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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.03
安心できる外観にチャレンジングなメカ。それが現代のBMW7シリーズの魅力だ。
熟成をテーマにしたBMW7シリーズ

【本記事は2009年5月にベストカーに掲載された記事となります。】「さすがに今度はキープコンセプトだね」。新しいBMW7シリーズを見てそう思った。先代E65はクリス・バングルの手による超個性的スタイリングが話題を呼んだクルマ。その斬新なスタイリングを武器にベンツSクラスの牙城に斬り込み、そうとうな戦果を上げてその後のBMWのデザイントレンドを決定づけた。いわば、高級車市場における画期的なイノベーターだったわけだ。そういう先代に対し、新型7シリーズは革新というよりは熟成をテーマにしているかに見える。
一般的なユーザーにとっての使い勝手を向上

センターコンソールにシフトノブが生え、普通になった印象の運転席まわり
若干大きくなったサイズを感じさせない絞り込んだボディスタイルや、デザインモチーフを継承したインテリアなどは、旧型ユーザーがスムーズに移行できる安心感があるし、センターコンソールに戻ってきたATセレクトレバーやファンクションスイッチが増えたi-ドライブなど、インターフェイス面でも旧型のやりすぎ部分を修正。一般的なユーザーにとっての使い勝手を向上させている。だから、初対面は意外に印象希薄。先代の強烈に濃い味つけに比べると、ずっと薄味に感じたというのが正直な感想だ。
ハードウェア部分は強烈といえるほど進化

ところが、そのいっぽうでハードウェア部分は強烈といえるほどに進化していた。中核となるエンジンは最近流行のダウンサイジングターボ で、740iは3L、直6、750iは4.4LのV8にそれぞれツインターボで過給する。さらにサスペンションはBMWとしては初めてフロントにダブルウィッシュボーンを採用するほか、前後輪アクティブステアリングや可変ダンパー、さらにはエンジンやATの制御まで組み合わせた“ダイナミックドライビングコントロール”を標準装備。スイッチひとつでパワーフィールからハンドリング、乗り心地にいたるまで、驚くほどそのキャラクターが変わる。走りっぷりは、スイッチをコンフォートにすればゆったり快適だし、スポーツに切り換えれば2t超のボディとしては驚異的なペースでワインディングを疾走することも可能。今度の7シリーズ、キープコンセプトの皮をかぶってはいるが、技術的にはきわめてチャレンジング。定評のある走りだけではなく、こういうイノベイティブなところが現代のBMWの魅力なんじゃないかなぁ。