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更新日:2020.01.08 / 掲載日:2017.08.01
【日産】高級車にも対応したエクストロイドCVT(無段変速トランスミッション)とは

goo-net編集チーム
日産の無段変速トランスミッションに、当時先進の技術として脚光を浴びた「エクストロイドCVT」がありました。
1999年に製造され、世界で初めて市販車に搭載されました。
日産のCVT技術の集大成として、セドリックやスカイラインなどの、3リッタークラスの高級車に搭載されたトランスミッションです。
エクストロイドCVTの概要
エクストロイドCVTは、1987年に登場したCVT(無段変速トランスミッション)の進化版です。
従来のベルト式のCVTとは違い、ディスクとパワーローラーを介して駆動を伝達する特徴を持っています。
これにより、従来小排気量・低出力にしか対応できなかったCVTが、大排気量車のパワーにも十分な耐久性を持ち、エンジンの動力を滑らかに伝え、パワフルな加速を実現させました。
CVTの特徴である、滑らかな変速と駆動を効率良く伝えることもでき、従来のATを搭載したセドリックやスカイラインよりも約10%の燃費向上に繋がりました。
スポーツ走行性能では、非常に素早いレスポンスで変速するため、軽快で爽快な走りから高い評価を集めました。
加えて、変速ショックがないため、乗り心地も向上し、高級車に最適なトランスミッションと期待されました。
エクストロイドCVTのメリット・デメリット
エクストロイドCVTのメリット・デメリットは以下の通りです。
【メリット】
1.ハイパワー車にも対応
・構造が強固なディスク+パワーローラーで、従来のCVTでは実現できなかった280馬力のハイパワー車にも搭載が可能
2.システムがコンパクト
・非常にコンパクトなシステムで縦置きエンジンにも組み合わせが可能
・FR駆動のスポーツカーや高級車にも対応できる
【デメリット】
1.高コスト
・構造が複雑で部品点数も多いため、エクストロイド非搭載車に比べて割高になる
・専用エンジンオイル以外は使用できない
2.部分修理ができない
・構造上、壊れると修理ができず、トランスミッション交換対応となる
また、専用以外のオイルを使用すると、ディスクが摩擦の高温に耐えられず、壊れることもありました。
CVT内部に異物が混入すると、CVTが破損する要因にもなりました。
非常にデリケートな構造から、メリット以上に広く普及しませんでした。
エクストロイドCVTは繊細な部品で構成され、次世代のトランスミッションへバトンタッチされる形で2005年に生産を終了しました。
その後、この技術をメルセデス・ベンツに提供しましたが、本格的に市販車に搭載するまでに至りません。
エクストロイドCVTは、高級車やハイパワーなスポーティカーに搭載できるトランスミッションとして期待を集めました。
現在は8~10段ATと言ったトランスミッションの多段化が進んでおり、エクストロイドCVTは役割を終えましたが、日産ならではの常に次世代を見据えた技術革新には目を見張るものがあると言えるでしょう。