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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.11.29
2013年熱い熱いホットハッチ、プジョー208その魅力に迫る!
大人(オジサン)が買えるクルマ

プジョーから208GTiが登場し、すこぶる評価が高い。ホットハッチ復権の気配アリアリだが、日本では長らくホットハッチが登場していない。なぜなのか?
【本記事は2013年8月にベストカーに掲載された記事となります。】ホットハッチという概念は、初代ミニ・クーパー(ハッチバックじゃないけど)あたりが元祖。コンパクト2BOXに強力なエンジンを搭載して上級モデルをカモる、そんなイメージだ。しかしこの流行、意外に長続きしなかった。初期のホットハッチが想定したユーザー像は、スポーツカー好きの若者。コンパクト2BOXがベースだから基本的に価格が割安で、にもかかわらず本格的なスポーツモデルなみに速い。それが財布の軽い彼らのハートをつかんだわけだ。ところが、若者の熱が冷めると、この手のクルマは売れなくなる。あるいは経済状況の悪化で若者の生活が厳しくなっても同じ。欧州でも日本でも、割安なホットハッチというジャンルは、最初の流行の後サーッと潮が引くように廃れてしまう。それに代わって登場するのが、いわゆるGTIクラス。これは’77年にデビューした初代ゴルフGTIのヒットに由来するネーミングだけど、速さだけではなく快適な高速クルージング性能や質の高い居住性など、大人が乗れるクルマに進化したのがポイント。同時に価格帯も上がってプレミアムカー的要素が加わり、周りからちょっと羨望の目で見られるクルマにグレードアップしている。大人(オジサン)が買えるクルマになったことで、このジャンルはマーケットとして確立し、今では欧州車を中心にプレミアム性のあるホットハッチがたくさん登場している。新しいプジョー208GTiなんかもその一員といっていいでしょう。
、“GTIクラス”はより多くの、収益率の高い富裕層ユーザーを見込める

日本のメーカーは数値に表れるスポーツ性能を追求するのは得意。典型的なのがホンダのタイプRシリーズやエボ/インプで、数値性能では欧州製GTIなんか軽く蹴散らす。ところが、デザインのプレミアム性や走りのクォリティみたいな抽象的なテーマになると大の苦手。タイプRやエボ/インプはマニアだけの狭いマーケットでしか評価されないけど、“GTIクラス”はより多くの、しかも収益率の高い富裕層ユーザーを見込める。どっちが商売として長続きするかといえば、考えるまでもないでしょう。
こういうクルマを日本のメーカーが作り出せるか

国産車が数字に表わしにくい抽象的な魅力を創造するのが苦手というのは、ボクも大いに不思議に思ってる。プジョー208GTiなんか、その魅力の大半が数字や言葉でスパッと表現し難い抽象的な部分ばっかし。やれ、1.6Lで200ps出してるわりに全域レスポンシヴで扱いやすいエンジンだとか、やれ、ギンギン攻め込んでもしっかりロールが抑制されてるのに荒れた路面ではプジョーならではの猫足と感心させられる乗り心地とか、ボクの文章力ではホンの一端しかお伝えできないようなところに魅力のエッセンスが詰まってる。ただし、文章では伝えにくくても、乗れば一目瞭然。どんなに鈍感な人でも「少なくとも、こういう乗り味の国産車ってないですよね」ってことがハッキリ感じられる。確かな違いがあるからこそプレミアムな価格を投じてでも欲しいというユーザーが存在し、それゆえに“GTIクラス”というマーケットがしっかり成り立っている。そういうクルマを日本のメーカーが作り出せるかというと、当分はダメなんじゃないかと悲観的にならざるをえない。だって、まずホットハッチのベースになるコンパクト2BOXにロクなクルマがないし(失礼!)、“味”で勝負する高級車ジャンルでも欧州車に対抗できるような独自の魅力がない。昔の日本車みたいに追いかけて差が縮まってる実感があれば、いつかは……という期待も持てるけど、なんか敵の背中がどんどん遠くなってくような気がしてならないんだよねー。まず、国産車はスイフトスポーツを超えるクルマを作るのが先決。欧州勢を「オッ」と驚かせるクルマを実現するのは、そのはるか先にある目標なんじゃないかと思います。