輸入車
更新日:2021.03.04 / 掲載日:2019.05.02
BMW X3/気になる中古車【試乗判定】

2018年モデル BMW X3 xDrive20d Mスポーツ
文●竹岡圭、九島辰也、ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2019年6月号の内容です)
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。
一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション! 果たしてその結果やいかに!?
Member Profile
自動車ジャーナリスト【竹岡 圭】
人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2019-2020 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。自動車ジャーナリスト【九島辰也】
長年にわたり男性ファッション誌や一般誌などでも活躍し続ける自動車ジャーナリスト。その知見は広く、プライベートでも各国のクルマを乗り継ぐ。
定評ある走りはそのままに、高級感と実用性を高めた。

拡大を続けるXシリーズの中核を担うX3が登場
編集部●中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回はBMW X3が登場します。お借りしたクルマは2018年モデルのxDrive20d Mスポーツで、走行距離は1万7000kmです。
九島●持ち主はけっこう走っているね~。正しいSUVの使い方だ。おっと、BMW的には「SAV」だ(笑)。
竹岡●「スポーツ・アクティビティ・ビークル」でSAV。走りにこだわりのあるBMWらしいネーミングだけど、一般的にはSUVとしてカテゴライズされているよね。
九島●この間、アメリカのテキサスで行われたX7の海外市場会に参加したんだけど、5mを超える2.5トンの巨体なのに重さを感じなかった。走りに関してBMWは妥協しないね。
編集部●X7は2019年中に日本にも導入されるそうなので、そうなるとX1からX7まで、フルラインアップが完成することになります。竹岡●BMWグループ全体で考えると、MINIクロスオーバーからロールス・ロイス カリナンまであるんだから、本当に隙がない!
編集部●そんななかで、今回試乗していただくX3はどういったポジショニングになるのでしょう。
九島●グローバル基準で考えると、1999年に初めてのSAVとして登場したX5がスタンダードなんだけど、日本の道路事情とかを考えるとX3が実質的な中核モデルになるだろうな。
竹岡●ボディサイズ的にも性能的にも、Xシリーズにおける3シリーズ的なキャラクターだよね。
九島●個人的にはあまりにもバランスよくまとまり過ぎていて、正直印象がちょっと薄い(笑)。
竹岡●それって商品としてはよくできているってことでしょ。カジュアルな雰囲気をX1に任せられるようになったから、現行モデルは高級感もあるし、人気なのがわかるな。
九島●それはそのとおりだと思う。友人が2代目X3から3代目に乗り換えたんだけど、現行型はX5に間違えられるくらい車格がアップした雰囲気で満足しているって。
編集部●ではここでX3について改めて紹介させてください。初代X3は2004年にデビュー。2代目は2011年の登場で、今回ご用意したのは2017年にフルモデルチェンジした現行型の3代目です。全幅と全高はそのままに全長を65mm拡大して居住空間とラゲッジを拡大。総合テレマティクスサービスである「コネクティッドドライブ」や自動運転技術による運転支援機能「ドライビング・アシスト・プラス」を標準装備するなど、サポート装備を大幅に充実させたのも特徴です。
竹岡●そうそう、このあたりの年代から一気に自動運転技術を活用した装備が普及してきたね。
編集部●すべてのモデルが四輪駆動である「xDrive」で、2L直4ガソリンターボの「20i」(184馬力)、2L直4ディーゼルターボの「20d」(190馬力)。そして3L直6ディーゼルターボ「M40d」(326馬力)という顔ぶれです。
九島●試乗車は20dのMスポーツだから人気のあるやつだ。
編集部●ではそろそろ試乗の方をよろしくお願いします。
九島「車重をまるで感じさせないディーゼルの力強さがいいね。」
竹岡「尖ったところがない優等生で、だれにでもオススメできます。」

DETAIL CHECK

充実した運転支援技術は、現行型を選ぶ決め手になりうる。
編集部●さて、戻られたおふたりに試乗の感想をうかがいましょう。
竹岡●優等生。X5より使いやすいサイズで、X1より高級感があるでしょ。そのままなんだけど(笑)、でも買う側からしたらほしいのはまさにそういうクルマなわけで。ホント、商品力が高い。装備も充実しているし言うことなし。
九島●BMWのXシリーズといえば個人的には新しいX4に感動したんだよ。あれはSUVの形をしたスポーツカーだった! それはそれとして(笑)。X3にディーゼルエンジンはベストマッチだよね。クルマの重さを感じさせない味付けは流石。最近燃費運転にハマっているんだけど、これもきっと燃費いいと思う。
竹岡●でも人気モデルなんだから当然中古車は高いんでしょ。
編集部●もちろん、年式や人気の影響で絶対的な価格はまだまだ高止まりです。ただし、認定中古車として1年落ち数千kmというコンディションのものが、新車に比べ100万から150万円安く販売されています。
九島●それならいいじゃん!
編集部●先代の最終モデルと比較して100万円くらいの差額なので、内容からすれば魅力的だと思います。
竹岡●先代モデルもバランスの取れたいいクルマだったけど、こういうクルマだと遠出したいじゃない。そういうときに現行型の「ドライビング・アシスト・プラス」はいいよ。渋滞にも対応するから。
九島●個人的にはX5の方が存在感が強くて好きだけど、「M40d」ならちょっとほしいかも。きっと速くて楽しいと思うな。つまりX3は、ファミリーユースにも、走り好きにも応えてくれるクルマってことだね。

クオリティの高いインテリア充実した先進安全装備も魅力

セダンと変わらぬ高級感や使い勝手を提供するコックピット。2017年末デビューの現行世代だけに自動ブレーキやレーンキープサポートといった先進安全技術などのサポート装備もフルスペックで備わる。センターコンソールのディスプレイは従来のコントローラーに加えて、タッチパネルによる操作にも対応している。
ホイールベースの延長で後席の居住性はさらに快適に

SAVを名乗るものの、室内のパッケージングはSUV的で頭上の空間もたっぷりと確保されている。ホイールベースが先代モデルよりも55mm拡大されたことにより、後席レッグスペースにも余裕が生まれた。
全車に4WDを採用ガソリンとディーゼルを用意

エンジンは2Lガソリンターボ(184馬力)と2Lディーゼルターボ(190馬力)、3Lディーゼルターボ(326馬力)の3種類。トランスミッションは8速ATで全車4WDとなる。
高さに加えて奥行きや幅も十分テールゲートも電動で開閉

ラゲッジ容量は標準状態で550L。4対2対4で分割可倒式の後席を倒せば最大で1600Lまで拡大することができる。荷室の床には金属製のレールが備わり、ラゲージルームネットなどを活用することで、荷物もしっかりと固定される。テールゲートは電動のため開閉に力を必要としない。
試乗判定レビュー

※各項目に対して10点満点評価。 ※ナンバープレートは、はめ込み合成です。
竹岡 圭
【10点】ダウンサイジング……なんて言われた時代もありましたが、なんだかんだ言ってもやはりクルマって大きくなっていると思うんです。そんなワケでX3も大きくなってますけど、X5じゃ大きすぎるんだけど、あのゴージャス感とか迫力はほしいんだよね~という方にピッタリな雰囲気にまとまりましたよね。日本の道路事情を考えたらピッタリだと思います。
【10点】最新の「OK! BMW!」こそついてないですけど、これだけあれば十分でしょ~というレベルだと思います。運転アシスト的最新鋭装備の導入は、ライバルに比べて遅めだったBMWですが、この時代だとさすがにしっかり装着されていますしね。メーター内なども最新の液晶タイプですし、パッと見でここが……という気になるポイントはないハズです。
【9点】初代&2代目のX3は、正直なところSUVのネガティブな部分、たとえばガタゴトとした動きなんかが感じられたんですよね。この世代はかなり変わりまして、もはやアイポイントが高い3シリーズレベルになったと言っても過言ではないかも。けれどクロカン的な意味でのSUVらしさは薄れてクセがないので、もの足りなく思う方もいるかもしれません。
九島辰也
【9点】SUVが世界的に人気なのはご存じのとおり。当然、このカテゴリーの先駆者であるBMWは手厚いラインアップを構築し、ユーザーニーズをカバーしている。そのなかで定番モデル的な役割を与えられているのがX3。そのまんま3シリーズのSAV版である。つまり、扱いやすいサイズにスポーティなハンドリングというBMWらしさが味わえるモデルだ。
【10点】現行モデルだけあって、安全性に関わるものから、快適性を高めるものまで、必要だと思われるものはすべて揃っていた。とくにステアリング操作までサポートするクルーズコントロールはロングドライブの強い味方だろう。試乗したのがMスポーツだったので、シートや室内の仕上げも上々。BMWに期待するスポーティな雰囲気はちゃんと用意されている。
【9点】舗装路をメインステージとするクロスオーバービークルを長年手がけてきたBMW。それだけに3代目となったX3の走りは洗練されていると評価できるレベルに到達している。この完成度の高さは、多くのユーザーにとって歓迎されることは間違いない。あえて注文をつけるとすれば、もう少しだけ刺激、スポーティネスを感じたいところだ。
グーワールド 編集部
【9点】SUVのなかでもとくに人気を集めているのが、乗用車的な乗りやすさや快適性を備えたもの。今回試乗したX3は、まさにそこをねらって開発された王道中の王道モデルと言えます。ライバルとの違いは、BMWが主張するとおり、スポーティなフィーリングを与えてくれるというところ。ファミリーカー的でありながら、活動的で刺激をもたらしてくれる1台です。
【10点】プレミアムSUVは非常に競争の厳しいセグメント。BMWとしては次々に登場するライバルに負けじと、これでもかと最新装備を現行型X3に投入しています。ただ、先代でも2016年の改良後のモデルであれば「ドライビング・アシスト・プラス」が標準装備されているので、予算を重視するなら先代後期という選択肢ももちろんありでしょう。
【10点】もはや「オンロード系SUV」という言葉が死語になりそうなくらい、都市型SUVが多く登場しています。しかし、BMWほど走らせてみて、重さを感じさせない、軽やかな走りのSUVはそうそうありません。思わず「こんなに簡単に曲がるの?」と驚いてしまうほど。さらにクルージング時には先進のサポート装備で疲れ知らず。19インチでも乗り心地良好でした。