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更新日:2018.11.16 / 掲載日:2015.02.20

世界に誇る日の丸スポーツ NISSAN GT-R

世界に誇る日の丸スポーツ NISSAN GT-R

日産を代表するスポーツカー、スカイラインGT-R。
昭和40年代からファンに支えられ、モータースポーツでも多くの勝利を納めてきた。そんなスカイラインGT-Rは、平成19年に「GT-R」という名で、再び世に誕生した。
スカイラインという衣を脱ぎ捨て、新たにスーパースポーツとして再出発をすることになった新世代GT-R。発売から8年近くが経過して、中古車相場も現実的になったいま、GT-Rの歴史やメカニズムにフォーカスしてみたいと思う。

日産 GT-Rはこんなクルマ!

スーパーカーの定義をスタイルに求めるなら、大柄な4座クーペのGT-Rは異質の存在。だが、性能面を見れば・・・跳ね馬に勝るとも劣らない速さを実現したR35は、紛れもなくスーパーカーだ。

  • 日産 GT-R

    新車価格帯 947万7000~1170万720円(全グレード)

  • 日産 GT-R
    プレミアムエディション(6速AT・DCT)

    平成27年式
    全長×全幅×全高:4670×1895×1370mm
    ホイールベース:2780mm
    トレッド前/後:1590/1600mm
    車両重量:1750kg
    エンジン:V6 DOHCターボ
    総排気量:3799cc
    最高出力:550ps/6400rpm
    最大トルク:64.5kg m/3200-5800rpm
    JC08モード燃費:8.7km/L
    サスペンション前:ダブルウィッシュボーン
    サスペンション後:マルチリンク
    ブレーキ前後:Vディスク
    タイヤ前・後:255/40R20・285/35R20

スーパーカーという舞台に立った国産車

いまさらの説明は不要だろうが、「スカイライン」を名乗ったBNR34までのGT-Rは国内専用車だった。だが、ゴーン体制の元で生まれた現行のR35は、専用のプラットフォームやパワートレーンを持つ「日産 GT-R」へと昇格。ついに世界へと羽ばたくことになった。
そんな新世紀GT-Rの開発を指揮したのは水野和敏氏。かつて日産のグループCレース活動で監督を務め、その後、日産の上級モデルで使われるFRーLプラットフォームを完成させた鬼才といえる技術者だ。
正直、2007年発売のR35が「スーパーカー宣言」をしたときには、異論を唱える声も少なくはなかった。しかし、GT-Rはポルシェ911ターボ(当時は996型)を凌駕する速さを実証して、そうした雑音を完全に封じ込めてしまう。
480馬力(発売当時)のパワーや310km/hに設定された速度リミッター(国内仕様はサーキットやテストコース以外では180km/hで作動)は、それだけでR35が日本車未開の地に踏み込むスーパーなモデルであることを物語っていた。
でも、スーパーカー界にそれ以上に衝撃をもたらしたのは、高性能車の聖地といえるニュルブルクリンク北コースで記録した7分38秒のラップタイム。車重約1.8トンの大柄な4座クーペが、市販車世界最速クラスに名を連ねるのは当時としては考えられないことで、R35GT-Rは「スーパーカーの既成概念」を木っ端微塵に打ち砕いてみせたのだ!
しかもスタートプライスは国内で1000万円を切る設定。日産の技術力や生産能力の高さに、ライバルたちは震え上がった。一代にして世界のビッグネームに上りつめたR35GT-Rは、日本車史に栄光の名を刻む「超」のつく傑作モデルだ。

RIVAL ライバル

icon ホンダ NSX

ホンダ NSX

1月にデトロイトショーで
新型NSXがワールドプレミア

2代目においてもNSXは、スーパーカーの王道を行くミッドシップ2シーターを選択。目新しいのはハイブリッド4駆メカで、V6ツインターボと前後3つのモーターを組み合わせ、究極の走りを追求する。発売は年内を予定。

HISTORY ヒストリー

icon R32 SKYLINE GT-R

R32 SKYLINE GT-R

販売期間:平成元年~平成6年 中古車参考価格帯 100万~630万円(平成元年~平成6年)

GT-R伝説の第2章はここから始った
「R」の現代様式を確立した傑作。RB26DETTとアテーサE-TSが生む加速は、当時の280馬力モデルの中でも白眉と言える刺激性にあふれていた。また、グループAレースでも無敵の大活躍をした。

icon R33 SKYLINE GT-R

R33 SKYLINE GT-R

販売期間:平成7年~平成10年 中古車参考価格帯 120万~370万円(平成7年~平成10年)

正常進化を遂げて速さを証明した
ベースのスカイラインが大型化したためBCNR33もやや大柄になった。とはいえ、ロングホイールベース化は安定性向上に有効で、トータルとしての速さは確実にアップ。ニュル8分切りを実現した。

icon R34 SKYLINE GT-R

R34 SKYLINE GT-R

販売期間:平成11年~平成14年 中古車参考価格帯 280万~860万円(平成11年~平成14年)

ハイテクパフォーマンスと美しいフォルムで人気
ホイールベースを短縮するなどしてシェイプアップをしたのが最大の見どころ。6速MTやカーボン製エアロパーツの採用も大きな話題で、この世代の「R」の集大成といえる絶品の仕上がりだった。

icon R35 GT-R

平成19年12月GT-Rを発売
平成20年12月一部改良
平成21年2月「スペックV」を発売
平成21年12月一部改良
平成22年11月2011年モデルを発売
平成23年11月2012年モデルを発売
平成24年11月2013年モデルを発売
平成25年11月2014年モデルを発売
平成25年11月「NISMO」を発売
平成26年11月2015年モデルを発売

世代別中古車物件比率

世代別中古車物件比率

このグラフはR32からのGT-Rについて集計したものである。もっとも割合が多いのは現行型だが、意外にもいちばん古いR32が2番手。R33、R34は同程度存在する。旧型モデルも探せばまだ手に入る状況だ。

※すべての価格は参考価格です

世界に誇る日の丸スポーツ NISSAN GT-R

スカイラインから独立してゼロから開発
世界のライバルに肩を並べる性能を獲得

スカイラインGT-R時代の丸型テールランプの造形は残しつつも、ダイナミックに進化したR35。
走りにおいても、欧州スーパースポーツを凌駕するほどの圧倒的パフォーマンスを手に入れた。

日産 GT-R

最速を目指しながら独自の理念を貫く

掲げたコンセプトは、「最高のスーパーカーライフを、Anyone・Anywhere・Anytime(だれにも・どこでも・いつでも)に提供できるモデル」。それは前例のない指標で、だからこそR35の成り立ちは既存のスーパーカーとはまるで異なるものになった。
まず注目するのは「ハコ」のボディへのこだわり。2+2クーペの選択は、速さの追求には不利に働くが、「ハコで速い」というのが初代PGC10以来の「R」の伝統。標的を300km/h超の高性能車に定めても、基本の方向性にブレはなかった。
「速さ」だけでは、群雄割拠のスーパーカー界で存在を主張するのは困難。だが、日常の使い勝手に優れたパッケージを採用し、その上で「だれにも・どこでも・いつでも」の超高性能を具現化したR35は、あらゆる面でライバルたちとは一線を画するモデルに仕上がっていた。
つまり、日産にしかつくれない、日産しかやろうとしない、とてもユニークなスーパーカーだったのだ。
とはいえ、完成までの道のりは険しいものだった。歴代GT-Rはスカイラインを母体に開発されてきたが、R35はプラットフォームも、エンジンも、ドライブトレーンも専用で、すべてが新規の開発なのだから、まさに気が遠くなるような話だ。
6気筒ツインターボの心臓や、電制トルクスプリット4WDのアテーサE-TSは、BNR32時代からの「R」伝統の技術。だが、心臓は直6からV6に変わり、リヤデフとミッションを一体化したトランスアクスル方式を新導入したのだから、中身はまるで別物と言っていい。
蓄積したノウハウと熱い技術屋魂がなければ、そうした高度なメカの集合体をまとめあげ、「最速の1台」に仕上げるのは不可能だっただろう。

EXTERIOR エクステリア

ボディから伝わる革新と伝統
長い「R」の伝統を印象づけるのは丸型4灯テールランプ。さらに、エッジ感を表現した男性的なボディラインにも、ハコスカやBNR34のDNAが見て取れる。そして進化に注目すれば、2011年モデルにおける前後バンパーの変更が挙げられるが、その目的はダウンフォース強化。あわせて冷却性能の向上も図られた。

日産 GT-R エクステリア

INTERIOR インテリア

究極の速さを操る異次元空間
全高は1370mm。着座位置が極端に低くはないため、座った瞬間に「スーパーカー」を実感するのは難しいが、乗降の楽しさや視界のよさは日常の運転を考えればありがたい。「R」を主張するのはフルスケール340km/hの速度計や、グラフィックも魅力的なマルチファンクションメーターで、操る喜びを倍加させる。

日産 GT-R インテリア

日産 GT-R インテリア

短時間または子供用と考えれば、十分実用になる後席を持つことが、多くのスーパーカーとGT-Rの大きな違い。実用度はポルシェ911以上に高い。本革シートの色はブラックやアイボリーも設定している。

  • 日産 GT-R インテリア

  • ボディ剛性を確保するため開口部は小さくまとめているが、トランク容量は十分なもので、ゴルフバッグ2個を収める能力を持つ。「ハコ」のボディ形状にこだわるGT-Rならではのアピール点と言っていい。

GT-R NISMO

ニュル7分8秒679を叩きだしたGT-Rのスペシャルモデル
改良ごとにニュルの記録を更新し、進化を証明してきたR35。今の記録保持者は2013年秋発表の「NISMO」で、600馬力に強化した心臓と専用チューンのボディやサス、カーボン製バンパーなどを採用する。心臓は550馬力ながら、同様のボディ&サスチューンを施した「トラックエディション」も注目の的だ。

GT-R NISMO

新車時価格
1501万5000円(NISMOのみ)

一級の性能を保ち続ける開発陣の熱い姿勢にも注目
年次改良を積み重ねて進化を続ける新型GT-R

GT-Rの注目すべきところは高度なメカニズムはもちろんのこと、年次改良を重ねている点。
スポーツカーとしての進化の歩みは留まらない。これぞ、GT-Rが世界中で高く評価される秘訣。

  • 日産 GT-R

追い求めるのは真のパフォーマンス

イメージではなく「実」を取るのが、究極の速さを求める「GT-Rの方程式」だ。全体の重量バランスを考えたV6ツインターボやトランスアクスルの採用が、それを象徴している。そしてDCT。今もMTを愛するマニアは少なくないが、R35の速さはもはや、人間の操作が追いつかないレベルに達している。
自動変速モードの採用により乗り手の裾野を広げるというメリットもあるが、それよりも重要なのは早くて、伝達効率が高く、しかもミスをしない変速。だから、デュアルクラッチトランスミッションなのだ。
ちなみに、登場時に480馬力だったVR38DETTのパワーは、485馬力、530馬力、550馬力と強化され、話題の「NISMO」ではなんと600馬力を達成している。しかも、最新の550馬力仕様では、ドライバビリティも燃費も改善されているのだから、技術の進歩というのはスゴイ。この先も、R35は熟成を重ねていくことだろう。

MECHANISM メカニズム

駆動系の変更でバランスをさらに改善
エンジンをV6に変更し、ミッションを後部に移したことが、前後重量配分を改善できたカギ。3.8LツインターボのVR38DETTユニットと、6速DCTのGR6型トランスアクスルは、軽量かつ高剛性なカーボン製プロペラシャフトで連結されている。

日産 GT-R メカニズム

透視図を見ればエンジンやトランスアクスルの位置関係がよくわかる。後部下面のディフューザーは、効果的ダウンフォースを生む本格派。300km/h超の世界を視野に入れた設計だ。

  • 日産 GT-R メカニズム

    モードや走行状況に応じた高度な減衰力調整を可能にするビルシュタイン・ダンプトロニックを採用する。ブレーキは信頼性の高いブレンボ製で前が6ポッド、後ろが4ポッド式。

  • 日産 GT-R メカニズム

    ターボやインタークーラーを左右独立で配置する。吸入効率向上やナトリウム封入排気バルブの採用を実施したのは2012年モデルの改良時だ。この心臓をフロントミッドに積む。

スーパーGTのGT500で昨年は年間王座を獲得

スーパーGTのGT500で昨年は年間王座を獲得

グループA時代と違い、今のマシンはエンジンも、シャシーも別物。だが、空力面ではノウハウがフィードバックされている。激戦のGT500クラスを制した戦果も、今後に反映されるはず。

MARKET DATA マーケット データ

初期型なら500万円台の予算でねらえるように
デビュー当時の新車価格は700万円台、現在は1000万円オーバーとかなり高額なのがGT-R。ただし中古車となると、現実的な価格でねらえる。もっとも物件が豊富な平成20年式のプレミアムエディションの平均価格は554万円。ただし、大幅改良が行われた2011年モデル(平成22年式)以降は、相場が800万円オーバーとかなり高めの価格となる。

GT-Rはグレード別に排気量や性能が大きく異なるわけではないので、中古車では価格差があまり大きくない傾向にある。物件が多く選びやすいのは「プレミアムエディション」だ。走行距離は1万~3万kmの物件が中心で、平成20年式だと574万円が相場となっている。

グレード×年式

平成19年平成20年平成21年平成22年
ベースグレード499万円556万円567万円
ブラックエディション559万円586万円637万円748万円
プレミアムエディション579万円554万円645万円750万円

平成23年平成24年平成25年平成26年
ベースグレード
ブラックエディション801万円861万円956万円986万円
プレミアムエディション808万円878万円994万円

走行距離×年式

平成19年平成20年平成21年平成22年
1万km未満564万円652万円765万円
1万~3万km552万円574万円631万円729万円
3万km以上567万円537万円649万円851万円

平成23年平成24年平成25年平成26年
1万km未満820万円879万円956万円954万円
1万~3万km779万円847万円900万円
3万km以上
  • 年式

    年式
    もっとも台数が多いのがデビュー翌年の平成20年式で、全体の4割にも及ぶ。それ以外は、ほぼ全年式にわたり分布している。

  • 走行距離

    走行距離
    実用車ではないので、走行距離は全体的に少ない傾向。1万km未満の物件も3割近く存在している。

グレード

グレード
グレードは豊富だが、物件数が多いのはグラフにある3つ。プレミアムエディションが半数を占める。

森野恭行氏

IMPRESSION
森野恭行のモデルインプレッション

進化と熟成によって新たな可能性を示す

ガソリンは軽快な走りHVは乗り心地も上質

ハイテク武装は伊達ではなく、最新のR35は550馬力の強大なパワーを余すことなく速さや刺激性に変換できる能力を備えている。とくに光っているのは、超高速域のスタビリティと懐の深いハンドリングだ。
そして、熟成を実感させるのは、滑らかさを増した操舵感や変速フィール、カドのとれた乗り心地など。2012年モデルの変化も大きかったが、2014年モデルの進化はそれ以上のもので、続く2015年モデルは洗練度をさらに高めた。
コンフォートモードで乗ると、ランフラット20インチタイヤのゴツつきがほぼ気にならないレベルなのだから、初期型とは大違いだ。しかも、接地性を向上させた足は、攻めの走りにおいてもプラスに作用。よりコントローラブルで、安心感の高いコーナリングを実現している。
DCTの「ガシャン」の変速フィールが象徴する、サイボーグのようにギスギスした乗り味はもはや過去のもの。最新のR35は日常のリラックスや快適も約束する、万能性を一段と高めたスーパーカーに成長した。

※すべての価格は参考価格です

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