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更新日:2020.03.05 / 掲載日:2020.03.05

スズキ ハスラー【ONE MAKE MARKET RESEARCH】

スズキ ハスラー 2014年~2019年

文●工藤貴宏
(掲載されている内容はグー本誌 2020年2月掲載の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2020年1月調べ。


実用的で楽しいクルマがほしい! そんな軽自動車選びにジャストフィットするのがハスラー。新型車として発売されるや否や人気モデルとなった秘密に迫ろう

全長×全幅×全高:3395×1475×1665mm ●ホイールベース:2425mm ●トレッド前/後:1290/1290mm ●車両重量:820kg ●排気量:658cc ●エンジン:直3DOHCターボ ●最高出力:64ps/6000rpm ●最大トルク:9.7kgm/3000rpm ●サスペンション前/後:ストラット/I.T.L ●ブレーキ前後:Vディスク/ドラム ●タイヤ前後:165/60R15 ●中古車参考価格帯:70万円~150万円(15年~19年 ※全グレード)

3つのポイントが大ヒット軽自動車の秘密

 初代ハスラーは魅力あふれるクルマだ。デビューは2014年。発売されるや否や大ヒットモデルとなったが、そこには3つの大きな理由があった。
 まずひとつめは、遊び心あふれるデザインだ。基本的な車体設計は当時のワゴンRをベースとしているが、丸型ヘッドライトをはじめとした意匠はワゴンRとはまったく異なるハスラーのオリジナル。ポップでどことなくレトロで、鳥山明のマンガに登場しそう。そのスタイルは所有するだけで毎日が楽しくなりそうな雰囲気を持っているのがいい。
 さらに注目すべきは、実用性の高さだ。キャビンのパッケージングはベースとなったワゴンRとほぼ同じで、運転席はもちろん後席の足もとや頭上にも十分なスペースが用意されている。居住性が高いのだ。ファミリーユースでもワゴンRと同様に便利に使える実用的な軽自動車だから、気軽に購入できる。
 もうひとつが、悪路走破性の高さである。車体をリフトアップしたことで、路面と車体との空間にワゴンRなど一般的なハイトワゴンよりもゆとりがある。さらに4WDモデルは悪路でスリップした際に脱出性能を高める電子制御モードを搭載。それらは、降雪地のユーザーにとって「雪道の走りやすさ」として大きなメリットを提供するのだ。
 単に見た目がいいだけでなく、実用的で雪道でも走りやすい。とくに最初とふたつめの要素が揃うことで「ワゴンRは便利だけど、街にあふれているからもっと楽しいハイトワゴンがほしい」と考えていた人たちに大きな注目を浴び、共感を得て大ヒットにつながったのである。

ハスラーが売れた3つの理由

1.楽しくなってくるデザイン

 遊び心あふれるデザインは、所有することで楽しい毎日を送れそうな気分にさせてくれる。どのクルマにも似ていないキャラクターは独自の魅力だ。

2.実用的なパッケージング

 遊び心あふれるスタイルながら、パッケージングは実用的。室内はワゴンRと同等のスペースがあり、後席も広くて快適。ファミリーユースに最適。

3.雪道でも走りやすい走破性

 4WDの設定はもちろんのこと、車体と路面との隙間が一般的な軽自動車よりも大きく、悪路や雪道で路面と車体が接触しにくい。雪道走行でも心強い。

[モデルヒストリー]

2014年1月:ハスラーを発売

 前年の東京モーターショーに出品された「ハスラー」を市販化。グレードは標準の「X」、非接触式キーなどを採用する中級の「G」、そしてアルミホイールなどを備える上級の「X」で構成。

2014年12月:特別仕様車「Jスタイル」

 RJCカーオブザイヤーの受賞を記念して「X」をベースに、フロントグリルの「HUSTLER」エンブレムなどでドレスアップしている。

2015年5月:S-エネチャージを追加

 燃費向上機能として従来搭載していた充電専用の「エネチャージ」が、モーターアシスト機能まで行う「Sエネチャージ」に進化。エンジンの改良なども同時に行い、燃費がアップした。また、ボディカラーも一部変更。

2017年12月:特別仕様車3モデルが登場

 特別仕様車として「FリミテッドII」と「JスタイルIII/JスタイルIIIターボ」を設定。前者はバンパーガーニッシュ、後者はフロントグリルの意匠などを従来モデルから変更。

2018年7月:特別仕様車「タフワイルド」

 「G」をベースにルーフ周辺をブラック化し、内装にオフブルーのカラーパネルやネイビー&ブラウンのシートを採用するなど、専用色が特徴。先進安全装備も標準採用する。

2018年11月:特別仕様車「ワンダラー」

 「G」系の衝突被害軽減システムがステレオカメラ式に変更され、車体色も一部変更。追加された特別仕様車「ワンダラー」は「J」をベースにウッド調の室内パネルなどを採用。

2019年12月:2代目ハスラー発表

 最新設計の車体構造を採用して、メカニズム的には全面的に生まれ変わった2代目。丸型ヘッドライトの採用や全体的なイメージは継承しつつ、ルーフを前後に伸ばしてキャビンを前後に広げ、側面はより垂直に近づけて横方向の空間も拡大。荷室側面にも窓を追加した。
新車価格帯:136万5100円~174万6800円(※全グレード)

インパネは3つのフレームを3つ並べた武骨なスタイルが特徴。中央はオプションで9インチ画面のナビが収まる。室内空間は先代とほぼ同等だが、頭上スペースは広くなっている。

[インテリア]実用性を高めるアイデアを満載

ナビ画面下にスマホを置けたり、助手席下に大容量ボックスがあるなど収納スペースは多く用意。助手席前のトレーにはボックスティッシュも置ける。

 インパネは左右に繋がるホワイトのパネルが特徴で、かつて日本車の黎明期に鉄板へメーターを埋め込んでいた頃のレトロな感覚。アクセサリーで色を変更可能だ。一方で実用面では、座面下がバケツ状の収納部になっていたり、前へ倒して背面をテーブルとして活用できる助手席など使い勝手を高めるアイデアに注目だ。

シートアレンジも幅広く、助手席は背もたれを前に倒せば荷室長を延長可。後ろに倒してフラットにもできる。

[安全性]時代の要求にこたえる安全装備も充実

 衝突被害軽減ブレーキを設定しているが、そのシステムは2015年12月を境に大きく変更されている。それ以前は赤外線センサーを活用し上限速度を30km/h(低速域に限定)とする「レーダーブレーキサポート」だったが、変更後はふたつのカメラで周囲の状況を把握する「デュアルカメラブレーキサポート」へ進化。対応できる速度がアップした。後者では車線逸脱警報機能や先行車発進お知らせ機能も追加されている。

ヒルホールドコントロール

 坂道における停止からの発進などブレーキからアクセルへの踏みかえをアシスト。後ろへ下がることなくスムーズに発進できる。

誤発進抑制機能

 障害物や壁がある状態でアクセルが踏み込まれると、エンジン出力を絞り急加速を阻止。踏み間違いの事故を防ぐ。

エマージェンシーストップシグナル

 急ブレーキ時にはハザードランプが自動で点滅。後続車へ急減速をアピールし、ブレーキ操作を促して事故を防ぐ。

[ライバル/ダイハツ キャスト]ハスラーよりもセダンテイスト

 ダイハツ「キャスト」のバリエーションのひとつ「アクティバ」は、リフトアップした車体に大径タイヤや無塗装の樹脂部品をコーディネートしたクロスオーバーSUV。オレンジを差し色としたインテリアは、パネルの仕上げなど質感が高いのも魅力だ。ハスラーと違ってフロントウインドウは寝ているし全体に丸みを帯びている。
中古車参考価格帯:50万円~180万円(13年~19年 ※全グレード)

室内はハスラー同様に広く後席もゆったり座れ、前席の背もたれを倒してのフルフラットシートも実現している。

[市場データ]100万円前後の予算で幅広く探せる先代モデル

 物件数が非常に豊富で、現在買いやすくなっているハスラー。とは言え、大幅に値崩れしていないのは人気モデルゆえだ。70万円の予算から買えるが、多くの物件は100万円前後。2014年式の物件が多く、走行距離が少ないものも充実する。

  • 年式
    2014年式のほか、2018年~2019年式のような新しい物件も多い。2014年式は100万円以下の物件が多く、注目したいゾーン。

  • グレード
    ハスラーのグレード体系は豊富だが、もっとも多いのは基本グレード「G」で、全体の4割を占める。ターボ系の割合が少なめだ。

  • 走行距離
    3万km未満の物件が7割を占め、現在でもコンディションが良好な物件が多め。低走行車は相場が高い傾向にあるから、悩ましい。

自動車ジャーナリスト工藤貴宏の「スズキ ハスラーGOODとBAD」

【GOOD】高い実用性と楽しい雰囲気の両立

 最大の魅力はスタイル。所有するだけで毎日が楽しくなりそうな雰囲気は積極的に選びたくなる。それでいて室内が広いのだから商品力が高い。4WD車に組み込まれている「グリップコントロール」も雪道では心強い。滑りやすい路面での発進や低い速度で走る状況で空転を防ぎ、走行をアシストする電子制御機能だが、オンにすると効くのが実際にわかる。

【BAD】唯一の欠点は硬めの乗り心地

 オシャレで実用性も高いハスラーの死角はほぼないが、ウィークポイントといえるのは乗り心地。重心が高くなったことや大きなタイヤの影響などで、ワゴンRに比べると段差を通過した後の衝撃や、車体の上下動の大きさが気になりやすい。また、2015年12月以前のモデルは衝突被害軽減ブレーキを装着していても作動上限が30km/hなので気をつけよう。

編集部イチオシ!

X ターボ

 非接触式キーやオートエアコンに加え、本革巻ステアリングやアルミホイールを採用するなど装備が充実し割安感がある。エンジンはターボ付きの方が余裕があって運転が楽だ。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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