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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.05
ついに日本の道を走り出したレクサスの頂点 LS600h 初テスト初試乗
ファントムはすべてがケタ外れだった。

【本記事は2007年7月にベストカーに掲載された記事となります。】全長5150mm、全幅1875mmのLS600hLがフツーのセダンに見えてしまうほどのボリューム感なのだ。「こりゃあ、格が違うわ……」素直にそう思ってしまった。ロールスロイスファントム。BMWの傘下に入ったロールスロイスが送り出した、世界最高級のサルーンがファントムだ。ボディサイズは全長5835mm、全幅1990mm、全高1655mm、ホイールベース3570mmという、特大サイズ。LS600hLが横に並ぶと、その大きさがより強調される感じだ。ファントムはとにかくボリューム感が凄い。長さも幅も大きいのだが、高さがボリューム感をよりいっそう大きなものにしている印象。ミニバンなどでもそうだが、高さがあるとクルマは大きく見える。ファントムの全高は1655mmもあり、LS600hよりも180mmも高いのだ。これ、オデッセイよりも背が高く、ウィッシュよりもさらに55mmも高いのであった。そびえ立つようなフロントグリルの迫力もあり、とにかく存在感は他の追随をいっさい許さない、といった圧倒的なもの。正直、レクサスは「まだまだ甘いな」なのだ。価格もファントムは超弩級。標準車の価格が4100万円!!これ、都内で一戸建てが買える価格です。レクサスLS600hLが1510万円だといっても、足元にも及ばない。インテリアはどうか!?観音開きのファントムのリアドアをそっと開けてみる。うむむ、広い。が、シートの形状は意外と普通だぞ。LS600hLの4人乗り仕様のリアシートは独立したリクライニング機構が備わっているばかりか、左後席にはオットマンも標準装備。リアセンターアームレスト部のスイッチ操作によりワンタッチで助手席が最前方に移動し、快適な足元空間を作り出してくれる。オットマンを出してリクライニングを倒してシートに身を任せれば、これはもう、世界最高のリラックス空間なのである。この左後席に装着されるマッサージ機能は本格的で、ちょっとしたマッサージチェアなみの効果がある。正直、これは快適です。国沢光宏氏も「LS600hLのリアシートは、ファントムを超えたと断言できる」と大絶賛しているほど。リアシートに関してはファントムにも勝っているとしたら、LS600h「なかなかやるなぁ」だ。
気になる性能TEST 燃費は?動力性能は?速攻テストで実力チェック!! LS600hvsベンツS500vsGS450h

手前がLS600h、後ろがベンツS550。LS600hはシステム出力445馬力を発揮するのに対し、S550は最高出力387馬力、最大トルク54.0kgm
394馬力、53.0kgmを発揮する5L、V8エンジンに最高出力224馬力、最大トルク30.6kgmを発揮するモーターを組み合わせたLS600hのパワーユニット。システム出力は実に445馬力に達するというのだから、その動力性能が気になってくる。とはいえ、LS600hの車重は2210kg、今回試乗に借り出したLS600hLだと車重はさらに重たく2320kgにもなる。V8、5.5Lエンジンを搭載するベンツS550が1950kgだから、LS600hはかなり「重たい」ことになる。まずはゼロ発進から100km/hまでの加速タイムを計ってみた。LS600hは意外とゆったりしたスタートで、システム出力445馬力というスペックからイメージされるような「怒濤の加速」といったものではない。ドライバーズシートで感じる加速力では、GS450hのほうが「強烈」な印象。ベンツS550はいかにも大排気量NAといった加速フィールで、エンジン回転の上昇に伴ってグイグイ車速が伸びていくフィーリングだ。タイムはGS450hが6秒18でトップをマーク、続いてLS600hが6秒36、ベンツS550が6秒56と続く。体感どおりGS450hが速かった。つづいて50~80/hの中間加速。ベンツS550は50km/h定速走行からアクセルを踏み込んだ瞬間、キックダウンに一瞬のタイムラグがあり、これがタイムが伸びない原因となった。これに対し、レクサスのハイブリッド2台はアクセルの踏み込みに対して間髪入れずにモーターが反応。レスポンスよく加速体制に突入したのが印象的だった。タイムはGS450hがトップで2秒70、続いてLS600hが3秒06、ベンツS550が3秒41という結果。ここでもGS450hの動力性能の高さが光る結果となった。GS450hのシステム出力は345馬力。車重はLS600hLよりも430kgも軽い1890kgということもあり、動力性能的には大きくLS600hを上回る結果となった。・気になる燃費は!?混雑する午後から夕方にかけての都内を3台同時に50kmほど走行しての燃費を計測した。LS600hが6.5km/L、GS450hが8.8km/L、ベンツS550 4MATICが4.9km/Lという結果。一般的なガソリンエンジンのベンツS550は予想どおり大差をつけられてしまったが、これが5Lを超える排気量を考えれば「普通」なのだ。ハイブリッドの2台は「さすが」である。…で、LS600hってどうなのよ? 評論家の賛否両論
といったところで、「ところでLS600hってどうなのよ!?」。LS600hの賛否両論含めたインプレッションを集めてみた。

BC恒例の燃費テストコースを走ると、レクサスLS600hは10.8km/Lだった。これは立派!!
・片岡英明「思ったほどの驚き、感動はなかった」正直言って、1510万円という価格ほどの驚きはありませんでしたね。まぁ、これは期待値がもの凄く高かった、ということもありますけど。それにしてもちょっと肩すかしを食っちゃったような気分。悪くはないんだけど、凄くよくもない……。例えば動力性能。システム出力445馬力、V8の5Lエンジンなんてスペックを聞くと、「こりゃあもの凄いぞ」と期待するわけです。が、いざ走り出してみると加速にドラマチックなものはまったくなし。うーん、こんなもんか!? と。乗り心地にしてもなんか足がバタバタする感じでLS460のほうが洗練度が高い印象。特にロングホイールベースのLが気になった。リアシートに乗った人のことを考えると、もっと快適な乗り心地であってほしいというのが素直な感想。・川島茂夫「好きなクルマですね。未来が感じられる」やっぱりハイブリッドは乗っていて気持ちがいい。今時、信号待ちで止まってエンジンアイドリングさせているのって、なんか時代遅れだな、と思わせちゃうのよ、ハイブリッド乗っていると。このクルマの面白いところは、加速感とエンジン回転の関係が普通のクルマとまったく違っているところ。高速道路を含めて、普通に走っているとタコメーターの針が2000回転を超えることはまずない。けど、アクセルを踏み込むと、エンジン回転は上昇せずに、すすっとクルマは前に出て行く。アクセルペダルの動きにリニアに反応する。これはハイブリッドならでは。普通のエンジン車ではこれほどリニアな動きは実現できないはず。「本当はこういう動きにしたかったんだよね」という部分を理想的に、ロジックのとおりに仕上げた、という感じなんだろう。ガソリンエンジンのようにアクセルを踏む→一拍おいてエンジンが回転を上げる→エンジン回転の上昇に伴って車速が伸びていくという、一般的なクルマの動きは、「技術的にそうなってしまっている」にすぎず、本来はアクセルペダルを踏む→直ちに加速という動きが理想なんだから。それをLS600hは高いレベルで実現している。970万円からという価格は決して高いとは思わない。つぎ込まれている技術とかメカニズムを考えると、むしろ割安ですらある。970万円でここまで新しい技術やメカをつぎ込んでいるクルマはちょっとほかにはないでしょ!?・津々見友彦「静かでいいなぁと思いましたね」クルーズコントロールを作動させて高速道路を走っていると、「なんて静かなんだろう」と感激します。このクルコンが優れもので、高速道路での追従走行はもちろんのこと、渋滞路でも停止までを完全コントロール。実によくできている。燃費に関しては、高速道路主体に200kmほど走ったけど8.9km/Lだった。もうちょっと伸びてもらってもいいかな、と思いましたね。動力性能に関しては意外と普通かな、と思いましたね。GS450hが強烈だったので、LS600hはエンジンも大きいしモーターも高出力なので期待していたんですが。ブレーキはすばらしくいいです。4輪独立に制御する電子制御ブレーキなんですが、これが絶妙。強力に制動力と高い安定性を見せてくれるブレーキです。
BC編集部員もひと言!

左がLS600h、右がロングホイールベースのLS600hL。ホイールベースは標準の2970mmに対しLでは120mm延長された3090mmとなる。全長はホイールベースの延長分120mmの差があり、標準の5030mmに対してLの全長は5150mmとなる
・市原信幸インパクトはGS450hのほうが強烈だったけど、LS600hの凄いところは質感の高さ。走行中にエンジンが止まったり再始動したりするのは、よほど気をつけていても気づかないほどだった。・寺崎彰吾首都高から中央道調布ICまで乗ってみた感触では、直進安定性がもうズバ抜けている。路線の上を、アクセルを踏めば踏むほどグイグイ進んでいく感じ。高速道路を多く利用するのだったら病みつきになるかも。・渡辺龍生「とにかく静か」であること。スーッと加速し、停止中もアイドリングストップでひたすら車内は静か。もちろん、5LのV8エンジンが低騒音、低振動のためにかなりの組み付け精度だというのは事前にわかっていたことだけど、回転そのものも非常にスムーズだった。・小野正樹乗り心地は世界の高級車と比較しても遜色ないレベル。スムーズだけど力強い加速も新感覚だ。インテリアのデザインに、もっとドキドキするような個性がほしかった。乗り心地は? 快適性は? ライバルと比べてどうだLS600hには標準ボディと、ホイールベースを120mm延長したロングーバージョンのLS600hLの2タイプが存在。標準タイプは970万円だが、「L」だと価格は1330万円になる。さらにL仕様の真骨頂ともいえる、4人乗りの「後席セパレートパッケージ」を選択すると価格は1510万円となり、国産車としてはトップクラスのお値段だ。動力性能に関しては、システム出力445馬力を発揮するLS600hがS550のアタマひとつ抜きんでる感じ。やはり余裕がある。LS460も375馬力の4.6L、V8エンジンを搭載し、車重もLS600hLよりも380kgも軽いこともあり充分速いのだが、さすがにLS600hには一歩及ばず。乗り心地に関しては重たさが逆にいい方向に作用して、LS460よりも600hのほうがドッシリしたフィールで評価は高かった。特にテスト車はロングホイールベースのLS600hLということもあり、直進性のビシッとした、安定感のある乗り心地が味わえたし、動きも非常にマイルドだった。ベンツS550の乗り心地もよかったが、LS600hLはさらに上だ。静粛性はハイブリッドの威力もあり、LS600hの独壇場だ。ハンドリングに関してはBMW750、LS460のポイントが高かった。
TEST 走り回って燃費はどうだ?

主要諸元
LS600hの実走行燃費はどんなものなのか!? シチュエーション別に燃費を計測した。・早朝ゴルフコースすいた早朝の高速をそこそこの速度で走るイメージ。100km/h巡航時のエンジン回転は1000回転ちょっと。アクセルを離すとエンジンが止まることもしばしば。文京区のBC編集部を出発、御殿場インターまで約100km。燃費計の示す数字は10.0km/L。・渋滞まぜまぜ高速コース日曜の夕方の中央高速上り線といった感じですな。ダラダラ低速で動く高速道路の渋滞はLS600hが本領を発揮する。低速追従するクルーズコントロールを作動させ、10~20km/hで止まりそうになったり再加速したりしている間、ほとんどエンジンは停止しており、モーターのみで走行する。渋滞にはまって最初の1km程度(時間にして5分程度)は一度もエンジンがかからず、この間の燃費計の数値は無限大を表す99.9km/h。その後エンジンがかかったり止まったりを繰り返し、約7kmの渋滞中の燃費は実に13.4km/Lだった。渋滞を脱出したあとは首都高を淡々と走り、平均燃費は11.1km/Lをマークした。・ショファードリブンコースオーナーのVIPをリアシートに乗せて走るので、アクセルワークに気をつかい、100km/h程度で走る。燃費は13.4km/Lだった。・踏んじゃったぜコース「踏んじゃったぜ」といっても、ちょっと追い越し車線にいる時間が長く、流をリードする程度の走り方です。この速度域でも燃費の低下は少なく、約80km走って燃費計は9.8km/L。100km/h巡航とほとんど差がない。パワーに余裕があり、速度が速くなっても燃費への影響が少ないのだ。・都内走行コースもっともハイブリッドの威力を感じられるのがストップ&ゴーが繰り返される都内モード。43ページのベンツやGS450hとの比較テスト時は6.5km/Lだったが、別の日に70km程度日中の都内を走ったところ、燃費は7.2km/Lとなった。5LのV8を搭載した車重2320kgのクルマですからね。・BC恒例燃費テストコース編集部を出発し東名で御殿場まで、その後国道138号線で篭坂峠を越え、山中湖畔を抜けて河口湖インターから中央道で編集部に戻る、BC燃費テスト恒例のコース。走行距離242.3kmで燃費は10.8km/L。同じコースで以前テストしたGS450hは12.5km/L、ベンツS600が9.7km/L。