車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.29 / 掲載日:2015.07.03

ワクワクをとことん積める箱型ミニバンのパイオニア

HONDA STEPWGN

「5ナンバーのボックス型ミニバン」は日本で大人気となっているジャンルのひとつ。そのパイオニアが、ステップワゴンだ。進化の歴史は、ライバルの追従をリードする独自の発想にある。

ステップワゴンはこんなクルマ

5ナンバー枠に収まる手ごろなサイズの車体(5代目スパーダを除く)にゆったりと多人数が乗車できる広い室内が自慢のミニバン。かつての多人数乗用車は「商用車の豪華版」だったが、初代ステップワゴンは、はじめて乗用車専用設計を施したパイオニアだ。

new 5th (RP型/生産期間:2015年~) 

  • ホンダ ステップワゴン スパーダ クールスピリット(CVT)

    新車価格帯:228万8000円~308万1400円(全グレード)

  • 主要諸元
    ホンダ ステップワゴン スパーダ クールスピリット(CVT)
    全長×全幅×全高:4735×1695×1840mm
    ホイールベース:2890mm
    トレッド前/後:1470/1485mm
    車両重量:1700kg
    総排気量:1496cc
    エンジン:直4DOHC
    最高出力:150ps/5500rpm
    最大トルク:20.7kg m/1600-5000rpm
    JC08モード燃費:15.4km/L
    サスペンション前:ストラット
    サスペンション後:車軸式
    ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク
    タイヤ前/後:205/55R17

一度使うと手放せない「わくわくゲート」

新型ステップワゴン、それは何とも革命的なモデルである。室内を広くしたり工夫を凝らした収納スペースを盛り込んだりと、ミニバンとしての正常進化はもちろんのこと、新たに投入された2つの新アイテムがなんとも凄いのだ。
ひとつは心臓となるエンジン。これまでこのクラスは排気量2Lのエンジンが主流だったが、新型ステップワゴンはなんと1.5Lしかない。それで大丈夫なのか?と思うひともいるかもしれないが、心配ご無用。ターボを装着してパワーを補うことで、これまでの自然吸気2Lエンジン同様の加速性能を手に入れているのだ。いわゆるダウンサイジングというやつである。
そのうえ最新ターボエンジンの特徴である低い回転域から力を発生する特性が、街中での発進加速にマッチしていて、従来のモデルよりも力強い運転感覚なのだから魅力的。高回転域を使うことが少なくなるから燃費もよくなり、自動車税も従来モデルより年間で5000円安く済むという、一石三鳥のエンジンなのだ。
もうひとつの特徴、そして新型ステップワゴンの実用性をライバルから大きく引き離した飛び道具と言えるのが「わくわくゲート」。リヤゲートを通常の上側だけでなく、横にも開くようにした仕掛けである。
このわくわくゲートがまたすごい。メリットは上に開くよりも簡単にラクな姿勢で開閉できることと、車両後方が狭くても開けられること。実際使ってみると横開きの便利さは想像以上で、「普段はこの方法でしか開けない」と思えるほどだ。
もちろん、大きな荷物を積む際などは従来どおり上にも開く。これまでも横開きゲートは存在したが「横にも上にも開く」のはステップワゴンがはじめてで、なんとも衝撃的だ。
ライバルがしのぎを削るこのジャンルは、「広くて便利」というのはもう当たり前。そんななか、2つの武器を手に入れたステップワゴンはライバルを”大きく”リードしたと言わざるを得ない。

新型ステップワゴン注目のポイント!

1.5Lターボを搭載し燃費性能をアップ

1.5Lターボを搭載し燃費性能をアップ
排気量わずか1.5Lながらターボの助けを借りることで、一般的な走りで使う領域でのトルク(エンジンの粘り強さ)は、自然吸気2.4Lエンジンと同程度。運転しやすく力強いだけでなく、従来モデルの2.0L自然吸気エンジンより優れた燃費も実現。

使い勝手に優れた「わくわくゲート」を採用

使い勝手に優れた「わくわくゲート」を採用
箱型の自動車では世界初採用となる、縦開き(上下開閉)と横開きを両立したテールゲート。縦開きと横開きはどちらも一長一短あるが、シチュエーションに応じて使い分けできるというのが見事だ。ここから乗員が乗り降りすることも考えられている。

3列目を床下収納できる「マジックシート」

3列目を床下収納できる「マジックシート」
3列目シートは先代に引き続き床下収納式。ただし実用性は大きく引き上げられている。左右一体だった先代に対して新型では左右分割格納できるようになり、荷室側(後方)からだけでなく居住側(前方)からも倒せるなど大幅に進化したのだ。

RIVAL ライバル

icon トヨタ ノア

  • トヨタ ノア

    新車価格帯:227万3143円~305万4857円 (全グレード)

  • 本格ハイブリッドも用意している
    ステップワゴンやセレナにはない特徴が、本格的なハイブリッドシステムの搭載。メカニズムはプリウス譲りで、ライバル中もっとも優れた燃費やスムーズかつ力強い走りが自慢だ。

icon 日産 セレナ

  • 日産 セレナ

    新車価格帯:224万6400円~353万1600円 (全グレード)

  • ライバルを凌駕する多彩なシートアレンジ
    状況に応じて変更できるシートアレンジの多彩さでライバルをリード。最小限の価格アップで燃費を高める簡易的なハイブリッドシステムや性能の高い自動ブレーキも魅力である。

HISTORY モデルヒストリー

1996年5月初代ステップワゴンを発売
2001年4月2代目ステップワゴンを発売
2005年5月3代目ステップワゴンを発売
2009年10月4代目ステップワゴンを発売
2015年4月5代目ステップワゴンを発売

世代別中古車物件比率

世代別中古車物件比率

もっとも多いのが先々代のステップワゴンで39%。次は先代が多い状況。2代目は数が多いが状態がよいのは減りつつある。初代の割合はかなり少ない。

※すべての価格は参考価格です

HONDA STEPWGN

4th (RK型/生産期間:2009年~2015年)

クラス最大の室内空間と3列目床下収納でさらに使い勝手を高めた4代目ステップワゴン
革命児だった3代目を経て再び「クラス最大の空間を確保する」という方向にシフトした4代目。高い天井によるゆったりした頭上空間と大きな窓がもたらす開放感がうれしい。

ステップワゴン G Lパッケージ(CVT)

ホンダ ステップワゴン G Lパッケージ(CVT)

中古車参考価格帯:110万円~260万円 (2009年~2015年式 ※全グレード)

主要諸元
2009年 ホンダ ステップワゴン G Lパッケージ(CVT)
全長×全幅×全高:4690×1695×1815mm
ホイールベース:2855mm
トレッド前/後:1470/1460mm
車両重量:1600kg
総排気量:1997cc
エンジン:直4SOHC
最高出力:150ps/6200rpm
最大トルク:19.7kg m/4200rpm
10・15モード燃費:14.2km/L
サスペンション前:ストラット
サスペンション後:車軸式
ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク
タイヤ前/後:195/65R15

3列目の格納方法はライバルと大違い

4代目ステップワゴンは「圧倒的な広さよりも走りの爽快感」だった3代目の方向性から大転換。とにかく広くもっと実用的に、というクルマ作りになった。
従来(3代目)どおりの床の低さのまま天井が高くなり、室内高は45mmも拡大。3代目でもライバルと同水準だったが、4代目になりライバルを超えるゆとりを手に入れたのだ。広いガラスエリアによる開放感も自慢である。
そんな4代目ステップワゴンには、ライバルにはないアイデアが採用された。3列目シートの格納方法を一般的な左右跳ね上げ式ではなく、床下格納式としたのだ。
メリットはスッキリとシートを仕舞えること。格納時の、まるで最初から3列目が無かったかのような様子はライバルと一線を画する。
このシート格納方法は、日常的に3列目を畳んでおくユーザーにはじつに都合がいい。セレナヴォクシーノアが採用する左右跳ね上げ式は畳んだシートが斜め後方視界の邪魔をするが、床下格納ならまったく邪魔にならないのである。
3列目を畳んだシーンが多いユーザーにも配慮した格納方法の採用。それがライバルと異なる、4代目以降のステップワゴンの最大の個性だ。

INTERIOR インテリア

開放感あふれドライブもリラックス
4代目ステップワゴンは、1列目から3列目までどの列に座っても快適に過ごせる広さが用意されている。上面を低くデザインしたインパネにより前方視界が抜群に優れるほか、サイドウインドウが大きいから2列目や3列目に座るひとも大パノラマで風景を楽しめる。

INTERIOR インテリア

INTERIOR インテリア

UTILITY ユーティリティ

みんなにやさしいだれもが納得の実用性
天井が高くなったとはいえ床の低さは先代同様だから、地面と床との高低差が少なく乗り降りのしやすさはライバルに差をつけたポイント。大きな容量で室内随所に配置された収納スペースなどはいわずもがなだ。2列目シートは、3人掛けと2人掛けを選択することが可能だった。

UTILITY ユーティリティ

UTILITY ユーティリティ

MECHANISM メカニズム

  • MECHANISM メカニズム

  • より実用燃費を高めるパワートレインの進化
    エンジンは従来あった2.4Lを廃止し、2Lに一本化。ロングストローク化や可変吸気量制御i-VTECの採用によって低回転域のトルクを向上させ、低燃費化もはかられている。エンジンやトランスミッションの制御を低燃費指向にする「ECON」スイッチも採用。

SPADA

エアロルックが人気のスパーダも同時デビュー
エアロスタイルとブラック内装が特徴的な「スパーダ」だが、室内の仕立ても本革巻きステアリングの装備化など上質になっているのも見逃せない部分だ。走りも引き締めている。

SPADA

マイナーチェンジで新世代CVTを搭載

マイナーチェンジで新世代CVTを搭載

2012年4月(4WD車は5月)のマイナーチェンジでは新開発のCVTを搭載。このCVTはより高効率化され、さらなる低燃費化をサポートしている。同時にFF車はアイドリングストップ機構を新採用した。

MARKET DATA マーケットデータ

新型が登場したことで今後は大きく値下がりすると予想
物件数も豊富で幅広い予算から選べる先代ステップワゴン。相場は、5年落ち(2010年式)の「G」で141万円、3年落ち(2012年式)の同グレードで164万円。スパーダは10万~20万円ほど相場が高くなるが、全体的に見ると150万円程度の予算があれば十分ねらえる。今後はさらに下がるだろう。

グレード×年式別相場

2009年2010年2011年2012年2013年2014年
G131万円141万円153万円164万円177万円208万円
L/Li124万円148万円166万円193万円
スパーダS161万円160万円173万円170万円228万円241万円
スパーダZ/Zi159万円170万円189万円210万円230万円247万円

走行距離×年式別相場

2009年2010年2011年2012年2013年2014年
3万km未満152万円174万円185万円198万円218万円208万円
3万km~5万km147万円164万円173万円191万円190万円210万円
5万km以上116万円156万円159万円162万円137万円
  • 年式

    年式
    もっとも多いのがデビュー翌年の2010年式。次に多いのがマイナーチェンジが行われた2012年式だ。

  • 走行距離

    走行距離
    極端に走行距離が短い物件は少ない。3万km未満、3万~5万km、5万km以上がほぼ同程度存在する。

グレード

グレード
標準車とスパーダの比率を見ると、圧倒的にスパーダが多い。なかでも上級の「Z」系グレードが豊富。

3rd (RG型/生産期間:2005年~2009年)

低床・低車高化を図りハンドリング性を向上リビングルームのようなくつろぎ感も同時に実現
「とにかく大きな室内スペースを実現する」という初代から2代目に受け継がれたコンセプトは、3代目で方向転換。居住スペースはほぼそのまま、床と天井を低くする新パッケージングを取り入れた。

ホンダ ステップワゴン G(4速AT)

ホンダ ステップワゴン G(4速AT)

中古車参考価格帯 50万円~160万円 (2005年~2009年式)

主要諸元
2005年 ホンダ ステップワゴン G(4速AT)
全長×全幅×全高:4630×1695×1770mm
ホイールベース:2855mm
トレッド前/後:1470/1460mm
車両重量:1500kg
総排気量:1998cc
エンジン:直4DOHC
最高出力:155ps/6000rpm
最大トルク:19.2kg m/4500rpm
10・15モード燃費:13.2km/L
サスペンション前:ストラット
サスペンション後:車軸式
ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク
タイヤ前/後:205/65R15

まさにミニバン革命児低床がメリットを生む

箱型ミニバンは背の高いもの。そんな常識を打ち破る、ホンダらしいチャレンジングな商品企画が3代目ステップワゴンだ。
先代(2代目)に比べて天井はなんと75mmも低く設定。しかし単に天井を低くして室内を狭くしたのではなく、床を60mmも下げたことで室内高つまり居住性は、先代同様にキープしているのが見事である。
低い床の大きなメリットは2つ。実用面は、地面と床の段差が減って乗り降りが格段にしやすいことだ。これは乗り降りするたびに実感でき、3代目の乗降性は同世代のライバルに対して劇的に優れている。
もうひとつは、低重心化によって運動性能がアップしていること。走りに不満を持つことが多かった当時の箱型ミニバンのなかで、ステップワゴンの軽快なハンドリングはライバルとは一線を画して運転好きのお父さんを大いに喜ばせた。
この低床化が正解だったことは、すべてのライバルが後に床を低くしてきたという事実が証明している。

INTERIOR インテリア

3列目に座っても広い居住空間
先代やライバルに比べて天井が低いから居住スペースの広さが気になるかもしれないが、その心配は無用。2列目はもちろん3列目でも足元はゆったりとしていて、長時間座れるだけの空間と快適性を実感できる。2列目シートは2人掛けと3人掛けを選択可能だった。

INTERIOR インテリア

インパネは水平基調で広い視界を実現。横長のデジタルスピードメーターも前方との視点&焦点移動が少ない。

UTILITY ユーティリティ

スライドドアは左右両側に備わる
2代目までは助手席側のみしかなかったスライドドアだが、3代目からは左右両側に装着。リビング感覚で掃除も簡単なフローリングフロアや前後に長いサンルーフなど、移動を快適にする新しいアイデアも採用されている。3列目シート格納は左右跳ね上げ式だ。

UTILITY ユーティリティ

UTILITY ユーティリティ

8人乗りに装着される3人掛けシート(2列目)は、全体を前へ折り畳むタンブル収納。3列目アクセス時に足元が広いのもメリット。

UTILITY ユーティリティ

仕様により電動スライドドアや電動テールゲートも装備。ママにも優しい便利な機能が充実している。

MARKET DATA マーケットデータ

100万円以下の予算でねらえるお買い得なミニバン
2世代前のステップワゴンは、ほぼ底値に近い状態。もっともベーシックな「G」では、05年式の相場が60万円、最終年式である09年式が107万円というバーゲンセール。ただし走行距離が5万km以下の車両は少なく、ねらうなら必然的に高年式となる。コンディション重視で探したい。

グレード×年式別相場

2005年2006年2007年2008年2009年
G60万円62万円77万円92万円107万円
24Z65万円71万円90万円
スパーダS/スパーダSZi104万円107万円118万円
スパーダ24SZ/スパーダ24SZi87万円103万円97万円

走行距離×年式別相場

2005年2006年2007年2008年2009年
5万km未満84万円92万円109万円122万円133万円
5万km~8万km75万円75万円86万円104万円108万円
8万km以上50万円48万円60万円78万円84万円
ホンダ ステップワゴン

工藤貴宏

IMPRESSION
自動車ジャーナリスト工藤貴宏の○と×

GOOD

ホンダらしい独自の発想でライバルに差をつける
3代目の低床フロアに4代目の床下格納式3列目シート、そして5代目の「わくわくゲート」と独創性に優れたアイデアでライバルに差をつけていることを大いに評価したい。ステップワゴンはまさにホンダらしいミニバンといえるだろう。そもそも、ステップワゴンがこのジャンルを切り開いた先駆者だという事実にも敬意を表したい。

BAD

床下格納の3列目は快適性という点ではやや減点
4代目と5代目に採用されている床下格納式の3列目シートは実用性が高く、3列目を畳むことが多いユーザーにはうってつけの仕掛けだ。しかし、畳んで格納する都合上、シートサイズが小さく着座姿勢もライバルに比べて劣るのが惜しいところ。ライバルに対して利便性で勝ち、居住性では劣ると一長一短なことは認識しておきたい。

※すべての価格は参考価格です
※中古車参考価格はすべてGoo-net6月調べ

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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