【スズキ SX4 Sクロス】隠れた名車!? スズキのコンパクトSUVが半額に

　グローバルマーケットを意識して開発されたスズキSX4が登場したのは2006年7月のこと。スズキと言えば軽自動車というのが、日本における多くのユーザーの認識。しかしインドやハンガリーなど、一部の地域では普通小型車が高いシェアを誇ることでも知られ、生産はハンガリーのマジャール・スズキが担当する。SX4はフィアットと共同開発されたモデルでもあり、フィアットブランドでは「セディチ」という名称で販売されていた。日本でスズキのコンパクトカーといえばスイフトが有名だが、SX4はスイフトよりも車高を高めたクロスオーバーの外観を持ち、差別化されている。欧州生まれということもあり、走りの実力は世界基準に達していると評価された。なお、後に4ドアセダン版も追加されている。

　2013年のジュネーブショーでは、SX4の後継モデルとして「SX4 Sクロス」がワールドプレミアされた。生産は、先代から引き続きハンガリーで行われたが、コンセプトはSUVの方向へさらにシフト。2015年2月では日本でも発売され、ボディサイズは全長4300mm、全幅1765mm、1575mmと、先代よりもひとまわりサイズアップし、Cセグメント級となった。エンジンは117馬力／15.4kgmを発揮する1.6L 直4を搭載し、デビュー当初はCVTと組み合わされた。駆動方式はFFまたは4WD。見た目がSUVライクになったのは、昨今のブームの影響もあるかもしれない。この頃はホンダ ヴェゼル、マツダ CX-3と魅力的なコンパクトSUVがリリースされた時期と重なっている。

　まずはSX4 Sクロスの改良遍歴を見ていこう。2015年2月の発売時はモノグレード展開（駆動方式は2WD／4WD）で、価格帯は204万1200円~225万7200円。2017年6月には改良が行われ、ヘッドランプ、フロントバンパー、グリル、ボンネットフード、ホイールなどのデザインを一新。最低地上高を20mmアップし、SUVらしいエクステリアとした。インテリアは、サテンメッキ加飾、ピアノブラック塗装などで質感をアップ。また、トランスミッションはCVTから6速ATに変更された。2019年4月の一部改良では、ミリ波レーダー式の衝突被害軽減ブレーキ「レーダーブレーキサポートII」を搭載。そのほか、フロントシートのサイドおよびカーテンエアバッグ、アダプティブクルーズコントロール、助手席シートベルトリマインダー、エマージェンシーストップシグナルなど、現在では欠かせない安全装備が与えられた。それらを踏まえ、年式別中古車平均価格を見ていこう。

　SX4 Sクロスは2017年6月、2019年4月に改良が行われている。2019年以降は安全装備が充実しており、クルマとしての魅力はアップしている。しかし平均価格は185万円となっており、最低でも160万円は必要だ。新車と比較すれば、低走行・高年式のこれらの物件は魅力があり、数も多いから買いやすい。しかし、中古車としてのお買い得感を重視するなら、2015年式にも注目すべき。100万円を切る物件も存在し、多走行車の割合はそれほど多くない。安全装備を重視するなら2019年式、価格を重視するなら2015年式がオススメである。

　スズキ SX4 Sクロスは、ひとつのグレードしか存在しない。そのため、流通する物件は年式で仕様が異なる。ただし駆動方式は2WD（FF）と4WDから選べるので、駆動方式別の平均価格の違いを見てみよう。

　平均価格は2WDのほうが、4WDよりも15万円ほど相場が低い。ただし4WDのほうが物件は多いという状況である。特に積雪地方のユーザーは4WDの安心感が高く、コンパクトSUVであることを考慮すると4WDに注目が集まる。SX4 Sクロスの4WDシステム「ALLGRIP」は、「AUTO」、「SPORT」、「SNOW」、「LOCK」と4つの走行モードを切り替えることができ、悪路走破性が高い。ライバルのホンダ ヴェゼルやマツダ CX-3は、物件の中心が2WDであることと対照的と言えよう。

　まとめると、価格重視なら2015年式がターゲットのSX4 Sクロス。この年式の平均価格は111万円で、新車時のおよそ半額程度となっている。なお、平均価格を同じ年式で比較すると、ホンダ ヴェゼルは162万円、マツダ CX-3は146万円となっており、価格ではSX4 Sクロスが圧倒的に優位。ライバルと比べて物件数が少ないのは難点だが、ヨーロピアンテイストあふれるデザインと走り、そしてなにより他の人と違うクルマに乗りたいなら、スズキ SX4 Sクロスはオススメの1台である。