車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.29 / 掲載日:2015.07.31
親しみやすいスタイルが人気のファニーカー

見た目はキュート、インテリアは上質。ラパンは、実用主義のモデルとは一線を画するこだわりの軽自動車だ。多くの女性に愛される、「オシャレうさぎ」ことラパンの魅力を探っていこう。
スズキ アルトラパンはこんなクルマ
NEW 3rd(HE33S/生産期間:2015年~)
新車価格帯:107万7840円~149万2560円(全グレード)
主要諸元
スズキ アルトラパン X(CVT)
全長×全幅×全高:3395×1475×1525mm
ホイールベース:2460mm
トレッド前/後:1295/1300mm
車両重量:680kg
総排気量:658cc
エンジン:直3DOHC
最高出力:52ps/6500rpm
最大トルク:6.4kg m/4000rpm
JC08モード燃費:35.6km/L
サスペンション前:ストラット
サスペンション後:トーションビーム
ブレーキ前/後:ディスク/ドラム
タイヤ前後:155/65R14
女性ニーズを目指したカワイイ文化の象徴
21世紀に入り、日本を代表するカルチャーとして世界中に広まった「カワイイ文化」。7年半ぶりにフルモデルチェンジしたアルトラパンは、日本のカワイイ文化が創り出した“女性のためのクルマ”といっていいだろう。とても日本らしい。
ラパンはいわゆる「セダンタイプ」の軽自動車でワゴンRやスペーシアなど背の高いモデルでは入庫できない一般的な機械式立体駐車場も使えるパッケージング。プラットフォームは新型アルトと共用し、車体は徹底的な軽量化が施され、わずか650kg(Gグレード)という軽さ。おかげで走りは軽快で燃費も乗り心地も軽自動車トップ水準だ。
先代までの累計で約64万台が販売されているが、そのユーザーの9割以上が女性。かわいらしさを具現化したエクステリアからインテリアの雰囲気まで、女性向けを前提としたクルマづくりがおこなわれている。
女性ニーズの反映は見た目だけではない。たとえば快適装備として、女性に評判の「ナノイー」はスズキの新型車として初採用。日焼けを嫌う女性のニーズを反映し、紫外線を約99%カットし日焼けを防ぐガラスをフロントドアの窓に装備(フロントウインドウも同様の効果がある)している。また、車両を真上から見下ろすような俯瞰画像を表示して安全確認や車庫入れを助ける全方位モニターもスズキの新型車として初めてオプションで設定した。
激戦区の軽自動車界でラパンは、ターゲットを絞った明確なコンセプトで大きな存在感を身につけているのである。
新型ラパンの注目ポイント

ナノイー搭載オートエアコンで快適
「X」グレードにはフルオートエアコンを採用し、設定した温度を自動でキープしてくれる。イオンを放出することで車内の脱臭や菌・ウイルスの抑制をおこなうほか、髪や肌に潤いを与える「ナノイー」も内蔵する。

メーターには音声案内機能を搭載
メーターは数字を放射状に入れたクラシカルなデザインで、文字が浮いているように見えるのも特徴。液晶はウサギのイラスト表示を数多く用意し、「ドアが開いています」など車両情報を音声でも伝える機能を追加した。

おしゃれな家具を思わせる室内デザイン
カフェのカウンターのような木目調のパネルをコーディネートし、ナビは白い縁で囲んでタブレット端末のような仕上げにするなどインテリアは細部までオシャレデザインが貫かれている。まるでデザイン雑貨のよう。

JC08モード35.6km/Lの低燃費
メカニズムの基本は、燃費性能で軽自動車トップを走るアルト。軽量ボディやエンジンの高効率化を徹底的に煮詰め、ハイブリッドなど高価なシステムを使わずハイブリッド車並みの低燃費を実現。おサイフに優しい。

選んで楽しい全8色のボディカラー
フレンチミント、シフォンアイボリー、コフレピンク、そしてフォーンベージュの4色にはルーフを白く塗った2トーンカラーも設定。洋服をコーディネートするかのような、ボディカラーを選ぶ楽しさが詰まっている。
RIVAL ライバル
HONDA N-ONE ホンダ Nワン
新車価格帯:118万5000円~173万3429円(全グレード)
ターボエンジンの走りが頼もしい
1967年にホンダが発売したN360を連想させるフロントマスクが個性的。背が高く、乗車感覚などはハイト系に近い。加速が力強く、高速道路巡航でも頼れるターボエンジンも選べる。
DAIHATSU MIRA COCOA ダイハツ ミラココア
新車価格帯:118万8000円~165万2400円(全グレード)
室内の広さが自慢
ラパンとおなじく「カワイイ路線」をねらうモデルで、内外装のコーディネートが幅広いのも特徴。ラパンよりも背が高いが、ルーフレール装着車以外は一般的な機械式立体駐車場への入庫も可能だ。
HISTORY ヒストリー
2002 | 初代アルトラパンを発売 |
2008 | 2代目アルトラパンを発売 |
2015 | 3代目アルトラパンを発売 |
世代別中古車物件比率

中古車の数は全体的にかなり多く、両世代ともに新車販売時の人気が伺える。初代は02年登場だが、今でも全体の半数近くを占める。しかしもっとも多いのは先代だ。
※すべての価格は参考価格です

初代のデザインコンセプトを引き継ぎながら低燃費とゆとりの室内空間を実現した2代目
11代目カローラは先代モデルから全長を短くして取り回し性を向上。さらにハイブリッドを設定し燃費性能にもこだわった。先日のマイナーチェンジではフロントデザインも大幅変更された。
2nd(HE22S/生産期間:2008年~2015年)
中古車参考価格帯:50万円~130万円(※ショコラを除く)
主要諸元
2008年式 スズキ アルトラパン X(4速AT)
全長×全幅×全高:3395×1475×1510mm
ホイールベース:2400mm
トレッド前/後:1295/1290mm
車両重量:800kg
総排気量:658cc
エンジン:直3DOHC
最高出力:54ps/6500rpm
最大トルク:6.4kg m/3500rpm
10・15モード燃費:22.5km/L
サスペンション前:ストラット
サスペンション後:I.T.L.
ブレーキ前/後:ディスク/ドラム
タイヤ前後:155/65R14
後席が広くなって実用性が大幅に向上
初代からの変化として2代目に盛り込まれた最大のユーザーメリットは、後席スペースの拡大だ。先代に対して2世代新しいタイプのプラットフォームを採用したことで。パッケージングは激変。ボンネットが短くなり、前後席間距離が伸びたことで後席足元が先代とは比較にならないほど広がった。後席を使うことの多いユーザーにとっても、積極的にオススメできるモデルになった。
エクステリアデザインは、初代がレトロ感に満ち溢れた意匠だったのに対し、2代目は内外装ともにモダンな処理を実施。しかし、ひと目でラパンだとわかるスタイルを継承しているのは言うまでもない。
そして新たに加わったのが遊び心。たとえばドアには好きな写真を飾れるフォトフレームが用意され、メーターパネルの液晶表示部にはうさぎ(「ラパン」はフランス語でうさぎを意味する)のイラスト入りメニューがいくつも用意されている。そして特徴的なのが「隠れうさぎ」。ステアリングの中央など内装から前後のランプやエンブレムなどエクステリアまで、うさぎのイラストが50カ所以上描かれ、合計数は150匹以上とも言われている。
初代の欠点だった後席の狭さを解消し、新たに「遊び心」を盛り込んで進化したのが2代目の特徴だ。
EXTERIOR エクステリア
洋服を選ぶ感覚でコーディネートしたい
ラパンの特徴は「カッコイイ」でもなければ「高級そう」でもない、キュートなデザイン。女性ユーザーを意識したファッショナブルな雰囲気は、服やバッグを選ぶ感覚の延長線上でコーディネートを楽しみたくなってくる。

INTERIOR インテリア
モダンになったインパネ後席は足元が広くなった
インパネは先代ほど徹底したクラシカルデザインではなくなったが、丸形の一眼メーターとするなどキュートな雰囲気は受け継いだ。文字盤は文字を放射状に入れたレトロテイストだ。後席は足元がゆったり足を組めるほどに広がった。

SAFETY セーフティ
一部グレードにはサイドエアバッグも設定
衝撃吸収ボディの性能向上、頭部衝撃軽減構造のインテリア、そしてシートベルトを簡単に装着できる自立式バックルの後席への採用拡大など安全性はさらに向上。「TLパッケージ」にはフロントシートサイド&カーテンエアバッグもオプションで用意する。

多彩なボディカラーで好みのラパンが探せる
用意されたボディカラーは淡い色を中心に10色。さらに「X」グレードではルーフを白く塗った2トーン仕様も選択できる。インテリアカラーは3色設定されていた。
CVTを新たに搭載することで10・15モード燃費24.5km/Lを達成

エンジンの改良やトランスミッションのCVT化(上級グレード)などで、燃費性能もレベルアップ。自然吸気エンジンの「G」と「X」はデビュー時に24.5km/L、最終モデルでは26.0km/Lという低燃費を身に付けた。
MARKET DATA マーケットデータ
高年式でも100万円以下の低予算でねらえる
登場から時間が経過し、全年式を通して相場は下がった先代ラパン。もっとも数が多い「G」の7年落ちが61万円、5年落ちが68万円、3年落ちが80万円と安くなり、低走行車が多いことと相まっていま買い時を迎えている。グレード別に見ると「X」や「T」は高めだが、後者は数が極端に少ない。
グレード×年式別相場
2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
G | 61万円 | 62万円 | 68万円 | 75万円 | 80万円 | 86万円 | 94万円 | 93万円 |
X/XL | 72万円 | 70万円 | 74万円 | 85万円 | 87万円 | 95万円 | 109万円 | 122万円 |
T/TL | 62万円 | 73万円 | 76万円 | 94万円 | 98万円 | 100万円 | 118万円 | – |
走行距離×年式別相場
2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1万km未満 | – | 78万円 | 84万円 | 100万円 | 90万円 | 96万円 | 101万円 | 96万円 |
1万km~3万km | 87万円 | 77万円 | 81万円 | 86万円 | 88万円 | 86万円 | 97万円 | – |
3万km以上 | 66万円 | 65万円 | 70万円 | 78万円 | 79万円 | 88万円 | – | – |
年式
08年から15年のロングライフを誇った先代ラパン。もっとも多いのは14年式だが、どの年式もまんべんなく存在。走行距離
登場から7年が経過するラパンだが、走行距離が短いものがほとんど。1万km未満が4割ほど存在する。

グレード
もっとも多いのはベーシックモデルの「G」。上級の「X」と「XL」も半数近く存在。ターボ車「T」は僅か。
2nd(HE22S/生産期間:2013年~2015年)
“カワイイ”をさらに詰めこんだラパン派生の「ショコラ」も登場
もっと上質なラパンが欲しい。そんな声に応えて登場したのが2013年にデビューしたバリエーションモデルの「ショコラ」だ。さらなる個性を求める人にとって魅力的な選択肢である。
ALTO LAPIN Chocolat
中古車参考価格帯 80万円~150万円(13年~15年式 ※ショコラのみ)
主要諸元
2014年式 スズキ アルトラパン ショコラ X(CVT)
全長×全幅×全高:3395×1475×1515mm
ホイールベース:2400mm
トレッド前/後:1295/1290mm
車両重量:800kg
総排気量:658cc
エンジン:直3DOHC
最高出力:54ps/6500rpm
最大トルク:6.4kg m/3500rpm
JC08モード燃費:26.0km/L
サスペンション前:ストラット
サスペンション後:I.T.L.
ブレーキ前/後:ディスク/ドラム
タイヤ前後:155/65R14
丸型ヘッドライトが魅力の派生モデル
2代目ラパンの派生バーションが「ショコラ」。なんとも甘そうなネーミングを持つモデルの特徴は、若い女性好みのエクステリアと上質なインテリアコーディネートである。
丸型ヘッドランプを採用したフロントマスクは、メッキのバンパーに「Lapin」のエンブレムを組み合わせることでレトロ感を強調。どことなく懐かしい印象でほっこりさせてくれる。単に「カワイイ」だけではなく、程よく暖かみを増したスタイルが魅力だ。
インテリアはかわいらしさよりも上質感の向上が図られ、イメージは「小さな高級車」である。
EXTERIOR&INTERIOR エクステリア&インテリア
レザー調のインテリアが魅力
エクステリアで目を惹くのは丸目のヘッドライト。通常のラパンとはテイストの違う、よりかわいらしい雰囲気を作ることに成功している。インテリアのポイントはレザー調の、ひときわ上級な仕立て。深みのあるブラウンに赤やアイボリーを合わせた内装色は、スイーツを連想させる。

MARKET DATA マーケットデータ
人気のショコラは3代目の登場後も高値安定
先代ラパンのなかでも目を引くショコラ。特別仕立ての内装が評価され、中古車市場でも大人気モデルとなっている。モデルライフ後半に登場したが、Goo-net登録台数は800台を超える。ただし100万円を切る物件が少なく、現状ではまだ相場が高め。
グレード×年式別相場
2013年 | 2014年 | 2015年 | |
---|---|---|---|
G | 107万円 | 112万円 | 112万円 |
X | 109万円 | 120万円 | 125万円 |
走行距離×年式別相場
2013年 | 2014年 | 2015年 | |
---|---|---|---|
5000km未満 | 112万円 | 118万円 | 119万円 |
5000km以上 | 105万円 | 111万円 | – |
年式
物件がもっとも豊富なのが登場翌年の2014年式で69%。今年登録されたばかりの中古車も数多く流通している。グレード
ショコラは「G」と上級仕様「X」の2グレードで構成される。IRカットガラスを装備する後者の割合が多い。

走行距離
ほとんどの中古車が1年落ち未満の新しいものばかりなので、基本的に5000km未満の低走行車両が中心となる。
1st(HE21S/生産期間:2002年~2008年)
レトロモダンなデザインが老若男女に支持された初代
それまでの軽自動車とは一線を画するオシャレな雰囲気がラパンの特徴。そのスクエアなデザインは完成度が高く、今でも古さを感じない。
2002年式 スズキ アルトラパン X(4速AT)
中古車参考価格帯 20万円~90万円(02年~08年式 ※SSを除く)
主要諸元
2002年式 スズキ アルトラパン X(4速AT)
全長×全幅×全高:3395×1475×1505mm
ホイールベース:2360mm
トレッド前/後:1295/1290mm
車両重量:780kg
総排気量:658cc
エンジン:直3DOHC
最高出力:54ps/6500rpm
最大トルク:6.4kg m/3500rpm
10・15モード燃費:19.0km/L
サスペンション前:ストラット
サスペンション後:I.T.L.
ブレーキ前/後:ディスク/ドラム
タイヤ前後:155/65R13
レトロだけど決して懐古趣味ではない
いまと違い、2002年の軽自動車業界には「オシャレ」という概念はほとんどなかった。90年代後半にレトロ軽自動車ブームが起きたものの、21世紀に入るとすっかり沈静化。そんななか、スズキがつぎの一手として送り出したのがアルトシリーズの初代アルトラパンだった。
スタイリングはレトロではあるが、かつてのレトロカーと大きく異なるのはそのつくり方。レトロカーが通常モデルをベースにしてメッキのグリルなどで飾り立てたのに対し、ラパンはボディ自体が専用設計。「部分」ではなく全体のデザインでレトロを表現していて、闇雲にクラシカルなグリルやメッキ部品で演出していないのが大きな違いである。
単なる実用車ではなく、そのクルマを所有することでライフスタイルが充実するような存在となった、エポックメイキングな軽自動車といえるだろう。

左右に広がるホワイトのパネルにより、60年代に見られた鉄板むき出しのインパネをイメージさせる。シートもソファ調デザイン。
マニュアル操作で運転を楽しめるホットバージョン「SS」も設定
「かわいいラパン」の中での異端児が「SS」。ターボエンジンにマニュアルミッションを組み合わせた“足の速いうさぎ”で、丸型ヘッドライトにエアロパーツを組み付けた昔の競技車両を髣髴とさせるスタイルも人気だ。

中古車参考価格帯 40万円~130万円(03年~08年式 ※SSのみ)

IMPRESSION
自動車ジャーナリスト工藤貴宏の○と×
GOOD
小手先だけのレトロだけでなく高いデザインの完成度
最大の見どころはデザインのまとまりだ。細部をいじって強引にレトロやオシャレに仕立てているのではなくプロポーションからしっかりと作りこまれているので軽薄さがなく、本物感が宿っているのは見事。内装も期待を裏切らず、初代から伝統的に軽自動車らしからぬ上質感が漂うのも大切な部分だ。生活感がないのが人気の秘訣だろう。
BAD
女性向けを意識しているから男性は乗りにくい!?
きわめて個人的なことを言えば、このクルマが自分に似合うとは思えない。ターゲットを女性と明確にして絞り込んだことで、男性(とくにオジサン)は似合わないデザインや雰囲気となってしまっているからだ。万人向けではないという意味でここでは「BAD」としたが、ターゲット層の女性にとってはむしろGOODポイントだろう。
※すべての価格は参考価格です
※中古車参考価格はすべてGoo-net7月調べ