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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.03
ライバルタントに追いつき追い越せ ワル顔パレットSW 堂々登場

ノーマル仕様のパレット
【本記事は2009年11月にベストカーに掲載された記事となります。】「なぜパレットは販売面でタントに大差をつけられるのか」と、開発者に尋ねた。商品力や割安感はタントに劣らない。しかし軽市場の販売順位は、タントがワゴンR、ムーヴ(コンテを含む)に次ぐ3位。パレットは7~9位だ。開発者の返答は、「タントは上級のカスタムが台数を稼ぐが、パレットはエアログレードを設けただけ。CVTを持たないのも辛い」と言う。
単純な発想が許されない軽自動車ならではの工夫
そこで今回のマイチェンだ。タントカスタムに相当する「ワル顔」のパレットSWを設定。加えてエンジンをワゴンRと同じ新型に刷新した。従ってCVTを採用するが、ワゴンRとはタイプが異なる。前進2段の変速機を組み合わせた、市販車では世界初採用のCVTだ。2段変速を加えた理由はギア比のワイド化。これで約27%拡大する。しかもCVT本体は小型化され、重量はほぼ同じ。「ギア比をワイド化するならCVTを大きくすればいい」という単純な発想が許されない軽自動車ならではの工夫だ。
発進直後の1300回転付近を過ぎればスムーズな加速を味わえる

ダークグレーのドアトリムやピアノブラック調塗装の専用ドアアームレストを採用し、内装にも「ワル」を強調
その効果は大きい。NAエンジンに4速ATの従来型では、発進して時速25km前後から加速が立ち上がった。速度が高まれば問題ないが、大きな交差点の発進右折は不安。特にセカンドカーにパレットを使うユーザーが小型&普通車から乗り換えた時、予想以上に加速が鈍く、対向車との接近を招きやすい。その点、現行型はギア比のワイド化とエンジンの変更で、時速15km前後から加速が立ち上がる。モッサリと動く時間が短い。大きな交差点の右折にも余裕が生まれ、通常の発進でも心理的な負担が軽減された。そうなれば、ターボのパレットSW・TSはさらに余裕がある。ターボも低回転域から過給を開始。発進直後の1300回転付近を過ぎればスムーズな加速を味わえる。
パレットのターボなら加速感は自然

ちなみに現行ワゴンRのターボ+CVTは、唐突に飛び出す感覚とCVTの違和感を抑えるため、発進時の駆動力を少し絞った。そのためにターボ車のわりに元気がない印象を受けるが、パレットのターボなら加速感は自然だ。 最も買い得なグレードは標準ボディでNAのX。同じCVTを使った新グレードのLに対し、オーディオを省いたぶんを補正しても、11万円相当の装備を加えて価格アップは6.3万円だ。また、従来の4速ATに対する価格上昇も少なく、3万1500円。これはワゴンRの4速ATとCVTの価格差と同額(CVT仕様に4輪ABSが装着されるぶんは差し引く)で、2段変速のコストは加わらない。今回の改良でエコカー50%減税も受けられ、販売台数は約40%増えるだろう。ブランド化したタントにはまだ勝てないだろうが、機能は対等以上である。