中古車購入
更新日:2024.12.03 / 掲載日:2020.11.03
ルノー カングーの狙い目グレードや特徴と価格相場を紹介

ルノーが1997年から生産する小型フルゴネットである「カングー」に関して、今回はグレード別に紹介していきます。
「それぞれどのような特徴があるのか」「中古で購入する場合に目安となる予算はどれくらいなのか」といった実際に購入を検討されている方に必要な情報を掲載していますので確認してみてください。
ルノー カングーの歴史
1997年に登場したルノーの「カングー」は、商用バンと乗用車の両立を図った小型フルゴネット(貨物車)です。元は1960年代に開発された「4(キャトル)」の後継車であり、「エクスプレス」シリーズの進化型として発表されました。当初からその広い荷室や高い走行安定性が評価され、ヨーロッパ各国をはじめアジアやアフリカなどへ進出していきました。本国フランスでの販売開始から4年遅れとなる2002年、日本市場でルノー カングーの販売が開始。ただし、国内に輸入されたのは乗用仕様のカングーのみで、商用バン仕様の「カングー・エクスプレス」は導入されませんでした。
初代カングーは、ルノーのコンパクトカー「ルーテシア」とプラットフォームを共有しており、取り回しやすいコンパクトな車体サイズを採用。ボディは5ドアのトールワゴンスタイルで、バックドアには狭い場所でも開閉がしやすい観音開きを取り入れました。また、観音開きのバックドアやABS、複数のエアバッグを標準装備しており、安全性においても高い評価を得ています。
エンジンは当初1.4Lでしたが、翌年には1.6Lに拡大したモデルを投入。エンジンはガソリンとディーゼルを用意しており、フランス市場ではLPガスとガソリンを併用する「LPG車」も展開しています。トランスミッションは発売時点で4ATのみでしたが、2004年には5MTを追加。そのため、日本市場では珍しく、ルノー カングー MT車の販売比率は2割強にも及びました。
2009年、日本向けモデルのルノー カングーはフルモデルチェンジを行い、2代目となります。ボディサイズが全長4215mm×全幅1830 mm×全高1830mmに大型化したため、日本では5ナンバーから3ナンバーに変更されました。
2010年、特別色限定車「ルノー カングー クルール」の販売が開始され、それ以降はほぼ毎年限定色モデルが発表されています。2024年10月のルノー カングー クルール モデルには、ディーゼルMT車が登場しました。
2021年、3代目のカングーが登場。ボディサイズがさらに大型化し、全長は210mm、全幅は30mm、ホイールベースは15mmも拡大されました。ラインナップには乗用仕様と商用バン「ラピッド」が設定され、日本市場には特別仕様車「プルミエール・エディション」も販売。
また、2022年に本国フランスでEVモデルの「カングーバン E-Tech electric」も発表されています。
ルノー カングー インテンス
シックで上質な乗用車「ルノー カングー インテンス」
エクステリアも特徴的であり、ルノー カングー インテンスには、カングーの象徴とも言える無塗装のバンパーではなく、ボディカラーと同色のバンパーを採用。ホイールも他グレードとは異なり、フルカバータイプのアルミフルキャップが装備されています。ヘッドライトやテールライトには、ルノーデザインを踏襲した「Cシェイプデザイン」が取り入れられました。
インテリアはダークグレーで統一し、クロームパーツを採用。インストルメントパネルはブラッシュアルミ調、シートはレザー調で高級感を醸し出しています。
中古で購入する際の目安となる予算
<年式:予算目安>
2023年式:320万円~398万円
2024年式:351万円~399万円
カングー インテンスは人気モデルのため中古市場でも需要が高く、販売価格が安定している傾向にあります。
先代モデルとの比較
第3世代ルノー カングー インテンスは、新しいプラットフォームCMF-C/Dを採用し、ボディサイズが拡大。全長4490mm×全幅1860mm×全高1810mmとなり、室内の広さと快適性がさらに向上しました。
エンジンは1.3L直列4気筒ターボガソリンと1.5Lディーゼルを用意し、トランスミッションは7速EDC(エレクトロニック デュアルクラッチ)を採用。さらに、専用設計のサスペンションで足回りを強化し、滑らかで力強い走行を実現しました。また、高速道路走行をサポートする「ルノーイージードライブ」や「アダプティブクルーズコントロール」などの最新安全装備も充実しています。
ガソリンエンジンは直列4気筒DOHC16バルブターボで、最大出力は131ps。ディーゼルエンジンは直列4気筒SOHC8バルブターボで、最大出力は116ps。
ボディサイズは全長4490mm×全幅1860mm×全高1810mmです。
人気のあるカラー
・ブラウン テラコッタM
・ブルー ソーダライトM
・グリ ハイランドM
・ブラン ミネラル
この中では、清涼感のある「ブルー ソーダライトM」が特に人気を集めています。
ルノー カングー クレアティフ
特別仕様の品格と実用性を兼ね備えた「ルノー カングー クレアティフ」
なお、3代目ルノー カングーの発売を記念し、ルノー カングー クレアティフの特別仕様車「プルミエール・エディション」も登場しました。この特別仕様車では、「ブルー ソーダライト M」など、ルノー カングー クレアティフにはないボディカラーを選べます。
中古で購入する際の目安となる予算
<年式:予算目安>
2023年式:334万円~405万円
2024年式:387万円~409万円
ルノー カングー クレアティフは、特別仕様で台数が少ないうえに人気が高く、流通量が限られています。状態や年式を絞りすぎると、入手が難しいかもしれません。
先代モデルとの比較
3代目ルノー カングー クレアティフは、最新のプラットフォームCMF-C/Dを採用し、さらなるサイズアップを図っています。日本からのニーズに対応し、無塗装バンパーやルノー カングー インテンスと同じく、観音開きゲートや7速DCT、最大2800Lの収納スペース、最新の安全支援システム「ルノーイージードライブ」などを標準装備しています。
ガソリンエンジンは直列4気筒DOHC16バルブターボで、最大出力は131ps。ディーゼルエンジンは直列4気筒SOHC8バルブターボで、最大出力は116ps。
ボディサイズは全長4490mm×全幅1860mm×全高1810mmです。
人気のあるカラー
・ジョン アグリュム
・ブラン ミネラル
人気のボディカラーは、鮮やかなイエローの「ジョン アグリュム」です。
カングー クルール
色をテーマにした特別仕様車「カングー クルール」
グレード名の「クルール」とは、フランス語で「色」という意味を持つ言葉です。その名のとおり、標準グレードには設定されない限定のボディカラーを採用しています。
花の色をイメージしたものやフランスの地方の風景をイメージした色、リゾート地をイメージした色などがあります。他にも、過去の名車のボディカラーをリバイバルさせたものなど、さまざまなカラーに彩られた限定車です。
中古で購入する際の目安となる予算
<年式:予算目安>
2010年式:86万円~111万円
2011年式:85万円~137万円
2012年式:65万円~218万円
2013年式:79万円~139万円
2015年式:174万円~188万円
2016年式:130万円
2018年式:199万円
2019年式:219万円~399万円
2020年式:220万円~383万円
このグレードは特別仕様車ということで、モデルごとに販売数が限られていたため、中古車市場での流通量は非常に少ないのが特徴です。
先代モデルとの比較
カングー クルールは、車体を限定カラーで彩ったモデルです。車両本体は標準車をベースにしており、走行性能や積載性、利便性といったハード面の機能は標準車と同等となります。1年ごとにテーマを変えて限定発売されているため、その年によってボディカラーが異なるのが特徴です。
ここ数年では、下記の色を設定しました。
2015年10月
・フランスで馴染みのある花であるローズマリーの青の「ブルー アンサンジェ」
・若葉をイメージした緑の「ヴェール ロマラン」
2017年2月
・フランス最大の港湾都市・マルセイユが面する地中海の青さをモチーフとした「ブルーマルセイユ」
2019年2月
・キリスト教における最も重要な祭事である復活祭・イースターの象徴である卵をモチーフとしたアイボリーの「イヴォワール」
最も新しいモデルである2020年5月には下記の色が設定されました。
・フランスの街並みに溶け込むようにイメージして作られたグレーの「グリ アーバン」
このグレードは、モデルごとに限定200台で販売されていることから、中古車市場の流通量は非常に少ないです。好みのボディカラーは見つけられる可能性はあるかもしれませんが、コンディションを問うのは難しいでしょう。
エンジンは1.2L直列4気筒ターボ最高出力115ps。ボディサイズは全長4280mm×全幅1830mm×全高1810mmです。
人気のあるカラー
・べール パリ
・ブルー フランス
・オランシュ プロヴァンス
・ペール シャルダン
・ブルー クレール
・ローズ
・オレンジ アンダルー
・ヴェール パステル
・ブルー エクスプレス
・ベージュ カマルグ
・タンタシオン ヴィオレ
・クラージュ ジョン
・カルム ブルー
・ヴェール ロマラン
・ブルー アンサシエ
・ブルー マルセイユM
・オランジュ シトロユM
・ヴェールモンターニュM
・ブルーシエルM
・イヴォワール
・ブルー ドラジェ
・オランジュ コロンジュ
・ヴェール シャンペトル
・グリ アーバン
・ジョン カーキ
・ベージュ サハラ
・グリ カシオペ M
この中では、いかにもフランス車的でポップな緑色をした「ベールパリ」や、ローズマリーの若葉の色をイメージした「ヴェール ロマラン」、日本限定色となる「ローズ」などが人気です。
カングー ゼン
カングー 1.6と入れ替わりで設定「カングー ゼン」
グレード名の「ゼン」というネーミングは、「冷静」「感情的にならない」といった日本の「禅」から来ているフランス語となります。
これまで設定されていたカングー 1.6と基本的な積載性や利便性といった機能性の面では大きく変更は無いものの、オートエアコンやオートワイパー、ボディ同色バンパーなどの装備面で乗用車の側面が強調されたものとなっているのが特徴です。
中古で購入する際の目安となる予算
<年式:予算目安>
2013年式:80万円~138万円
2014年式:90万円~198万円
2015年式:90万円~206万円
2016年式:78万円~239万円
2017年式:78万円~238万円
2018年式:98万円~213万円
2019年式:104万円~258万円
2020年式:179万円~304万円
2021年式:249万円~386万円
2022年式:流通量希少により算出不可
2023年式:429万円
カングー ゼンは、カングーの他のグレードよりは比較的多く流通しており、価格も安定しています。
先代モデルとの比較
カングー ゼンは、2013年8月に販売が開始されたグレードです。当初は1.6L・105psのエンジンを搭載し、車重は1460kgと、少々非力な感も否めませんが、実際に公道を走行してみれば交通の流れをリードするトルクを持っています。カングーのみならずフランス車共通の乗り心地の良さが挙げられ、細かな段差はもとより、車体が大きく揺さぶられるようなうねりを越えるときも、フラットな姿勢を崩さないサスペンションの完成度の高さが特徴です。
インテリア面では3トーンファブリックシートを装備しており、座席の角度・座面サイズなどがよく考えられていることから、長時間の運転でも疲労を抑えてくれるつくりになっています。
2014年5月には2.0Lクラスの動力性能となる、1.2L直噴ターボエンジンと6MTが採用され、燃費性能はもちろん、カングーの持ち味であるファンな走りにも磨きをかけられました。
中古車市場では、他のグレードよりは流通量が多いものの、年式ごとに見ていくと流通量の差はそれほどないので、比較検討しやすいでしょう。
エンジンは1.2L直列4気筒ターボ最高出力115ps。ボディサイズは全長4280mm×全幅1830mm×全高1810mmです。
人気のあるカラー
・ブラン ミネラル
・ノワール メタルM
・マロン ショコラM
・ジョン アグリュム
・ブルー エトワール
・ブルー コスモスM
この中では、ルノーカングーを代表するといっても過言ではないイメージカラーでもある黄色の「ジョン アグリュム」が人気です。
カングー アクティフ
価格を抑えた標準グレード「カングー アクティフ」
グレード名の「アクティフ」は、「活発」や「積極的」といった意味を持つフランス語で、カングー ゼンとは対になるネーミングとなります。
そんなカングー ゼンとの違いは、フロントバンパーやドアハンドル、ドアミラーがブラックの無塗装となるのが外見上の大きな違いです。
中古で購入する際の目安となる予算
<年式:予算目安>
2013年式:79万円~158万円
2014年式:40万円~198万円
2015年式:70万円~118万円
2016年式:流通量希少により算出不可
2017年式:163万円
もともとメインの販売グレードはカングー ゼンであり、カングー アクティフはベースグレードのため、販売台数もそれほど多くはありません。そのため、中古車市場でもごくわずかしか流通していないという状況です。
先代モデルとの比較
カングー アクティフは、カングー ゼンとともに2003年8月に販売が開始されました。標準グレードのため、価格を抑えられていますが、安全装備は横滑り防止装置、緊急時ブレーキアシスト付ABSなどカングー ゼンと同等の装備となっています。
インテリア面では両側スライドドアを採用し、低床フロアと余裕のある室内高で乗降性を確保しました。そのため、狭い場所でも乗り降りしやすくなっています。バックドアは、カングーのアイコニックな特徴といえる観音開きのバックドアを採用。このドアは狭い場所でも開閉しやすいことに加え、90度・180度の2段階で開くことによって、荷物の積み降ろし時に人の動線を邪魔しないものとなりました。
シートアレンジでは複雑な機構は採用せず、シンプルに2列目シートを格納することでフラットかつ広々としたラゲッジスペースが登場。また、前席と後席の頭上スペースには、それぞれオーバーヘッドボックスが設けられ、その他の収納も各所に設置され、利便性を向上させています。
標準グレードであるものの、その流通数はごく少数となっているため、好みのボディカラーや希望のコンディションを選ぶことは難しいでしょう。
エンジンは1.2L直列4気筒ターボ最高出力115ps。ボディサイズは全長4280mm×全幅1830mm×全高1810mmです。
人気のあるカラー
・ブラン ミネラル
・グリ メタン
・グリ カシオペM
・ジョン アグリュム
・ルージュ ビフ
この中では、カングーのイメージカラーといえる黄色の「ジョン アグリュム」、他にもルノーが“働く車”をイメージしてボディカラーを設定したソリッド系グレーの「グリ メタン」が人気です。
カングー ペイザージュ
上質で高級感のあるエンジンフィールを感じられる「カングー ペイザージュ」
グレード名の「ペイザージュ」とは、フランス語で「風景」を意味しています。そのため、フランスの風景をテーマにしており、カングー クルールと同じく特別なボディカラーで表現されているのが特徴です。
そして、こちらも特別仕様車のため、年式によって100台や200台など台数を限定して販売しています。
中古で購入する際の目安となる予算
<年式:予算目安>
2014年式:98万円~183万円
2015年式:85万円~159万円
2016年式:110万円~176万円
2017年式:流通量希少により算出不可
2018年式:流通量希少により算出不可
2020年式:178万円~325万円
カングー ペイザージュは、特別仕様車となるため、販売数が限られています。また、販売頻度もそれほど多いわけではありません。このようなことから、現時点の中古車市場で確認できたのはたった13台だけでした。
先代モデルとの比較
カングー ペイザージュは、2代目より不定期で販売される特別仕様車です。カングー ゼンあるいはカングー アクティフがベース車となっており、フランスの風景を象徴する色をボディカラーにあしらっています。
2014年10月
・スパークリングワインで有名なフランス・シャンパーニュ地方をモチーフに、そのブドウの葉の緑色をイメージした「ヴェール カクトゥス 」
・黄色の菜の花をイメージした「ジョン シトロン」
・かすかにくすんだ空の色をイメージした「ブルー アルジョン」
2015年6月
・南仏プロヴァンス地方の風景をモチーフに、そこに暮らす人々の象徴として、茶色の瓦屋根をイメージした「オランジュ エタンセル」
2016年1月
・大西洋に突き出した半島であるブルターニュ地方の海をモチーフに、大西洋の深さをイメージした「ブルー ヴィブラート」
・浅瀬をイメージした「ヴェール メール」
・海辺に生育するツツジの1種である、ブリュイエールの花をイメージした「タンタシオン ヴィオレ」
2016年6月
・フランス南西部に位置するピレネー山脈麓の風景をモチーフに、豊かな自然をイメージした「ヴェール シトロン 」
・赤レンガ造りの暖かい風景をイメージした「ルージュ パボ」
2020年3月
・地中海に浮かぶコルシカ島の南部に位置するボニファシオの石灰岩がからなる、象牙色の断崖をモチーフに、柔らかなホワイトである「イヴォワール」
さまざまなボディカラーがラインナップされますが、中古車の流通量は非常に少ないため、車体色・コンディションを選択して購入するのは難しいでしょう。
エンジンは1.2L直列4気筒ターボ最高出力115ps。ボディサイズは全長4280mm×全幅1830mm×全高1810mmです。
人気のあるカラー
・ジョン シトロン
・ヴェール カクトゥスM
・ブルー アルジョンM
・オランジュ エタンセル
・タンタシオン ヴィオレ
・ブルー ヴィブラートM
・ヴェール メールM
・ヴェール シトロンM
・ルージュ パボM
・イヴォワール
この中では、ボニファシオにある象牙色の岩が織りなす絶景をイメージしたアイボリーカラーの「イヴォワール」が人気です。
※本記事は、2024年11月時点の情報になります。現在の相場価格と異なる可能性がございます。