徹底分析中古車相場
更新日:2018.11.27 / 掲載日:2017.12.26
【トヨタ エスティマ】買い? それとも待ち? 人気ミニバンの買い方指南

エスティマの次期モデルって出るの?
乗用車のモデル別新車販売ランキングで、つねに上位に入っていた人気ミニバンがトヨタ エスティマ。現行型の登場は2006年1月だから、デビューしてから12年も経っている。一部のスポーツカーやリムジンを除けば、エスティマのモデルライフは異例の長さで、超ロングセラーモデルと言っていい。2016年6月にビッグマイナーチェンジを行って商品力にテコ入れをしたから、トヨタとしてはもうしばらく先まで売り続けるつもりなのだろう。
しかし現在の新車販売は、以前ほどの勢いはない。2013年には年間およそ3万4000台、2014年には2万6000台と、軽を除く乗用車の上位30位にランクインしていたが、2015年以降はランク外になっている。それでも月別に見ると、時々ベスト30にランクインしているから、登場から時間が経っているものの、ユーザー注目度は十分高いクルマであることは間違いない。
今回は、そんな現行型エスティマに注目してみたい。その理由は、なんと言っても中古車物件の多さだ。グーネットにはハイブリッドも含めると2500台ほど流通(2017年12月20日現在)。また、中古車の流動性が高いのが特徴で、ショップの在庫はかなり早いペースで入れ替わっているようだ。これは人気モデルによくある傾向で、多くのユーザーが「ほしい!」と感じているのである。
いま、次期エスティマについてのアナウンスはなにもない。2017年東京モーターショーでも、次期型と思しきコンセプトカーは出展されず、現行型がラストモデルになる可能性も十分あるだろう。その理由は、エスティマのポジショニング。現在トヨタのミニバンは、下からシエンタ、ヴォクシー/ノア/エスクァイア、エスティマ、ヴェルファイア/アルファードという構成。エスティマは、ちょうど隙間に入る形となっており、その存在はややニッチである。そして新車販売台数は、まだ新しくて人気のあるヴォクシーやヴェルファイアに押され、サンドイッチにされている。そんな事情も、次期型開発へのGOサインがなかなか出ない理由のひとつなのかもしれない。
話が前後したが、次期型が出ない=中古車ニーズが上昇という図式が成り立ち、現在はコンディションによい中古車が市場で引っ張りだこになっている。今回は、そんなエスティマの賢い買い方を指南していきたい。
標準車とハイブリッド、どちらがお得?

エンジン別の中古車平均はこちら。
グレード | 中古車平均価格 |
2.4 | 135万円 |
3.5 | 97万円 |
ハイブリッド | 180万円 |
まず物件を調査してわかったのは、エスティマは中古車として流通するグレードが極端に偏っていること。グレード別では「アエラス」が市場の大半を占めており、次に多い「G」の10倍ほど存在する。ベーシックグレード「X」はさらに少なく、「G」の3割程度。エンジン別では、2.4Lモデルが3.5Lモデルの10倍以上となっており、こちらもかなり偏りがある。ハイブリッドは2.4L(非ハイブリッド)の4分の1程度だが、トータルの物件数が多いから、十分な数の中古車が流通している。
ただし、豊富な「アエラス」は人気グレードゆえ相場も高めで、「G」の2倍近くとなっているから、無理にこちらを選ぶ必要もないだろう。エンジンは、税金面で不利な3.5Lモデルは、中古車市場でも不人気。それゆえもっとも相場が低くなっている。エスティマを選ぶなら2.4Lモデルまたはハイブリッドのどちらかとなるが、カタログ燃費でおよそ7km/Lほどの差があるため、できればハイブリッドを選びたいところ。現行型エスティマはエンジン設計が古く、燃費も最近の大型ミニバンのなかでは平均値以下。別車種からの乗り換えだと、ハイブリッド以外では、燃費の悪さが少し気になるかもしれない。
ちなみに2WDと4WDの割合だが、2WDが全体の約86%を占め、ほとんどが2WDとなっている。なお、ハイブリッドは全車が4WDだから、積雪地域のユーザーにはハイブリッドをオススメしておく。
年式別に見る中古車動向は?

次に12年間にも及ぶ現行型エスティマの変遷を簡単に振り返っておこう。
●2006年1月:フルモデルチェンジ
●2006年6月:ハイブリッドを追加
●2007年6月:一部改良
●2008年12月:マイナーチェンジ
●2009年12月:一部改良
●2012年5月:マイナーチェンジ
●2013年5月:一部改良
●2014年9月:一部改良
●2016年6月:マイナーチェンジ
合計3回のマイナーチェンジで、それぞれデザインがリニューアルされている。標準車と「アエラス」の違いも含めると、外観のバリエーションは豊富。しかし、エンジンの変更はデビュー以来行われてないから、機関系はどの年式でも大きな差はない。2016年のマイナーチェンジでは3.5Lエンジンが廃止されたほか、衝突回避支援パッケージ「トヨタ・セーフティ・センスC」が導入された。それを踏まえて、年式別の中古車平均価格を見てみよう。
年式 | 中古車平均価格 |
2006年式 | 66万円 |
2007年式 | 74万円 |
2008年式 | 85万円 |
2009年式 | 120万円 |
2010年式 | 144万円 |
2011年式 | 152万円 |
2012年式 | 195万円 |
2013年式 | 229万円 |
2014年式 | 239万円 |
2015年式 | 245万円 |
2016年式 | 302万円 |
2017年式 | 327万円 |
生産期間が長いため、年式による価格差はとても大きい。価格だけに注目すると100万円以下で買えそうな初期型に目が行きがちだが、2008年式以前の大半の物件は走行距離が10万kmオーバーで、コンディションも心配。走行距離5万km以下の物件が多いのが、2012年式以降となっている。コンディションを重視するなら、2012年式がひとつのボーダーラインと考えておきたい。この年式はちょうど2度目のマイナーチェンジが行われたタイミングで、見た目もまだ新鮮さが残っている。
ちなみに、2016年の改良以降の最新型は、平均価格が300万円以上だから、中古車としてはまだ高く感じる。衝突回避支援パッケージが標準装備なのは魅力的だが、正直300万円という対価を払うなら、あえてエスティマ中古車にこだわる意義は薄く、ほかの選択肢も候補に上がってくるだろう。
今後、エスティマの市場はどう動く?

2016年のマイナーチェンジ以前は、エスティマ全体の相場は緩やかな下り坂で、年式相応の相場だった。しかし、それ以降は最新型の登録済み未使用車が市場に流れており、全体の相場は右肩上がりという傾向になっている。しかし、その流れも長くは続かないと考えられており、再び緩やかに下がっていくだろう。
もし今後フルモデルチェンジが行われれば、現行型エスティマの相場は暴落するはず。しかし、新型が登場しなければ高年式エスティマは大きな値崩れはなく、しばらく高値をキープする可能性が高い。現在のところ新型登場は流動的なので、今後の動向は予想し難い部分もあるが、買いか待ちかと問われれば、200万円以下の予算でねらえる5年落ち前後のモデルにターゲットを絞るなら、買いだ。
SUVブームに押されて、たとえミニバンと言えども車種によっては苦戦する昨今、クーペのようなフォルムの大型ミニバンは希少で存在価値は高い。実用車としてだけでなく、趣味のクルマとしての魅力もあるから、いまこそ乗りたいクルマとも言えそうだ。
まとめると、エスティマの中古車は豊富にあるが、2012年式以前の個体は走行距離が伸びているケースが多い。コンディション重視なら、2012年前後の物件がオススメ。グレードは「G」または「ハイブリッド」が有力候補。また、ミニバン全体に言えることだが、ファミリーカーは同じ車種でも使われ方によって室内の傷み具合に差がある。子供が座ることの多い後部座席の汚れ、シミや、ペットを飼うひとが使っていた場合ニオイも付く場合がある。外観の綺麗さはもちろん、購入の際はインテリアの入念なチェックを怠らないようにしよう。