車の歴史
更新日:2020.10.14 / 掲載日:2020.10.14

軽さは速さだ! SUZUKI FRONTE SS(LC10) エクステリア

乗用車も当たり前となった現在だが、80年代後半まで軽自動車といえば商用車が主だった。それに対してより上級なモデルとして存在していたのが乗用車モデルであり、スズキはフロンテをラインナップする。60年代後半の軽自動車市場は、当時の普通乗用車同様に高性能モデルがもてはやされていた時期で、各メーカーが高性能エンジン搭載車を投入していた。そんな時期にデビューしたのが、2代目となるLC10型フロンテだ。コークボトルラインと呼ばれた抑揚ある丸みを帯びたボディが特徴となる。今回このページでレポートするのは、そんな2代目フロンテの尖りグレードとして投入されたフロンテSSだ。

コークボトルラインと呼ばれたスタイリング

マイカーが現実味を帯びてきた60年代。最も現実的だったのが軽自動車で、この時代の軽自動車は、チープさを感じさせない気高さを感じさせてくれる。例えばコークボトルラインと呼ばれた抑揚のあるスタイリング。トップグレードのSSこそスポーティさを前面に出したものだが、フロンテ自体はベーシックな2ドアセダンという位置づけ。にもかかわらずこんな凝ったデザインを採用したのだから、当時の軽自動車には今以上に夢があった。

フロントにはメッキリムを備えた立派なグリルが備わるが、空冷エンジンをリヤに搭載するフロンテなので、デザイン用のダミーとなる。

初代スズライトフロンテの
後継モデルとして登場
 スズキが手掛けた初の市販4輪車のスズライト。その2代目となるスズライトTLの乗用車版としてスズライトフロンテが登場。これが初代フロンテとなる。
 そんな派生モデルとして誕生したフロンテだが、2代目は独立したスズキの軽規格乗用車として1967年に登場した。60年代のデザインらしいスポーツ感が前面に出た2ドアセダンのスタイリングは、コークボトルラインと呼ばれた抑揚のある丸みを帯びたもの。
 搭載されるエンジンは、初代の2気筒から、よりスムーズなフィーリングを実現すべく3気筒化された空冷2ストロークエンジンを搭載。サスペンションも凝ったもので、フロントはダブルウィッシュボーン、リヤはセミトレーリングアームと、当時の国産普通車のスポーツモデルでも、まだ珍しい4輪独立懸架を採用する。
 そんな2代目フロンテのスポーティグレードとして1968年に登場したのが、今回取り上げたフロンテSSだ。SSはストリート・スポーツを意味する。

2気筒だったライバルに
対して3気筒をセレクト
 当時は軽自動車のパワー競争が激化しはじめた時期。軽自動車を日本に普及させたスバル360はヤングSSで36PS、ホンダN360もT、TMなどが36PS、ダイハツフェローSSが32PS、……とベースグレードがホンダNを除き20PS代だった時代に、リッター100PS級のハイパワーエンジンを搭載したモデルが続々とデビューしていたのだ。スズキも3キャブなどで武装した36PSをフロンテSSに投入した。
 ライバルが2気筒であったのに対し3気筒化されたフロンテのエンジン。回転のスムーズさや振動面では、2気筒エンジンに比べ有利な3気筒だが、1気筒あたりの排気量が小さいため、どうしても低回転トルクが2気筒エンジンよりも小さい。そんな特性のエンジンを高回転型にチューニングしたSSのエンジンは、低回転域トルクがますます細いものとなっている。
 最高出力の36PSを発揮するのは7000回転なのはいいとして、最大トルクの3.7kg-mの発生回転数がなんと6500回転と超高回転域なのだ。ちなみにベーシックグレードに搭載される25PS仕様は、最高出力の発生回転が5000回転、最大トルクはSSと同じ3.7kg-mながら、発生回転数は4000回転となる。SSの36PSエンジンがいかに高回転化されているか分かってもらえるはずだろう。

  • ヘッドライトにはメッキリムと組み合わされたガラス製のカバーが備わりボディラインと一体化させている。ウインカーレンズは、グリル内とフェンダーにそれぞれ設置される。

  • テールランプは丸型。前期は赤レンズのみで、ポジション、ブレーキ、ウインカーのすべてをこなす。エンブレム下の丸レンズはリフレクターだ。バックランプはバンパー中央に埋め込まれる。

  • フロントのサイドウインドウには三角窓が備わる。リヤクォーターウインドウもハメゴロしではなく、Bビラー側が軸となりリヤ側が跳ね上がることで開閉するタイプが装備されている。

  • 前ヒンジのフロントフードを開くと、スペアタイヤが収まり、ラケッジとしての機能は皆無。スペアタイヤ下には燃料タンクが備わり、給油口はスペアタイヤの中央部から顔をのぞかせる。

  • カウルトップの中央部にはフラップが備わる。これは室内への外気導入口で、室内から開け閉めすることが可能。ワイパーは一般的な2本アームの右スイング式を採用する。ウォッシャーノズルも2か所に設置。

  • ルーフは、中央部が凹む形状のプレスラインを採用。昔からスポーツカーに採用されるダブルバブルルーフを思わせる、実用一辺倒ではない見栄え重視のデザインが採用されている。

  • フロントグリルはダミーだが、リヤまわりに備わるダクト類はすべて機能的なもの。ちなみにサイドダクトは、冷却エアの左がインテーク、右がアウトレットの吸排出口となる。

  • 提供元:オートメカニック

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グーネットマガジン編集部

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