四角いデザインをした本格的なクロカン四輪がほしい【輸入車コンシェルジュ】

　「四角いクルマが好き」という相談者。たしかに、そういう声は老若男女を問わずよく聞くのですが、最近のクルマが丸みを帯びているのには、もちろん理由があります。歩行者保護などの衝突安全基準や燃費性能を高めるための空気抵抗低減といった理由により、新型車にはカクカクとしたデザインを採用することが難しいという実情があるからです。
　つまり、角ばったクルマとなると、自然に昔に設計されたモデルが候補になってきます。今回の相談者はデザインに加えてさらに、悪路走破性も求めています。そうなると選択肢はズバリ、本格クロカン四駆ということになります。
　角ばったデザインの本格クロカンモデルは世界各国に存在しますが、それらにはある共通点があります。それは、軍用車をDNAに持つこと。
　プロの道具として、堅牢さとクロカン車としての性能を追求した結果、軍用車は四角く、スパルタンなルックスを身につけています。
　もちろん、軍用車そのものを手に入れることは難しいですが、そのDNAを受け継いだ市販車は、いつの時代でも根強い人気を誇ります。今回は、そのなかから代表的な3台のモデルをご紹介しましょう。

　NATO軍に採用された軍用車をベースに、1979年に民間向けに改良して発売されたゲレンデヴァーゲン（W460）をルーツとするのがメルセデスのGクラス。日本でも登場から3年後の82年に300GDの正規輸入がはじまりました。
　登場から数度改良は受けましたが、40年にわたり基本的な設計とデザインを受け継いできたため、いまでもGクラスを「ゲレンデ」と呼ぶファンは数多くいます。
　Gクラス最大の特徴は、まさに四角い箱そのものといったスタイリング。フロントグリルに輝くスリーポインテッドスターとあいまってそのインパクトは抜群で、ファッションアイコンとしても人気があります。
　人気の秘密はデザインだけではなく、その手ごたえも特別です。
　究極のヘビーデューティである軍用車をベースにするだけあって、車体のフレームはもちろん、ボディも堅牢そのもの。ドアを開閉するときの感触はまるで金庫の開け閉めのようで、ガチャンという音と、重みのある手ごたえがたまりません!

2013年 メルセデス・ベンツ G350 ブルーテック（７速AT） ●全長×全幅×全高：4530×1810×1970mm ●車両重量：2510kg ●エンジン：V6DOHCディーゼルターボ　●最高出力：211ps ／3400rpm ●最大トルク：55.1kg m／1600-2400rpm ●排気量：2986cc ●中古車参考価格：280万円～1100万円（94年～19年 AMGを除く）

　アメリカの軍用車であるハンビーを民間向けに仕立てたのがH1。そのテイストを受け継ぎながら、よりSUV的な快適性を持たせたのがH2になります。しかしながら実車のH2は２mを超える全幅のとおり、一般的なSUVとはまるで違う迫力の持ち主。オーナーにも使いこなす力量が問われます。

2005年 ハマー H2 タイプＳ（４速AT） ●全長×全幅×全高：5180×2180×2050mm ●車両重量：2903kg ●エンジン：V8OHV　●最高出力：330ps ／5200rpm ●最大トルク：50.5kg m／4000rpm ●排気量：5967cc ●中古車参考価格：200万円～820万円（03年～07年 全グレード）

　軍用機としての採用事例もあるクロカンといえば、ディフェンダーも忘れてはいけません。1980年代に登場した初代モデルから受け継がれている独特なデザインにはファンも多く、街中での存在感も抜群。映画「007スペクター」での活躍に胸を躍らせたひとも多いのでは？

2004年 ランドローバー ディフェンダー 110S（５速MT） ●全長×全幅×全高：4565×1785×2070mm ●車両重量：1990kg ●エンジン：直列５気筒OHCディーゼルターボ　●最高出力：122ps ／4200rpm ●最大トルク：30.6kg m／1950rpm ●排気量：2495cc ●中古車参考価格：300万円～1350万円（94年～19年 全グレード）