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更新日:2019.01.27 / 掲載日:2017.11.28
バカ売れ!スズキ ハスラー
軽は再び新しい時代に突入

「ゆるさを失ったらダメ」と顔にもゆるさを演出。これが人気の秘密!?
【本記事は2014年2月にベストカーに掲載された記事となります。】「勢いあるぜッ!」と驚く小沢コージ氏。「元気」が開発テーマのハスラーにガッツリ試乗。元気すぎる走りに新ジャンル軽が見えてきた!!「ちょっと凄いです!」「大変です!!」といつになくスズキ広報陣が興奮気味に語る新型ハスラー。うぅむ、不肖オザワも久久勢いを感じましたぜ。そして’14年、軽は再び新しい時代に突入するんだと!ワゴンRとSUVのクロスオーバーというコンセプトで作られたコイツは、去年の東京モーターショーで発表され、ショーカー顔負けのデザインで観客の心をワシ掴み! 加え、ベースのワゴンRに負けない室内の広さや使い勝手、最良29.2km/LのJC08モード燃費もあって人気大爆発。マジメな話、一部グレードは消費税のアップ前の3月納車がムリってほど売れているのだ。
これってゴレンジャー?

オレンジボディのみインパネが同色
このハスラー、出来は実にいい。どこかおもちゃっぽく、オレンジ&ピンク&ブルーと3色のメインのボディカラーにしろ「これってゴレンジャー?」って言いたくなるほどガキっぽい。だから今となっては成功例として語れるが、開発陣はけっこう勇気が必要だったそうだ。チーフエンジニアの沼澤正司氏曰く「ある意味、勢いですよ。開発期間も短かったし、いい意味で機運がひとつの方向に向かっていました」。そう、エクステリア、インテリア、走りの味つけなどなどすべての開発テーマは元気。「元気の出る色にしよう!」「元気の出る走りに!」とまさに開発陣そのものが遊びのつもりでイッキに作ったのがハスラー。だから面白いクルマになったのだ。「じっくり会議で揉んで作ったら、いろいろそぎ落として普通になっちゃったかもしれません」(沼澤CE)というから、なるほどだ。
子どももわかるクルマらしさ

「スズキグリーンテクノロジー」採用で燃費も頑張る!
■子どももわかるクルマらしさ果たして最大のポイントはデザイン。てっきりレトロを意識したと思いきや、チーフデザイナーの服部守悦氏曰く「まったく意識してません。それよりジムニー的な本格四駆ではなくトラッドなカタチで4WDらしさを出そうとしました」。ある意味子どもでもわかるクルマっぽい骨格。フロントピラーを立て、全体を箱っぽくし、サイド断面も室内を犠牲にしない範囲でマッチョさを失わないようにデザインしたのだ。ディテールも悪路走破性を考えてデパーチャーアングルを増やしたわけではなく「見た目的な腰高感」を出すためにバンパー位置を高くしたり、タイヤサイズをホイール径は変えずに扁平率を55%から60%にして大径化。よってハードな悪路走破性は未知数だが、ある意味“ミニ・トヨタランクル”的イメージを得たわけだ。ただし、そこで留まらなかったのがハスラーの最大のキモで「女性もお乗りになるし、ある種のユルさ、それだけは失ったらアカン」とヘッドライトは何回も作り直し、ある種の赤塚不二夫的ワールドを盛り込むことにも成功。これが大きかった。インテリアも同様で意識したのは本格四駆っぽさではなく「TOYっぽさ」。おもちゃのクルマを意識してあえて直線基調にし、ボディ色を意識した樹脂パネルを要所に配置。最初はオレンジだけでなく、ブルーやピンクも考えたそうだが「ほかは似合わないからやめた」という。
加速性能はワゴンR並み

NAとターボ。新アイドリングストップ機能を搭載 好燃費を打ち出す新アイドリングストップシステム。NAエンジンでも充分な加速感を発揮してくれる
■加速性能はワゴンR並みそれからもうひとつ重要なのが走りの味つけ。まずは52psの660cc直3ノンターボ、次に64psの同ターボに乗ったが、基本的な加速性能は両者ともベースのワゴンRと同じ。タイヤ径が大きいぶん、一瞬、中速域での伸びがいい気もしたが気のせい? レベル。それより乗るなり明らかにわかるのが、ある種4WDっぽいブカブカ感だ。発進直後から、ちょっと出っ張ったマンホール乗り越えでもボディに揺さぶられを感じるし、ステアリングフィールも明らかに大味化。しかし、それが効率重視で無駄のない走りの最近の軽に比べて“気持ちのいい無駄加減”なのだ。いかにもタイヤのデカいのに乗っている感じがあって楽しい。聞けばこれも独特のチューニングを施しており、てっきり4WDっぽくサスペンションが伸びて重心が高くなったから……と思いきやそれだけではない。最低地上高はベースのワゴンRより25mm上げており、全高も1665mmとワゴンRより25mm高くなっている。いっぽう、室内高は屋根を削り、シート位置も高くなっているのでワゴンRより15mm低くなった作りだ。ヘッドクリアランスは減っているのだが、もともとワゴンRは無駄に頭上が高かったため、身長176cmのオザワが座っても頭上にコブシひとつが入るほど。不便はない。
税抜き100万円以下も!

遊びの手助けお任せあれ! キャンプ道具やボディボードなど、遊び道具を自在に積めるシートアレンジも自慢。ラゲッジフロアと後席の背は汚れを拭きとりやすい素材になっている
■税抜き100万円以下も!つまり、見た目のわりに重心は高くなっておらず、ハスラーのブカブカ感はスプリングを柔らかくしたことで生み出されているから、乗り心地はワゴンRより実はいい。ワゴンRに比べて走りも燃費も遜色なく、ユニークデザインにソフトな乗り心地を得たわけだからまさにロスの少ない遊びグルマである。加え、最大の武器は税抜き100万円以下スタートとワゴンR+5万円ほどの価格。そりゃ売れるよな! ってほど要素がそろった21世紀の“遊び仕様ワゴンR”なのであーる。