自然吸気の直6エンジンが有名だったじゃない。この世代からはターボ化が急に進んだよね。
編集部●おっしゃるとおりです。搭載されるエンジンは、デビュー時こそ3L直6NA(528i)が存在しましたが、上級グレードは3L直6ツインターボ(535i)、4.4L V8ツインターボ(550i)という組み合わせでした。そこからわずかに遅れて2.5L直4ターボ(523i)を追加。1年後の2011年秋には新型直4ユニットを導入して、523i(184馬力)と528i(245馬力)はともに2L直4ターボになります。
九島●ここで自然吸気エンジンはなくなるわけだ。そして代わりにディーゼルやハイブリッドが導入されると。時代の変わり目だね。
編集部●はい。2012年には3L直6ツインターボにモーターを組み合わせたアクティブハイブリッド5と2L直4ディーゼルターボ(523d)といった環境系ユニットが登場します。
竹岡●自然吸気にこだわってるのは一部のひとだけかもしれないね。そもそもBMWだけじゃなくて、右を見ても左を見てもターボなんだし。
編集部●では、そろそろ試乗をお願いします。
編集部●さて、お二人が試乗から戻って来たので感想を伺いましょう。
竹岡●(乗り心地が)硬い(笑)。
九島●最近ではロープロファイルなタイヤでも乗り心地がいいクルマが増えてるけど、これははっきりと硬め。Mスポーツはわざとこういう硬い乗り味にしているのかもね。
編集部●走行距離による劣化みたいなものは感じましたか?
九島●まったく感じなかったね。ボディ剛性やステアリングの感触もほとんど新車と変わらない。
編集部●だとしたら、5シリーズの中古車はねらい目かもしれません。たとえば今回の試乗車と同じグレードで、1年落ち、走行距離1万km未満のディーラー認定中古車が新車時価格から200万~250万円近く安く販売されています。
竹岡●そうなんだ。私たちが試乗でメーカーからお借りするテストカーでもこのくらいの走行距離はあるからね。だとすればお買い得だね。
九島●新車時色と内装外装、装備が好みだったら買いだよね。
竹岡●私だったらまずタイヤを乗り心地重視のものに変える(笑)。またはMスポーツ以外を選ぶかな。
九島●どういう風に乗るかだよね。スポーティなイメージを求めるなら内外装黒のMスポーツもいいかもしれないし、紺とかゴールドみたいな大人っぽいボディカラーをゆるーく乗るというのもアリでしょ。
竹岡●BMWの世間的なイメージって「青レンジャー」だと思うの(笑)。クールで格好よくてスポーティ。でも、定番の人気モデルを外すことで賢い買い物ができるなら、それはそれですごくいいと思うな。
編集部●ありがとうございました。
※ナンバープレートはハメ込み合成です。
BMW 523i レビュー評価

スピードメーターとタコメーターを見やすく配置しながら、液晶モニターを埋め込んで各種情報も提供。ドライバーの気持ちを盛り上げる。
人気自動車ジャーナリスト(と編集スタッフ)によるBMW 523i レビュー評価をまとめます。
※各項目に対して10点満点評価。
自動車ジャーナリスト 竹岡 圭のコメント

BMWのポジショニングを戦隊ヒーローにたとえて表現してくれた竹岡さん。格好よさが求められるだけに、コンサバなデザインが気になる様子です。
自動車ジャーナリスト 竹岡 圭
●人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2016-2017 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
ポジショニング 8点
BMW 5シリーズって、パーソナルカーとして選ぶには最大級のサイズ。だったらこれくらい落ち着き感があってもいいのかもしれないけれど、やっぱり大人しすぎ。個人的にはBMWはメルセデス・ベンツの「赤レンジャー」に対して、永遠の「青レンジャー」だと思ってるので、もう少し尖がった個性的なデザインがほしいと思ってしまうんですよね。
装備 10点
先代の最終モデルということもあって、現行型と比べても必要な装備に関しては、まったく遜色ナシと言っていいと思います。まぁ使い方にもよるんでしょうけど、今回試乗した個体に関しては、まったくヤレなどは見受けられなかったですね。個人的にはMスポーツのステアリングはやや太目なのであまり好きじゃないけど、見た目はいいね!
走り 9点
駆け抜ける喜びを体現しているブランドだと言うことは、よーくわかっているのをあえて承知で言わせていただくと・・・「硬い」(笑)。最近のスポーツカーがどんどんしなやかになっていくなかでは、乗り心地が硬いんですよね。その分ドライバーとしては気持ちイイのは間違いないですけど。その辺り、よ~く家族会議していただけるといいと思います。
自動車ジャーナリスト 九島 辰也のコメント
自動車ジャーナリスト 九島 辰也
●長年にわたり男性ファッション誌や一般誌などでも活躍し続ける自動車ジャーナリスト。その知見は広く、プライベートでも、各国のクルマを乗り継ぐ。
ポジショニング 9点
スポーティセダンといえば必ず名前が上がる5シリーズ。それだけ世界中のユーザーから信頼を集めており、それに応える内容を歴代モデルで積み重ねてきた。ライバルのメルセデスが走りを磨き上げ、アウディも実力を高めているが、その立ち位置は変わらない。スポーティにも、ラグジュアリーにも振る舞える懐の深さも持ち合わせている大人のセダンだ。
装備 10点
今年フルモデルチェンジを受けたことで旧型となったが、積極的に新技術を取り入れるBMWだから、装備面でもまったく抜かりはない。操作系は洗練されているし、ナビゲーションシステムを操作するi-Driveのレスポンスも文句なしだ。今回試乗したモデルが最終モデルだったこともあり、自動ブレーキのような先進安全装備も備わっていた。
走り 9点
正直に言ってしまえば、Mスポーツのサスペンションは硬い。運転手にとっては、まるでスポーツカーのようにダイレクト感があって楽しいが、助手席に乗っているときに「ちょっと・・・」と思うシチュエーションがあったことは報告しておきたい。エンジンについては2L直4ターボであっても十分。しかし、直6ターボはもっとパワフルで気持ちがいい。
GooWORLD編集部
今回の試乗では売れ続けている定番モデルの底力を感じました。まさに鉄板の選択肢。中古車としては、新車価格からの値下がり率が高く買い得度があります。
ポジショニング 10点
5シリーズは、オーナードライバーにとって、ひとつの「アガリのクルマ」ではないでしょうか。だれもが知っているプレミアムブランドの定番モデルで、スポーティなルックスは同クラスのモデルに対してアドバンテージですし、走りの質感や性能も期待に応えてくれるハイレベル。電車よりもクルマでの移動が多いエグゼクティブにとっては最高の1台。
装備 10点
5シリーズはBMWの中核モデル。それだけに必要なものは標準ですべて揃っています。高精細なナビゲーション画面、エアコントロールも前席だけでなく後席でも温度調整可能。電動化も進んでいて、車速に応じてステアリングギヤ比が切り替わり後輪まで操舵する高度な統合制御も搭載。安全装備についても各年代の最高レベルのものが備わっています。
走り 10点
本当に高級車というのはいいものだなと思いました。というのも、今回試乗した523iはシリーズのなかでもっともベーシックなグレード。それにも関わらず、走っていて物たりないと感じることがなかったからです。これ以上のグレードの存在は、完全に余裕というか贅沢のためにあります。確かにMスポーツの足は硬いですが、ルックスはそれ以上に魅力的。
BMW 523i DETAIL CHECK

2016年式 523i Mスポーツ(8速AT)
全長×全幅×全高 | 4920×1860×1470mm |
---|---|
ホイールベース | 2970mm |
トレッド前後 | 1600mm |
車両重量 | 1750kg |
エンジン | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 1997cc |
最高出力 | 184ps/5000rpm |
最大トルク | 27.5kg m/1250-4500rpm |
サスペンション前 | ダブルウィッシュボーン |
サスペンション後 | インテグラルアーム |
ブレーキ前後 | Vディスク |
タイヤサイズ前・後 | 245/45R18・275/40R18 |
中古車参考価格帯
170万円~570万円(2010年~2017年 ※Mモデルを除く) |
モデル主要変遷(BMW 523i)
2010.03 | フルモデルチェンジ |
---|---|
2010.07 | 「523i」を追加 |
2011.10 | 一部改良 |
2012.03 | 「アクティブハイブリッド5」を追加 |
2012.08 | 「523dブルーパフォーマンス」を追加 |
2013.11 | マイナーチェンジ |
2015.07 | 一部改良 ←今回の中古車 |
※ナンバープレートはハメ込み合成です。