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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.01

見て、乗っておみそれしました これは魔法のエンジンだ! 三本和彦御大がデミオSKYACTIVに乗った!

SKYACTIV第1弾を徹底チェック

なんとCD値は0.29。ここまで徹底するとは驚きだ! 空力値はほかのグレードが0.32。アンダーカバーやリアスポイラーなどで0.29に!

なんとCD値は0.29。ここまで徹底するとは驚きだ! 空力値はほかのグレードが0.32。アンダーカバーやリアスポイラーなどで0.29に!

【本記事は2011年8月にベストカーに掲載された記事となります。】6月30日のマイナーチェンジで、新たに加わったデミオSKYACTIV。ハイブリッドに頼らずに10・15モード燃費30.0km/Lを達成したマツダのSKYACTIV第1弾だ。その実力はどうなのか? 三本和彦御大がデミオSKYACTIVを試乗し、徹底チェックする!

SKYACTIVの技術とは

10・15モード燃費は30.0km/Lとまったく同じ! フィットHVとデミオの10・15モードはまったく同じ。JCO8モード燃費はわずか1km/Lでフィットのほうが燃費はいいが……

10・15モード燃費は30.0km/Lとまったく同じ! フィットHVとデミオの10・15モードはまったく同じ。JCO8モード燃費はわずか1km/Lでフィットのほうが燃費はいいが……

こんにちは、三本和彦です。デミオSKYACTIVが発表された時には目玉飛び出るくらい驚いたよ。ハイブリッドなしで10・15モード燃費30.0km/Lだからね。30.0km/Lの燃費は、23.0kmの13-CVに対し約30%の燃費向上でエンジンで24%、CVTで2%、空力など車体で4%。なぜハイブリッドでもないのに30.0km/Lを実現できたのか? まずはデミオSKYACTIVの技術的なポイントから説明しましょう。デミオSKYACTIVのエンジンは、普通のエンジンなら圧縮比10.0~12.0というところを14.0にまで高めている。圧縮比が高ければ高いほど点火した時の爆発力が大きい。つまり小さい箱(高圧縮)の中で爆発させたほうが、中の圧力が高くなり、より大きな力を効率的に得られるわけだ。その半面、シリンダー内の気体を小さく圧縮することになるので、シリンダー内の温度が高くなり、ノッキングが発生しやすくなる。それを解決したのがクールEGR。このクールEGRは排気ガスの一部を冷やしてシリンダーにまた戻すことによって、シリンダー内の温度を下げて、異常燃焼を防いでいる。またマルチホールインジェクターによって緻密な燃料噴射を実現している。そしてもうひとつ。圧縮比を14.0まで高めると、シリンダー内の気体が入る空間が小さくなって、点火した火がピストンにあたってしまい、効率よくガソリンが燃えなくなる。そこでピストン上部に凹みを作って、球体に近い燃焼室を作り、そこに火炎を元気よく広げることできれいに燃焼させる。さらに火炎の熱を下がりにくくするためピストンの直径(ボア)を小さくして火炎が触れる燃焼室の表面積を減らし、火炎の熱が下がることによるエネルギー損失を低減。ボアを小さくしたぶん、ピストンのストローク(行程長)を拡大して、早く燃やすという寸法だ。デミオSKYACTIVに搭載されているエンジンは、1300ccながらバルブを遅く閉じることによって1170ccの燃料消費量でいながら1300ccのエネルギーを取り出すというミラーサイクル。超低燃費エンジンだから走らないだろうと思っていたのだが、普通にアクセルを踏み、加速していくと、エンジンは思いのほかスムーズに回り、ストレスなく5500rpmのレッドゾーンに達する。ただしちょっと踏んだだけでは出足が悪く、ガッと踏まないとスピードが出ない。加速のスムーズさはCVTに秘密があった。なんとCVTの制御の一部をエンジンのECUに任せているという。だからこんなにスムーズなわけだ。正直、こんなに走りがいいとは思いもしなかったねえ。ハンドリングもいいし、1010kgという軽量ボディのおかげで回頭性もいい。

作動範囲が拡大したi-stop

i-stop i-stopは大幅進化。軽量化のため、1バッテリーとなり、これまでDレンジしか作動しなかったがN、Lでも有効になった

i-stop i-stopは大幅進化。軽量化のため、1バッテリーとなり、これまでDレンジしか作動しなかったがN、Lでも有効になった

乗り心地のよさにも驚いた。ゴツゴツ感がなく不快さをあまり感じないのだ。これはリアトレーリングアームマウント部のブッシュ取り付け角度の変更や局部剛性の変更、ダンパーチューニングによるもの。ハンドリングの楽しさはそのままに乗り心地が向上しているのがすばらしい。さて注目のi-stop。今回のデミオからバッテリーは2個から1個(大型)に変更され、軽量化。これまではDレンジでしかエンジンがストップしなかったが、P(パーキング)とR(リバース)以外のすべてのポジションで作動可能になった。アクセラに試乗した時はあまりエンジン停止しなかったが、このデミオのi-stopは実によく停まる。取材時は外気温が37℃でエアコンは25℃に設定。途中、室内が暑くなってきたと思ったら、アイドリングストップしなくなり、マルチインフォメーションディスプレイに「エアコンの作動を優先しています」という表示が出た。またエアコンのダイヤルを最大、アイドリングが2分経過した時にはアイドリングストップはしなかった。ちなみにアイドリングストップ中は送風になる。再始動時の振動もよく抑えられており、ブレーキを放すとわずか0.35秒で再始動という早ワザだ。

底力感じる「空力」

空力性能 徹底的に空力にこだわり、タイヤディフレクターやボディ下回りのアンダーカバーを装着し、リアスポイラーも装着。CD値は0.29

空力性能 徹底的に空力にこだわり、タイヤディフレクターやボディ下回りのアンダーカバーを装着し、リアスポイラーも装着。CD値は0.29

さらにマツダの底力を感じさせてくれたのは空力。タイヤに当たる気流を抑制するためのタイヤフラップやアンダーカバー、ルーフスポイラーを装着。きわめつけは、燃料タンクを41Lから35Lに小さくして、アンダーカバーを装着するというこだわりぶり。ここまでやるとはねえ。これらの努力によって、コンパクトカーとは思えないCD値0.29を達成している。スムーズな運転をアドバイスするエコなドライブを支援するインテリジェント・ドライブ・マスター(i-DM)も見逃せない。ドライバーがどんな運転をしたのかリアルタイムで知らせるコーチング機能と、運転が終了すると文字によるアドバイスとスコアが表示されるティーチング機能。ちなみに私のスコアは「4.9、すばらしい運転です。常にこの運転ができるよう挑戦し続けましょう」でした。最後は一番気になる燃費。瞬間燃費計は緩やかな加速だと10~15km/L、巡航中は30.0km/L、減速時は60km/L。平均燃費は距離が短く正確には計れなかったが、ディーラーマンに話を聞くと、渋滞が頻繁に起こる都内で15km~18km/L、高速だと22~24km/Lだという。デミオSKYCATIV、これで価格は140万円。おみそれしましたよ。魔法のエンジンといってもいいくらいです。

デミオSKYACTIVとフィットHVどっちがいいか

デミオSKYACTIV 価格=140万円エンジン=1.3L直4、84ps/11.4kgm10・15モード燃費=30.0km/LJCO8モード燃費=25.0km/L フィットハイブリッド 価格=159万~210万円エンジン=1.3L直4、88ps/12.3kgm モーター=14ps/8.0kgm 10・15モード燃費=30.0km/L JC08モード燃費=26.0km/L

デミオSKYACTIV 価格=140万円エンジン=1.3L直4、84ps/11.4kgm10・15モード燃費=30.0km/LJCO8モード燃費=25.0km/L フィットハイブリッド 価格=159万~210万円エンジン=1.3L直4、88ps/12.3kgm モーター=14ps/8.0kgm 10・15モード燃費=30.0km/L JC08モード燃費=26.0km/L

さて悩む デミオSKYACTIVとフィットHVどっちがいいか?フィットHVオーナーの立場からデミオSKYACTIVと比較してみたいと思います。まず乗り心地です。フィットHVはけっこうゴツゴツしています。それに比べて、デミオSKYACTIVの乗り心地はなかなかいい。轍やマンホールなどを乗り越える時には不快感をあまり感じないし、それでいてハンドリングのキビキビ感がある。ハンドリングと乗り心地のよさを両立しているんだね。乗り心地はデミオの圧勝です。クルマの挙動、回頭性のよさもデミオSKYACTIVのほうがいいね。車重は、デミオSKYACTIVが1010kg、フィットHVが1130kgと120kgもデミオが軽い。クルマの鼻先をスーッと変えるような時の軽快感はデミオSKYACTIVのほうがいい。加速フィールはIMAのモーターアシストのあるフィットHVのほうが上。決してデミオSKYACTIVも遅くはないが、パンチはない。思いきりアクセルを吹かしていくと5500rpmのレッドゾーンまでスムーズに回っていくんだけどね。静粛性についてはフィットHVのほうが有利。しかしデミオの静粛性もかなりの高レベルです。アイドリング時、エンジンの再始動の振動は抑えられているし、思いっきりアクセルを吹かしてもうるさく感じない。室内の居住性についてはフィットHVの圧勝。特にリアシートの頭上空間はフィットのほうが余裕があり、積載性も圧倒的にフィットHVの勝ちだ。

どちらを選んでも間違いなし!

室内の使い勝手なら圧倒的にフィットHV! 159万円のフィットHVはEBD(電子制御動力配分システム)付きABSは標準だが、横滑り防止装置VSA(ABS+TCS)はメーカーオプション。足元は175/65R15インチ+スチールホイールキャップ

室内の使い勝手なら圧倒的にフィットHV! 159万円のフィットHVはEBD(電子制御動力配分システム)付きABSは標準だが、横滑り防止装置VSA(ABS+TCS)はメーカーオプション。足元は175/65R15インチ+スチールホイールキャップ

さて、一番気になるのが両車の燃費だが、最終判断は実測燃費テストをBCにやっていただいてからにするとして、私のフィットHVは渋滞を伴う都内の一般道で15~17km/L、流れのいい郊外で18~19km/L。高速では22km/L台まで伸びる。デミオSKYACTIVはマツダの開発部の話では都内の一般道で14~15km/L。流れのいい郊外では18km/L。同時に計測したわけではないのであくまでも参考値だが、1~2km/L程度の違いだろう。価格は、デミオSKYACTIVはフィットHVより19万円安い140万円。フィットHVに付いていないアルミホイールと横滑り防止装置が標準装備だからデミオSKYACTIVのほうが買い得感がある。結論をくだすのは難しいねえ。低燃費と軽いボディでクルマ本来の走りの楽しさを同時に味わいたい、乗り心地のよさを重視するんだったらデミオSKYACTIV。ハイブリッドの特性や居住性、積載性重視だったらフィットHV。どっちを選んでも間違いではないと思う。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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