輸入車
更新日:2023.02.23 / 掲載日:2023.02.23

【BMW 2シリーズアクティブツアラー】スポーティでちょっと贅沢なファミリーカー

文●大音安弘 写真●澤田和久、内藤敬仁

 BMWのトールワゴン「2アクティブツアラー」は、初のフルモデルチェンジを実施した。

エポックメイキングとなったBMW製ワゴンがフルモデルチェンジ

2シリーズアクティブツアラー エクスクルーシブ

 2014年に登場した初代モデルは、BMWとしても初もの尽くしのクルマであった。トールワゴンやミニバンとは無縁と思えたBMWのワゴンの歴史を切り開いただけでなく、伝統のフロントエンジン・後輪駆動(FR)のレイアウトではなく、前輪駆動を基本としていた。それだけに、デビュー時は、賛否の声が聞かれたが、日本でもファミリー層の取り込みに成功するなど、エポックメイキングなモデルとなった。そのモデルの初の全面刷新が、この2代目なのだ。

 すでにBMWもFF車ラインアップを拡大されているため、そのショートノーズデザインの作り込みも手慣れたもの。フロントマスクには、新7シリーズを彷彿させる立派なキドニーグリルに威厳にあふれ、高級車に相応しい顔つきだ。シャープなライトデザインや細やかなアクセントパーツが、BMWらしい力強さを生み出すが、全体的にはシンプルな面のデザインに仕上げられているため、上品さも併せ持つ。

2シリーズアクティブツアラー エクスクルーシブ

 スポーティさを前面に出した初代と比べ、かなり大人になったといえよう。日本仕様は、基本的には上品なデザインの「エクスクルーシブ」と定番のスポーティデザインの「Mスポーツ」の2種類だが、エクステリアの差別は、前後バンパーとサイドスカート、アルミホイールくらいなもの。しかし、その印象はサルーンとスポーツと明確な違いを感じさせる。

2シリーズアクティブツアラー Mスポーツ

 外観上の機能面の違いだと、ドアハンドルの形状がグリップ式ではなく、フラップ式となったこと。既にBMWオーナーだと、最初は操作に戸惑うかもしれない。ボディサイズは、少し大きくなっており、先代比で、全長が+35mmの4385mm、全幅が+25mmの1825mm、全高が+30mmの1580mmとなるが、ここで懸念すべきは全高だろう。先代では機械式駐車場でも普通車サイズであったが、新型ではハイルーフ車の扱いになる点だろう。因みにMスポーツを選んでも全高は1565mmとなる。

2シリーズアクティブツアラー Mスポーツ

最新のインフォテインメントシステムを採用したインテリア

2シリーズアクティブツアラー Mスポーツ

 インテリアは、BMWとしても最新式となる。その象徴となるのが、フラットディスプレイによるメーターとインフォメーションモニターを組み合わせた「カーブドディスプレイ」だ。

 ダッシュボードも、カーブドディスプレイを前提としてデザインされているため、フラットなデザインで、スイッチ類を徹底して排除。組み込まれるのは、エアコンルーバーと装飾だけなので、かなりすっきりした印象を与え、それが車内の広さの演出にも繋がる。ダッシュボード下部は収納に特化した作りで、移動中にスマートフォンを充電できるワイヤレスチャージングも備える。

 運転に必要なシフトレバーやスタートボタン、ドライブモードなどのスイッチ類は、フローティング構造のセンターコンソールに集約。これは最新式EVとなるSUV「iX」より使われるギミックだ。シンプルかつプレーンな作りとなっているが、細部の装飾などの質感を高めることで、見事に上級車らしい贅沢さを感じる空間に仕上げている。

 後席スペースもゆとりがあり、大人の男性でも快適な姿勢が取れる。頭上空間も圧迫感もなく、オプションのツインガラスルーフを装備すれば、さらに開放感は増す。ラゲッジスペースは、標準470L~最大1455Lを確保するので、ファミリーユースでも不足はないだろう。

「Mスポーツ」と「エクスクルーシブ」の違い

2シリーズアクティブツアラー Mスポーツ

 パワーユニットは、ガソリンとディーゼルの1種類ずつのみ。ガソリン車「218i」は、1.5L直列3気筒DOHCターボを搭載し、最高出力156ps、最大トルク230Nmを発揮。燃費消費率は、14.5km/L(WLTC)だ。根強いファンを持つディーゼル車「218d」は、2.0L直列4気筒DOHCターボエンジンとなり、最高出力150ps、最大トルク360Nmを発揮する。燃費消費率は18.7km/L(WLTC)だ。いずれも前輪駆動車のみとなり、トランスミッションは、7速DCTとなる。

 今回は短時間ずつとなったが、「218i Mスポーツ」と「218dエクスクルーシブ」の2台を試すことができた。いずれも共通したのは、室内の質感と静粛性の向上だ。正直、先代となる初代は、ビジュアルや触感の両面で、お手頃なBMWの色合いが強かった。ところが、新型では、高級車BMWの世界観まで引きあがられている。街中を中心とした普段使いならば、ガソリン車とディーゼル車で満足度は変わらないだろう。

 もちろん、軽快なエンジンフィールならば、ガソリンに分があるし、発進時の加速の良さならば、ディーゼルが勝る。しかし、快適さはイーブンだ。乗り心地についても、いずれも乗り心地は良い。またワゴンであることをあまり意識させないBMWぽいハンドリングも魅力的といえる。ただMスポーツを選ぶと、Mアダクティブサスペンションが備わるから、モード切り替えて、より足を引き締めることもできる。ただMスポーツもワゴンであるため、過度な変化はない。それはエクスクルーシブとMスポーツのいずれも、標準仕様はタイヤサイズと銘柄が同じことが示すように、快適性を重視した設定のようだ。このため、一人でドライブする楽しみも欲しいという人は、パダルシフトも備わるMスポーツという選択もアリだろう。

まとめ

 新型2シリーズアクティブツアラーは、Mスポーツとエクスクルーシブが同価格というのもポイント。ただエクスクルーシブを選ぶならば、より見栄えのするレザーシートを選びたくなるのも本音。ビジュアル的にもスポーツシートが標準となるMスポーツの方がお買い得に思えてくる。

 ガソリン車とディーゼル車の価格差は、29万円なので、こちらは好みと用途次第だろう。個人的には、トールワゴンはアクティブギアとして活用したいし、せっかくBMWに乗るのだから、スポーティ色の強い218iMスポーツがベターかなとは思う。

 新2シリーズアクティブツアラーは、ちょっと贅沢なファミリーカーという雰囲気も味方となるだけに、価格でも近いBMWエントリーの1シリーズハッチバックを脅かす存在になりそうだ。

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大音安弘(おおと やすひろ)

ライタープロフィール

大音安弘(おおと やすひろ)

1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。現在はフリーランスの自動車ライターとして、自動車雑誌やWEBを中心に執筆を行う。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。

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