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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.02

安い、高性能、楽しい、経済的 三菱RVR 実力判明

ホイールベースは2670mmとアウトランダーと共通だが、前後のオーバーハングを切り詰めているRVR

ホイールベースは2670mmとアウトランダーと共通だが、前後のオーバーハングを切り詰めているRVR

【本記事は2010年3月にベストカーに掲載された記事となります。】約8年ぶりに復活したRVRは、三菱渾身のコンパクトSUV。RVRという車名を復活させた理由について、商品戦略本部の田中誠さんは「先代のRVRはスペースユーティリティに溢れたクルマとして、一時代を築きました。RVRという名はその時代、その時代に先進性を提案するクルマに与えたいと思って命名しました」とのこと。SUV全体の市場が落ち込むなかにあって、コンパクトSUVは増加傾向にあり、また環境に優しいもの、よりコンパクトなクルマが必要になっている状況なのだという。そこで、新型RVRは「人に自然に、優しさと楽しさを。新しい時代にふさわしいジャストサイズのコンパクトSUV」という商品コンセプトで開発された。

0→100km/h加速は13.8秒2Lのデュアリスとほぼ同じ!

0→100km/h加速は13.8秒2Lのデュアリスとほぼ同じ!

まず、なんといっても驚くのはFFが178万5000円から、4WDが200万円を切るという超お値打ち価格だ。RVRに設定されるグレードは3タイプで全グレードにFFと4WDを用意。エントリーグレードのEはFFが178万5000円、4WDが199万5000円。中間グレードのMはFFが192万1500円、4WDが218万4000円。そして最も高いGグレードはFFが218万7150円、4WDが244万9650円。FFに比べ4WDは21万~26万2500円高となっている。コンパクトSUVというカテゴリーのなかで、他車の価格をみると、アウトランダーは199万5000円(20E・FF)、日産デュアリスは208万4250円(20S・FF)、X-トレイルは205万8000円(20S・FF)。RVRは1.8L、他車は2LとなるがFFで全車200万円以上。最も安いRVRの4WD、Eグレードの199万5000円よりも高い。これはかなり魅力的だ。しかも全グレード、平成17年排ガス基準4つ★、平成22年度燃費基準+15%を達成し、エコカー減税およびエコカー補助金に対応(エコカー減税額は6万6700~8万900円)。

プラットフォームはアウトランダーがベース

RVRのボディサイズは全長4295×全幅1770×全高1615mm。プラットフォームを共用するアウトランダーよりも全長が345mm短く、全幅が30mm狭く、全高が65mm低い。ホイールベースは2670mmと共通なのでRVRは大幅に前後のオーバーハングを切り詰めている、ということだ。このプラットフォームは基本性能の高さで定評がある

RVRのボディサイズは全長4295×全幅1770×全高1615mm。プラットフォームを共用するアウトランダーよりも全長が345mm短く、全幅が30mm狭く、全高が65mm低い。ホイールベースは2670mmと共通なのでRVRは大幅に前後のオーバーハングを切り詰めている、ということだ。このプラットフォームは基本性能の高さで定評がある

ボディサイズは全長4295×全幅1770×全高1615mm。プラットフォームを共用するアウトランダーよりも全長が345mm短く、全幅が30mm狭く、全高が65mm低い。ホイールベースはアウトランダーと同じ2670mmながら、前後のオーバーハングがアウトランダーに比べ、前95mm、後250mmも短いのだ。デュアリスと比べても、全長が20mm短く、全幅は10mm狭いが、全高は同じだ。X-トレイルはRVRよりひと回り大きい。RVRはX-トレイルに比べ、全長が295mm短く、全幅が15狭く、全高が70mm低い。デュアリスとX-トレイルのホイールベースはRVRより140mm短い2630mm。実際見た印象は、想像以上のコンパクトさにビックリ。ランエボX譲りの精悍なフロントマスクと全高の低さもあり、(編)は「このRVRでラリーもイケルんじゃないか? かなり戦闘力が高そうだ」と気に入った様子。

スポーティかつ上質なインテリアと不満なしの居住空間

パノラマルーフもある! 開口部全長954×幅860mmの固定式大型ガラス(濃色、UVガラス)により開放感抜群。開口部左右にはLEDイルミネーション、サンシェードも備える

パノラマルーフもある! 開口部全長954×幅860mmの固定式大型ガラス(濃色、UVガラス)により開放感抜群。開口部左右にはLEDイルミネーション、サンシェードも備える

全長が4295mmとコンパクトなサイズにもかかわらず、ロングホイールベースのおかげで室内空間も不満は感じない。リアシートも身長180cmの(担)が座っても窮屈さは感じなかった。最低地上高は195mmなので、乗り降りもしやすいのが嬉しい。コクピットは、ヒップポイントが高く、見晴らしがいい。インパネのデザインは、最近の三菱車に共通するテイストで、ブラックを基調として、シルバーのアクセントが施されたスポーティかつ上質な印象。人に触れる部分には手触りのいいソフトパッドやトリム生地が使われており、これまでニット素材にしか使われなかったエンボス加工を初めて織物で施すなど、上質さにもこだわりをみせる。実際に触ってみると、心地よい手触りと座った時にしっかりホールドしてくれる座り心地に感心。リアシートは6対4の分割可倒式。シートバックを前倒しにした状態から、起こす速さに応じて2段階(前、ゆっくり起こす。後ろ、速く起こす)のリクライニングがワンアクションでセットできるアジャスタブルリターンシートも装備している。通常時のラゲッジ容量は419L。リアシートが使える状態で、ゴルフバッグなら9インチタイプが3セット積める充分なスペースだ。荷室奥行きが835mm、荷室開口部の天地が695mmと高いのでリアシートを倒した状態にすればマウンテンバイクも積める。さらに開放感抜群のパノラマガラスルーフ(Gに10万5000円でメーカーオプション)も用意されている。

走りを徹底チェック 2.4Lのアウトランダー、デュアリスの2Lよりも遅いのか?

実際見た印象は非常にコンパクトに感じた。ヒップポイントが高く、見晴らしがいいのも特徴。全長4295mm、最小半径が5.3mと取り回しもいい

実際見た印象は非常にコンパクトに感じた。ヒップポイントが高く、見晴らしがいいのも特徴。全長4295mm、最小半径が5.3mと取り回しもいい

RVRの走りの実力はどうなのか? やっぱり気になるのはアウトランダーの2.4L、デュアリスの2Lと比べると、1.8LのRVRは非力じゃないか、ということ。

2Lのデュアリスを圧倒するスペックと4WDシステム

しかし、実際に乗ってみると心配ご無用! RVRに搭載されるエンジンは、吸排気カムシャフトに連続可変バルタイ機構(MIVEC)を採用し、さらにピストン、ピストンリング、カムシャフトジャーナル部のフリクション低減や高着火性スパークプラグ、高効率オルタネーター、減速エネルギー回生システムなどの採用で、1.8Lながらライバルのデュアリス(2L、137ps)を勝る139psを発生。さすがに170ps/23.0kgm発生するアウトランダーのほうが圧倒的にパワフル。トルクこそデュアリスの20.4kgmにはおよばない17.5kgmだが、軽量ボディの威力もあって0→100km/h加速は、デュアリスの13.6秒に対し、13.8秒(4WD同士)と遜色なし。エンジンフィールも低振動でスムーズな吹け上がり。文句のつけどころがない。加えて、ワシが気に入ったのはRVRの走りの気持ちよさだ。ステアリングフィール、クルマの姿勢変化、そして乗り味もそうだが、すべてがドライバーの感性にハマッており、自然でとても気持ちよく走れるということだ。この点もライバルのデュアリスを凌ぐ。RVRはデュアリスに比べ約70kg、アウトランダー2.4よりも170kg(4WD同士)軽いことが効いているのだろう。重厚なアウトランダー、足回りはしなやかだが、低速域でゴトゴト感があるデュアリス、キビキビとした軽快感、乗り心地のよさとハンドリングを絶妙にバランスさせたのがRVRといった感じだ。三菱初採用のコラム式電動パワステ(ラック式より耐熱性に優れ効率もいい)も上々の仕上がりでフィールは自然だし、コーナリングの限界がわかりやすいロールフィール、穏やかな挙動の後輪など、「意のままに操る」といった高性能スポーツ車のキャッチフレーズがあてはまる、といっても過言ではない。テストコースでは、かなり激しい走りもしてみたが、パニック的な挙動は皆無だった。

FFと4WDの走りの違いはどうなのか?

FFと4WDの走りはどう違うのかも気になるところ。RVRの電子制御4WDシステムは、アウトランダーとほぼ同じだが、制御用ECUのROM容量を上げ、より細かい制御を行なうことで、前後トルク配分をより最適化。タイトコーナーでのブレーキングを回避する制御を改良しステアリングを切った状態で発進する時のトラクション性能がよくなっている。室内のスイッチ操作で、「2WD」「4WD」「4WDロック」の3モードを切り替えることが可能。2WDでは後輪にトルクを配分しないFFの状態、4WDロックはほぼ直結状態を、電制カップリングの操作によりつくりだす。ちなみに「4WD」モードでも通常はFFに近い特性を持ち、たとえば、ドライ路面を80km/hで巡航する場合には前85:後15に駆動力を配分するいっぽう、圧雪路を全開加速する場面では前40:後60という具合にリア寄りの配分になる。2WDモードとの燃費差はごくわずかだから4WDモードでの日常走行をオススメする。2WDと4WDの走りの違いは、日常的には大差なし。しかしコーナーを攻めたり、滑りやすい路面の走りとなれば4WDのほうが安心だ。また4WDはトラクションの大きさだけでなく、ハンドリングや乗り心地面でも優れている。2WDとキッチリ走り比べてみると4WDのほうがニュートラルステアに近く、乗り心地も、よりしなやかなフィール。これはリア荷重が増え、重量配分のバランスがよくなったことが理由。対するデュアリスの4WDシステムは電制カップリングを介してリアに伝える電子制御4WD(オールモード4×4)。オート/2WD/4WDのLOCKモードを備えている。定評のある4WDシステムだが、ドライ路面を走ったかぎりではRVRの4WDシステムのほうが、トラクション性能が高いように感じた。カッコよさだけでなく、走りもごきげんだったぞ!

RVRココが凄い! こだわりのポイント

減速エネルギー回生システム:燃費向上のため、オルタネータと車載バッテリーにより減速エネルギー回生システム

減速エネルギー回生システム:燃費向上のため、オルタネータと車載バッテリーにより減速エネルギー回生システム

RVRのこだわりのポイントにも注目。まずデュアリスとほぼ同じボディサイズながら最大約100kg(FF同士比較)も軽量なボディ。その秘密は、軽い衝突時にはダメージを受けても元の状態に戻るという樹脂フェンダー。これはスチールフェンダーに比べ両側で約3kg軽い。さらにアウトランダー比で2.5kg軽いボンネット、1kg軽いテールゲート、肉薄パネルのドアなど、すべてのドアで約7.6kg減。また約2.5kg軽いドアトリム、ハンドルロックボディを亜鉛からマグネシウム製に変更するなどすざまじい。そして減速エネルギー回生システムも三菱らしい技術。これはオルタネーターの発電を減速時に重点的に行ない、アイドリングや加速時、クルージング時にはバッテリーに蓄えた充電分の電力を消費することで発電を抑制。その間はオルタネーターの負荷が低減し、パワーロスを防いで燃費アップする、というシステム。ハイブリッド車の回生ブレーキほど能力は高くないが、比較的簡単なシステムで今後増えていくでしょう(技術開発本部性能実験部吉岡敦さん)。

RVRグレード&装備研究

引きずり低減キャリパー:定常走行時のブレーキパッドとディスクのフリクションを低減し燃費を向上

引きずり低減キャリパー:定常走行時のブレーキパッドとディスクのフリクションを低減し燃費を向上

RVRのボディカラーは8色用意されているが、なかでもテーマカラーであるカワセミの羽の色をイメージしたカワセミブルーメタリックに注目。環境性能の高さと俊敏なフットワークをもつRVRとイメージが合ったことから採用されたという。RVRのグレード構成はエントリーグレードのE(FF、178万5000円)中間グレードのM(FF、192万1500円)最上級グレードのG(FF、218万7150円)の3つ。FFと4WDの価格差は21万~26万2500円となる。オーディオ、カーナビはすべてのグレードでオプション扱いとなっているが、デュアリスをはじめ、このクラスのライバル他車をみてもたいていオーディオレスとなる。EとMグレードの価格差は13万6500円(FF)。フロントドアUVカットガラス、プライバシーガラス、サイドドアサッシュがボディ同色からブラックになるなど装備の簡略化が行なわれているが、ABSや運転席&ニーエアバッグ、エアコン、キーレスエントリーなどの必須装備はすべて揃っているので不満はないだろう。MとGの価格差は26万5650円。スーパーワイドHIDやフロントフォグランプが付くほかメッキの加飾が増え、タイヤが16インチから17インチへ、クルーズコントロール+パドルシフト、エンジンスイッチなどの豪華装備も満載。Eでも装備は必要充分なのだがお金に余裕がある人は豪華装備のGがだんぜんオススメ。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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