中古車購入
更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.11.30
JWRCで得たノウハウを惜しみなく投入!! モンスタースポーツT謹製 NA派万歳試乗 快感NAの極致 新型スイフトスポーツモンスターコンプリートカー
魅力的なコンプリートマシンをリリース

モンスタースポーツURL http://www.monster-sport.com/
【本記事は2012年10月にベストカーに掲載された記事となります。】BC読者にはお馴染みの、モンスター田嶋氏率いる「モンスタースポーツ・ジャパン」が、新型スイフトスポーツをベースとした魅力的なコンプリートマシンをリリースした。MSE(モンスタースポーツ・ヨーロッパ。JWRC参戦マシンなどを製作)との連携によって生み出されたパーツを多数装着し、NAエンジンならではの気持ちよさを存分に味わえる、ナイスなマシン。その魅力を鈴木直也氏が徹底レポート!
スズキ車のスペシャリストが作る魅惑の一台

223万円+αで楽しめる!!
普通の人がお手軽に買えるスポーツモデルが絶滅状態の日本で、孤軍奮闘してるのがスイフトスポーツだ。168万円で買えて、走ってこんなに楽しいクルマはほかになし。話題の86/BRZよりザッと100万円は安いんだから、スズキはホントに庶民の味方だと思う。さらにこのスイフトスポーツ、いろんな意味で“素直な素材”であることが好ましい。別な言い方をすれば、基礎のしっかりした本格派だけど、目を血走らせてスポーツ仕立てにしてないってこと。そう、ユーザーがイジる楽しみがたっぷり残されているんだよね。そんなスイフトスポーツの素材としての魅力を熟知しているのが、ご存じ「スイフトなら任せろ!」のモンスタースポーツだ。ベストカーではモンスター田嶋氏の作り出すスイフトベースのチューンド仕様をずっと追いかけてきたけど、今回取材したのは、その集大成ともいうべきコンプリートカー。ベースはもちろん最新のスイフトスポーツで、メインディッシュはオーリンズの車高調整ダンパーを中心とした足まわりのキット。それにJWRCレプリカのウイングなどエアロパーツ一式やブレーキパッドなどをセットとして、223万円というプライスを設定している。ノーマルに対して55万円のアップとなるが、パーツ単体で揃えるより約36万円もお得というのがコンプリートカーならではのセールスポイントだ。
すべてに理由があるチューニングに納得だ

2007年シーズンはパー・ガンナー・アンダーソンがドライバーズチャンピオンシップを手にした
すべてに理由があるチューニングに納得だまずはエクステリアだが、エアアウトレット付きのカーボンボンネットと、同じくカーボン製のリアウイングの品質の高さにビックリだ。炭素繊維クロスが織りなす光沢の美しさや、中空成形された複雑な形状など、こりゃもう市販車のエアロパーツというよりコンペティションカーのレベル。ぼったくりブランドならこれだけで30万円くらい取ってもおかしくない。しかも、コイツは空力性能についても保証付きだ。そもそもが旧スイフトJWRC仕様のために開発されたリアウイングは、ドラッグとダウンフォースのバランスを風洞でテストしつつ形状が決定されている。コストの制約があるノーマルのリアウイングとは、スタイルだけじゃなくエアロダイナミクスでも断然うわ手なのだ。
完成度の高いサスペンションのセッティング

MSEオリジナル仕様のオーリンズ製車高調を装着。車高は前後とも45mm下げられ、精悍なイメージ
サスペンションについても、完成度の高いセッティングに感銘を受けた。チョイ乗りしただけでもすぐにわかるのは、車高が45mmも落ちているとは思えないほどきちんと乗り心地性能が確保されていること。これは、まずはオーリンズの車高調整ダンパーの微低速領域での減衰性能が良好ということだが、バネレートの設定やプリロードの掛け方など、足づくりの基本的なノウハウが高水準でないと、なかなかこんな味は出せない。開発スタッフによると「スイフトスポーツはタワーバーなどでボディ補強をすると、てきめんに乗り味がシャープになったり大きく変化します」とのことで、最適値を選び出すのはなかなかにデリケートな作業だったことが想像される。
鋭く、かつ扱いやすいナイスなハンドリング

エンケイ製のアルミホイールと215/40 R17のダンロップタイヤ「ディレッツァ」はオプションとして設定されている
鋭く、かつ扱いやすいナイスなハンドリングそういう意味では、ハンドリングも玄人っぽいセッティングと表現したい。バネ・ショックと低く固められているし、タイヤが215/40R17のダンロップ・ディレッツァだから、ステア操作に対するクルマの反応は圧倒的にシャープ。普通の感覚では位相遅れはほとんど皆無で、ハンドルにグッと力を入れただけで面白いほどソリッドな感覚でクルマのノーズが向きを変える。ピローボールタイプに変更したストラットアッパーマウントも、このソリッド感覚を演出するのにひと役買っている。しかもこれだけ運動性能を高めながら、感覚的にはとてもコントローラブル。フロントの接地感が安定しているからクルマがどういう状況になっても安心感があるし、突然アクセルを抜いてもリアサスはそのトルク変化をゆるやかに吸収してくれる。ふたたび開発スタッフのコメントを引用すると「リア荷重の軽いスイフトスポーツは、後輪の接地性をどのように高めるかが勝負。フロントはスペック変更に鈍感ですが、リアはちょっとバネやダンパーをいじると特性が大きく変化します」というキャラクター。派手にトガッたハンドリングではないが、じつに懐の深いセッティングにまとめられているのである。
オプションのECUが痛快なフィールを生む

ボンネットの開口部分の下にはカバーが。またエアクリーナーエレメントも、純正交換タイプの「パワーフィルターPFX300」に変更されている
オプションのECUが痛快なフィールを生むさらに、今回の試乗車にはオプションでエンジンのECU変更というメニューが追加されていたが、これがまたマニアックな味付けで興味深かった。ECUのみの変更だから、空燃比マップ、電制スロットルの制御特性、さらにはレブリミッター作動回転数の変更まで追い込んでも、スペック的には10ps程度のアップ。数字に表われるパフォーマンスはほとんど誤差程度といっていい。ところが、体感的なエンジンフィールは、この数字からはとても想像できないほど。とりわけ、アクセルレスポンスのリニアリティや高回転域での伸びなどは、「カムはいじってるでしょう?」と疑いたくなるほどスポーティなキャラクターに変貌している。こういうところがWRCカーを作っていたファクトリーから生み出されるクルマならではの完成度の高さなんだな、と実感させられた。やっぱりモンスター田嶋って人は、その名のとおりタダモノじゃないね!