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更新日:2019.01.06 / 掲載日:2017.11.30

11代目カローラは原点回帰……で、いいのか?カローラフィールダーは?

最新モデルをチェック

カローラフィールダー:このモデルはスポーティなエアロツアラー。左のアクシオと比べると若者向け。5ナンバーサイズの国産ワゴンは少数派だから、販売面でも見込める

カローラフィールダー:このモデルはスポーティなエアロツアラー。左のアクシオと比べると若者向け。5ナンバーサイズの国産ワゴンは少数派だから、販売面でも見込める

【本記事は2012年6月にベストカーに掲載された記事となります。】初代カローラが誕生したのは’66年、第二期高度経済成長期の真っ直中。それ以来、カローラは代を重ね、5月11日にデビューする新型で11代目となる。カローラはいつの時代もユーザー目線に立ったクルマで、常に時代を反映してきた。しかし昨今では、カローラ離れが進行し、かつて定位置だった新車販売日本一も過去のもの(’07年が最後)となっているのは昔を知る人間には寂しいかぎり。この世知辛い時代にカローラが生き抜いていくために、トヨタが選んだのは、「大人4人ないし5人が安全・快適に長距離を移動できる最小のクルマ」というコンセプトへの原点回帰。現行モデルでは、セダンはアクシオ、ワゴンはフィールダーと、カローラの名前がなくなるという噂も出たほどだったが、それは回避して、ビッグネームのカローラは存続。モデル誕生から46年を迎えるカローラの最新モデルをチェック。

ボディサイズ

カローラフィールダー:このモデルはスポーティなエアロツアラー。左のアクシオと比べると若者向け。5ナンバーサイズの国産ワゴンは少数派だから、販売面でも見込める

カローラフィールダー:このモデルはスポーティなエアロツアラー。左のアクシオと比べると若者向け。5ナンバーサイズの国産ワゴンは少数派だから、販売面でも見込める

■ボディサイズ新型カローラアクシオのボディサイズは、全長4360×全幅1695×全高1460mm。これは現行に比べて全長で50mm短くなっている(全幅、全高は同じ)。いっぽう新型フィールダーは全長4360×全幅1695×全高1465mmと、アクシオより全高が5mm高いだけで、現行に比べて60mm短くなり、全高が15mm低くなっている。これまでカローラは5ナンバーサイズこそ踏襲しつつも大型化されてきたが、原点回帰ゆえ、ダウンサイジングを敢行。

エクステリア

カローラアクシオ:よく見るとヘッドライト形状などシャープで精悍なのだが、全体の印象は地味……

カローラアクシオ:よく見るとヘッドライト形状などシャープで精悍なのだが、全体の印象は地味……

■エクステリアエクステリアデザインは、40代半ばの担当が見ても地味すぎ。もう少し華があってもよかったのでは? と思ってしまうが、カローラの60歳以上が多いという購入年齢層を考えると、地味すぎと思えるくらいの保守性が必要なのかも。それから、ひとクラス下のベルタが6月に絶版となるのに伴い、そのベルタのマーケットのユーザーをも取り込もうとしているのは明らか。そのいっぽうでアクシオよりも若者をターゲットとしているフィールダーは、フロントマスクやプロポーションこそ基本的に同じながら、若者向けのエアロツアラーを現行同様に設定しているのは評価できる。アンダー2Lクラスの貴重なワゴンとして存在価値は大きい。

エンジン

■エンジン新型カローラのエンジンは、アクシオが1.3L(95ps/12.3kgm)と1.5L(108ps/13.9kgm)、フィールダーが1.5Lと1.8L(139ps/17.6kgm)という設定。過給もせずに1.3Lじゃ非力と思うし、今時、魅力に欠ける。JC08モード燃費は、アクシオが16.4~21.4km/L、フィールダーが16.0~21.2km/Lとなっている。注目はアクシオ、フィールダーとも1.5Lモデルにのみアイドリングストップがオプション設定される点で、最高燃費は1.5L+スマートストップがそれぞれマークしている。燃費面の改善は当然のことなのだが、不満がないわけじゃない。フィールダーの1.8Lは、エコカー減税、補助金の対象外。この時期に登場するニューカーにしては抜かりのないトヨタらしくない。少々価格がアップしてもアイドリングストップを組み合わせてユーザーが選べるなどの選択肢が欲しかった。どうも力が入っていないように見受けられるゾ。

インテリア

1.8Sエアロツアラー:右がアクシオ(ラグゼール)、左がフィールダーのインテリア。紡錘形を象ったインパネの基本的なデザインは同じだが、アクシオはシックにフィールダーはスポーティな演出が盛り込まれている

1.8Sエアロツアラー:右がアクシオ(ラグゼール)、左がフィールダーのインテリア。紡錘形を象ったインパネの基本的なデザインは同じだが、アクシオはシックにフィールダーはスポーティな演出が盛り込まれている

■インテリア現行のアクシオ/フィールダーともインテリアの質感の高さには定評があったが、新型でもそれは同じ。それどころか、アクシオはちょっとシックすぎるのでは? と思えるほど。センターコンソール、インパネのデザインは、中央が太く両端が次第に細くなる紡錘形を採用しているのが最大の特徴。インパネとドアトリムのオーナメント形状を凹型にすることで、広がり感と優しく包み込まれるような安心感を演出している。そのほか、センタークラスター部分にエアコンやオーディオ類などの操作系を集積させているのだが、人間工学に基づき、操作しやすいような最適な位置と角度にスイッチ類を配置するなど、さまざまな配慮がなされているのはカローラならでは。いっぽうのフィールダーのインテリアだが、基本デザインはアクシオと同じだが、メッキやシルバーの加飾を設定。メーターもホワイトパネルを採用するなど、全体的にスポーティな演出がされている。

室内&ラゲッジスペース

1.5ラグゼール:右がアクシオ(ラグゼール)、左がフィールダーのインテリア。紡錘形を象ったインパネの基本的なデザインは同じだが、アクシオはシックに、フィールダーはスポーティな演出が盛り込まれている

1.5ラグゼール:右がアクシオ(ラグゼール)、左がフィールダーのインテリア。紡錘形を象ったインパネの基本的なデザインは同じだが、アクシオはシックに、フィールダーはスポーティな演出が盛り込まれている

■室内&ラゲッジスペースダウンサイジングされた新型カローラ。さて室内の広さはどうなのか?実は現行モデルに比べて、室内長、室内幅、室内高のどれをとっても劣っている。しかし、実用スペースは確実に広くなっていて使い勝手も向上。例えば、リアのニースペースだが、630mmを確保。これは現行に比べて+20mm。さらにヒップポイントはフロントを10mm、リアを20mm上げることで視界がよくなるだけでなく、乗降性も向上させている。フィールダーについては気になるのがラゲッジ容量。現行に比べて4L増加の407L。リアシートを倒した状態では、71Lも容量アップしている。

価格

■価格現行カローラは、最上級モデルの1.8Lのラグゼールαエディションは244万円で、マークXのベーシックグレードとあまり変わらない価格設定というのを筆頭に全体的に割高感があったのが苦戦の要因のひとつ。しかし、新型ではアクシオに1.3Lを設定したこともあり、実質的に買い得感は増しているといえそう。アクシオは135万7000~208万9000円。フィールダーは、151万7000~202万5000円となっている。ここまで新型カローラアクシオ&フィールダーを紹介してきたが、正直なところそのポジションは微妙。ユーザー目線に立った心憎いほどの工夫、演出をしているが、それがわかりにくいからだ。ユーザーにどう評価されるのか注目したい。

歴代カローラとその時代 そして思い出……

66年初代(E10):パブリカとコロナの中間を埋める車種として登場。開発中のサニーを意識し、排気量を100cc多い1100ccとしたことは有名

66年初代(E10):パブリカとコロナの中間を埋める車種として登場。開発中のサニーを意識し、排気量を100cc多い1100ccとしたことは有名

歴代カローラとその時代 そして思い出……初代から数えて46年という長い歴史があるカローラだけに、人によって思い入れのあるモデルというものがあるだろう。そこでここでは、たくさんいるであろうカローラに特別な思いを寄せる人を代表して、本誌で活躍する評論家陣3人に、自らの思い入れのあるカローラについて語ってもらったぞ。E10(初代)に寄せる 竹平素信ワシがトヨタに入ったのは’66年だったか’67年だったか。とにかくその頃には初代はすでに発売されとったよ。でも発売された後も当時ワシがおった車両試験課には、新しいパーツの試験だなんだで、バンバン車両が入ってくるわけだ。だもんで、初代カローラにも相当乗ったわけだが、会社に入って1~2年ほどした頃だったかな、カローラのクーペの試作車が入ってきた。これは強烈だったな、カッコよかったんだよ。それが「KE15」っていわれるカローラスプリンターだったんだが、これに関われるのかって、本当に興奮したよ。当時のカローラスプリンターの価格は48万7000円からだったと思う。2ドアセダンのスタンダードグレードが43万2000円だから、5万5000円の価格アップだ。ワシの初任給が2万円ちょっとだったから、両車とも決して安いとはいえない価格だったわな。入社して3年目ぐらいに、今度は2代目E20系の試作車が入ってきたんだが、これが妙にかっこ悪くてな。いや、試作車ってのは、チリがあってなかったり、面があってなかったりで、どれもあまりカッコよくないもんなんだが、それでもかっこ悪いと思った。それだけに、初代のカローラとかカローラスプリンターがかっこよく思えてしようがなかったよ。E70系の思い出 片岡英明’79年3月にデビューした70系カローラは、歴代のカローラのなかで、とりわけ印象に残っており、思い出も多いクルマだ。力強いウエッジシェイプで、躍動感あふれるフォルムは、今見てもカッコいい。クーペだけでなく2ドアのハードトップや4ドアのセダンもキュートなデザインだった。歴代カローラのなかで最も多くステアリングを握ったのが、この70系カローラなのである。当時は自動車雑誌の編集者だったので、よくTE71レビンを撮影のために箱根に引っ張り出し、ライバルのジェミニ1800ZZと比較試乗もやっていた。が、プライベートでよく乗ったのは、友だちのハードトップ1500SEだ。レビンほどパワーがないから思い切り振り回せたし、扱いやすかった。練習と称して週末にワインディングを走り回ったし、林道にも繰り出している。ダートでも3代目ほど飛び跳ねなかったし、乗り心地も悪くなかった。ハンドリングも素直なので、操る楽しさは格別だったのだ。70系カローラが主に活躍した’80年代前半は、円高が進行し、日本企業が海外に生産拠点を移す動きが活発化していた時代。これは現在の日本の姿にどこか似ている。そんな時代に生まれる11代目カローラ。どういう運命を辿るのだろうか。E100系の思い出 鈴木直也’91年デビューの100系カローラは、ボクにとって“史上最も贅沢なカローラ”として記憶されている。開発期がちょうどバブルのピークだったこともあり、とにかく作り方がリッチ。たとえば、4A-Gはこのモデルから5バルブ化され、足回りではスーパーストラットや電制サス(TEMS)が登場。内装もインパネなんか今だったらレクサス並み(全面スラッシュ成形)の工法だ。「コストが掛かってもイイものは採用する」という、まさに古きよき時代の最後を飾ったカローラがこの100系だったといえる。チーフエンジニアを務めたのは、後に名物副社長となる齊藤明彦さんだが、齊藤さんはことあるごとに「もしカローラをトヨタから分離して別会社にしたら、ダントツの国内3位メーカーになる。カローラはそのくらいすごいクルマなんだ」と力説していたことが思い出される。たしかに、当時のカローラは生産台数でも技術面でも、世界的に大きな影響力のあるクルマの一台だったし、トヨタにとっても最も重要な大黒柱。現在のように、商用ユーザーのほうが多いような存在になるとは、とても想像できなかった。栄枯盛衰は世の習いとはいえ、無常感を禁じえないよねー。

モータースポーツ界のカローラ

TE27レビン(初のWRC参戦) ’75年の1000湖ラリーでWRC初優勝。ボスのオベ・アンダーソンとドライバーのハンヌ・ミッコラ。カッコいい~!

TE27レビン(初のWRC参戦) ’75年の1000湖ラリーでWRC初優勝。ボスのオベ・アンダーソンとドライバーのハンヌ・ミッコラ。カッコいい~!

モータースポーツ界のカローラトヨタのモータースポーツ車両といえばセリカが有名だがカローラだって負けちゃいない。その先鞭をつけたのが’75年のWRC1000湖ラリーで優勝した名車のTE27。その後デビューしたTE37以降はモータースポーツに使われず、TE71で少し復活の気配を見せたが、セダンGTの人気も侮れず。しかし本格的に盛り上がりを見せるのはAE86から。AE86は欧州ツーリングカー選手権(ETC)、全日本ツーリングカー選手権(JTC)の両選手権で活躍。といってもシリーズを席巻するほどではなし。カローラはその後ツーリングカーレースを中心に活動していくが、カローラシリーズが世界選手権を制したのは’99年。カローラWRCがマニュファクチャラーズチャンピオンを獲得。日本では販売していない欧州版のカローラで後にロッソとして販売されたが販売大苦戦。いっぽう現行アクシオをベースにGT300マシンとしたアクシオGTは、昨年かぎりでお役御免。新型がレース&ラリーに出場する可能性は皆無と思われる。ということは当面、カローラがモータースポーツフィールドに登場することはない?

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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