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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.04

注目車試乗1 違いのわかるプレミアムスポーツ。レガシィS402セダン&ワゴン

S402はセダンだけではなくワゴンの設定もある。基本的な足のセッティングはセダンもワゴンも同じだという。ワゴンのほうがリア荷重が大きいためか、ややリアが粘るようなハンドリング特性となる。セダンのほうがよりキビキビした印象

S402はセダンだけではなくワゴンの設定もある。基本的な足のセッティングはセダンもワゴンも同じだという。ワゴンのほうがリア荷重が大きいためか、ややリアが粘るようなハンドリング特性となる。セダンのほうがよりキビキビした印象

【本記事は2008年7月にベストカーに掲載された記事となります。】「さすがだな、こりゃあ、違いのわかる人が作ったクルマだよ!!」僭越ながら、編集部ウメキごときが乗ってもそのよさが一発でわかりました。なんというのか、すべてがドライバーの気持ちどおりに操れるクルマ。レガシィをベースにSTIがコンプリートカーとして作り出したS402とは、そんなクルマなのだ。とかく、この手のチューンドコンプリートカーというと、走りはものすごくいいんだけど、乗りこなすのにちょっと「ウデ」が必要だったり、山道ではものすごく気持ちよく走れるんだけど、高速道路を含めた一般道ではガチガチで乗り心地が悪くて「我慢」が必要だったりするもの。が、S402はまったく違う。乗り心地はものすごく穏やか。ヘタしたらノーマルのレガシィGTスペックBのが硬いかもしれないな、と思うほどしなやかなのだ。だから、一般道を普通の走り方をしていてもまったく不快ではない。足がキッチリ動いてダンパーがシュッと動きを抑え込む。しなやかな足とはこういうものをいうのだな、と再認識させられる。S402はレガシィをベースにしながら、特にシャシーの強化に力を入れているのがポイント。専用チューンのビルシュタインダンパーにコイルスプリングを採用しているのは、まぁ、定番といえば定番なのだが、さらに独自の考え方に基づいたボディ補強を実施している。

剛性は高めればいいのではない!?

エクステリアのポイントはワイド化されたフロントフェンダーと、フェンダー後方のエアアウトレット。価格はセダンが535万5000円、ワゴンが549万1500円

エクステリアのポイントはワイド化されたフロントフェンダーと、フェンダー後方のエアアウトレット。価格はセダンが535万5000円、ワゴンが549万1500円

開発には元スバルに在籍し、現在STIで開発ドライバーを務める辰巳英二実験部長が密接に関わっている。結局クルマというのは開発する人物の色が出るものなのだな、とつくづく実感させられる。「ボディというのはガチガチに固めればいいというものではないと思うんです」と辰巳氏は言う。これは氏が長年にわたりテストドライバーとして新車開発に携わってきた経験から導き出された確信だ。「キッチリ固めなくてはならないところはたくさんあります。でも、動かなくてはいけないところもあるんですね。具体的には、横方向とか斜め方向はガッチリしていなければならないけれど、どうも上下方向はある程度動いて力を逃がす構造が必要。で、これですわ……」と、辰巳氏がS402のボディ補強に自信を持って投入したフレキシブルタワーバーをはじめとする補強バーを指し示す。一般的な補強バーは、1本のパイプでボディを結びつけることで「固める」のだが、このフレキシブルバーはジョイント部にピロボールを使うことで、横方向の力をガッチリ受け止めつつ上下方向の力を適度に逃がす構造。たわみをコントロールしてやることで、理想的なボディの剛性感を作り出しているのだ。ハンドリンクで印象的だったのが、ものすごくリニアなステア特性。標準レガシィの15対1に対してS402はステアリングギア比が13対1にクイック化されているので、ちょっとシビアになりすぎなのでは!? と試乗前は思っていたのだが、実際に走ると、「あれ!?」と思うほど素直。いや、それどころか、ステアリングセンター付近はちょっとダルに感じるほどで、そこから切り込んでいくと舵角に応じたゲインがリニアに立ち上がっていくのだ。

6ポッドがガッチリ止める 235/40R18サイズのタイヤにブレーキはブレンボ製6ポッドキャリパー。フロントフェンダーは20mm拡幅され、全幅は1770mmとなる

6ポッドがガッチリ止める 235/40R18サイズのタイヤにブレーキはブレンボ製6ポッドキャリパー。フロントフェンダーは20mm拡幅され、全幅は1770mmとなる

センター付近がダルに感じる、というと、なんか面白味のないハンドリングのように思われる人もいるかもしれないが、センター付近の微少舵角域はちょっとくらいダルなほうがいい。ちょっとしたドライバーの動きにいちいちクルマがシビアに反応していたのでは、乗っていて疲れてしまう。「意図的にセンター付近をダルっぽい味付けにしているのではないんです。ステア付近の剛性や精度をキッチリ出してやることで、ステアリングがものすごくリニアな特性になっているんです。ホンの微少舵角付近からしっかり反応して、そこから舵角に対するタイヤの切れ角にブレがないので、ある舵角から急激にゲインが立ち上がることがない。だから、センター付近の微少舵角でダルに感じるんです。ダルに感じるけど、実はちゃんステアは動いているんです。ドライバーに感じない程度にね」と辰巳氏は言う。なるほど……、奥が深い。

専用チューンの2.5Lターボ搭載

2.5Lターボは40.0kgm 2.5Lの水平対向4気筒エンジンに専用のツインスクロールターボを採用。最高出力285馬力、最大トルク40.0kgmを発揮する

2.5Lターボは40.0kgm 2.5Lの水平対向4気筒エンジンに専用のツインスクロールターボを採用。最高出力285馬力、最大トルク40.0kgmを発揮する

エンジンは2.5Lターボを搭載。日本のレガシィには2.5Lターボはないのだが、豪州仕様の水平対向2.5Lをベースにピストン形状の変更で8.6まで高圧縮化。ツインスクロールターボに等長等爆エキゾーストシステム、専用低排圧マフラーなどを組み合わせて285ps/5600rpm、40.0kgm/2000~4800rpmのスペックを出している。とにかく低速トルクが分厚くて、普通に発進するクラッチミートですでに最大トルク発生回転に突入しているほど。1800回転あたりでほぼ最大トルクに近い数字が出ているという。ギアチェンジをちょっとサボってもトルクバンドの広さがカバーしてくれるエンジン。過激な荒々しい加速というのではなく、どこからでもアクセルを踏めば瞬時に反応するレスポンスが頼もしい。

価格はセダンが535万5000円、ワゴンが549万1500円。正直いって安いものではない。でも、M3あたりと互角に渡り合えるハンドリングプレジャーが味わえるのなら決して高いものではない。違いのわかるアナタなら、その価値がわかるはずだ。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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