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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.11.30
国内唯一となったテンロクスポーツの星が3代目に超進化! 出陣スイフトスポーツ
生まれ変わった3代目スイフト

日本のみならず海外でも評価の高かったスイフトスポーツ。その3代目がようやく登場。気になる走りのほどは?
【本記事は2012年1月にベストカーに掲載された記事となります。】国産車離れした軽快な走りで好評を博した先代スイフトスポーツ。エンジンパワーこそ125ps/15.1kgmとソコソコだったが、ニュートラルなハンドリング特性は、多くのファンを獲得した。そのスイフトスポーツが、さらにパワーアップしたエンジンと6MT&CVTを手に入れて3代目に生まれ変わった!BC読者にもファンの多いこの注目モデルの走りを、還暦を超えてなお盛んな竹平素信氏が鋭くチェックするぞ!
小気味いい走り、健在!

発売日は6MTが’11年12月13日、CVTは’12年1月27日だ!!
小気味いい走り、健在!3代目スイフトがデビューして1年3カ月、待望の“スポーツ”がようやくデビュー。カッコよさと欧州テイストの上質な走りでブレイクした先代スイフト。当然、そのスポーツモデルのスイフトスポーツも人気が高かった。このクラス、日本車にまともなライバルがいなかっただけに、クルマ好きからも絶大なる支持を得ていた。そんなわけで、3代目スイフトスポーツにかけられた期待は大きかった。だから2代目からどんな進化を見せているのか、ワシも大いに注目していた。さて、新型の仕上がりぶりはデザイン同様、いい意味でのキープコンセプトであった。先代で評価された上質で気持ちいい走りがさらに進化しており、バッチリ期待どおりだったのだ。
進化したエンジン

可変吸気システムの新採用、吸気VVT制御の最適化などで先代比+11ps/1.2kgmを達成
まずはエンジンの進化が大きい。ベースの1.6L、M16A型は型式こそ変わらないが、ヘッド回りを中心に大幅改良され、先代に対して11ps/1.2kgmのパワーアップで、136ps/16.3kgmをマーク。ターボならまだしも、1.6LのNAでこれだけのスペックアップは立派。むろん、走りもいちだんと元気になった。先代モデルとの比較データはないが、動力性能はハッキリと勝っている。ここでうれしいのは、衝突安全性能を高めた新型ボディながら、車重が10kg軽量化されたこと。エンジンのパワーアップ以上の動力性能アップとなっているわけだ。このエンジンはフィールもいい。低中速トルクが増してより扱いやすくなったのに加え、高回転の伸びも実にスムーズ。レッドゾーンは7200rpmからで、7000rpmあたりまではキッチリとパワーの伸びが感じられる。サウンドも気持ちいい。いい仕上がりですゾ。
5速から6速に進化

先代の5速から6速とされたMT。2~5速はクロスレシオ化されている
5速から6速に進化したトランスミッションのフィールも上上だ。シフトストロークは短めで節度感もカッチリしているし、シンクロ能力も高いのでシフトワークが楽しくなる。このエンジン特性なら5速でも充分だろうが、ワインディングを走らせてみるとやはり6速がいい。5速よりクロスさせられるので、スポーツ能力もより高まるのだ。ただ、全体にハイギアの傾向が強い。カタログ燃費は多少犠牲にしてもよりスポーツできるギア比のほうがスイフトスポーツにはふさわしいと思う。
CVT仕様も新たに設定

7速マニュアルモード搭載、副変速機付きCVT。鋭い発進加速を実現する
新たに設定されたCVT仕様にも試乗した。先代は4ATだったから、これも大きな進化だ。走ってみるとこれがいい。鋭い発進加速、スピードの伸びといい、MT仕様に負けていない。ビギナーが加速比べしたらCVTに軍配が上がりそう。7速マニュアルモードのパドルシフトもナイスフィールだった。ハイレスポンスなシフトチェンジでスポーツ走行も楽しめるゾ。AT免許しか持っていない走り好きがいたら(ワシのチーム員にいます)、スイフトスポーツのCVTモデルはイチオシだ。
進化極まる上質な走り

先代より1インチアップされ、195/45R17というタイヤを履く
進化極まる上質な走りもちろん、スイフトならではの上質な走りもしっかりと進化。ここはスイフト最大の魅力の部分で、先代も初代に比べればかなり進化していた。しかし、新型はさらに気合いが入っている。リバウンドスプリング内蔵の大径フロントストラット、サスメンバーやステアリングギアボックス取り付け部の剛性アップ、専用設計で剛性アップされたリアサス、リアホイールベアリングの大型化など、手が込んでいる。タイヤも16インチから17インチになった。乗ってみれば、操舵応答性、ロール剛性がいちだんと高まっており、一体感の高い気持ちいいハンドリングだ。グリップレベルが上がったタイヤもあり、コーナリングスピードも速い。
乗り心地も上質へと変化

専用設計のリアサスペンションを装備し、ハンドル操作に対する追従性が先代比で約20%向上。より機敏なハンドリングとなっている
そのいっぽうで乗り心地も低速でこそやや強めの突き上げを感じるものの、スピードアップにつれて上質へと変化。ウムウム、さすがに新型はよかった。ただひとつ不満だったのは、路面変化やアップダウンの大きいワインディングを攻めた時、前輪の接地力変化が大きく、リズミカルなスポーツ走行が難しいこと。注目のクルマだけにもう一歩踏み込んだサスチューンが望まれる。
スイフトスポーツが他車を確実にリード

エアロの付いた精悍な外観。価格は2WDが137万250円(5MT、CVTとも)、4WDが154万8750円(4WDのみ)
ともあれ、スイフトスポーツのデビューを心から歓迎したい。今、日本のコンパクトスポーツは元気がないからなおさらだ。排気量のアドバンテージはあるが、ヴィッツRS、デミオスポルト、フィットRSといった1.5Lのスポーツコンパクトに比べれば、パフォーマンス、楽しさともスイフトスポーツが確実にリードしていると断言できるぞ。最後に、これはワシの願望なのだが、スイフトスポーツは1.5Lクラスでデビューさせてほしかった。モータースポーツに参加する場合、1.6Lはハンデが大きいのだ。そのため、参加者がほとんどいない。ポテンシャルの高いコンパクトスポーツだけに、日本各地のモータースポーツフィールドでユーザーに楽しんでもらいたい。この点はもったいないと感じてしまった。