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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.04

ハンガリー生まれのスズキ車スプラッシュはヨーロピアンテイストあふれる個性派コンパクト ヨーロッパ流走りの味made in Hungary スプラッシュ 走りは溌剌!!

「オペルとの共同開発で得たものは大きいです」

夫婦で一台ずついかが?

夫婦で一台ずついかが?

【本記事は2008年12月にベストカーに掲載された記事となります。】スプラッシュの試乗会場で、操安性担当の立花祐一氏は胸を張る。■スプラッシュのターゲットは女性、スイフトは男性という棲み分けだ1.2Lエンジンを搭載するコンパクトカー、スプラッシュ。男性ユーザーをターゲットにしたスイフトに対し、スプラッシュは女性をターゲットにしているという。同じようなスタイルとコンセプトだな~、と思っている人はまずそこんとこを理解しておこう。スプラッシュはオペルとのジョイント事業で誕生したニューモデル。プラットフォームからエンジンの開発、設計はスズキが担当し、エクステリアデザインに関しては、基本的なデザインをスズキが担当しつつ、オペルブランドで販売されるものに関しては、オペルが独自のデザインを盛り込み、スズキスプラッシュとの違いを作り出している。いっぽう、クルマハードの部分はスズキ主導で開発。操安性などに関しては、スズキ主導でオペルの開発チームと合同で仕上げていったのだという。その過程でスズキとしても得たものが大きかった、ということだ。「スズキの基準とオペルさんの基準は、それはやはり違います。特にハイスピードで長距離を移動するヨーロッパメーカーの求める基準は、いままでのスズキの考えるものとは違っていました。特に違いを感じたのがブレーキ性能や高速巡航時の安定性などです」と立花氏。スプラッシュはスズキの開発基準とオペルの開発基準を同時にクリアする、高い仕上げのレベルで開発されている、という。「基本的にはヨーロッパで販売しているクルマと同じです」と開発を担当した第四カーラインアシスタントCE鈴木正倫課長は言う。「内装や足回りなどはヨーロッパで販売しているスプラッシュとまったく同じです。ただ、ドライブトレーンは日本の道路事情に合わせて日本専用としています。1.2L直4エンジンは、ヨーロッパ販売モデルにもありますが、日本仕様にはVVT(可変バルタイ)を採用しています。また、CVTは日本専用で、ヨーロッパ仕様では5速MTと4速ATの組み合わせ。また、ヨーロッパ仕様には3気筒の1Lと、1.3Lのディーゼルがあります」と鈴木課長。

さて、ヨーロッパ仕込みの乗り味はいかに!?

スプラッシュと比べると日本用チューニングとなるスイフトの足はソフトに感じる。スプラッシュは欧州とまったく同じサスチューニングなのだ

スプラッシュと比べると日本用チューニングとなるスイフトの足はソフトに感じる。スプラッシュは欧州とまったく同じサスチューニングなのだ

日本で販売されるスプラッシュはワングレード。1.2Lエンジンを搭載するCVTモデルのみである。乗り込んで真っ先に感じたのがヒップポイントの高さ(フロントシートのヒップポイントは620mm)。ものすごくアップライトなポジションで、ミニバンほどとはいわないけれど、コンパクトカーとしてはものすごくアイポイントが高くなる。が、スプラッシュは全高が1590mmあり、室内高は1240mm。ヒップポイントは高くてもヘッドクリアランスは前後席ともに頭上にコブシ2つぶん以上の空間があり、余裕タップリなのでした。それとインテリアカラーが面白い。ターコイズブルーのエクステリアにはシート表皮やドアトリムの一部に同色のアクセントが配されるなど、オシャレな雰囲気。これはいい感じ。それと、印象的なのがシートの硬さ。一般的な日本車のシートに馴れていると、座ってもクッションが沈み込まないので一瞬“アレレ!?”と思うかもしれない。が、この硬さは10分も乗っていれば馴れるし、30分、1時間と運転を続けていると、シートの形状がドライバーの体型に合わせてフィットしてくるので、むしろ快適。シート全体で身体を「面」で支えてくれるので、例えばお尻が痛くなったりするようなことはない。フカフカで身体が沈み込んでしまうシートよりもロングドライブでは快適で疲れも軽減される。乗り味は「硬い」。うーん、なんというか、路面の荒れを拾い、ゴツゴツゴツとした乗り味。「多少の硬さはあると思いますが、ヨーロッパのユーザーにも好評をいただいており、方向性としては正しいと思っています」と前出の操安性担当の立花氏は言う。スプラッシュのプラットフォームの基本、サスペンションアーム類などはスイフトと共通だが、ホイールベースが30mm短くなっていること、車高が80mm高くなっていることに加え、オペルとのジョイントによる開発で、サスペンションのチューニングはまったく違うものとなっているという。具体的にはスイフトよりもハードめのセッティングとなっている。ハイスピードでのコーナリングや、高速巡航時のスタビリティは、車高の高さやホイールベースの短さを考えると、非常に高いレベルにある。フットワークも軽快で、キビキビと走るイメージは、なるほどヨーロピアンコンパクト。……、でも、日本で乗るにはもうちょっとソフトめの乗り味でもいいと思うのだが……。「スイフトとの明確なキャラクター分け、ということです。スイフトは日本仕様は日本専用の足回りで、日本のユーザーに的を絞った乗り味としています。スプラッシュは、あえてヨーロッパでのテイストをそのまま味わっていただきたい、と思っています。スイフトとはまったく違ったキャラクターとなっていると思います」と鈴木課長。乗って感じたのは男向け、女向けという以上に2台には日本テイストと欧州テイストの差があることがよくわかる。スプラッシュは、現在ある日本のコンパクトカーのなかでは、ものすごく個性的存在だな、と感じた。逆に言えば好き嫌いがハッキリと分かれるクルマだな、ということ。小さいスペースでフルに4人、子供も加えれば5人が乗れるスペースを確保して、ロングドライブもこなせるクルマ、という観点では、スプラッシュはこれまでの日本のコンパクトカーにはなかったクルマ作りといえるだろう。でも、乗り味の硬さや、操舵力がけっこう重めでガッチリしているところなど、全体的に感じる骨太な印象は、スズキが日本市場でターゲットとしている女性ユーザーにはどう映るのか!? 案外、ベストカー読者の皆さんのような、クルマ好きの心をつかむクルマだな、と思った。スプラッシュは月販500台と超控えめな販売目標だが、これはハンガリー工場での生産キャパシティによるところもある。価格は123万9000円。

Check Point スプラッシュは日本のコンパクトカーのどのポジションにいる?

主要諸元

主要諸元

TEXT/渡辺陽一スプラッシュはハンガリー製の輸入車で、プラットフォームはスイフトのホイールベースを30mm縮めたもの。サスペンションの設定は、基本的に欧州仕様と同じだ。硬さは欧州版スイフトよりは柔らかく、日本版スイフトよりは硬い。運転すると、このバランスが絶妙によい。日本の道路では硬めに感じるが、適度に俊敏なハンドリングと、後輪の踏ん張り感を両立。ちなみに日本版スイフトは、サスペンションの伸縮性に優れ、上質な乗り心地を提供する半面、危険回避時の後輪の横滑りが少々大きい。その背景には、ドライバーの制御領域を拡大して危険回避性能を高める狙いもあるが、このバランスが、スプラッシュでは最適化された印象だ。動力性能は日本版スイフトより少し低い。理由は車両重量が50kg増したからだ。ユーロNCAPに対応した衝突安全性能を確保し、さらに欧州の自動車保険の料率を考慮して、軽衝突時のダメージがボディ骨格に影響しない装備も設けた。クラッシュボックスがそれで、衝突時につぶれて衝撃を受け止める。これらの装着によってボディが重くなった。それでもエンジンの設定変更を行ない、実用トルクを高めた。高回転域の伸びはいま一歩だが、通常の走行では不満を感じない。内装ではシートが上質。硬めの設定で体を確実に支える。空間効率を高めるため、着座位置は国内版スイフトに対して前席で54mm、後席で47mm持ち上げた。従って、ターゲットユーザーの女性が小柄な場合はペダルの操作性を確かめたいが、身長170cm以上であれば、背筋を伸ばした好ましい着座姿勢が得られる。さて、国産コンパクトカーにおけるスプラッシュの位置づけだが、このジャンルはミニバン的な使い勝手を狙った全高が1600mmを超えるハイルーフモデルと、運転のしやすさと価格の割安感を大切にしたロールーフモデルに大別される。フィットはロールーフモデルながら、ハイルーフの機能を加えて高い人気を得た。スプラッシュはロールーフモデルで、キューブやラクティスとは比べにくい。そこでヴィッツ、マーチ、兄貴分のスイフトと対比すれば、スプラッシュが明らかに優位だ。フィットに次ぐ買い得車といえる。123万9000円だが、サイド&カーテンエアバッグを取り去った仕様があれば約117万円。オーディオなどの装備差を補正して、スイフト1.2XGと同等か、わずかに高い程度だ。つまり数あるコンパクトカーのなかで、実力、割安感ともに屈指の存在と私は評価する。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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