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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.11.27
タフな走りと装備で人気の日産エクストレイルにハイブリッドが追加。CX-5のディーゼルとどちらがいいか? ゴルフ好きで正確なショットが持ち味の鈴木直也氏が比較試乗。インパクトの強さはどちらが上なのか?
エクストレイルハイブリッドとCX-5を一般道で比較

ガソリン車との違いはエンブレムなどわずか。ルーフレールはオプションとなる
【本記事は2015年7月にベストカーに掲載された記事となります。】エクストレイルハイブリッドを人気のCX-5と一般道で比較するのが今回のテーマだ。軽くアクセルを踏んでいるかぎり、まずはモーターでそろりと動き出すのが日産ハイブリッドの発進マナー。交通の流れがゆっくりなら、そのまま交差点を渡りきるあたりまでモーターのみで走行する。こういう挙動はフーガ/スカイラインのハイブリッドと基本的に同じ。住宅地などを通過する際など、ハイブリッドはやっぱりスムーズでエレガントだ。いっぽう、ディーゼルとしては静粛なほうとはいえCX-5はそれなりに車外騒音を放射する。静かな早朝なんかだと、やっぱりご近所に気を遣う。

最上級のLパッケージは225/55R19の大径タイヤを装着。最低地上高は210mmとたっぷりある
アクセルを踏み込むとシュルンとエンジンがかかって本格的な加速に移行する。おそらく電池容量の問題だと思うが、この辺の境界線はフーガ/スカイラインより早め。フーガ/スカイラインで感じる「ずいぶんEV走行で粘るなぁ」という感覚はなく、普通の市街地走行でもエンジンはオン/オフを繰り返す。もうひとつ、フーガ/スカイラインと「ちょっと違う」のは、低中速から加速するときにモーターアシストの「グイグイ感」が薄いこと。モーター出力が小さい(50kWに対して30kW)こともあるが、グイグイを感じる前にCVTのダウンシフト制御が先行する印象。このあたりの「手ごたえ」みたいなものがあったらなおいいのだが……。対照的に、CX-5ディーゼルのドライバビリティは「グイグイ感」テンコ盛りだ。どの速度域からも踏めばトルクがもりもり湧いてくる。この力強い走りと燃費が両立しているところが、最近のマツダディーゼル人気の大きな要因といっていい。
高速クルージングで燃費が伸びるハイブリッド

日産独自の1モーター2クラッチのハイブリッドシステム 2Lエンジンに最高出力41ps&最大トルク16.3kgmのモーターを組み合わせ、システム出力は188ps
高速クルージングで燃費が伸びるハイブリッド高速クルージングはどちらも優れた燃費性能を発揮して甲乙つけ難い。もちろん、追い越し加速に優れるのは最大トルクに勝るCX-5だが、アホみたいに飛ばさなければエクストレイルHVも文句なし。むしろ、前のクルマに詰まってアクセルを戻すと、瞬時にエンジンが停止してEVモードに移行するのが面白い。法定速度で上手に走れば、JC08モードに近い燃費も可能。それがエクストレイルハイブリッドの楽しみ方だ。シャシー性能に関しては、ぼくの好みはCX-5のほうだ。接地感がソリッドなわりにバネ上の挙動が上手にコントロールされていて、硬めだけれど嫌な揺れが少ない。また、乗り心地もいい質感が表現されている。この点、エクストレイルハイブリッドは、足はよく動いているんだけれどバネ上のフラット感がいまひとつ。ハンドリングの軽快感はあるんだけれど、乗り心地にもうちょっとしっとりとした落ち着きがほしい。
気になるブレーキ

ALL MODE 4×4iによって、LOCK、AUTO、2WDと3つのモードが切り替えられる
また、ひとつ気になったのはブレーキのフィール。高価な完全電制ブレーキではなく、減速Gの小さい領域でESCのアクチュエータを利用して回生協調を行うという賢いアイディアなのだが、全体にブレーキの踏みしろが過大。踏力ではなくストロークで制動をコントロールするため、長時間乗ると疲れの原因になる。日産のハイブリッドはカルロス・ゴーン社長が一時開発にストップをかけていたため市場に出るのが遅れたが、普及価格帯で本格的な巻き返しに転じる第一弾がこのエクストレイル。注文はいくつかあるんだけれど、全体としてかなりの力作であることは間違いない。