車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.10.09 / 掲載日:2017.06.22
【気になる中古車試乗判定】ランドローバー レンジローバー スポーツ

2015年式 LAND ROVER RANGE ROVER SPORT
一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション!果たしてその結果やいかに!?
文●竹岡圭、九島辰也、GooWORLD 写真●GooWORLD
今月の中古車は ランドローバー レンジローバー スポーツ
トップモデルにふさわしい ゴージャスなインパネまわり
トップモデルにふさわしい ゴージャスなインパネまわり
レンジローバー系のモデルはどれも豪華なつくりだが、この「スポーツ」もブランドに相応しいクオリティ。直線基調のデザインは、旧世代のレンジを知っているひとには馴染みやすい。また見晴らしのよさも特徴で、大きな車体にも関わらず見切りがよい。見やすいナビも埋め込まれる。
サポート性のよいレザーシートを装備
サポート性のよいレザーシートを装備
車名の「スポーツ」からもわかるとおり、レンジローバースポーツは、オンロードでの高速ツアラーも念頭に置いて開発されている。内装は全体的にスポーティで、サイドサポートにも優れたシートが備わるので快適。リヤシートの居住性も高く、実用面では文句無しと言っていい。
V6とV8、ふたつのエンジンから選べる
V6とV8、ふたつのエンジンから選べる
大別すると3L V6ターボディーゼル、3L V6スーパーチャージャー、5L V8スーパーチャージャーという3タイプのエンジンが用意される。ディーゼルV6は258馬力、ガソリンV6は340馬力と、そしてガソリンV8には通常の510馬力仕様に加え、「SVR」の550馬力仕様も設定されている。
シートをたためば広大な荷室が確保される
シートをたためば広大な荷室が確保される
この手のクルマに期待するのは、居住性とラゲッジスペースの広さ。車高が低く、スポーティ寄りのレンジローバースポーツでもフル乗員時のラゲッジは広い。リヤシートを倒せばさらに拡大されるほか、サスペンションの張り出しがなく使いやすいのも特徴。あらゆるシーンで活躍してくれるはず。
ランドローバー レンジローバー スポーツ 試乗判定レビュー

快音を響かせながらレンジローバー スポーツをドライブする九島さん。エアサスは電子制御によって速度や状況に合わせた最適な車高と減衰力を提供。車内の静粛性も非常に高い。
あらゆる道を制覇する高級SUV界の王者
編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回はイギリス・ランドローバーから、レンジローバー スポーツが登場です。お借りした車両は個人所有で2015年モデル、グレードは「HSE」、走行距離は1.9万kmです。
九島●またすごい高級車がきたね。
編集部●今回紹介するのは、レンジローバー スポーツとしては2代目にあたるモデルになります。
竹岡●そうだったね。初代はもっと角ばった形だったっけ。
九島●2004年のデトロイトモーターショーで「レンジストーマー」というコンセプトカーが出品されたんだけど、その翌年、レンジローバースポーツが登場したんだよね。
竹岡●そう考えると、けっこう前からあるモデルなんだ。
編集部●2代目が日本に導入されたのは、2013年11月から。3L V6スーパーチャージャー(S/C)を搭載する「SE」、「HSE」。そして、5L V8 S/Cの「オートバイオグラフィーダイナミック」という3モデル展開です。
竹岡●今回のはV6の高い方ね。
編集部●そうです。2015年10月には、スポーティテイストを強めた「HST」(3L V6 S/C)とハイエンドの「SVR」(5L V8 S/C)を追加。ここまではすべてガソリンモデルでしたが、2016年12月の一部改良でディーゼルを追加し、グレード構成も少し変更されました。
九島●運転席のメーターが液晶のやつも選べるようになったね。
編集部●ありがとうございます。さて、そんなレンジローバー スポーツですが、新車価格は1000万円クラスですので、かなり敷居が高い。でも、中古車なら現行型でも、600万円後半から流通していますから、ちょっと夢があるかなと。

竹岡●最近のSUVはあんまり荒々しく使われることもないだろうから、中古車はアリだよね。とくにレンジは、まず乱暴に扱われてないでしょ。
九島●そもそも論なんだけど、レンジローバーって、SUVというジャンルでは語れないのかもしれない。
編集部●それはどういう意味ですか。
九島●レンジローバーといったら、だいたいこういう感じでしょ。四角いスタイルで、オフロード性能はすごいんだけど、街中でも上質な乗り味で室内にも高級感があるっていう。
竹岡●そういうクルマしか作ってないからね(笑)。
九島●むしろほかのメーカー、マーケットが、レンジローバーという存在に近寄ってきたわけ。何しろレンジローバーは1970年から作り続けられているわけだから。でも、ランドローバーも世のニーズをみていて、レンジローバー スポーツという存在でちゃんと対応したんだよね。
竹岡●レンジローバーを変化させるんじゃなくて、レンジローバースポーツという新しいモデルを立ち上げたのも上手だよね。廉価版ではなく、ユーザーフレンドリー。砂漠は行かないけど、本格的な性能がほしいってひと向けかな。
九島●初代はメカがディスカバリーだったけど、2代目はレンジがベース。そういう意味でもいいね。
編集部●では、そろそろ試乗の方、よろしくお願いします。
編集部●さて、試乗から戻ってまいりましたが、乗り味などのお話をさせていただければと。それにしても、今回はいつになく九島さんがノリノリでしたね。
竹岡●なんか自分のクルマみたいに馴染んでた(笑)。
九島●レンジローバーは日本だけじゃなくて、本国でも含めてこれまでたくさん乗ってきたからね。
編集部●そんな九島さんの評価が気になるのですが、いかがですか?
九島●いいと思うよ。試乗した個体が2万kmくらいだったというのを差し引いても、まったく問題なし。ただ、個人的にはV8がいいな。
竹岡●この3L V6だってけっこう速いんだけどね。スーパーチャージャーもついてるし。レンジと言えばさ、昔初めて試乗したとき、ドラポジを取ろうとしても足が届かなかったのね。でも、このクルマはそんなことなかった。私は身長160cmなんだけど、ちゃんと運転しやすかった。
編集部●どんなひとにオススメできますか?
竹岡●いろんなブランドがSUVを出していて、どれも性能的には十分以上。それでも、レンジには独自の世界観がある。「高級SUVといえば、やっぱりレンジローバーでしょ」っていうひと向けなんじゃないかしら。
九島●子供のときから服装がトラッドなひとっているじゃない。いるでしょ?デフォルトが紺ブレ、ボタンダウンっていう。そういうひとにはぴったりだと思うよ。
竹岡●わかる!そして似合う!
編集部●英国王室御用達ですから。上品な格好とのマッチングがいいのでしょう。まさに輸入車のなかでも「ブランド物」ということですね。
※ナンバープレートはハメ込み合成です。
ランドローバー レンジローバー スポーツ レビュー評価

見やすいデザインの2眼式メーター。中央には液晶モニターが埋め込まれ、各種情報が表示される。試乗車は走行2万km弱でコンディションは新車を思わせるような良好なものだった。
人気自動車ジャーナリスト(と編集スタッフ)によるランドローバー レンジローバー スポーツ レビュー評価をまとめます。
※各項目に対して10点満点評価。
自動車ジャーナリスト 竹岡 圭のコメント

最近SUVに興味津々だという竹岡さんは、レンジスポーツの乗り味にうっとり。大型車ではありますが、視界がいいため女性でも運転しやすいとのことでした。
自動車ジャーナリスト 竹岡 圭
●人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2016-2017 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
ポジショニング 10点
SUV流行りの昨今ですが、ランドローバーは老舗中の老舗。SUV専門メーカーですし、英国王室御用達。ブランド力で一線を画していると思います。そのなかでもレンジローバー系列として、もう少し気軽に街中でも使える仕様、いわゆるアーバンスタイルとして作ったSUVですから、ただ単に流行りに乗っかっただけのように見えないのもいいんです。
装備 10点
レンジローバー系列としてその名を冠して作られているモデルですから、しつらえは完璧なレンジローバー仕様。気品が違います。やっぱり風格が違うんですよね。もちろんインテリアだけでなく、機能的にも申し分ナシのトップクオリティ装備。いま流行りの自動運転系こそないものの、SUVとして必要以上の装備を備えていると言っていいでしょう。
走り 10点
いわゆる真のレンジローバーのコマンドポジションは、私の体格だと少々ポジションが取りにくいんですが、こちらはメインステージのひとつに都会&街中も想定されているせいか、そこまで限定されたポジションになっていないので、運転しやすいんですよね。元々サイズ以上の取りまわしのよさを持っているレンジローバーですから、文句ナシです。
自動車ジャーナリスト 九島 辰也のコメント

イギリスのランドローバーを訪れ、貴重なクラシックモデルなどその歴史に触れた経験を持つ九島さん。「レンジはレンジというジャンル」とはまさに名言です。
自動車ジャーナリスト 九島 辰也
●長年にわたり男性ファッション誌や一般誌などでも活躍し続ける自動車ジャーナリスト。その知見は広く、プライベートでも、各国のクルマを乗り継ぐ。
ポジショニング 10点
どんなにほかのブランドが高級SUVを作ったとしても、レンジローバーには40年以上の歴史と確固としたポリシーがあって揺るがない。その軸をしっかりと維持しながら、レンジローバー スポーツという現代のニーズに合わせたモデルを登場させるところにランドローバーの強さとしたたかさがある。レンジに比べ、より都会的なスタイルも魅力的だ。
装備 10点
シートポジションこそ若干乗用車的な低めなものとなるが、それ以外はいつものレンジローバー流。すなわち、レザーをふんだんに使った上質な空間がドライバーやパッセンジャーを包み込む。さらに、タッチパネル式のナビモニターに周囲を写し出すカメラも接続されているなど、使い勝手にも配慮されている。装備に不満を感じることはまずないだろう。
走り 9点
今回試乗した3L V6スーパーチャージャーエンジンは、高回転までまわることで十分なパワーを確保していたが、このパッケージングには本来はV8がデフォルトだと思う。ラグジュアリーカーにはそれにふさわしいパワーパックがある。それ以外はフットワークのしなやかさも含めてレンジ流が貫かれている。長年積み重ねられてきたブランドの強みだ。
GooWORLD編集部
輸入車のなかでも、さらに憧れであるレンジローバー。かつては故障の話もありましたが、新車保証の充実や認定中古車の存在により安心感も高まっています。
ポジショニング 10点
クルマにそれほど詳しくないひとでも知っているブランド力の高さと、現代の流行にマッチする都市型にアレンジされたキャラクターはまさに最強クラス。これまでレンジを乗り継いできたひとだけでなく、新たにレンジワールドに入りたいというユーザーにとっても、親しみやすいでしょう。現行型でありながら、中古車市場でのタマ数もそれなりにあります。
装備 10点
インテリアはいかにも高級な上質感のある素材で囲まれていて、それだけでテンションが上がります。さらにレンジローバーの伝統であるオフロード性能についても、最新テクノロジーによってしっかりフォロー。坂道でも一定の速度をキープするHDC、エンジンなどを統合制御して最適な走行モードをクルマが選ぶテレイン・レスポンスなど充実です。
走り 10点
オールアルミ製モノコックボディを採用し、全モデルに標準装備のエアサスペンションは高度な電子制御を採用するなど、そのメカニズムはハイテクそのもの。その結果としてオンロードでは普通の乗用車感覚でコーナリングでも怖さを感じることはありません。運転支援系のアイテムこそ備わっていませんが、運転していて本当に疲れにくいクルマでした。
ランドローバー レンジローバー スポーツ DETAIL CHECK

ランドローバー レンジローバースポーツ HSE(8速AT)
全長×全幅×全高 | 4855×1985×1800mm |
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ホイールベース | 2920mm |
車両重量 | 2250kg |
エンジン | V6DOHC+スーパーチャージャー |
総排気量 | 2994cc |
最高出力 | 340ps/6500rpm |
最大トルク | 45.9kg m/3500rpm |
サスペンション前 | ダブルウィッシュボーン |
サスペンション後 | マルチリンク |
タイヤ前後 | 255/55R20 |
中古車参考価格帯
680万円~1200万円(2013年~2016年 ※SVRを除く) |
モデル主要変遷(ランドローバー レンジローバー スポーツ)
2013.11 | フルモデルチェンジ ←今回の中古車 |
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2015.10 | 「HST」、「SVR」を追加 |
2016.12 | 「SE」およびディーゼルモデルを追加 |
※ナンバープレートはハメ込み合成です。