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更新日:2019.01.27 / 掲載日:2017.12.02

電気で走るプラグインハイブリッド プリウスPHV その実力、実感!!

ハイブリッドを使ったエコカーも進化急

プリウスPHVの充電は100Vか200Vのみで、急速充電には対応していない。充電時間は100Vで180分、200Vで100分だが、充電途中で終了して走り出しても支障はない。

プリウスPHVの充電は100Vか200Vのみで、急速充電には対応していない。充電時間は100Vで180分、200Vで100分だが、充電途中で終了して走り出しても支障はない。

【本記事は2010年3月にベストカーに掲載された記事となります。】ここまでは主にスポーツ系の新しい動きについて見てきたが、トヨタのお家芸、ハイブリッドを使ったエコカーも進化急です。昨年12月14日よりフリート向けリース販売を開始したプリウス・プラグインハイブリッド(PHV)。JC08モード燃費が57.0km/Lだとか、EVモードで連続23.4km走ることができるだとか、いろいろな情報が伝わってくるが、さて「実際に一般道を走ったらどうなのよ!?」という部分がとても気になってくる。プラグインHVが当面のエコカーの本命だとする声も聞くがその実力は果たして?

ハイブリッドカーとして使える電気自動車

都内文京区にあるトヨタ東京本社から一般道、首都高を走ってお台場まで約15km。写真は首都高速を走行中だが、この時はEV走行中。

都内文京区にあるトヨタ東京本社から一般道、首都高を走ってお台場まで約15km。写真は首都高速を走行中だが、この時はEV走行中。

プリウスPHVとはどんなクルマなのか!? 簡単にいってしまえば、“通勤などの短距離は電気自動車として使え、ロングドライブなどでバッテリーを使い切ったあとはハイブリッドカーとして使うことができるクルマ” ということになる。プリウスのモーター走行の度合いを大きくしたクルマ、といってもいいだろう。

下が後部荷室下に収納されたリチウムイオンバッテリー。重量は160kg

下が後部荷室下に収納されたリチウムイオンバッテリー。重量は160kg

最大の変更点は搭載バッテリー。プリウスはニッケル水素電池を使っているが、PHVではトヨタ車初のリチウムイオン電池を採用。充放電の効率が高く、大容量を確保できるリチウムイオン電池なくして、PHVの実用化はあり得なかったといっても過言ではない。リアラゲッジルーム下に搭載されるリチウムイオン電池は、現行型プリウスのニッケル水素電池に対して容量で4倍、体積にして3倍という大きさで、重量は160kgとなり、プリウス用に対して120kgの重量増となる(クルマ全体では140kgの増加)。このバッテリーによって、プリウスPHVはEV走行が最大23.4km(JC08モード)可能になっているのだ。もちろん、EV走行可能領域を超えたあとは、普通のプリウスと同じハイブリッド車として走行することが可能となる。100V電源で180分、200Vなら100分充電することで満充電となり、再びEV走行が可能となる。

実際何キロEVモードで走れるのか!?

エンジンルーム。基本的にノーマルプリウスとの違いはない。

エンジンルーム。基本的にノーマルプリウスとの違いはない。

試乗コースは都内文京区のトヨタ東京本社から一般道、首都高を経由して台場まで。最短ルートで走ると15km程度なので、ちょっと回り道をして距離を稼ぐルートをとった。都内一般道の流れに乗って走ると、まったくエンジンがかかる気配はない。スタート時、インパネのエネルギーメーターに示される航続可能距離は23.4km。走り出すとこの数字が100m単位で徐々に減っていき、アクセルペダルを戻したり、ブレーキをかけると逆に増えていくのが面白い。満充電で23.4km表示なので、これ以上表示距離が大きくなることはない。首都高に乗ったあとは、「少しイジメてやろうか!!」とアクセルを大きめに踏み込んでみたが、合流や車線変更で周囲の流れをリードする加速をしても“シュルルルル” とモーターのみ。意図的に床いっぱいまでアクセルを踏み込めば「ブルン」とエンジンが始動するが、パーシャルに戻せばすぐに停止し、またモーターだけでシュルルルル。100km/hまではEV走行が可能だというが、首都高ではそこまで確認することはできなかった。

21.0km走ってEV終了 21.0km走ってEVバッテリーを使い切った。ここまでモーター走行のみだったので燃費は無限大を意味する99.9km/Lと表示されている

21.0km走ってEV終了 21.0km走ってEVバッテリーを使い切った。ここまでモーター走行のみだったので燃費は無限大を意味する99.9km/Lと表示されている

正直、ここまでエンジンがかからないとはちょっと驚き。台場の出口から一般道に降りて、周辺道路をしばらく走り回ってみたが、なかなかバッテリーを使い切らない。インパネの航続可能距離は1kmを切って0.8km、0.7km……と落ちていくのだが、赤信号でブレーキをかけるとすぐに1.2kmくらいに回復する。けっこう頻繁に電気の出し入れをしていることがわかる。i-MiEVにはない“ブレーキ回生” の効果が大なのか。結局、水道橋のトヨタ東京本社を出発して約50分、走行距離21.0km地点でEV用バッテリーが残量ゼロとなり、ハイブリッドモードに突入。

この切り替わりに特別な操作や機械的な衝動などがあるわけではない。ごくごく普通のプリウスと同じようにエンジンが始動するだけ。この先は、普段乗り慣れたハイブリッド車プリウスとして当たり前のように走り続けるのであった。うーん、なんとも不思議な感覚だ。ただ、一度EVモード用バッテリーを使い切ってしまうと、この後いくら回生を使っても走行中にEVモードに復帰することはなく、プラグイン充電しなければならないのがちょっと残念。EV走行するためにはバッテリーの容量の多くの部分まで充電する必要があり、安定した電源でしっかりマネジメントしながら充電する必要があるというのが一因となっているとのこと。開発陣は、「今後の課題と思っています」と。

平均燃費72.1km/L!! その後もしばらく一般道をハイブリッド走行してゴールに到着。平均燃費計の数字は72.1km/Lを示していた!! 見たことのない数字だ

平均燃費72.1km/L!! その後もしばらく一般道をハイブリッド走行してゴールに到着。平均燃費計の数字は72.1km/Lを示していた!! 見たことのない数字だ

お台場のメガウェブに到着したのは9時58分。走行時間54分、走行距離28.9kmでエンジンが稼働していた時間は累計2分26秒21だった。燃費計の示す平均燃費は驚きの72.1km/L!! そりゃあそうだ。このうち21kmはガソリンを一滴も使わず走ったのだから。同じ区間を一緒に走ったi-MiEVは、バッテリー残量計が満タンから3セグメント減った状態で、航続可能距離63km(この航続距離は前に乗った人の運転モードで計算するので当てにはできない。バッテリーに厳しい冬場のBCテストでは、フル充電時の航続可能距離は97.68km と出ている)を示していた。

バッテリー以外は普通のプリウスと同じ!!

インパネのデザインは標準タイプのプリウスと同じである

インパネのデザインは標準タイプのプリウスと同じである

PHVにかかわるバッテリーや制御ソフトが異なるだけで、ボディサイズや室内の雰囲気などはベースとなったプリウスそのもの。エンジンやモーターの出力についてもまったく違いはない。車重が140kg重たくなっているが、加速性能はほとんど変わらぬ印象。タイヤが固くややハーシュネスを感じるものの、重たくなったぶん、ボディの動きはゆったりとしたものとなり、トータルでの乗り心地は標準プリウスよりもいい。ハンドリング性能は、後ろに重さを感じるものの、重量配分の違いを考慮したサスペンションセッティングになっていることもあり、自然なフィーリング。特に違いを感じるほどの差はない。

深夜電力を使えば1km走行あたりのコストは2円と、ノーマルプリウスの約半分。問題は価格だが、現在のフリート向けリース販売では525万円(補助金が支給されユーザーの負担額は393万円程度)だが、来年冬の一般向け市販開始時には「ハイブリッドにするかプラグインにするか悩んでもらえるような価格を目指したい」(内山田竹志副社長)というように、明言は避けたものの、200万円台を目指している模様。デビューは’11年12月の見込み。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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