徹底分析中古車相場
更新日:2021.03.03 / 掲載日:2021.03.03
【メルセデス・ベンツ Sクラス】新車時の半額で購入可能!? モデルチェンジで買い時到来

メルセデスのフラッグシップとして、日本でも愛され続けてきたのがSクラス。最上級モデルゆえ、先進の技術が盛り込まれて内外装は極めて豪華。走りも、上質さとスポーティさを備えた完全無欠のプレミアムサルーンである。ただし、新車価格は1000万円オーバーの高級車で、一般的には縁遠いもの。しかし、Sクラスをはじめとする高額なセダンは、中古車になると価格が大きく下がる傾向にあることをご存知だろうか。また、先日フルモデルチェンジを受けたことで、先代モデル(W222)の中古車相場がさらに下降すると思われる。今回は、先代Sクラスをクローズアップし、買いの年式やグレードを探ってみたい。
メルセデス・ベンツ Sクラスってどんなクルマ?
1950年代から続くメルセデスの最上級セダンは、1972年にSクラス(W116)という名称が与えられた。その後モデルチェンジを繰り返し、2013年には6代目Sクラス(W222)が登場。それまでと同様、全長5m超えの高級大型セダンのボディを持つが、この世代では過去に設定されていたクーペも復活している。エッジの目立った先代(W221)とは異なり、曲線的かつ重厚感のあるスタイルが特徴。ボディにはアルミニウムを多用し、先代からおよそ100kgの軽量化と高剛性を実現。また、フロントに搭載されたカメラにより路面の凹凸を検知し、サスペンションを制御することで乗り心地を高める「マジックボディコントロール」など、新しい装備も積極的に導入された。
グレードは、3.5L V6を搭載したハイブリッド車「S 400 ハイブリッド」がデビュー当初から用意され、エントリーモデルとして設定された。こちらはJC08モード燃費15.4km/Lと、歴代Sクラスとしてはトップクラスの燃費性能を実現している。これに加え、4.7L V8ツインターボの「S 550」、5.4L V8ツインターボの高性能版「S 63 AMG」が選択できた。駆動方式は従来どおりFRが基本だが、「S 63 AMG ロング」は4WDとなる。トランスミッションはいずれも7速AT。最新技術を盛り込みながら、環境性能、走りを一層追求したW222型Sクラスは、プレミアムセダンの新たなベンチマークとなった。
メルセデス・ベンツ Sクラスの年式別中古車平均価格は?

先代Sクラスの概略を追っていこう。2013年8月発表時の新車価格帯は1090万円~2340万円(AMGを含む)。同年11月には6.0L V12ツインターボを搭載した「S 65 AMG ロング」が登場(新車価格は3200万円)。2014年6月、新開発の6.0L V12ツインターボを搭載した「S 600 ロング」が追加されると同時に、室内にタッチパッドやプライバシーガラスを採用するなど、一部改良が実施された。また同年11月には、新型3.0L V6ツインターボとモーターを組み合わせた「S 550 プラグインハイブリッド ロング」が登場。2015年7月にはクーペボディ、同年8月には2.2L 直4ディーゼルハイブリッドの「S 300 h」を追加。2016年5月にはPHEVが「S 550 e ロング」に改称されると同時に一部改良を受け、質感が高められている。
2017年8月にはマイナーチェンジが行われ、内外装のデザインが一新された。光ファイバー3本のラインが特徴的なヘッドライト、ツインルーバーとなったフロントグリルや幅広くなったエアインテークなど、全体的にダイナミックなスタイルに進化。室内は、コックピットディスプレイ、タッチコントロールボタン付きのマルチファンクションステアリングなど、エレガントな装備が与えられた。ラインアップは「S550」に代わり、新型4.0L V8ツインターボを搭載した「S 560 4MATIC ロング」が追加されている。さらに2018年3月には、新世代3.0L 直6ターボにISGと48V電気システムを組み合わせた「S 450」が登場。これは、エンジンとトランスミッションの間にモーターを配置し、回生ブレーキによる発電や動力補助として利用するシステムを持つのが特徴。同年9月には、3.0L 直6ディーゼルターボを搭載した「S 400 d」、PHEVの改良型「S 560 e ロング」も追加され、モデル末期まで改良やモデル追加などが頻繁に行われた。それらを踏まえ、年式別中古車平均価格を見ていこう。
年式 | 中古車平均価格 |
2013年式 | 529万円 |
2014年式 | 552万円 |
2015年式 | 514万円 |
2016年式 | 519万円 |
2017年式 | 708万円 |
2018年式 | 825万円 |
2019年式 | 933万円 |
2020年式 | 1033万円 |
価格重視なら2017年以前の前期型がターゲット
メルセデスの人気車種ゆえ、中古車市場にも豊富に流通する先代Sクラス。年式別に相場を見ると、2017年式以降に価格が跳ね上がる。これはマイナーチェンジ後の物件は高値だということ。一方、それ以前の前期型は500万円台が目安となっており、新車時のおよそ半額程度にまで下がっている。物件も前期型のほうが充実しており、特に多いのが2014年式。価格の最低ラインは360万円で、低価格帯の走行距離は5~6万km前後が中心だから、極端な多走行車は少なく探しやすい。
メルセデス・ベンツ Sクラスのグレード別中古車価格相場は?

先代Sクラスセダンのグレードは、パワートレイン別に見ると、ガソリンが3.5L V6+モーターの「S 400 ハイブリッド(後にS 400 h)」、3.0L V6ツインターボの「S 400」、3.0L 直6ターボの「S 450」、3.0L V6ツインターボのPHEV「S 550 e/S 560 e」、4.0L V8ツインターボの「S 560」、4.4L V8ツインターボの「S 550」、5.4L V8ツインターボの「S 63 AMG」、6.0L V12ツインターボの「S 600」と「S 65 AMG」を設定。ディーゼルは、2.2L 直4ディーゼルハイブリッドの「S 300 h」、3.0L 直6ディーゼルターボの「S 400 d」と豊富に揃っている。ここでは、物件数の多いモデルの中古車平均価格を見ていこう。
グレード | 中古車平均価格 |
S 400 h(S 400 ハイブリッド) | 457万円 |
S 450 | 868万円 |
S 550 | 563万円 |
S 560 | 993万円 |
探しやすいのは「S 400 ハイブリッド」
ガソリン、ディーゼル、PHEVのパワートレインと、標準とロングボディの組み合わせで多様な展開のSクラス。パワートレイン別でも10以上存在するから、クルマ選びが難しいかもしれない。しかし中古車市場では物件に偏りがあり、ディーゼルやPHEVは少なめかつ高額。物件豊富で探しやすいのは、前期型の主力グレード「S 400 ハイブリッド」と「S 550」だ。とくに3.5L V6を搭載する前者は、平均価格が457万円と新車時の半額以下で物件豊富。300万円台半ばの予算から探せるのが大きな魅力だ。また、ゆとりのある走りを提供するV8を選ぶなら、初期の「S 550」が選択候補。後期型の「S 560」は未だに1000万円近い相場となっており、物件も少なく探しにくい。
メルセデス・ベンツ Sクラスの中古車価格相場のまとめ

新型Sクラスが登場したことで、先代(W222)は今後さらに安くなるだろう。現段階では、2017年のマイナーチェンジ前が安くなっており、300万円台半ばの予算から購入可能。後期型は物件が少なく相場も高め。グレードは、「S 400 h」が最も手頃に狙えるのでオススメ。新車時の価格から半額以上も安くなっているから、かなり手が出しやすくなっている。ただし購入後の維持費などは事前に下調べしておきたい。